こんにちは、ワンキャリ編集部です。
留学経験がある人なら、一度は耳にしたことがあるボストンキャリアフォーラム(以下:ボスキャリ)。
ボスキャリは、米国ボストンで毎年11月に開催される就活イベントです。概要や詳細については、「『即日内定』のうわさはホント?ボストンキャリアフォーラムの攻略法を徹底解説!」をご覧ください。
出回っている情報が少なく、謎が多いボスキャリですが、今回、ボスキャリの内定者にインタビューをしました。これからボスキャリを受けようと思っている人は、必見です!
<慶應義塾大学4年生 Aさん(2020年卒/文系/男性)>
内定先
・シドニーキャリアフォーラム2018:アクセンチュア
・ボストンキャリアフォーラム2018:JXTGエネルギー、資生堂、JTB、コナミホールディングス
・本選考(日本):大手デベロッパー、博報堂DYグループ、三菱UFJ銀行(旧:三菱東京UFJ銀行)、SMBC日興証券、キーエンス
海外経験
・オーストラリアへの交換留学(1年)
言語レベル
・日本語:ネイティブレベル
・英語:日常会話レベル
・TOEIC(ボスキャリ参加時点):890点
・TOEFL(ボスキャリ参加時点):83点
ボスキャリでは4社の内定、帰国後も数々の人気企業の内定を獲得したAさん。
彼は、どのようにボスキャリでの成功を収めたのでしょうか? また、彼が帰国後も本選考を受け続けた理由は何だったのでしょうか?
【目次】
●ボスキャリ攻略方法・内定獲得の秘訣(ひけつ)
・ボスキャリでの内定獲得は事前応募で決まる!?
・短時間で合否が決まる! ボスキャリならではの面接ポイント
- 回答の簡潔さ
- 「自分ならではの強み」をバランス良くアピールすること
・スケジュール管理をこだわれば、よりよいボスキャリになったかも?
●内定がゴールではない 帰国後も選考を受け続けた理由
●就活スケジュール
ボスキャリ攻略方法・内定獲得の秘訣
ボスキャリでの内定獲得は事前応募で決まる!?
ボスキャリには、大きく分けて「事前応募」「ウォークイン(当日受付)」の2つの参加方法があります(※1)。
しかし、Aさんは「ウォークインだけで内定を獲得できる確率は、ほぼない。ボスキャリでの内定獲得は、どれだけ早く事前準備と応募をするかで決まる」と話しています。
多くの人は5〜10社(※2)に事前応募するそうですが、「ボスキャリで確実に内定を獲得したい」と考えたAさんは、約30社に事前応募しました。ボスキャリ開催前日から面接を開始する企業もあるそうで、彼が内定した4社も、全て事前応募で選考を受けていたといいます。
事前応募の選考フローは以下の通りです。
1. 出展企業の募集ページを確認
2. 事前エントリー
3. ES(エントリーシート)提出、Webテスト(SPI、玉手箱など)
4. Skypeなどでの事前面接
5. ボスキャリでの面接、ディナー
6. 内定
Aさんは、9月の1週目にESを各企業に提出し、2週目にWebテストの受検、Skype面接の予約を済ませ、10月にSkypeや動画面接、そして11月のボスキャリ本番で最終面接を受けて内定、という流れだったそうです。
イベント当日に内定を獲得できる、という点で、ボスキャリは「効率良く就活できる」と思う人も多いでしょう。しかし、Aさんはそう考えてはいません。
「よくボスキャリは『コスパが良い』と言われるが、ES、Webテスト、動画面接、Skype面接面接など、日本での本選考と変わらないくらい事前準備の時間が必要な上に、ホテルや航空券に多額の費用がかかるため、コスパが良いとは思えなかった」
また、彼は事前応募に加えてウォークインでも、20社ほどESを出していましたが、どこからも書類通過の連絡がなかったそうです。
