※こちらは2016年2月に公開された記事の再掲です。
こんにちは。総合商社の金融部隊に勤務しているタロタカシと申します。ワンキャリ編集部にて商社の就活やビジネスに関するテーマに関して執筆しています。
さて、私は昨年だけで約50名にものぼる総合商社を志望する就活生から、OB・OG訪問を受けました。大量のOB訪問を受けた中で感じたことは、学生の印象の良し悪しがはっきり分かれたということ。
OB・OG訪問が評価の場となる会社もあるといわれている、総合商社のOB・OG訪問において印象が悪いのは致命的で避けたいところです。
そんな今回は、総合商社のOB・OG訪問を戦略的に行い、社員から好印象を得る学生が押さえているポイントをお伝えしたいと思います。
結論からお伝えすると、好印象の学生に共通する特徴は以下の2点です。
A. 筋の良い質問をする
B. 社会人1年目レベルの事前準備を徹底する
A. 筋の良い質問をする
筋の良い質問の特徴その1:意図と内容がセットになった質問である
例:「住友商事で20代前半までに海外の顧客と接点を持てるような仕事をするためには、どの部署を希望するべきですか? 同じ年次の社員さんを比較しながら教えていただきたいです」
質問の背景やなぜ聞きたいのかをセットで話すことで、仮に質問の内容が悪くてもOB・OGは理解をして補足して話すことができます。
筋の良い質問の特徴その2:自分なりの企業研究を確認する質問である
例:「『三井物産は5大商社の中でも、以前から中途採用にも力を入れている』という話をWeb上で見つけました。特にどういった部署に中途採用の方が多いなど特徴はあるのでしょうか?」
「自分なりの企業研究を検証すること」がOB・OG訪問の神髄といえるでしょう。ニュースなどの情報から自分なりに研究した内容や、立てた仮説を検証するために質問することで、志望企業について自分の言葉で伝えられる内容が増えます。仮に誤った仮説でも、OB・OGの方から核心を捉えたフィードバックをもらいやすいといえます。これが面接に生きるのは間違いありません。
反対の『筋の悪い質問とは何か』も念のため、押さえておきましょう。
筋の悪い質問その1:公開されている情報を聞く質問
例:「三菱商事の平均年収はいくらですか?」
OB・OGでなくても知りえる公開情報(採用人数、年収、過去の選考内容)は事前にGoogle検索で調べましょう。
筋の悪い質問その2:意図が読めない質問
例:「原油価格の下落は、業務に影響しますか?」
「それを聞いてどうするのだろうか?」という感想に尽きます。自分が知りたいことを聞き出すためには、質問の意図もあわせて伝えましょう。
筋の悪い質問その3:担当外のことへの質問
例:「伊藤忠商事と、同じ非財閥系である丸紅について、社風の違いを教えてください」
「それ俺に聞かれても……」のパターンですね。他社はもちろん、他部署のことでさえ「本当のところは分からない」と困惑するのが率直な感想です。
B. 社会人1年目レベルの事前準備を徹底する
事前準備その1:踏み込んだ企業分析を質問に反映する
上述の筋の良い質問を行う就活生はOB・OG訪問ごとにしっかりとした事前準備を行っています。
就活生向けの情報源である、企業の採用HPや説明会で得た情報だけでなく、他の公開情報もふまえて多角的に分析することがポイントです。具体的には、以下を参考にすると良いでしょう。
■ アニュアルレポート(*ステークホルダー向け)
例:三菱商事「統合報告書 2017」
■ 決算説明資料(ステークホルダー向け)
例:伊藤忠商事「決算公表資料(短信等) 2017年度」*ステークホルダー……利害関係者。具体的に消費者(顧客)、従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関など
有料コンテンツが大半な中、私は低コストで情報を収集するために、以下の2つを就活時に利用していました。
■アナリストレポート(投資家向け)
・Yahoo!ファイナンス:ヤフー(Yahoo! JAPAN)プレミアム会員になると閲覧可能 ※会費は月1,188円
例:三菱商事
・SBI証券:口座を持つことで無料で閲覧可能 ※「評価レポート」の欄から確認可能
例:三井物産
例えば、私が、三菱商事の金属資源部門の事業投資担当の方にOB・OG訪問をした際には、以下の質問をしていました。
「私は1つの案件を自ら作り、完結するところまで一貫してできるような働き方をしたいと考えています。事業投資を行う際、投資案件は投資担当の方が自ら入手されるのでしょうか? あるいは分業制で社内の営業担当の方が顧客から入手してくるのでしょうか?」
「ニュースリリースで見る限り、大半は出資比率が20%以下のマイナー出資でした。事業投資先の出資比率が100%ではない場合、他株主との折衝・交渉という仕事も出てくると思います。交渉はどのようなプレーヤーとどういった論点で交渉を行うのでしょうか?」
事前準備その2:OB・OGの所属やバックグランドを事前チェックする
総合商社は事業領域の幅があり、領域ごとにカルチャーが大きく異なります。そのため、的確な質問を行うためには、OB・OGの方が「どの企業か」以上に「どの部署でどんな仕事をされている方か」が重要です。
弊社を例にとると、とある部署の投資を担当するチームと、化学品を扱う部署の物流担当するチームでは、同じ年次の社員でも仕事の時間軸や対峙(たいじ)する現場の感覚も大きく異なっています。
OB・OGの方のバックグラウンドに合わせて、的確な質問を行うためにも、気軽に聞けそうなOB・OGであれば、LINEやFacebookなどで事前に確認させてもらうとよいでしょう。
事前準備その3:質問リストを事前に送付する
結局は仕事も段取りが大事なので、事前に質問リストを送付してくるような段取りの良い学生は「期待できるな」という印象を持ちます。
OB・OG訪問の1週間前に、質問リストを送付する学生がいたのには驚きました。当然、こちらも準備する余裕があり、結果、深い話までたどり着くOB・OG訪問の時間となりました。
それに、「事前準備をきちんと行う学生」=「志望度が強い学生」と捉え、応援したくなるのが商社の社員ではないでしょうか。
ここまで当たり前と思えた方は素晴らしいですが、意外と徹底できていない方は多かったのではないでしょうか。なお、今回挙げた3点は、社会人1年目の段階で求められるレベルの仕事の進め方ともいえます。そのレベルで段取りをしてOB・OG訪問に臨むようにすることが、あなたの印象を格段に良くすることは間違いないです。
総合商社内定には戦略的にOB・OG訪問を重ね、刺さる質問を投げかけられるかが勝敗を分ける
OB・OG訪問を、「とりあえず」ではなく戦略的に重ね好印象を得る就活生は、次のOB・OG訪問につながり内定にも近づくことでしょう。またお礼メールや基本的なマナーなどは必ず押さえておいてください。
就活で第一志望の商社に内定するための手段としてはもちろん、自分自身の知見を広める機会となるOB・OG訪問は、要点を押さえてどんどんチャレンジしてください!
この記事を読んだ方には以下の記事がオススメです!
▼OB・OG訪問で緊張しがちな方は、こちら!
・面接とかOB訪問での会話って、何かフワフワしませんか? 【新連載:「もはや日記とかそういう次元ではない」熊谷氏】
▼社会人とのメールはこちらを参考に!
・【コピペ用就活メール】OB訪問/説明会/面接/日程変更/内定時のお礼や返信で使える例文11選【ビジネスマナー】
▼OB訪問前は以下の記事も参考にしてください!
▼OB・OG訪問のここがわからない!? では、お答えします!!
・OB訪問の質問・メールを『元人事』が解説!事前準備のやり方と企業別の事例まとめ