こんにちは、ワンキャリ編集部のトイアンナです。
就活を通してキャリアを考える中で「一度は海外で働きたい」とは思いませんか? 何となく海外もいいなと想像する人から海外永住を志す方まで本気度に差はあれども、海外就労が魅力的な選択肢であることは間違いありません。
そこで本稿では、実際に海外で働くために踏むべき、賢いキャリア選択の方法をお伝えしていきます。
海外就労には「手堅い」方法と「簡単」な方法がある
Googleで海外就労を検索すると、働きながら現地滞在を楽しめる「ワーキングホリデー制度」(参考:自力留学 ワーキングホリデー英語圏の各国比較について)や、英語不用の海外インターンシップ情報が出てきます。手軽さもあり、一見「海外就労」として魅力的ですが、英語もできない外国人へ任される業務はアルバイトに毛が生えた程度。履歴書に書けるキャリアとしても認められないため、語学留学と同等に捉えておくとよいでしょう。
対して、お手軽ではないものの手堅く海外就労する方法は4つあります。
1. 商社・投資銀行の駐在員として海外就労する
2. 外資系企業の社員として海外へ
3. 「日本人」であることを生かして現地採用を狙う
4. 駐在員の帯同者として現地で働く
ここからはひとつずつキャリアの道筋を見て、あなたに合った就労スタイルを探していきましょう。
1. 商社・金融機関の駐在員として海外就労する
最もメジャーな海外就労の方法です。
某総合商社では社員の約3割が海外で活躍しています(※1)。若手全員へ海外経験を積ませたいと考える商社も増えており(※2)、海外で働きたい学生にとっては無視できない業界となりました。商社へ就職するメリットは、確実に海外へ行ける可能性が最も高いことです。その一方で、政情が不安定な地域へ駐在する危険性もあるため、商社向きの人材は「とにかく海外へ行きたい人」である必要があります。
それに対して投資銀行やメガバンクなどの金融機関は、海外就労する人数が限られている一方、先進国だけへ駐在できるのが最大のメリットです。金融機関は支社が都心部に限定されているため、初めての海外経験であっても比較的暮らしやすいでしょう。
金融機関の海外支社勤務例:野村グループ(参考:野村ホールディングス株式会社 会社概要)
(※1)参考:【海外駐在が30%!?】現役商社マンが解説:総合商社における「グローバルに働く」とは?
(※2)参考:日本経済新聞「三菱商事や丸紅、20代全社員に海外経験 来春から グローバル人材を育成」
商社・投資銀行で海外就労するために
内定するためにTOEICの高スコアが必須条件です。900点以上を目指して何度も試験を受けましょう。英会話は、商社の駐在先は中国や南米など非英語圏も含まれますので、第二外国語でビジネス会話ができる程度になっていれば申し分ないでしょう。投資銀行社員で海外へ行けるのはマーケット部門がメイン。部門別採用をしている企業も多くありますので、企業分析と部門別の対策をしておきましょう。
マーケット部門についてはこちら
・実力主義、高収入、グローバル!三拍子そろった外銀マーケット部門の内実とは?