「もしウォークインのみで参加していたら……と考えただけでもゾッとする。ウォークインだけで内定を獲得する人もいるが、『自分も大丈夫だろう』という軽い気持ちで参加すると、ただ旅行するだけになってしまう」と話すAさん。
ボスキャリ参加企業の多くが、事前応募、選考を実施しています。Aさんのように、ボスキャリで確実に内定を獲得したいという人は、事前応募で選考を受けることを強くおすすめします。
(※1)ONE CAREER「『即日内定』のうわさはホント?ボストンキャリアフォーラムの攻略法を徹底解説!」
(※2)CFNホームページ「昨年の参加者データ 事前準備」
短時間で合否が決まる! ボスキャリならではの面接ポイント
ボスキャリで内定を獲得できる割合は、49.8%であり、約半分です(※1)。事前選考を順調に突破しても、当日の最終面接で内定を獲得するのは容易ではありません。
その中で、Aさんは、どのようにして人気企業の内定を獲得したのでしょうか? その秘訣は「回答の簡潔さ」と「『自分ならではの強み』をバランス良くアピールすること」でした。
回答の簡潔さ
ボスキャリの選考の大きな特徴は「選考期間の短さ」です。
日本の本選考では、時間をかけて、学生の回答を深掘りしたり、人柄や性格を知ろうとしたりする企業が多いです。
一方でボスキャリは、3日間という短い間に、面接官は多くの学生と面接しなければいけません。面接時間が30分の企業も多いため、「面接はかなりテンポが早く、機械的に感じることもあった」と話すAさん。
そのため、質問に対して1〜2文の回答を素早く返すように意識したそうです。また、Aさんは、このように言っています。
「面接時間が短いため、ボスキャリは回答内容が薄っぺらくても、ある程度合格できてしまう。その分、エピソード、志望動機を構造化し、結論ファーストで端的に答えることが、日本の選考以上に重要視されていると思う」
「短い時間で自分をアピールしないと」と思うと、焦って話が冗長になってしまいがち。時間に余裕がない面接官の立場を理解し、いつも以上に端的に回答できるよう心がけましょう。
(※3)CFNホームページ「昨年の参加者データ イベント当日」
「自分ならではの強み」をバランス良くアピールすること
回答の簡潔さだけでなく、Aさんは『英語力』『コミュニケーション力』『頭の柔らかさ』をバランス良くアピールしたそうです。その理由について、このように話しています。
「1年間の交換留学生である自分は、参加学生の中で最も英語力が低く、英語力を一辺倒に押しても、周りの学生に負けてしまう。だったら、英語だけでなく『日本語でのコミュニケーション力、頭の柔らかさ』なども、バランス良くアピールするようにしていた」
Aさんは、ボスキャリに参加する企業は「海外市場での売り上げ拡大に力を入れている=海外で、もしくは外国人相手に営業ができる人材を採用したいと考えている」と仮定し、常に目を見て話し、できるだけ明るく振る舞うよう意識していたそう。また、「勉強、学ぶことが好き」という姿勢や、特にメーカー業界において、なじみのない商品でも商品理解に対する意欲を示すことで、英語力や明るさだけでなく「頭の柔らかさ」をアピールできたと言います。
これまで述べた彼の面接での振る舞いに共通するのは、Aさんが人事の立場になって「どういう人材がほしいのか?」を仮定した上で、自分ならではのアプローチ方法を考えた、ということです。
面接では、彼のように「英語力」以外にアピールできる「武器」を用意しておくと良いでしょう。
スケジュール管理をこだわれば、よりよいボスキャリになったかも?
