こんにちは、ワンキャリ編集部です。
留学経験のある学生なら、就活で一度はこのような悩みを抱えたことはないでしょうか?
「海外留学を経験したけど、エントリーシート(ES)でアピールできる書き方や面接でのPR方法が分からない……」
今回は、留学経験でのエピソードを選考(エントリーシート・履歴書など)でアピールする方法を、実際のエントリーシート(ES)の例文を用いて紹介していきます。
<目次>
●留学経験は就活の自己PRで武器になる? 注意点と合わせて解説
●留学経験の自己PRでアピールできる強み・経験は主に3つ(例文付き)
●1. コミュニケーション能力
・文化の壁を乗り越えた適応力が自己PRに使える理由
・良好な人間関係を築いた経験のESの書き方と例文
●2. 課題を発見して解決する力
・留学中の困難を自ら解決した経験が自己PRに使える理由
・困難を乗り越えた経験のESの書き方と例文
●3. 目標を設定して達成する力
・努力による成長や目に見える結果が自己PRに使える理由
・目標を設定してその目標を達成した経験のESの書き方と例文
●自己PRで留学経験が十分に評価されないケース
●留学経験に関する自己PRの書き方まとめ
留学経験は就活の自己PRで武器になる? 注意点と合わせて解説
近年、短期留学や語学留学・大学留学など留学の形式が多様化しています。その結果、留学経験者数は右肩上がりで、2017年度には海外旅行をした日本人学生が約10万人を突破し、2009年度から比較するとアジア圏を中心に約3倍に増えています(※1)。
もはや留学が珍しいことではなくなったこの時代、「留学経験がある」という事実だけでは企業の評価の対象となりません。他の学生と差別化し面接官の印象に残るためにも、留学中にどのような経験をし、どう成長したかというエピソードを具体的に伝えなければならないのです。
(※1)出典:ReseMom「日本人学生の海外留学10万人突破、アジア圏への留学が増加」
留学経験の自己PRでアピールできる強み・経験は主に3つ(例文付き)
つまるところ、エピソードトークは単なる「入口」にすぎません。留学経験という入口から入って、結局あなたが具体的にどのような成長を遂げたのか。ここにフォーカスして留学経験を企業へのアピールに仕上げなければなりません。
以下、留学で得やすい経験とそれに基づくアピールしやすい強み・能力を3つご紹介します。
【目次】
1. コミュ二ケーション能力
2. 課題を発見して解決する力
3. 目標を設定して達成する力
1. コミュニケーション能力
文化の壁を乗り越えた適応力が自己PRに使える理由
就活を終えひとたび社会に出ると、社内では同期から上司まで、社外では取引先からお得意先の顧客まで、ありとあらゆる人とコミュニケーションを取って仕事を進めなければなりません。関係者はみな立場も異なれば視点も異なるので、共通理解を固めながら仕事を進めていく必要があります。こうした場面では、自分の立場の意見を代表しながらも相手の立場へ気を配り、互いに歩み寄れる点を探らなければいけません。
留学先での経験は、まさにこうした場面の連続ではないでしょうか。文化・思想・習慣などが大きく異なる人々と同じ授業を受けたり、一緒に生活したりする中で、衝突したり、困惑した経験も一度や二度ではないはずです。それでも諦めずにコミュニケーションを図り、相手の立場への理解に努め、良好な人間関係を築いた経験は「コミュニケーション能力の高さ」として企業へアピールできるポイントになります。
良好な人間関係を築いた経験のESの書き方と例文
【ESでエピソードを構成・作成する時のポイント】
・すれちがい(文化・習慣・考え方など)の経緯を説明
・どのようにして相手の理解に努めたか
・良好な人間関係を築けたか
次は、就活で留学経験の内容を自己PRとして使用した具体例を見てみましょう。
【設問】
周囲と協力して、困難な状況に立ち向かった経験について、教えてください。その過程であなた自身の意志・決断で行動した点も含め、具体的に記してください。(250文字以上400文字以下)
【回答例】
国際問題に興味があって入った◯◯で、議論にしっかりと参加できず悔しい思いをした。自分は国際情勢などの知識も豊富で、議論での交渉力も長けている方だと思っていたが、現実にはもっと頭の回転が早く、会議を動かすのが巧みな人が何人もいることを思い知らされた。同じ悩みを抱えた同期と参加者を募り、2週間に1回、1つの時事問題を取り上げ、各自調べ発表し議論する勉強会を始めるなどして、議論の場で役に立つ力を身に着けた。そんななか、西洋諸国と中東諸国で真っ向対立となった同性愛の権利に関する会議に、◯◯派の◯◯で参加した。議論が平行するなか、具体的な決議案は権利に肯定的な西洋諸国に任せ、議論をかたくなに拒む中東側を説得し続けた。妥協点を探し極端な意見を避け、両者が飲み込める意見を主導することで積極的な行動ができ、最終的に会議参加者◯◯名の中から◯◯として表彰された。対立する意見の調整力には自信がある。
