自信満々で提出したエントリーシートが、箸にも棒にもかからず、選考落ちになってしまう。徹底的な企業研究をした上で書いた志望動機なのに、何度も自己分析をして書いた自己PRなのに。これは誰もが通る就活における最初の関門です。
なぜこのような悲劇が起こるのでしょうか? 実は学歴や資格よりも圧倒的に重要なことが、エントリーシート(ES)から抜け落ちてしまっているためなのです。
今回は、読み終わるまでに就活エントリーシートマスターになれるスキルを紹介したいと思います。
<目次>
●エントリーシート(ES)のダメ例文1:日本語の文法ミス
●エントリーシート(ES)のダメ例文2:起承転結で書いている
●エントリーシート(ES)のダメ例文3:志望動機や自己PRの書き方が残念
●ESの作法さえ理解していれば、文章は大幅に改善できる
エントリーシート(ES)のダメ例文1:日本語の文法ミス
留学生として日本に来ている方以外は、日常生活で日本語文法にそこまで気を配ることはないかもしれません。
しかし、ESは話が別。採用担当者は1日に多くて数百人のESを読んでいます。
ただし彼らは「隅から隅まで全てのESを熟読する」ことが仕事ではありません。「めぼしい学生を面接に通す」ことを目指しています。そこで読みづらいと判断されたエントリーシートは、志望動機やエピソードの中身を査定されることもなく、あえなく選考落ちしてしまうのです。
以下のエントリーシートを見ながら、具体的なダメポイントに触れていきましょう。
私の強みはコンサルテーションを通じてリーダーシップを取れることです。ボランティアのフリースクールのイニシアチブを取りサブリーダーとして3年間活動しています。特に頑張ったのは親御さんも参加でフェスで運営マネジメントで、予算不足を一般企業のスポンサーシップで解決し来場客数を従来の2倍に伸ばし大成功となりました。
ダメポイント:カタカナが多すぎ!
エピソードは立派なのですが、カタカナが多すぎて目がチカチカします。フリースクールといった固有名詞なら外来語を使うことも多々あります。インターンシップなども同じでしょう。できれば「コンサルテーション」は「課題解決」、「イニシアチブ」は「主導権」と言い換えて読みやすい文にしましょう。
なお、先日これとは逆の例で「其の時、私は運営管理へ謂った」などと漢字を使いすぎているパターンもあったので注意。新聞で使われるような言葉で書くように心掛けると良いと思います。自分が採用担当になったつもりで、読みやすいESを作っていきましょう。
ダメポイント:助詞の繰り返し
「で」や「の」など、助詞を繰り返して使うと文意が伝わりにくくなります。できる限り助詞は変化させていきましょう。また就活生によくある文法ミスが「~したり」という表現を1度しか用いないこと。「~たり」は2回繰り返すときにのみ使える表現です。こういった日本語文法は、Wordを使えば自動で検知してくれるので、事前に確認しておきたいところです。
エントリーシート(ES)のダメ例文2:起承転結で書いている
ESを書く際に、起承転結を意識しすぎた文章を書くと、採用担当者の80%は「転」へ至る前に読むのをやめてしまいます。先ほども言った通り、「次の面接に通そう」とは思ってもらえないためです。
実は、社会人の文章は起承転結とは全く異なる順番で書かれています。それはずばり
結論→背景事情→結論と将来への展望
です。これが一般的な書き方です。まずは、起承転結で書かれたエントリーシートの例文をご覧ください。
私は大学1年生の頃からオーケストラでバイオリンを担当しています。2年生の文化祭コンサートで、栄えあるバイオリン部門のトップに選ばれました。しかし人間関係のもつれにより、開催2カ月前に部員の1/3が抜けてしまうという問題が起きました。そこで私はセミプロのチームに接触し合同開催を企画しました。その結果、無事人数が補填され部で史上最高の人数を動員することができました。
次に、結論→背景事情→結論で書かれた例文を見てみましょう。
