粗鋼の生産量では世界4位、日本国内では1位と、世界のマーケットで大きな存在感を示している日本製鉄。
国内の6製鉄所をはじめ、日本各地に拠点を構え、地域に根差して働くことも可能となっています。また、海外には17事務所・現地法人51製造拠点を抱え、グローバル事業投資金額は5年間で6,000億円にも上ります。
人々の生活に欠かせない存在である鉄を扱い、日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジア、インドなど、世界を舞台に日本発祥の鉄鋼メーカーとして挑戦を続ける同社について、人事労政部で採用を担当している坂本佳子さんと久藤禎大さんに、お話を聞きました。
生活のあらゆるところに鉄がある
──日本製鉄は目に見えるところ、見えないところで世の中にさまざまな影響を与えていると思います。いかに人々の社会や暮らしを支えているのでしょうか。
坂本:自動車をはじめ、鉄が使われている製品はさまざまあります。身近なところではこの記事を見るためのパソコンやスマートフォンにも使用されています。
家中を見回してもテレビや冷蔵庫、洗濯機などが挙げられます。身近過ぎて気付いていない場合も多いため、私も学生と話すときは、「朝起きてから寝るまでの間で、鉄が使われている製品に触れずに生活できますか」とよく質問しますね。
すると、「車にも自転車にも乗れない」「そもそもアパートの骨格にも使われているから、朝起きて建物の中にいられないのではないか」という声があがります。
それほど人々は鉄を何気なく毎日使用していますから、私たちも自社製品で社会や暮らしを支えているという自負があります。
久藤:私はエネルギー企業向けの原油や天然ガス開発に使用するパイプの海外営業を担当していたことがあります。そのため、人々の生活に欠かせない電気やガスを届けるために、私たちの製品が原油や天然ガスの生産を支えていることも実感しています。また、日本製鉄が抱える高炉を使い、家庭用のプラスチックゴミを再資源化するといった社会貢献も行っています。
ワクワクする開発とダイナミックな事務職
──研究開発や市場開発の具体的な業務を聞かせてください。
坂本:私は入社33年目で20年弱を研究開発に従事し、表面処理鋼板という塗装鋼板を担当してきました。分かりやすい例を挙げると、電子レンジや洗濯機などの製造には製鉄会社で事前に塗装した鋼板を使用していて、私はその塗装鋼板の開発をしていました。
私たちにはクライアントとなる企業が作りたい製品を逆算し、その材料を開発する業務もあり、現在だとカーボンニュートラルに関する事業がその代表例です。まだ世の中にない新しい鉄を作るという研究開発は、ワクワクするような体験ができます。
一方、市場開発はクライアントから要望や相談を受けて製品を開発していきます。もちろん、性能面やコスト面などのハードルが多く一筋縄ではいきません。しかし、それらのハードルをすべて乗り越えて、最終的に「御社の材料を使って良かった」という言葉をいただけたときは、喜びもひとしおですね。
中でも、「あなたと一緒に仕事ができて楽しかった」という言葉は、33年間の仕事において最大の褒め言葉だったと思っています。仕事はやはり一期一会で、目の前の相手に全力で関わることで次の仕事につながることも少なくありません。
──研究開発と市場開発は別物だと。
坂本:そうですね。研究開発は研究部署、市場開発はクライアントに対応する部署と、それぞれ部署も異なっています。
また、品質保証や品質管理などの部署もあり、多岐にわたる部署が協力して製品を作り上げるのが、当社のやり方です。
個人的な経歴でいえば、20年近く研究開発に従事したことで、その後に6年ほど携わった市場開発では、研究開発の経験が生かされたと感じることも多くありました。クライアントから高い要求を受けたとき、研究で培った知識や実績によって折り合いをつけていくこともありました。
また、クライアントはメーカーや加工会社などさまざまです。ニーズもそれぞれで異なるために大変なこともありましたが、互いの知識や経験を生かしながら業務を進める楽しさや、やりがいも感じられましたね。
──海外営業の業務についても聞かせてください。
久藤:海外営業というと海外駐在員をイメージされると思いますが、日本国内からメールやオンライン会議などを通して、海外クライアントとやりとりをしています。
