皆さんはじめまして。学生ライターのKayです。
私は2022年11月に開催されたボストンキャリアフォーラム(以下、ボスキャリ)に参加し、最終的に2024年卒学生として、6社から内定をいただきました。
結果として、就活は成功したわけですが、ここに至るまでの道のりは決して平たんではなく、特にボスキャリに関する具体的な情報が、Web上でなかなか見つからなかったこともあり、下調べには非常に苦労しました。
そこで、自身の反省も兼ねつつ、今後参加する学生の皆さんの参考になればと思い、「ボスキャリ攻略」の連載を執筆することにしました。少しでもボスキャリに興味がある方から、本気で内定獲得を目指す人まで、多くの方に読んでいただけますと幸いです。
<目次>
●自己紹介
●ボスキャリの基本のキ──イベント自体は3日間だが、選考は2カ月程度かかる
・概要
・参加企業
・内容
・参加対象者(重要!!)
●ボスキャリは「2日目まで」で勝負が決まる
●本気で内定を狙うために「最初にやるべきこと」
・1.CFNのサイトに登録
・2. ボスキャリにともに挑む「仲間」を見つける
・3. ホテルと航空券の予約
自己紹介
本題に入る前に、簡単に自己紹介をさせてください。私は関西の国立大文系学部4年生で、現在は大学を休学し、カナダにて私費で1年間留学しています。本来23卒ですが、休学により24卒になった形です。
長期留学を本格的に決意したのは2021年の夏(渡航の半年前)で、交換留学が完全に停止しているものの、就職前に長期留学をするには最後のチャンスになるタイミングだったため、私費での留学を決意しました。
利用しているのは「Co-opプログラム」で、ざっくり説明すると私立カレッジでの専門領域学習+その領域におけるフルタイムインターンシップがセットになったプログラムです。
良くも悪くも新型コロナウイルス感染症の影響で、留学に来たのが大学生としてはかなり遅く、休学もしているため、学生団体の活動や塾講師のアルバイト、長期インターン、東京 2020 オリンピック・パラリンピックでのボランティアといった、いわゆる「ガクチカ(学生時代に頑張ったこと)」に使えるエピソードがある点は、就活に有利に働いたように思います。
ちなみに、ガクチカは多ければ多いほどエントリーシート(ES)や面接で楽になりますが、少ないとダメというわけではありません。力を入れた課外活動が1つでもあり、応用の仕方を工夫すれば、ボスキャリでも十分に戦えるという印象を持っています。
ボスキャリの基本のキ──イベント自体は3日間だが、選考は2カ月程度かかる
さて、今回は第1章ということで、ボスキャリの基本を説明していきます。私がカナダでの留学中に参加したボスキャリとは一体何なのか、そして、参加しようと思った人が最初にすべきことについて解説します。
概要
ボスキャリとは「ボストンキャリアフォーラム」の略称であり、ディスコが主催する世界最大の日英バイリンガルのための就職・転職イベントです。
1987年の初回以降、毎年8,000人規模の学生が参加しているといわれる、大規模で歴史ある就活イベントといえます。毎年10月〜11月にアメリカ・ボストンで3日間開催されるのが通例です。
コロナ禍により、2020年と2021年の2回はオンラインでの開催となりましたが、2022年は現地での開催が再開されました。イベント自体については、学生の参加は無料です。
参加企業
対象者が「日英バイリンガル」ということで、参加する企業は基本的に「グローバル志向の強い日本企業」といえます。
企業のレベル感としては、GAFAやMBB・トップ外銀から日本国内のスタートアップまでさまざまで、ほぼ全ての業界から参加があるといっていいでしょう。コロナ禍前の2019年は全体で250社近く参加していたようですが、2022年はコロナ明け初開催ということもあり、参加社数は150社程度に留まっていました。
内容
具体的な内容としては、日本における「大規模合同説明会」をイメージしてもらうのが分かりやすいでしょう。各企業がそれぞれブースを持ち、説明会を実施します。ボストンでの開催ですが、学生側もリクルートスーツでの参加となります。
合同説明会と大きく違うのは、開催期間中全日程を通じて面接が行われ、最終的に内々定を獲得できるチャンスがあるという点です。国内で就活をする時間的・場所的余裕があまりない海外留学生にとっては「グローバルキャリアの開発×即日内定」ということで願ってもない機会といえます。
また、ボスキャリには会社説明会・インターン選考会・日本での本選考に向けた面接練習の場としての価値もあり、内定獲得以外にも参加するメリットは見いだせるでしょう。
「3日間のイベント参加で内々定」と聞くと、非常にコスパの良いイベントのように聞こえますが、実際はそうではありません。正しくは「2カ月程度をかけてオンラインで選考プロセスを進めていき、ボストンで対面の最終面接が行われ、内々定」といったところです。
ボストンキャリアフォーラム2022、当日の開場前の様子
前述の通り、参加しているのは基本的に日本企業なので、選考プロセスは国内で行われる本選考とあまり変わりません。「ES→Webテスト→1次面接→2次面接→3次面接→最終面接→内々定」という流れ。この最後の部分だけが現地対面で実施され、その他は事前にオンラインで行われると考えてください。
ボスキャリに参加して本気で内定を狙う場合、就活に集中しなければいけない期間は少なくとも2カ月程度になります。
国内で大学3年夏のインターン参加から本格的に就活を進めることに比べれば期間としては短いかもしれませんが、海外での留学生活と並行して、周りに頼れる日本人学生も少ない中、1人で黙々とオンライン選考を進める苦労と、決して安くないボストンまでの渡航費・滞在費を考えると「コスパが良い」とは言いがたいところがあります。
参加対象者(重要!!)
