2024年卒の皆さんの中には、何となく就活を始めてみたものの、何から手をつけたら良いのか分からない人もいるのではないでしょうか。
そんな方に向けて、業界についての説明と業界内の有名企業の紹介をまとめました。まずは業界を知り、その業界に関連する記事なども利用しながら、業界研究を進めていきましょう。
今回の記事で取り上げる業界は、金融とコンサルの2つです。
では、それぞれ見ていきましょう。
<目次>
●金融
・銀行(メガバンク)
・証券
・保険
・信託銀行
・カード
●コンサル
金融
金融には、銀行・証券・保険・信託・カードなどさまざまな業界があります。
さらに、日系・外資系の企業があるので、さまざまな企業が「金融」業界に包括されています。
銀行(メガバンク)
メガバンクの主な業務内容は大きく分けて3つ。(1)預金業務(2)為替業務(3)融資業務です。
まず(1)預金業務とは、銀行口座を通して顧客の預金を管理する業務。「銀行」をイメージしたときに真っ先に思い浮かぶ業務です。
続いて、(2)為替業務は顧客からの依頼によって、振込や送金を行う業務です。公共料金の口座振替がこれにあたります。他には、手形を使用した企業間の決済や、海外への送金などがあります。
(3)融資業務は、預金業務で預かったお金を、資金を必要としている企業や個人に貸し付ける仕事。企業への融資や、家を建てるときの住宅ローンなどです。
この3つの主な業務を担当する中で、顧客企業の経営や財務の分析など、財務コンサルのような業務も行います。
近年はインターネットバンキング(※1)の登場などにより、既存の事業のみで利益を挙げるのが難しくなってきています。そのため、近年メガバンクはさまざまな事業に取り組み始めています。例えば、FinTech(※2)への参入でサービスの向上、コスト削減を図る動きや、東南アジアをはじめとする海外進出で国外市場の獲得を狙っていることが挙げられます。
(※1)……インターネットを介した銀行などの金融取引のサービス
(※2)……FinanceとTechnology(金融と技術)を組み合わせた造語。ITを活用した革新的な金融サービスの創出などを指す
【企業一覧(3大メガバンク)】 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ
▼メガバンクの業界研究記事はこちら
・【業界研究:メガバンク】三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ:厳しい収益環境のその実情は!?大規模な構造改革が進むメガバンクの傾向と比較
証券
証券会社が扱う商品として、株式や債券、投資信託など。
日本の大手証券会社は主に5社あり、証券系と銀行系に分かれています。職種は、営業からマーケットの分析まで多岐に渡ります。
また、世界の株式市場の影響をじかに受けるため、国際情勢を入念にチェックする必要があるでしょう。実体のない金融証券を扱うため、顧客に信頼される「人間力」が求められます。
また最近では、大手も参入するなど、インターネット取引専門証券会社(ネット証券)が増えていることも特徴です。
【企業一覧(5大証券)】
・野村證券、大和証券(証券系グループ)
・SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(銀行系グループ)
保険
保険には大きく分けて、生命保険(生保)と損害保険(損保)の2種類があります。
保険会社の2大収益は、加入者からの保険の手数料と、その資金の運用費用です。生保は死亡保険やがん保険、損保は火災保険や自動車保険が主な商品として挙げられます。
近年は、既存の事業の他に、東南アジアなど新興国への海外進出や、新規事業、例えば生保では健康増進型保険(※3)などへの展開が見られます。
損保は相次ぐ自然災害に対しての支払いに追われているため、資金確保の重要性が増している現状です。
(※3)……健康診断の結果や健康増進への取り組み姿勢によって、保険料が割引される保険
【企業一覧】
・生命保険:日本郵政グループ(かんぽ生命保険)、日本生命保険、第一生命保険
・損害保険:東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険
▼生命保険・損害保険の業界研究記事はこちら
・【業界研究:生命保険】実は巨大投資家?生命保険会社5社(かんぽ生命・日本生命・第一生命・明治安田生命・住友生命)の特徴・社風などの違いを徹底比較!
・【業界研究:損害保険】東京海上日動火災保険、損保ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。損保4社の違いを徹底比較!