※出典:三菱商事|総合職2020年卒本選考のES
全体の構成は
<議論が平行線> → <両者が飲み込める意見への誘導と折衝> → <表彰される結果> という流れです。
アピールする内容の構成・ポイントや書き方をしっかりと押さえていることが確認できます。留学におけるすれ違いの克服を話す場合、何がすれ違いの原因だったのか、克服する段階で外国人相手特有の苦労があったかなど、面接で具体的に深掘りされます。字数が許せば、ESの段階でこれらのアピールポイントに触れておくとなお良いでしょう。
2. 課題を発見して解決する力
留学中の困難を自ら解決した経験が自己PRに使える理由
仕事は困難の連続です。「締め切りまでに仕事が終わらない」、「営業成績が上がらない」など。例を挙げれば枚挙にいとまがありません。困難を乗り越えるためには、巨大に見える困難を対処可能な小さい単位に分解してそれらを一つずつ解決していくことが必要です。業界を問わず幅広い企業で「課題解決能力」が求められるのは社会人にとって必須スキルだからです。
留学経験を通じて、「授業についていけない」、「現地の友達が増えない」など数多くの困難に直面し、そして乗り越えてきたはずです。直面した困難をどう乗り越えてきたかというエピソードを説明できれば、強力なアピールポイントとなります。
困難を乗り越えた経験のESの書き方と例文
【ESでエピソードを構成・作成する時のポイント】
・困難の内容に関する説明
・困難に対してどのように取り組んだか
・困難をどのように解決したのか
具体的な例文を見てみましょう。
【設問】
あなたが、異なる背景、経歴または考えを持っている人々と、建設的な関係を築き上げ、よりよい結果を得た例をあげてください。(全角半角問わず500文字から700文字程度)
【回答例】
私は留学中、他のルームメイトたちと協力して、学生寮の環境や設備の問題について管理者へ抗議し、居住環境を向上させることに成功しました。
<背景>
私は2014年の秋にカナダへ留学し、完成したばかりの学生寮へ引っ越しました。しかし私たちの部屋の共有キッチンや、バスルームの一部は当時未完成で、「あと1カ月工事に時間を要する」と言われていました。しかし1カ月たってもまったく工事が進んでおらず、私をふくめ6人のルームメイトは、テスト期間中で時間の制約がきびしい中、寮によって強いられている不便さへの不満が募っていました。
<取り組み>
そこでまず6人のうちの4人で話し合い、直接管理者へ抗議をしに行くことにしました。各々自分たちが問題だと思っている事柄を具体的に挙げ、その問題群に対して解決の優先順位をつけました。直接管理者へ話をするにあたり、英語がより堪能なネイティブの女の子が直接話をする係、私は話し合いの経緯や結果を他のルームメイトへ伝える係、などというように役割を決め、実行しました。
<結果>
抗議・話し合いはその1回では終わらず、その後1カ月に渡り定期的に管理者とのミーティングが開かれました。私たちは、ルームメイトの誰かが必ずそういったミーティングに参加できるよう協力していきました。その結果、工事が完全に終わるまでは家賃を半額に割り引いてもらう、カフェテリアの無料利用券をもらう、工事をあと1カ月で必ず終わらせる、などの約束をとりつけることができました。
※出典:P&G Japan|MKT(マーケティング)2017年卒本選考のES
<背景> → <取り組み> → <結果> の順に分かりやすく課題解決を行ったエピソードについて説明しています。
留学中の困難を解決したエピソードを語るときは、自分の課題解決能力がより具体的に分かるような書き方であるとなお良いです。回答例文では、問題の洗い出し、優先順位付け、能力に応じた役割分担など、学生の課題解決アプローチがより具体的に想像できるような書き方がなされており、自己PRとして説得力を増しています。
3. 目標を設定して達成する力
努力による成長や目に見える結果が自己PRに使える理由
「日系企業の新卒採用はポテンシャル採用である」といわれて久しいですが、学生の「ポテンシャル」を測る方法の一つに「学生の成長スタイルを見る」というものがあります。中でも、自ら目標設定しそれを達成することで成長していく学生は企業から高く評価されます。
留学経験中のエピソードはこの「目標を設定してその目標を達成する能力」を企業にアピールするための格好の強みであるといえます。そもそも目標がなければ留学にはなかなか踏み切れないからです。加えて、留学にはTOEICの点数の伸びやクラスでの成績など企業に定量的にアピールしやすい要素が多く存在します。自分で目標を設定し、達成のための小さなタスクに落とし込み、それを着実にこなした経験・エピソードのアピールは、就活において強力な武器です。
