「あの会社、すごく良い選考だった」「自分は縁がなかったけど、後輩には『志望度関係なく受ける価値がある』と伝えたい」
就職活動をしていて、こう思う企業に出会ったことはありませんか?
SNSやクチコミサイトで選考の感想が簡単に見られるようになり、人気企業の人事もクチコミを気にする時代になりました。
ワンキャリアは毎年、就活生から集めた10万件以上のクチコミの評価点をランキングにした「ONE CAREER 就活クチコミアワード」を発表しています。今回は10月に発表した2021年上期速報でTOP30にランクインした、日本ロレアルの採用担当者にインタビュー。
「『選考体験の設計』は、ロレアルのブランドビジネスそのものです」。
学生から大人気の選考はどう作られるのか。話を聞いてみると、学生の意見を尊重しながらも、ロレアルという「ブランド」に向き合い続ける人事の情熱が見えてきました。
「現場社員の話が聞きたい」という学生の声に、70人以上の現場社員が採用イベントに参加
──「就活クチコミアワード2021」上期速報でのTOP30入り、おめでとうございます。早速ですが、ロレアルが採用で学生の体験の質を高めるために工夫している点を教えていただけませんか。
岩月:私たちは化粧品会社で36のブランドを持っています。ブランドビジネスにおいてコンシューマーセントリシティ(お客さま中心)を意識しているように、採用チームでも候補者の皆さまをお客さまとも捉えて、キャンディデートエクスペリエンス(候補者体験)の向上に努めています。
上半期もワンキャリアのクチコミデータや自社アンケートの声から、候補者が何を求めているかを常に意識してきました。以下がその一例です。
「人事のきれいごとだけでなく、現場社員の話が聞きたい」
「話を聞くだけでなく、手を動かしながら理解を深めたい」
「エグゼクティブメンバーの声が聞きたい」
──こうした声にどう応えていくのでしょう?
岩月:例えば「現場社員の話が聞きたい」というニーズには、バラエティ豊かな職種の現場社員がのべ30人以上登壇するオンラインイベントを開催しました。弊社主催のイベントだけでなく、他社主催イベントへの出展も含め、上半期だけでこうしたイベントを20回ほど行っています。
また、社員との座談会にも注力しました。可能な限りインタラクティブなセッションを実現すべく各回40人の学生をお呼びしたのですが、人気のセッションだと2000名もの応募が集まりました。オンラインだとどこからでも参加できるので、学生の皆さまも参加しやすかったのだと思います。
学生の声を尊重し、インタラクティブなセッションにこだわったので参加人数は変更せず、今後動画をアーカイブし、参加できなかった学生にもコンテンツを届けようと考えています。学生もそうですが、オンライン化によって、アメリカや上海など全世界からイベントに社員が参加してくれるようになったことも良い変化でした。
▼ワンキャリア上で日本ロレアルに投稿されたクチコミ(一部抜粋)▼
・日本ロレアルの重役を務めている方も出席した状態での説明会となっており、その方々に質問もできるのも、とても良かったです。
・企業の理念や事業内容について詳しく説明してもらえた。また、インターネットには載っていないような選考プロセスに関わる情報も入手できた。
・社員の方が、面接対策でどのように自己分析したかを詳しく説明してくださり、非常に参考になった。
・選考の中で、一人ひとりしっかり見てくれて、個性を認めてもらえるような気がした。
化粧品のユーザーにも採用候補者にも「世界一の化粧品ブランド」の体験をしてもらう
──社員も全世界から参加してくるというのはすごいですね! ロレアルではなぜ採用にここまで力を入れているのですか?
梅原:先ほど岩月がキャンディデートエクスペリエンスのお話をしましたが、これはロレアルが非常に大切にしている考え方です。本社でプロジェクトを推進しており、各国の支社で採用に力を入れています。「We are all recruiters」という言葉の下、採用チームだけでなく、全社員が採用に関わる文化があるんです。
また、ロレアルがブランドビジネスを行っていることもキャンディデートエクスペリエンスの重視につながっていると思います。
化粧品を購入いただいているお客さまと同じように、採用候補者にもブランドとしての体験を提供していく。世界一の化粧品ブランドメーカーのビジネスでのノウハウからもヒントを得た体験を提供できるようにしています。
──候補者の皆さまをお客さまと捉える。先ほどもお話しされていましたね。
梅原:グローバルチームが提言するコンセプトや企画も、日本の学生たちにどう刺さるかを考えるのは、ブランドビジネスそのもので、日本の消費者にどう刺さるかを考えるのと同じです。
採用においても、ブランドとしてコンセプトを設計し、体験の提供を行うという一連の施策がワークしているのだと思います。
オンライン採用で意識するのは「双方向性」と「社員の関係性」
──今後、2022年卒採用については、どのように取り組んでいきますか?