ボスキャリ運営によれば、参加対象者は以下のように定義されています。
日本語力、英語力ともに少なくとも初級レベルをお持ちの方で、以下のいずれかを満たす方
・日本国外の大学の学士またはそれ以上(修士・博士など)の学位をお持ちの方、または取得予定の方
・留学経験をお持ちの方で、日本の大学の学士以上の学位をお持ち(取得予定)の方
・留学経験をお持ちの職務経験者や海外での職務経験をお持ちの方 ※引用:CFN「ボストンキャリアフォーラム 2022 よくある質問」
要するに「日英バイリンガル」という条件を満たしていれば誰でも歓迎、というのが運営側のスタンスです。
一方で、参加する有名企業の多くはエントリーの段階で、さらなる基準を設けています。具体的な内容としては「当社のボスキャリ選考への応募は、海外大正規留学生または国内大からの交換留学生に限る」というもので、私のような「国内大休学私費留学」という立場だと、多くの企業で選考を受けることができません。
5大商社・MBB・コンサルBIG4・メガバンクなどの一流企業は、ほぼ全てこのタイプで、選考自体も日本語ではなく、英語で進むところが多かったようです。中には、具体的にこういった記述がされていなくても、ES提出後に国内大在学生をまとめて落とす企業もありました。
このような基準の存在に対して、参加学生の間では賛否がありますが、私個人としては十分理解できると考えています。企業側が「ボスキャリ枠で採用する以上、国内選考では採れないような海外人材を獲得したい」と考えるのは、自然だと思うからです。
上記のような基準を設けるタイプの企業にエントリーした場合、お断りのメールとともに、ほぼ必ず国内選考への案内が届きます。「対象外の学生は全く見ない」というわけではなく、「ボスキャリ枠では見ない」というはっきりした意思が感じられますね。
以上をまとめると、ボスキャリ参加対象者としてメインに捉えられているのは、「海外大正規留学生または国内大からの交換留学経験のある新卒学生」だといえます。
参加を検討している皆さんには、自分がメインターゲットに当てはまっているかどうかをきちんと確認してください。自分がメインターゲットであるならば、正直、ボスキャリに参加しない手はないです。
一方で自分がメインターゲットではないとしても、いきなり参加を諦める必要はありません。大切なのは「メインターゲットではない」というハンデを背負ったところからスタートすることを自覚することです。ハンデがあるのだから、他の参加者の何倍も入念に準備する必要はあります。しかし、それを完遂すれば、志望する企業からの内定獲得は十分可能です。
少し具体的な数字をお話しすると、「ボスキャリ2022」参加企業150社のうち、私がエントリー可能で、かつ多少なりとも興味のある業界に絞った場合、総数はおよそ70〜80社でした。もちろん業界を絞りたい場合にはもっと減るでしょうし、こだわりがない場合はもう少し増えますが、自身がメインターゲットでないなら、「参加企業全体の半分くらいが、エントリー対象になる」というイメージは持っておくと良いです。
こうした事情を踏まえて、私が解説するのは「『メインターゲットでない』立場から本気で内定を獲得するためのボスキャリ完全攻略法」というわけです。もちろん、ボスキャリにおいて、私よりも優位な立場にいるメインターゲットの皆さんにも、十分参考にしていただけると思います。
ボスキャリは「2日目まで」で勝負が決まる
2022年のボスキャリは、以下のような形で行われました。
日程:2022年11月4日(金)〜6日(日)
会場:Hynes Convention Center(900 Boylston St, Boston, MA 02115)
Web:https://careerforum.net/ja/event/bos/
まず日程についてですが、事前に選考を進めていた場合、開催前日の木曜日には現地オフィスでの選考や企業の方々とのディナーが入るケースがほとんどです。時差ボケした状態での面接やディナーはなかなか厳しいと思うので、個人的には水曜日に現地入りすることをおすすめします。
Hynes Convention Center
