こんにちは、ワンキャリ編集部です。
2023年卒の皆さんの中には、就活について、何となくは意識しているけれど、何から始めていけばいいのか分からない人が多いと思います。
そこでこの記事では、就活の前提知識としてどんな業界が存在しているのか、そして各業界の説明とその業界内の有名企業の紹介をまとめて行います。
この記事で業界を知り、既にワンキャリで出されている記事などを利用して、業界研究を進めていきましょう。
第2弾となる今回は、商社・広告・マスコミ・メーカーに含まれる業界を取り上げます。
では、それぞれ見ていきましょう。
第1弾の【金融・コンサル編】はこちらをご覧ください。
<目次> ●商社 ・総合商社 ・専門商社 ●広告 ・マスコミ ・広告 ・テレビ局 ・出版
●メーカー
商社
商社の仕事は大きく分けると2つ。海外からモノを輸入し、国内に流通させる「トレーディング」と、情報や資金、経営ノウハウなどを有望な事業に投資し、配当などで利益を得る「事業投資」です。
海外との関わりが強いため、新型コロナウイルスの感染拡大により海外で外出規制がされた場合は、プロジェクトを断念するなど、海外の政治や経済の情勢の影響を大きく受けることが特徴です。
商社は扱うビジネスの領域によって、総合商社と専門商社の2つに分けられます。それぞれについて見ていきましょう。
総合商社
総合商社は、ガスや石油などのエネルギーから不動産まで、幅広い商品を扱うことが特徴です。
以前は、エネルギー部門に力を入れていましたが、最近の動向として、各社が積極的に「非資源領域」に取り組んでいることが挙げられるでしょう。これは、2008年ごろから鉄鉱石や石炭などの価格が下落したことによる、資源分野の業績不振を受けたものです。
「非資源領域」では特に、各社がヘルスケア事業への参入に積極的に取り組んでいます。伊藤忠商事は、医療マーケティング事業を展開する株式会社フェーズワンと資本業務提携し(※1)、三井物産では、12カ国に拠点を持つアジア最大級の民間病院グループIHH Healthcare Berhad(IHH)への出資をしています(※2)。
このような総合商社の事業投資ビジネスは、自らがリスクをとって投資をし、配当金など経営面から利益を得ると同時に、グループ企業で流通を担うことで、グループ全体の利益も上げています。
三菱商事がローソン、伊藤忠商事がファミリーマートを経営していることが、その代表例です。生活や情報といった事業領域を拡大することで、より市況に左右されにくい商社モデルの構築を模索していると考えられます。
また、新型コロナウイルスの影響により、三菱商事、三井物産、住友商事など、資源ビジネス比率が高い商社は、資源価格の下落により打撃を受けています。
特に、住友商事は新型コロナウイルスによるニッケル事業の操業停止とニッケル価格下落のあおりを受け、およそ550億円の巨額減損処理を余儀なくされた結果、5大商社中で唯一、2020年第1四半期には赤字となりました(※3)。
コロナ禍以前の総合商社の社員は、駐在員になるなど、海外での仕事の機会が多くありました。しかし2020年12月の段階で、コロナ禍でリモートワークが促進したことにより、7割の企業が海外駐在員の見直しを行っているとのこと(※4)。総合商社も例外ではないと考えられます。
(※1)参考:伊藤忠商事「医療・ヘルスケア業界向けDX支援事業への参入について」
(※2)参考:三井物産「三井物産のヘルスケアエコシステム」
(※3)参考:ITmedia ビジネスオンライン総合「総合商社は『三菱』から『伊藤忠』時代に? 5大商社は大幅高p.2」
(※4)参考:日経リサーチ「海外駐在員、7割の企業が見直し新型コロナ禍、役割も変化」
【企業一覧】
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、豊田通商
さらに詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
・【業界研究:商社】5大総合商社「三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅」のメイン事業や社風を徹底比較!
