「どうしてもマスコミに入りたい!」と思っても、マスコミ一本で就活をする人は稀でしょう。というのもマスコミは門が非常に狭いから。採用人数をもとに書くと、門は、新聞社・通信社>テレビ>出版社の順に狭くなります。具体的に、大手の採用人数は新聞社では50~80人ほど、テレビで20~30人、出版社で10~20人です。小さい会社では人数はもっと減少します。採用人数が1人というのも珍しくはありません。
マスコミ志願者は基本的に大手と中小を併せて受けると思いますが、門が狭いマスコミだけでは正直心もとないところ。そこでリスクヘッジとして「広報」と「PR会社」を併願することをオススメします。
理由はズバリ、業務内容と志望動機が近いから
マスコミの併願先に「広報」と「PR会社」をオススメする理由は以下の2点からです。
1. 業務内容が似ている
あなたがマスコミを志望する理由は何ですか? 「伝えるのが好き!」「とにかくマスコミに関わりたい!」という思いなら、「広報」や「PR会社」でも叶えられます。
どちらもその本質は「情報を伝える」仕事です。その上、マスコミとの接点もあります。伝える「モノ」へのこだわりがそんなになく、「伝えること」そのものが主目的なら、「広報」と「PR会社」の仕事も楽しく取り組めるでしょう。
2. 効率よい就活ができる
加えて、業務内容が近いということは志望理由も少し書き直せば使えるということです。全く別の業界を志望するのと比べ少ない時間で済みます。効率よく就活対策ができるのも、就活生には大切な要素でしょう。
以上2点の理由から「広報」と「PR会社」をオススメします。以下、順にその具体的な業務内容を見てみましょう。
記者との深い関係づくりが不可欠な「広報」の地道なお仕事
広報の仕事は、基本的に自社のニュースを伝える仕事です。マスコミの仕事を「ニュースを伝える」仕事と定義すれば、少し狭くはなりますが「会社のニュースを伝える」のが広報の仕事です。企業のPRを主な仕事とし、場合によっては企業を代表して写真に収まることもあります。
そんな点からマスコミと同様、華やかに思われがちな「広報」ですが、もちろん華やかなことばかりではありません。むしろ、個人的には華やかなことよりも地道な作業が多いように感じます。
例えば、「新製品やサービスがでたらそのプレスリリースを作成し、マスコミに送る」という業務を見てみましょう。マスコミ各社はプレスリリースを一日に数百枚も受け取ります。多忙な記者はすべてをいちいち確認しません。(そもそも、そんなに会社に常駐していません。そんな暇があったらネタを取って来い! と言われます)
記者の目にとまり、「面白い!」と思ってもらうために、多くの広報は記者と名刺交換をして個人のメールアドレスにプレスリリースを送ります。こちらの方が、記者が目にする可能性が高まるからです。
また各記者の担当分野を把握しそれに沿った内容のリリースがあれば、電話やメールを送ることまでする広報もいます。ここまでするのはベンチャー企業の広報が多いように感じます。
大手の広報は黒子、ストッパーの役目を果たす
これが大手商社や大手メーカーだと、少し異なります。大手になるほど記事の内容によってはメディア側から広報に電話をすることが増えるからです。例えば、「◯◯に関して取材をしていて、御社の△△部の方に話をお伺いしたい」といったような形です。広報が答える場合もありますが、基本的に広報は黒子に徹し、記事の中に名前を出すことも少ないです。「広報に聞いた」と書くと「企業をPRする」仕事のうちと捉えられ、それを記事にしてもあまり価値がないからという考え方だからです。
メディアから問い合わせがあった際、広報は取材の目的を聞くとともにどういった人材をアサインするかを考え、全体の日程調整をします。取材中も同席し、取材を受ける社員が会社にとって不利な発言がないか、ブランドイメージに傷がつかないかを考え、場合によっては取材後に記者に「あそこは濁して」「社名は出さないで」といったストッパーの役目をするのも広報の仕事です。
特に新聞の際にこのストッパーの役目としての腕が試されます。雑誌の場合は原稿チェックがある場合も多いのですが、新聞のような「ニュース」では記事を事前に見せないことも多く(編集権の独立です)、「広報」の腕が試されます。
普段から可能な限り記者と仲良くしておき、マイナスの表現を使われないように、あるいはその可能性があるのであれば事前に教えてもらえるような関係性作りをしておく必要性があるのです。
そんな「広報」が一番大変なのは不祥事があったときでしょう。不祥事がニュースになる直前、広報の電話は鳴りっぱなしになります。
このようにきめ細かい仕事が求められる「広報」ですが、マスコミとの距離も近く、とにかく情報を発信する立場のお仕事です。ぜひ併願先として考えてみてください。
PR会社では熱気の強い環境で「広報活動」をどっぷり行える
一企業の広報よりも、さらに広く広報活動に関わりたいという人は、PR会社をオススメします。PR会社は、各企業の広報の機能を外注の形で担当する会社です。社員は複数の企業の広報を請け負います。個人的な感想ですが、一般的な広報にくらべPR会社の人の方がPRに対する熱量はあるように感じます。(外注だから当たり前か……)
例えば、「育休」に関する内容で記事や映像を作りたいけれど手元の資料ではデータが足りない。グラフや、詳細なデータがあれば取り上げることもできるのだけれど……というとき。通常の「広報」では、探す気持ちはあってもなかなか手が回らずどんどん後回しになってしまう。これがPR会社だったなら、彼らはすぐさま詳細なデータを調べあげ、記事や映像を作り上げます。このように、PRに対する熱量は、通常の「広報」の比ではないのです。
話を聞いていても、こうした日常を見ていても、通常の広報以上に激務でしょう。ただ、いろいろな企業の最新のニュースに触れることができるというのは何より魅力的ですし、飽きも来ません。
マスコミ同様、キラキラした面だけではありませんが、自分の会社の製品やサービスが世の中に出る喜びも大きいようです。併願先の候補に入れてみては?
おわりに
ということで、今回は狭き門のマスコミのオススメ併願先をお伝えしました。「情報を伝える」という点でマスコミと非常に似ている「広報」と「PR会社」の仕事。ぜひあなたの志望企業に加えてください。