信託銀行
信託とは、財産を「信」頼して「託」すことです。
信託銀行では、一般的な「銀行業務」に加えて、個人や法人の財産の管理や運用をする「信託業務」を行っています。財産は、証券から不動産まで金銭的価値のあるもの全てを含みます。特に不動産に関しては、金融業界のうち唯一信託銀行のみが取り扱うことができます。さらに、不動産仲介など、財産の管理・処分などに関連する「併営業務」も行っています。
以上のように、信託銀行は取り扱う商品や業務が非常に幅広いことが特徴です。同時に、不動産や証券など、各分野における専門的な知識が求められるため、入社後も資格取得のために勉強を続ける必要があります。
【企業一覧】
三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行
▼信託銀行の業界研究記事はこちら
・【業界研究:信託銀行】三井住友信託銀行・三菱UFJ信託銀行・SMBC信託銀行:そもそも普通の銀行との違いは?SDGsやESG投資、AIにも注目する信託銀行の魅力とは?
カード
クレジットカード会社の収益は主に2つあります。1つはカード会員からの分割払いなどの手数料や年会費。そして、カード加盟店からの手数料です。
近年における、日本のキャッシュレス決済の状況は、2018年の段階で24.2%(韓国が94.7%、米国が47%)(※4)と他の先進国と比較すると進んでおらず、市場を開拓する必要があります。
政府が主導となってのキャッシュレス決済や・ポイント還元事業で、クレジットカードの普及を進めようとする一方で、店舗側がカード決済を導入しやすいように手数料を下げる風潮もあり、店舗の手数料減少分を補う必要も出てきているのが現状です。
さらに、二次元コード決済やバーコード決済など、他事業会社の参入も進んでおり競争が激しくなっています。
このような市場の流れを受け、カード会社は新規事業など新しい収益源を探すことが経営課題となっています。
新規事業の例としては、「人工知能搭載レジ」による店舗支援の実証実験(JCBの取り組み)(※5)を進めており、キャッシュレス化だけに留まらない価値創造を行っていることが挙げられます。
こうした状況を踏まえると、カード会社では、新たな決済サービスを提供したいという強い意志のある人にオススメです。
(※4)参考:⼀般社団法⼈キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2021 P.9」
(※5)参考:JCB 新卒採用情報 2022「JCB×テクノロジー」
【企業一覧】
ジェーシービー(JCB)、三井住友カード
コンサル
コンサルの主な業務はコンサルティング、つまり、クライアント(企業)の経営課題に対して解決策を提示することです。
コンサル業界には戦略コンサルや総合コンサルなど、担当領域が決まっている企業もあれば、クライアントの上流課題から下流課題まで包括的にサポートする企業もあり、企業によって扱う業務は異なります。
戦略コンサルは、主に企業の経営課題に対しての企業戦略を担っており、若いうちから経営者の視点が求められます。
一方で、総合コンサルは、その戦略を実行に移す業務の比重が高くなります。また、総合コンサルは実行部分まで担当できるよう、戦略コンサルに比べて組織の規模が大きいのも特徴。そのため、入社直後は特定の部門に配属され、専門性を追求できる点がメリットです。
近年は、各産業分野でのデジタル化を背景に、IT関連の案件が増えていることもあり、その実行を担当する総合コンサルの規模はさらに拡大しています。
コンサル業界は、グローバルに活躍できる職場環境や社会的インパクトの大きい職務内容、そして圧倒的な成長機会やそれに見合う給与形態など、就活生にとって魅力的な要素がそろっていることもあり、近年は人気が高まっています。
【企業一覧】
・マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニー(戦略コンサル)
・アクセンチュア、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング・PwCアドバイザリー、アビームコンサルティング、KPMGコンサルティング(総合コンサル)
▼戦略コンサル・総合コンサルの業界研究記事はこちら
・【業界研究:戦略コンサル】BIG3(マッキンゼー・BCG・ベイン)の特徴や社風を徹底比較
・【業界研究:総合コンサル】アクセンチュア、デロイト、PwC、アビーム、KPMGの事業・社風、戦略コンサルとの違いを徹底比較!
おわりに
いかがでしたか?
金融・コンサル業界に興味を持った人は、次のステップとして、業界研究記事や3分対策記事を読んで、もっと詳しくなっていきましょう。
「商社・広告・マスコミ・メーカー編」「インフラ・交通、不動産、人材、旅行編」もぜひご覧ください!
・どんな業界があるの?【商社・広告・マスコミ・メーカー編】
・どんな業界があるの?【インフラ・交通、不動産、人材、旅行編】
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