そして内定については、開催2日目の土曜日終了時点でおおむね出そろいます。最終日は会場が15時に閉場すること、企業側もブースを早めから畳むことを踏まえると、実はあまりやることがありません。
私自身、日曜日は一応会場に行って面接を1つ受けましたが、疲れもあり昼には帰ってしまいました。つまり、本気で内定を狙う場合は「木金土の3日間」が勝負所になるわけです。
会場について、2022年は上記の通りHynes Convention Centerで開催されましたが、2019年は別の会場でした。理由は分かりませんが、会場は毎年変わっているようです。私はそれを知らず、2019年の会場から徒歩1分のホテルを予約し、当日は結局会場までUberを使う……という失敗をしました。場所については、よく確認しておくことをおすすめします。
本気で内定を狙うために「最初にやるべきこと」
本記事の最後に、ここまで記述してきたボスキャリの基本的な情報を踏まえ、「ボスキャリで本気で内定を狙おう」と思った人が最初にやるべきことを紹介します。
1. CFNのサイトに登録
まずは、CFNに登録してキャリアフォーラムの参加登録をしましょう。情報更新があるたびに内容を確認できますし、レジュメの作成(次回解説)などもできるようになります。
※出典:CFNのWebサイト
2. ボスキャリにともに挑む「仲間」を見つける
「最初にすることか?」と思うかもしれませんが、私はボスキャリには2人以上で参戦することを強くおすすめしたいです。
2人以上で割ると宿泊費が安くなることや、選考情報が交換できるという具体的なメリットもありますが、知らない土地を1人で旅する上に就活……というのは、思っている以上に精神的負荷が大きいです。
ご飯のときだけでも、少し気を休めて話ができる友達がいるのといないのとでは大きな差になります。参加を決意したら、なるべく早く仲間を見つけましょう。
ちなみに私の場合は、留学先の学校に日本人留学生がたくさんいたので、就活への意識が高そうな方に声をかけていきました。留学先の学校に日本人が少ない場合でも、ボスキャリはほとんどの日本人留学生にとって利益になるイベントですから、自分から積極的に探して声をかけていけば、仲間はそれほど苦労することなく見つかると思っています。
3. ホテルと航空券の予約
開催当日のホテル、特に会場近辺のものは参加学生だけでなく、企業の人も滞在することになるため、直前になると値段がとんでもなく跳ね上がります。ホテルおよび航空券はできる限り早く予約しましょう。私は5月に予約しました(会場を間違えていましたが……)。
ホテルは会場に近ければ近いほど良いです。開催期間中は基本的に会場とホテルを行き来するだけの生活になりますし、面接と面接の間が空いた時にさっと部屋に帰って体を休められると、ホテルが遠い人に比べて大きなアドバンテージになるでしょう。
航空券の費用は出発地によってまちまちですが、ホテルに関しては早い段階で予約すれば、火曜日〜日曜日の5泊6日で1人あたり800〜1,000USD程度に落ち着かせることが可能です。
「Airbnb」などのサービスを使って拠点を確保している参加者も多く見られましたが、私としては「就活をする」という目的上、自身の滞在拠点はきちんとお金を払ってでも確保することをおすすめしておきます。
最近では随分と質も向上していますが、「Airbnbを使った結果、滞在先がない」などのトラブルはいまだに存在します。また、ホテルであれば、スーツやシャツのクリーニングサービスやプリンターなども利用できます。激動のボスキャリ数日間を越えるためには最適だと考えています。
*
さて、第1章から思ったよりも長くなってしまいましたが、ボスキャリというイベントの概要と参加者にとって重要なポイントについて、ご理解いただけたでしょうか。
次回は私自身の経験に基づきながら、何度か言及している「事前準備・事前選考」について詳しく解説していく予定です。
▼「ボスキャリ2022完全攻略レポート」はこちら
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(Photo:Jacob Lund/Shutterstock.com)