見事、ボスキャリで4社の内定を獲得したAさんですが、当日のスケジュール管理に関して「面接の予定を詰めすぎない方が良い」と話しています。彼の当日のスケジュールを見てみましょう。
このように、面接の予定を立て続けに入れたことで、以下のような問題が生じたといいます。
・当日、面接がブッキングする可能性がある
・その場で、面接を受ける企業/受けない企業を判断しなければならない
Aさんは、面接通過の通知を受けた時に、その日中に次の面接を提案され、もともと入っていた他社の面接と重なってしまったそうです。どちらの企業の選考を辞退するか、すぐに決めて辞退の連絡をしなければならなかったため、体力的にも精神的にも、つらかったといいます。
この経験から、彼は「面接のスケジュールは、自分ではコントロールできない部分もあるため、受ける企業の中で、あらかじめ優先順位をつけておくべきだ」と語ります。
内定がゴールではない 帰国後も選考を受け続けた理由
Aさんは、ボスキャリで内定を獲得した後も、日本で40社ほど本選考を受けています。ボスキャリで内定をもらって就活を終了する人もいる中、どうして彼は選考を受け続けたのでしょうか? その理由は2つあります。
・練習としてボスキャリで多くの選考を受け、帰国後の就活に生かすため
・できるだけ自分の理想に近い企業を見つけるため
Aさんは、帰国後に受けたい企業だけ受けられるようにするために、練習として、ボスキャリでは平均より多い企業数を受けたそうです。
ボスキャリ参加前から帰国後まで、志望業界が明確ではなかったというAさんは、ボスキャリも日本での本選考も、さまざまな企業の選考を受けていました。それは、彼の「将来の理想像」に近づける企業を見つけるためだと言います。
Aさんの理想像は「かっこいい父親」でした。「かっこいい父親」とは「子供のために惜しみなくお金・時間をかけられる男性」だと話すAさん。
そのため、高給で、いわゆる「ホワイト」と呼ばれる業界や企業を探していたそうです。
シドニーキャリアフォーラムとボスキャリで獲得した内定先では、それらが完全に満たされないと考えた彼は、日本で選考を受け続けました。
「自分は志望業界や企業が決まっていなかったため、内定獲得をゴールにするのではなく、将来の理想像から逆算して考えた」と話すAさんは「高給、ホワイト」の条件に加え、インターンで興味を持ったデベロッパー業界に入社することを決めたそうです。
彼は帰国後、20回を超えるOB・OG訪問、また、テストセンターも30回以上受け、ボスキャリで内定を獲得した後も、就活生として努力を惜しまなかったことで、複数の人気企業から内定を勝ち取ることができました。
今回のインタビューで、Aさんは「事前応募で選考を受けること」「内定獲得をゴールにしないこと」の大切さを語ってくれました。
「ボスキャリで確実に内定を獲得したい」という人は、彼のように多くの企業に事前応募して選考を受けておくことが必要でしょう。
就活スケジュール
大学3年(6〜12月)
月 | 選考 | 対策/活動 |
6 | ー |
・Webテスト対策 |
7 |
【本選考(シドニー)】 アクセンチュア |
・Webテスト対策 |
8 | ー |
・面接対策 ・Webテスト対策 |
9 |
【本選考(ボスキャリ)】 JXTGエネルギー、 資生堂、JTB、 コナミホールディングス |
・面接対策 ・Webテスト対策 |
10 |
【本選考(ボスキャリ)】 JXTGエネルギー、 資生堂、JTB、 コナミホールディングス |
・面接対策 |
11 |
【本選考(ボスキャリ)】 JXTGエネルギー、 資生堂、JTB、 コナミホールディングス |
・GD対策 |
12 | ー |
ー |
※インターン:実施した月/本選考:選考が行われた月
大学3年(1〜3月)/大学4年
月 | 選考 | 対策/活動 |
1 |
【本選考】 ゴールドマン・サックス |
・OB/OG訪問 |
2 |
【インターン】 野村證券、 SMBC日興証券、 大手デベロッパー |
・OB/OG訪問 |
3 | ー |
・OB/OG訪問 |
4 |
【本選考】 キーエンス、博報堂DYグループ、 SMBC日興証券、 三菱UFJ銀行(旧:三菱東京UFJ銀行) |
・OB/OG訪問 |
5 |
【本選考】 東急不動産、野村不動産、 三井住友銀行、日本生命保険、 DBJ(日本政策投資銀行)、 キーエンス、博報堂DYグループ、 みずほフィナンシャルグループ |
ー |
6 |
【本選考】 三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、 住友商事、丸紅、双日、豊田通商、 野村證券、大和証券、第一生命保険、 大手デベロッパー、トヨタ自動車、 三井住友海上火災保険、 東京海上日動火災保険 |
ー |
7 | ー |
ー |
※インターン:実施した月/本選考:選考が行われた月
(Photo:G-Stock Studio/Shutterstock.com)