コンサートで史上最高人数を動員しました。私は大学1年生の頃からオーケストラでバイオリンを担当し、2年の文化祭コンサートでバイオリン部門のトップに選ばれました。しかし人間関係のもつれにより、開催2カ月前に部員の1/3が抜けてしまうという問題が起きました。そこで私はセミプロのチームに接触し合同開催を企画しました。その結果、無事人数が補填され部で史上最高の人数を動員することができました。
これだけで最初の一文で「おっ、この学生はすごいな」と採用担当者に興味を持たせる文章になったことが伝わるはずです。こうしてやっと、100%のアピールを伝えることができるのです。たかが言葉の順序、されど言葉の順序。ご自身のエントリーシートの順序を、ぜひ見直してみてください。
エントリーシート(ES)のダメ例文3:志望動機やエピソードの書き方が残念
ものごとは表現の仕方によってかなりイメージが変わります。就活においては、自己PRや自己分析などがまさにその表現に当たるでしょう。就活では学生のときに意識していなかった「ビジネスで受ける表現」に挑戦しなくてはいけません。言い換えれば「採用担当者に受けるアピール」をしなければならないのです。そう、先ほどの自己PRや志望動機の書き方を変更するのです。
では、どういったものが「ビジネスで受ける」のでしょうか?
ビジネスで受ける表現の特徴
・成果が数字で分かる
・説得力があり、誰が読んでも話の中身が伝わる
・お金もうけにつながりそうな内容になっている
・「私」がエピソードの中で何を考え、どう行動したかが明確
こう書くととても大変そうに見えますが、実はどんなエピソードもビジネスで受けるように書くことができます。「ボランティアで貧困地域に学校を建てた」というエピソードで例文を書いてみますので、比較してみてください。
ビジネス受けしない文章
私は高校時代からずっとボランティアに参加しており、発展途上国で貧しい子供達を支援しています。初等教育を受けられないほど貧乏な子も多く、また学校も少ないため遠くへ通わなくてはいけません。そこで団体では車で移動できる「動く学校」を作り、貧困地域の子供達を訪問して勉強ができるよう支援しています。前回の訪問では、子供達へ数学を指導しました。たくさんの笑顔を見ることができ、また一緒に参加した子からも喜んでもらえました。
ビジネス受けする文章
ボランティア活動を各メディアでPRし、スポンサー企業の媒体露出を120%に伸ばしました。私は高校時代からずっとボランティアに参加しており、発展途上国で遠方の学校へ徒歩で通わなくてはいけない児童向けに、私はスポンサー企業の支援により車で「動く学校」を作りました。前回の訪問では子供達へ数学を指導する様子をプレスリリースとして発信し、企業のメディア露出を120%に向上、同企業製品の売り上げに貢献しました。
この2つは全く同じエピソードでも、読み手の印象が全く異なります。前者を読んだ採用担当は「いい子なんだなあ……で、雇ったらお金稼げるの?」と思うでしょうが、後者を読んだ場合は「この子は広報部で売上げも意識して働けそうだ」と受け止められるでしょう。企業の採用担当者は、決して「いい子」を取りたくないわけではないのですが、それ以上に就活の採用では「入社後、稼げるかどうか」を重視していると考えてください。
ESの作法さえ理解していれば、文章は大幅に改善できる
以上、ESの典型的なダメ例文と、その改善案をご紹介しました。ESは「素晴らしいエピソードをひたすら書く」のではなく「素晴らしいエピソードになるコツを使って書くもの」です。ぜひ、あなたの志望動機や自己PRなどのエントリーシートを見直して、就活の選考に通りやすい内容に書き換えていってください。
ESは就活における企業への最初の選考です。時間をかけて書き、場合によっては手書きで封筒に入れて郵送したのに、面接に呼ばれなかった……なんてことがないよう、入念に対策をしていきましょう!
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※こちらは2016年1月に公開された記事の再掲です