日系志望には外資系は関係ないのか?
外資系企業を選考の対象に入れている学生は少ないかもしれません。採用をしていても「外資系は英語力が必要とされるから、自分ではムリ」「安定志向だから日系企業がいい」といった答えをいただくことがあります。
そんな日系志望の方も、以下の3つの理由で外資系企業を受けることをオススメします。
(1) 最優秀層と切磋琢磨できる
(2) 選考の時期が早いため就活の訓練に最適
(3) 優秀さだけで勝負できる環境
では、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
外資系を受ける利点(1) 最優秀層と切磋琢磨できる
外資系企業を積極的に受ける学生には、日本でもトップクラスの優秀な方が多くいます。つまり、外資系を受けることでトップがどれほどの実力か理解し、さらに彼らと就活の練習をすることができるのです。
ここで、ある私立大学生の事例を紹介します。彼は商社志望でしたが、軽い気持ちで外資系も受けてみようと考えました。人生初めてのグループディスカッションをしたのは某外資系コンサルティングファーム。自己紹介で「東大の医学部です」「京大の理系院生です」「MBAをハーバードで取得しました」など、戦う前から消え入りたくなる方たちと同じグループになったそうです。
実際のディスカッションでも彼の意見は「数値的根拠は?」「多数が支持するから正しいとは限らないよね」などと突っ込まれ完璧に論破されました。その企業は当然ながら選考段階で落ちてしまいましたが、その後日系企業のグループディスカッションでは段違いで楽だと感じたようです。同じようなコメントは早期に外資系を受けた商社・金融志望の学生にも聞かれ、外資系の選考によって鍛え上げられた論理的思考力やリーダーシップで、本命である日系企業の内定を総なめにしていました。
もし本命企業が日系企業ならば、トップ外資系企業の選考で切磋琢磨して自分の実力を鍛えることで、「あれ? 簡単に内定が取れるぞ?」状態になることも夢ではありません。本命企業でいきなり玉砕するリスクを抱えるよりも、ずっと賢い方法だといえるでしょう。
外資系を受ける利点(2) 選考の時期が早いため就活の訓練に最適
とはいえ、外資系企業の選考がもし本命である日系企業と同じ時期に始まっていれば「選考対策で忙しくなって本命企業がおろそかになる」という問題が起きるかもしれません。しかし外資系企業は通常、日系企業の選考が始まる半年以上前に本選考をスタートしています。
外資系は通常、学部3年生・院1年生の5月ごろから説明会をスタートし、内定は最速でその年の夏に出ます。ということは、外資系企業の選考を受けることで日系企業を受ける前に、就活の訓練ができるだけでなく「これから本命業界の選考か、まあ俺は外資系の内定持ってるけどね」という一歩進んだ状態から日系就活をスタートできる可能性もあるのです。
内定を1つ持っておくと、心にも余裕が生まれて日系企業を安心して受けられることでしょう。また、もし本命日系企業を受ける中で「本当は外資系に向いているような性格だったのかも」と感じるようなことがあったとしても、外資系企業を一切受験していなければ後から外資系を受け直すことはできません。外資系をあらかじめ受けて向き・不向きを考え、幅広いキャリア選択の余地を残しておくほうがリスクヘッジの観点からもオススメです。
外資系を受ける利点(3) 優秀さだけで勝負できる環境
就活のシーンを想像すると「私はどうしても御社に入りたいです!」と必死でアピールするリクルートスーツ姿が思い浮かぶかもしれません。こういったイメージは日系企業の選考では当てはまることも多くあります。しかし、外資系企業では志望動機よりも優秀さを最優先に考えることが多いため、志望動機に時間を割く必要性が日系企業ほど高くありません。
志望動機ではなく、地頭のよさやリーダーシップで優秀な学生が競い合う外資系の選考は、「あいつはできない学生だけど、本当にウチの会社が好きそうだからなあ」といった人情で採用されないことを意味します。これは一見怖いことかもしれませんが、就活の力を伸ばすという目的であれば最高のトレーニングです。
ただし、外資系が志望動機をまったく問わないわけではありません。外資系企業は日系大手企業に内定者が引き抜かれてしまうことを警戒していますので、最終選考の前までには志望動機を考えておきましょう。特に、外資系企業の最終選考であるインターンともなれば、最大で1,000倍にもなる選考を潜り抜けたトップの学生が集まります。「最高の学生の間でどちらを採用するか悩んだときに、最後は内定辞退をしなさそうな志望動機の学生が選ばれる」可能性は十分にありますので、準備は怠らないようにしましょう。
自分を成長させるための就活でキャリアの可能性を拓こう
以上、日系志望の学生にも外資系の選考をオススメしたい理由を列挙しました。
就活というとどうしても自分が気になる業界ばかりを調べ、選考を受けてしまいがちです。しかし時には「自分を成長させてくれる就活」という観点で、早期に募集をしている外資系企業をはじめとする高みを目指してみるのはいかがでしょうか。受けなければ内定する確率はゼロですが、受ければ可能性が生まれます。まずは応募して、キャリアの可能性を拓いていってください。