2. 外資系企業の社員として海外へ
外資系企業が日本だけに支社を持っていることはまれであり、世界各国へ枝葉を伸ばしています。日本での成果いかんで海外拠点へ駐在することも夢ではありません。P&G Japanは新卒採用ですぐ海外勤務になる可能性もある(参考:P&G Japan「RECRUTING INFO & FAQS」)ことで知られています。
その一方で留意したいのは、余程大きな成果を出さない限り海外赴任が実現できない点です。外資系企業におけるライバルは同期だけではなく世界中の優秀な社員。あなたが海外へ行くことで他国へメリットを提供できると思わせるほどの数的評価を得ることが前提となっています。
外資系企業の社員として海外就労するために
外資系企業へ内定するために最低限必要な英語力はメーカーでTOEIC 700点程度、外コン・外銀で800点程度といわれています(内定者のヒアリングより)。TOEICの点数自体は問われませんが筆記試験・英語面接で実力を査定されますので「英語力」そのものを磨きましょう。
外資系企業といっても海外のポストが全くない企業から、必ず海外就労が必要なところまでさまざま。海外就労のチャンスがあるか、面接で質問しておきましょう。海外ポストがある企業では希望者も多く、ポストの奪い合いとなることが多いです。圧倒的成績を残して海外への切符を勝ち取るために、就職後もトップ成績に向けてまい進してください。
3. 「日本人」であることを生かして現地採用を狙う
新卒から現地採用を狙う方法です。ただし普通の日本人が海外の仕事へ応募したとしても、わざわざ採用する理由がありません。自国の人間を優先して雇いたいのはどの国でも当たり前ですから「わざわざ外国人であるあなたを採用する理由」が必要となります。
その意味で最も手堅いのは「寿司を握れる」「日本の市場調査ができる」といった日本で生まれ育った人だけが持ちうるスキルでしょう。インド人が経営するカレー屋が本格的に見えるのと同じです。現地採用のメリットは駐在に比べ英語力が求められないことですが、駐在員に比べ給与・福利厚生で劣るのが大きな足かせとなります。
また、すでに海外で起業・進出している日本人経営の企業が求人を出すことがあります。現地在住の日本人が交流する掲示板や海外拠点のエージェントで募集が行われますので「国名 Japanese job」などで検索してみるといいでしょう。
現地採用で海外就労するために
現地採用を勝ち取るためには、まず相手国からビザを取得する必要があります。最近は語学留学でビジネス英語を習得し、現地のインターンを経て採用に至る例もあります。書籍『英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?』にアジアで就職する方法が詳しく解説されていますのでご参照ください。
・英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?~就職活動、仕事選び、強みを作る処方箋
4. 駐在員の帯同者として現地で働く
今まで触れられてこなかった海外就労の方法といえば「駐在するパートナーへ帯同することでビザを手にし、現地就労する」手段です。一昔前まで、駐在員のパートナーは専業主婦として付いてゆくのが一般的でした。しかし現在では女性が海外駐在し、男性が帯同する事例も増えています。パートナービザは下りるのも早く、本人のスキルを問われることなく就労許可を得られるという意味では最も手軽とすらいえます。
その一方で国によってはアルバイト程度の就労しか認められないケースがあります。自分ではコントロールできない駐在先によって運命が左右されるのです。また、帯同したパートナーが働くことで駐在員の海外赴任手当てが減ってしまうことも多く、事前の話し合いは欠かせません。
しかし仮に法律上海外就労が厳しい国への帯同となった場合でも、パートナーが滞在している期間であれば、現地のMBAや現地資格取得を志すという形でキャリアアップへつなげることもできます。柔軟に海外で身の振り方を選択できるという意味で魅力的なキャリアといえるでしょう。
駐在員の帯同者として海外就労するために
まず駐在する可能性がある人と結婚する必要があります。結婚している女性の28%は結婚相手と学生時代に出会っていますから、今のパートナーが海外就労する企業へ内定しているかで可能性は大きく変わるでしょう(出典:財経新聞「学生時代の恋が、運命の恋になる確率は○%!?失恋からの復縁や、驚きの再会エピソードとは?」)。
また、駐在先で就労ビザが取得できない場合、リモート勤務でも続けられるキャリアを作っておけばリスクヘッジとなります。下積み期間が短く、早期独立できるスキルを身につけられる企業へ絞って就活しましょう。就労を諦めMBA取得へ舵を切った場合は高額の学費が必要となりますので、貯蓄も怠らないようにしてください。
おわりに
ここまで、海外就労を経験するためにトップ学生が選べる「手堅い」キャリアについてお伝えしてまいりました。右も左も分からない外国で労働するなら、会社であれ、パートナーであれ安全なバックボーンが欠かせません。怪しい海外労働をうたう団体などに惑わされることなく、着実なキャリアアップを目指していただきたいと思います。