専門商社
総合商社が幅広い商品を扱うのに対し、専門商社は、特定分野の商品を扱うのが特徴です。総合商社を親会社とする総合商社系と、独自の歴史を持つ、独立系の大きく2種類に分けられます。
総合商社は事業経営などを行っていますが、専門商社のビジネスは「トレーディング」が中心です。専門商社は、人口減少に伴う国内市場の飽和を背景に、企業の合併・統合、他産業との連携など、企業存続のための事業再編が進んでいます。
このように、専門分野の需要に左右されることはありますが、特定業界への専門性を身に付けたい人にオススメです。
【企業一覧】
伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン(総合商社系)
兼松、ラクト・ジャパン(専門商社系)
さらに詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
・【業界研究:鉄鋼商社】伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、阪和興業、JFE商事:「商社=総合商社」だけではない!専門商社の知られざる魅力と仕事内容
広告・マスコミ
広告
広告代理店は、広告主と広告枠(メディア)を仲介し、その取引手数料をもらうことや、広告主から広告の企画・制作料をもらうことでも収益を上げています。ここでいう広告は、Web広告やテレビ広告などを指します。
近年は、YouTubeなどの動画サイト、InstagramやTikTokなどのSNSの普及を背景に、主な収入源がテレビ広告からWeb広告(動画)に移りつつあります。
この流れの中で注目されているのが、IT広告代理店です。IT広告代理店の特徴は、「広告枠の売買スピード」が挙げられます。テレビ広告などの広告枠の取引には、膨大な時間がかかるのに対し、IT広告代理店は、1秒に約数十万回の広告枠の取引を行う「スピード感」が特徴です。
サイバーエージェントは2020年5月、電通の時価総額を一時逆転しました(※5)。現在の時価総額は、サイバーエージェントが1.04兆円、電通が1.13兆円(2021年7月29日時点)となっていますが、今後人工知能(AI)をはじめとするテクノロジーの発達が見込まれるため、将来性がある業界だといえるでしょう。
(※5)参考: BusinessJournal「サイバーエージェント電通を時価総額で一時逆転…国内広告会社トップの座、交代目前か」
【企業一覧】
電通、博報堂DYグループ、アサツー・ディ・ケイ(ADK)(大手広告代理店)サイバーエージェント、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)、オプト(IT広告代理店)
テレビ局
テレビ局は主に、CM放映権などの広告収入で利益を得ています。視聴率は、この広告収入に大きな影響を与えているため、番組などのコンテンツの質を高めることが重要です。
テレビ業界に大きな影響を与えているのが、スマートフォンやタブレットの普及による、ユーザーの「テレビ離れ」です。
最近では、10代から30代を中心にテレビの消費時間をインターネットの消費時間が上回っています(※6)。
この影響は、広告業界の説明で触れたように、広告の主流がテレビ広告からWeb広告にシフトしつつあり、広告費が減ってきていることにも表れています。
そのため、収入源を多角化させようと、イベント主催や動画配信サービスの活用など、新たなサービスを導入しています。
例えば、テレビ番組の見逃し配信を中心とした動画配信サービス「TVer」では、民放各局で放送される東京オリンピックの競技中継がライブ配信されていました(※7)。また、テレビ朝日はKDDIと提携し、新動画サービス「TELASA」を2020年4月から開始しています(※8)。TBSでは、2030年の計画としてグローバル市場への拡大を掲げ、海外事業者との提携を進めています(※9)。
このように、広告収入が減少していく中で、どのように収益を獲得していくかが、今後も重要なテーマになるといえます。
(※6)参考:総務省「平成30年版 情報通信白書 主なメディアの利用時間と行為者率」
(※7)参考:Yahoo!ニュース「日本語実況・解説付き!『TVer』が東京オリンピックをライブ配信」
(※8)参考:テレビテレ朝POST「テレビ朝日×KDDI による新動画配信サービス『TELASA(テラサ)』」
(※9)参考:TBS「TBSグループVISION2030」
【企業一覧】
フジテレビ・日本テレビ・TBS・テレビ朝日
さらに詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
・【業界研究:テレビ局】テレビ業界志望者必見、キー局4社(フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS)の事業・社風の違いを徹底比較!