私は4年間従事し、鋼管という原油や天然ガスなどのエネルギー開発にかかわるパイプを扱っていたことから、クライアントも世界中の名だたる民間エネルギー企業や、中東の国営石油企業などが中心でした。
もちろん、世界中のクライアントに対応するために、時差をはじめとする問題もあります。例えば、エネルギー開発はアメリカのヒューストンが一大需要地で、ヒューストンの事務所やクライアントとやりとりするとなると、日本の朝7時や夜11時から打ち合わせが始まることもあります。
また、世界的な市況に左右される業界でもあります。特に人々の往来が制限されたコロナ禍では、エネルギー需要が急減したことで大きな影響を受けました。最近もロシア・ウクライナ戦争で天然ガスの供給が著しく制限されるなど、予期せぬ事態や世界情勢といった私たちではコントロール不可能な影響を受けかねない業界に身を置いていることは常に意識します。
一方、やりがいも大きいといえます。私たちの扱う鋼管には地層に下ろすパイプをはじめ、温度や圧力、腐食性のガスが充満している環境にも耐えられる高機能な鋼材がそろっています。そんな高付加価値の鋼材は高価格になり、プロジェクトによっては何十億円という大金を扱うダイナミックさもあります。
クライアントが来日し、私たちの工場で購入した製品の製造過程を見学するケースも多々あります。クライアントに実際に接することで相手との関係を築いていくところもやりがいの一つです。
「鉄で社会を支える」という熱いプライド
──長期的にはどのようなキャリアパスを描けるのでしょうか。
坂本:技術系と事務系で違いがありますが、技術系では知識や経験を積むために異動は多くなく、最初に配属先された製鉄所で知識を高めながら職階を上げていくケースが多いといえます。また、製鉄所から本社に異動して全体的な視野を学びキャリアを上げていく場合もあれば、そこから製鉄所に戻って知識を還元することもあります。
育成に関しても、技術的スキルが足りないのであれば研修などのバックアップ体制は整っています。私自身も化学を専攻していたため、入社後に研修や講座などで業務に関する知識を高めていった経験を持っています。
久藤:事務系は製鉄メーカーとして原料の買い付けから工場での生産管理、私のような営業など、バリューチェーンに広く関わるため、4年ほどのスパンで異動が行われます。さまざまな経験を積んでステップアップしていくキャリアパスです。
初めに製鉄所・工場の経理として配属された社員を例にすると、その後に本社の企画部門に異動し、海外営業を経て海外駐在を経験しました。帰国後は海外営業に従事し、再び海外駐在を経験し、現在は部長を務めているケースがあります。
坂本:福利厚生も厚く、テレワークやフレックスタイム制も当たり前のように導入されていますね。製鉄所には保育所が備えられ、お子さんを預けて働いている社員も多数在籍しています。寮や社宅も用意され、住まいの心配もないといえそうです。
久藤:私もかつては寮、そして現在は社宅に住んでいます。寮は家賃が低く抑えられ、会社へのアクセスは抜群でした。私が住んでいた寮は最寄り駅が始発駅で、電車で会社の最寄り駅まで乗り換えなしで着きました。9時の始業には、8時10分の電車に乗れば座れる上に余裕を持って会社に着けましたね。
休日もカレンダー通りで、私の結婚時には新婚旅行のために1週間の休暇を取得したこともありました。
──最後に、どのような志や思いを抱いて仕事をしている社員が多いかを聞かせてください。
坂本:自分の仕事に誇りを持っている社員が多いですね。
工場見学をした学生から、「社員の方々が自分の仕事についてすごく熱く語ってくれました」という話もよく聞きます。自分たちの仕事に対して責任を持ち、「鉄で社会を支えている」というプライドを持って仕事にあたっていると感じます。
久藤:熱い思いを持って働いている社員は本当に多いですね。誰か一人が仕事を放り出してしまったら工場が止まる可能性がありますから、プライドや責任感、やり抜く意志を持つ社員ばかりともいえます。
私自身を見つめると、鋼管の営業で原油や天然ガスに関わる業務でありますから、自分たちの仕事がなければ日本に電気やガスといったエネルギーは入ってこないとも考えられます。それだけに大きなやりがいとともに、熱い思いも自然と抱くものだと感じています。
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【ライター:小谷紘友/編集:吉川翔大】