岩月:今は、オフラインとオンラインを掛け合わせたキャンディデートエクスペリエンスの強化を検討、協議しています。
ロレアルでは「メティエワークショップ」といって、選考の途中で改めてロレアルに対して踏みこんで理解を深めてもらう場を提供しています。今年からこれをオンライン化し、会によってはQ&Aだけでなくワークショップの要素を取り入れる予定です。
ロレアルが学生を評価するだけではなく、相互理解のために、選考途中で学生がロレアルを理解する機会を作ることが目的です。
──学生からは「オンラインでは社風が伝わりにくい」という声もありますが、どんな工夫をしているのでしょうか。
岩月:これまでのイベントを通じ、学生の皆さまからは「社員同士のかけあいで社風が分かりました」という声が多くあることは分かっていました。例えば「外資系にはドライなイメージがあったけれど、会話を重視するカルチャーがあることが分かってよかった」など。
そのため、イベントではその場で生まれる自然な会話を重視し、自然な雰囲気が伝わるように工夫しています。一方で、日頃からの社員同士でコミュニケーションし合う会社の文化も重要です。こちらは「工夫」だけで何とかなるものではありませんから。
──この他にも学生へのコミュニケーションについて、変えたところはありますか?
岩月:そんなにはありませんね。逆にオンラインになっても効果が変わらないように頑張っている取り組みが多いです。ロレアルでは「マネジメントトレーニープログラム」で、少数精鋭の幹部候補生の採用を行っています。
彼らには入社後、一人ひとりに合わせた研修プログラムを提供しているのですが、入社前の段階でも学生が何を求めていて、何を得たいのかというニーズを聞きながら、ワークライフバランスを重視している社員、特定の業界出身の社員など個々のニーズにあった人を面談でアサインするプログラムを用意しています。
これも今年はオンライン面談になりましたが、エッセンスが変わらないよう工夫を重ねています。
全ては「ロレアルの面接を受けた」の経験を作るため。学生の価値観から面接の進め方まで全面接官にブリーフィング
──実際、キャンディデートエクスペリエンスを高めるため、人事としてどのようなことを行っているのでしょうか。
梅原:ロレアルの採用は「アトラクト(魅力づけ)」「リクルート(選考プロセス)」「リテイン(内定から入社まで)」という3つのステージで考えています。それぞれの段階で、学生からロレアルが「ブランドとして」どう見られたいのか、徹底的にこだわっています。
まずアトラクトでは、化粧品が好きな消費者だけでなく、幅広い方々にロレアルで働くことの魅力を知ってもらえるよう、コミュニケーションを設計しています。性別や商材の事前知識の差で、この業界が検討から外れてしまわないよう、どのようにロレアルを見せていくか。ここが難しいところです。
次のリクルート、つまり選考についてもブランドの体験として捉えて、体験の質をチェックしています。
──選考における体験の質、とはどういうことでしょう?
梅原:選考自体は、学生の皆さまの多様性をしっかり評価することが目的です。ただ、それと同時に「ロレアルの面接を受けた」という体験自体に統一性があるよう、全ての面接官に対してブリーフを行います。
学生の価値観や今の就活市場の状況、面接の進め方など、徹底して面接官とコミュニケーションを行うことで体験の質を担保しています。
──なるほど。ロレアルを受けた学生が、選考に対して抱く印象にブレがないようにするということですね。
梅原:リテンションのフェーズでは、内定者同士の絆を生みつつ、一人ずつのパーソナルな対応を組み合わせることが工夫のポイントです。
また、今年は3つのステージ全てにオフラインとオンラインを組み合わせた施策を行いました。新型コロナウイルスの影響があったのは事実ですが、それ以前から施策のデジタル化を会社として進めていたので、スピード感を持って対応できましたし、インフラも整っていました。変化への対応スピードが満足度につながった感触はあります。
オンライン対話の「背景」にまでこだわる。これがブランドを作るということ
──ありがとうございました。今後はどのような採用を目指していきたいですか?
梅原:利便性の高いデジタル(オンライン)、そしてエンゲージメントを高めやすいオフラインの体験をどうシームレスにつないでいくか。今は落とし所を模索すべく議論しています。
細かい点かもしれませんが、オンラインでの対話の際にどのような背景にすれば、デジタルでロレアルブランドの体験を作れるかということも議論しているんですよ。
──そんな細かいところまでですか。面白いですね。
梅原:はい。もしかしたらバーチャル背景ではなく、物理的に化粧品に囲まれた会場や、会社の雰囲気を感じていただけるロレアルカフェでイベントを開く方が良いのかもしれません。たとえオンラインであっても、場所にまでこだわる。こうやってブランド体験を設計しているのです。
ちなみに、現チームの岩月も私もそうですが、もともとブランドサイドでマーケティングやセールスを行っており、ブランドビジネスで消費者体験の設計を経験しているメンバーがそろっているので、採用においてもキャンディデートセントリシティ(候補者中心主義)を実現できる土俵が整っていると感じています。
──岩月さんはいかがですか?
岩月:ロレアルでは、会社としても採用においても「多様性」を大切にしています。例えば先日、内定者にロレアルの良いところを学生に伝える動画を作ってもらいました。
その動画では、選考の中で自分らしさを尊重される経験談を交えた要素も散見されており、多様性を重視するロレアルの文化が伝わっていると感じました。これから選考を受ける学生の皆さまにも、このブランドを体験してほしいと思います。
また、私たちにとっては「相互理解」というキーワードも多様性と同じくらい大事にしています。その点でも、これからも学生の皆さまの声をフィードバックと捉え、プロモーションや選考プログラムの改善に生かしていきたいですね。
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日本ロレアル
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R&I職・マニュファクチャリング職
申込締め切り日:2月17日(水)
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セールス職・サプライチェーン職
申込締め切り日:3月2日(火)