こんにちは、ワンキャリ編集部です。
先日、初代編集長である北野唯我が出版した『内定者への手紙 ─「仕事が遅い人」と呼ばれないための、10のチェックリスト』。Amazon新着ランキングで1位を獲得、さらには全体のカテゴリー別ランキングでも3部門で1位を獲得するなど話題になっています。
この本は、その名の通り、北野が内定者に向けて書いたものですが、就活生がこれからのキャリアを考える上でも知っておいて損はない内容になっています。
そこで、この連載では、北野がこの本の内容を基に「仕事でミスが多い」「周りの内定者が優秀で自信がない」といった内定者の方たちからの悩みに答えていきます。4月に社会人になるという読者の皆さんはもちろん、就活生の皆さんもぜひお読みください。
さて、今回北野がいただいた質問はこちらです。
OB・OG訪問をしたときに「20代はとにかく量をこなした方がいい」とアドバイスされました。しかし、自分としてはこの方法で本当に成長できるのか疑問です。大量の仕事をこなせるようになったところで、自分がなりたい社会人像とは異なる気がします。
(伊藤さん・仮名)
北野からの答え:27歳まではとにかく「スピード」を追い求めるべき
「質を重視すべきか、量を重視すべきか」というのはよく議論になります。量とはどれだけの数をこなしたか。一方で、質とはどれだけ高い品質で仕事ができるか。伊藤さんはおそらく「質」を重視した方がいいと考えているみたいですね。
しかし、私としては、若いうちは絶対に、質でも量でもなく「スピード」を追い求めるべきだと確信しています。
若いうちという表現だとあいまいなので、あえて定義するなら社会人5年目まで。大学の学部卒なら27歳ごろまで。院卒なら29歳、短大や高卒ならもっと若くなるでしょう。
ここでは27歳と仮定しますが、それまでは徹底的に仕事のスピードを上げ、それ以降は、スピードの「幅」を追い求めるべきです。100%そうです。
なぜか? その理由は「スピードは、質にも量にも転換させられるから」。
「仕事ができる人」の定義は、職場や環境によって千差万別です。ある職場では、ていねいに仕事をすることが求められていても、ある職場では、量をこなすことが求められることもあります。
他にも、結果だけを求められる職場もあれば、別の場所ではプロセスが重視されるなんてことも。本当にバラバラなのです。その意味で「仕事は量か質か?」という視点は、少しズレている問いだと私は思っています。
そこで出てくるのが、スピードです。スピードは“時間”に紐(ひも)づいていますが、“時間”は全ての人間にとって共通の単位。だから、スピードを制する者は、人間界で働く限りはどの場所でも、一目置かれる存在になれるのです。
さらに、スピードは量にも質にも転換できます。早いスピードでモノを作れる人は、ゆっくりていねいに一つのモノを作ることもできるし、量をこなすこともできるでしょう。「スピードだけを追い求めればいい」と言っても、過言ではありません。
仕事を始めて、約5年で「スピードの基準」は決まってしまう
ただ、残念ながら、仕事のスピードには2つの問題点があります。
まずは、「ビジネス人生の最初の4〜5年で決まる部分が多い」ということ。人間は習慣の生き物なので、一度根付いたスピードを後から変えるのは難しいのです。
そして、歳をとるほど、人の動きは遅くなることはあっても、早くなることはほとんどありません。つまり、最初の数年間で、ゆっくりとしたスピードで働くことに慣れた人は、そのあと早いスピードに慣れるのにかなり苦労します。
これこそがスピードの理論。「スピードの基準値は、27歳までに決まる」ということです。よく「新卒で入った会社(部署)が、その人の仕事のスタイルに大きな影響を及ぼす」と言われますが、これも同じような話です。
もう一つの問題点は、歳を重ねると仕事が早ければ早いほどいいわけではなくなる、ということ。より正確に言えば、27歳以降は「スピードの幅」を持つことが重要です。詳しくは新刊『内定者への手紙』で述べていますが、いつも全速力で走り続ければいいということではなく、「中速」と「低速」も意識的に使い分けられるようにならなければならないのです。
ただ、反対にいえば、27歳ごろまではとにかく「スピードを上げること」だけに集中したほうがいい。「20代はとにかく量をこなした方がいい」というアドバイスも、実は「量をこなせるスピードを身につけたほうがいい」ということだったのかもしれません。
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これをするだけで「仕事が出来る人」になる、北野唯我が実践する仕事術、10のチェックリスト。
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【北野唯我のキャリア相談:特別編】
・あなたは「いい会社に入りたいのか」? それとも「いい会社を作りたいのか」?
・「20代はとにかく、仕事の量をこなした方がいい」というのは本当ですか?
・要領はいいはずなのに「仕事が遅い」とよく怒られます。どうすればいいですか?
・他の内定者が優秀そうに見えて、自信がなくなってしまいました
・仕事のスピードは朝決まり、翌日の成功は前夜に決まっている
(Photo:Pressmaster/Shutterstock.com)