目標を設定してその目標を達成した経験のESの書き方と例文
【ESでエピソードを構成・作成する時のポイント】
・最初の実力と目標を示す
・目標達成のためにどのように努力したかというエピソードを示す
・成長結果を定量的に説明する
具体的な例文を見てみましょう。
【設問】
あなたがこれまでに著しい結果を出した時のことを教えてください(学校、コミュニティー、仕事などを含む)(全角半角問わず500文字から700文字程度)
【回答例】
語学留学先で、6番から1番のクラスへ。
<背景>
私は今年3月、1カ月間の語学留学をセブ島で経験した。短期間ではあるが、自身の英語力を最大限に高めるつもりでいた。その学校では、毎週土曜にテストが行われ、その結果に応じて次週五日間のクラスが決定される。到着後最初に行われた語学力クラス分けテストの結果、私は10クラス中下から4番目のクラスに入ることになった。少なからず英語に自信があった私は大きなショックを受け、最終週のクラス分けテストで1番のクラスに入ることを決意した。
<取り組み>
自身に足りないものを補うために必死に取り組んだ。自身の結果を見ると、会話とリスニングが平均よりかなり低いスコアであったため、特にこの二分野の点を上げることが必須であった。そのために、(1)マンツーマンの授業を多く取る(2)多くの友人を作り、長い時間をともにする(3)英語学習を誰よりも多く行うという三つを実行した。(1)クラスごとに授業数が決められており、1対1の授業を増やしたいという要望も最初は通らなかった。しかし、自身の弱点を補いたいという強い意志と、それ以外を削っても問題ない理由を担当教員に何度も伝えた。最終的に校長からの承諾を得、マンツーマン授業を2倍に増やしてもらえた。(2)英語に常に触れられるよう、積極的に授業外で学生に話しかけた。うまく伝わらず、煙たがられ落ち込むこともあったが、諦めずに会話を続けた。(3)自習室で毎日6時間勉強した。朝は開室時間に入り、夜は閉室時間に出る生活を3週間続けた。
<結果>
最終週に目標のクラスへ入ることができた。また、学校から成績優秀賞をいただいた。今までの自分にない面から目標へのアプローチを行うことで成功を収められたという点で貴重な経験であった。
※出典:P&G Japan|SALES(営業統括)2017年卒本選考のES
<背景> → <取り組み> → <結果> の順に分かりやすく目標設定と達成について説明しています。
<取り組み>の段で「マンツーマン授業を2倍に増やす」、「毎日6時間勉強する」など努力を定量的に表現しているため説得力が増しています。
また、<取り組み>の段の冒頭で、「会話とリスニングが弱点なので、補強するために3つの解決策を講じる」という説明から、英語力としての目標に対する現状分析と解決策の提案能力もアピールできています。
自己PRで留学経験が十分に評価されないケース
注意点としては、留学経験は背景をきちんと説明しないと伝わらない場合があるということです。例えば、セブ島への留学の例では、語学力によって分けられるクラスごとに授業数が決まっており、マンツーマン授業を増やすことができない、という前提を説明しないとマンツーマン授業の回数を増やしてもらったことがどれほど大変なことかが面接官に伝わりません。
後から振り返って「私の留学経験エピソードでは自己PRに使えるようなことが一つもない……」と悲観的になる方がいますが、それは留学経験を何か特別なものに結びつけようとしているからです。
留学経験に関する自己PRの書き方まとめ
いかがでしたか? 3つの回答例を紹介しましたが、どれも基本は共通しており、選考でアピールしたい強みや能力の裏付けとして、海外留学経験を援用しています。
エントリーシート(ES)や面接の場では、留学経験もあくまで学生時代の経験の一つにすぎません。肩に力を入れすぎずに、留学中に頑張ったことと結びつきそうな能力・強みを一つずつ整理すれば、必ずあなたオリジナルの自己PRにつながるはずです。ご自身の留学経験エピソードをポジティブに捉えて、ぜひあなただけの自己PRを完成させてくださいね。
▼自己PRの対策をまとめたおすすめ関連記事はこちら ・【ES・面接対策】受かる自己PR例文集とNG例!作成方法から評価ポイントまで徹底解説!
▼エントリーシート対策をまとめた特集記事はこちら ・【エントリーシート(ES)完全対策版】下準備(自己分析)から書く際のコツ・書き方、頻出質問への回答例、業界ごとの特性まで全て解説!
※こちらは2016年7月に公開された記事の再掲です。