出版
出版社は、書籍や雑誌など商品の制作から営業・マーケティングまで全て行っています。
電子書籍の普及や、少子高齢化の影響で、紙の出版物の推定販売金額は年々減少しています(※10)。
2020年の段階で、紙の出版市場が前年比で1.0%(123億円)減少している中、電子出版は 28.0%(859億円)増加と大きく伸長しています(※11)。
そのため、新聞を含めた出版会社では、電子媒体(スマートフォンやPCなど)向けコンテンツへの注力を含め、「脱紙媒体」に向けた工夫が見られます。
例えば集英社は、2020年に新規事業開発部を新設し、ゲーム案件、バーチャルミュージシャン、キャラクターを使った人工知能(AI)、自治体の地域活性化案件などが新設事業として進行しています(※12)。
出版社の強みを生かした紙媒体にとどまらない事業で復活できるか。各社の注力ポイントに注目してみましょう。
(※10)参考:公益社団法人 全国出版協会電子「2020年度 事業報告p1」
(※11)参考:MarkeZineニュース「電子書籍市場、2019年度は3,473億円に Kindleの後を追うサービスは?」
(※12)参考:集英社「ゲームクリエイターズCAMP」
【企業一覧】
講談社、小学館、集英社
さらに詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
・【業界研究:出版】これで心配ご無用!講談社、小学館、集英社、3大出版社の事業内容や給与を徹底比較
メーカー
メーカーが扱う商品、事業は、各メーカーによって大きく異なりますが、それぞれのメーカーは、何を作っているかで分類されます。具体的には、自動車メーカー、食品メーカーなどです。
このほかにも、BtoB(Business to Business)、BtoC(Business to Consumer)とユーザーによって分ける方法もあります。前者は企業向けの製品を作り、後者は消費者向けの商品を作る会社です。
メーカーのビジネスモデルは、製造工程の全てを担うメーカーもあれば、一部を担うメーカーもあり、さまざまです。
近年の動向として、新型コロナウイルスによる影響を受けていることが挙げられます。
中国では、既にアフターコロナの経済成長を遂げており、日本の自動車産業などは恩恵を受けています。日本企業にとっても、それらの恩恵が関連業種などを業績改善に導くのではないかといわれています(※13)。
さらに食品業界では、外食などの売上げ低迷を受け業務用製品は大幅減となりましたが、巣ごもり消費などを受け家庭用製品の売上げが増加しています(※14)。
生産性向上を背景にした、業務のデジタル化も大きなトレンドです。
例えば、ユニ・チャームは九州工場に設備の監視・制御システム、無人走行車、ロボットなどを導入しました。材料の運搬や箱詰め工程などを自動化し、単純作業や繰り返し作業など、体に負担のかかる業務を削減しています(※15)。
化粧品メーカーの資生堂は、2021年7月にアクセンチュアとの合同会社を設立し、新しいデジタルマーケティング戦略を強化しています(※16)。
このように、各メーカーは市場の動向や、トレンドをおさえて、新たな市場の開拓や、商品開発を行っています。
(※13)参考:第一生命経済研究所海外から「海外からくるアフターコロナ需要の兆し」
(※14)参考:食品新聞社「食品メーカー、上期はコロナが直撃 業務用売上で明暗 利益確保へコスト圧縮進む」
(※15)参考:ユニ・チャーム「『DX注目企業2021』に選定」
(※16)参考:資生堂「資生堂、アクセンチュアと合弁会社 『資生堂インタラクティブビューティー株式会社』を7月に設立」
【企業一覧】
日立製作所(電機)/トヨタ自動車(自動車)/サントリーホールディングス(飲料)/資生堂(化粧品)/武田薬品工業(製薬)/明治(食品)/味の素(食品)/花王(消費財)/三菱重工業(重工業)/オリンパス(医療機器)
さらに詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
・【業界研究:電機メーカー】大手4社「日立製作所・ソニー・パナソニック・三菱電機」の事業・業績・社風を徹底比較!
・【業界研究:自動車メーカー】トヨタ・ホンダ・日産の違いを徹底比較!自動運転の世界で勝つのはどこか⁉
・【業界研究:製薬】キーワードは「海外M&A」?製薬業界大手4社(武田薬品工業・アステラス製薬・大塚製薬・第一三共)の特徴・将来性・年収の違いを徹底比較
・【業界研究:食品メーカー】日本の「食」を担う食品メーカー5社(明治・味の素・日清食品・キッコーマン・ヤクルト)の特徴や年収の違いを徹底比較
など
おわりに
いかがでしたか?
商社・広告・マスコミ・メーカー業界に興味を持った方は、次のステップとして、業界研究記事や3分対策記事を読んでみてください。
「金融・コンサル編」「インフラ・交通、不動産、人材、旅行編」もぜひご覧ください!
・どんな業界があるの?【金融・コンサル編】
・どんな業界があるの?【インフラ・交通、不動産、人材、旅行編】
(Photo:Africa Studio/Shutterstock.com)