※こちらは2017年6月に公開された記事の再掲です。
こんにちは、トイアンナです。
就職氷河期やリーマン・ショックのころから、子供の就活へ親が積極的に参加する風潮が強くなりました。バブル期に就活をした親の世代とは違い、現在の内定は努力のたまもの。中長期のインターンへ参加しOB・OG訪問を何件も重ねるなど自分の時とは違う様子の我が子を見るうちに親は「親として何かしなくてもいいのだろうか」と不安に駆られて、ついサポートの手が伸びます。
今回はトップ企業に内定した学生へ調査を実施し、実際にうれしかった親のサポートと「本音をいうと邪魔になった」過干渉をぶっちゃけていただきました。
迷惑なケース
└(1)志望企業へ口出しする親は就活の邪魔
└(2)温かなサポートのつもりが傷口に塩感謝のケース
└(1)社会人の知恵が生きる具体的なアドバイス
└(2)頼んだことを手伝ってくれる
└(3)メンタル面で支えてくれる
迷惑なケース(1)志望企業へ口出しする親は就活の邪魔
学生へ「就活の邪魔になった親」の話を聞いてみると圧倒的に多かったのが、志望企業への口出しでした。
学生のコメント:
家に帰ったら5大商社の名前が挙げられた紙があり、「ここに入れ」と言われた。就活とは何たるかを知らねえくせになんだよおい……と思った。言葉にならなかった。
というのは、あるトップ学生のコメント。5大商社とは三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅を指しますが、総合職の採用人数は合計しても1,000人足らずと難関です。さらに資源価格の変動によりトップ2社は赤字へ転落(※1)。今や「総合商社に入りさえすれば安泰」という時代は終わりを告げています。(※2)
このように時代の趨勢を無視した親からの一方的な指示は子どもからの反発を招きます。私が過去に伺った相談事例でもあえて親の指示する企業を受けなかったケースから、プレッシャーを感じすぎて「言われた会社に入れないからもうだめだ」と鬱(うつ)状態になってしまい、大学中退へ追い込まれたケースまであります。親の一方的な押し付けは、悪影響しか及ぼさないのです。
(※1)参考:東洋経済ONLINE「三井物産・三菱商事、「初の赤字転落」の深刻度 チリ銅鉱山で巨額減損、資源不況が商社直撃」
(※2)こちらの情報は2017年時点のものです。
迷惑なケース(2)温かなサポートのつもりが傷口に塩
続いてこちら。画像は実際に親御さんから就活生へ送られてきたLINEです。
こちらの親御さんは、子供が三菱商事を受けていると知って新聞の切り抜きを撮影し送ってくれたとのこと。なんと温かい支援……と思いきや、実はこの時点で本人は選考を落ちていました。報告したにも関わらず選考に落ちたことを忘れてせっせと「入社できない憧れの企業」の切り抜きを送ってくれる親。ありがたいけれど、傷口に塩を塗るとはこのこと。
選考を受けている企業の情報を調べて、情報を送ってくれる支援はありがたいもの。パソコンが使える親御さんなら、選考状況をリストアップしたExcelシートをクラウドで共有して「そこ、もう落ちてるんだけど……」という気まずい会話を避けましょう。
感謝のケース(1)社会人の知恵が生きる具体的なアドバイス
ここからは逆に、親からの支援が「ありがたかった」と就活生が教えてくれたケースを見ていきましょう。
学生のコメント:
ずぼらかつ身だしなみに気を遣えない性格なのを両親が理解しており、実家にあったプレス機を送ってくれました。自分にはない視点だったのでその後もアドバイスを何度かもらいました。感謝しています。
就活で学生が気を抜きがちなスーツ・靴・カバンといった外見ケア。しかし、いくら完璧なエントリーシートや面接の準備をしても、外見に清潔感がなければ選考は突破できません。こうして社会人の先輩からお手入れのコツを教えてもらえるのは非常にありがたいものです。
感謝のケース(2)頼んだことを手伝ってくれる
そしてどんな子供でもありがたいのが「頼んだことを手伝ってくれる」親。といっても履歴書やエントリーシートを代筆するなど、過度に甘やかすことではありません。親御さんが指導できる2大分野は「自己分析」と「筆記試験」です。
こちらの画像は学生さんが自己分析の手伝いを親に頼んだ様子。長所に具体的な過去の経歴を添えられており説得力があります。右側の画像では短所もストレートに書かれているため「親だから甘い評価」とはならない支援となっています。
学生からは「これまで母親にアドバイスを求めたことが人生で一度もなかったが、やはり母親はよく見てるなと、参考になりました」との本音が。普段は頼ってこない自立心の強い子でも頼りたくなるのが就活の場です。親御さんは、就活に役立つような具体的な支援をしてあげましょう。
筆記試験は、親子で得意科目が異なる場合に支援が有効です。例えば「英語が得意だけれど数学はからっきし」という学生はSPIを始めとする筆記試験で苦労します。相談すれば、絞り込みラインを突破できるよう解決法を教えてもらえるでしょう。
感謝のケース(3)メンタル面で支えてくれる
最後に精神面でのケア。就活中は受験とは比べ物にならない数の企業を受け、そして落ちていきます。そんな時に親に「なぜ落ちたの」「何が足りなかったの」と問い質されては精神的に立ち直れなくなってしまいますが、そんな親ばかりではありません。
実際に声をかけてもらいうれしかったエピソードを伺いました。
学生のコメント:
他に選考中の企業がない状態で2週間ぐらい本命企業の選考結果を待たされメンタル死んでたことがあります。私の帰省は普段自費なんですが「お金出すから帰ってきていいよ」って親に言ってもらった時はほっとしました。結局帰省はしませんでしたが、この一言があるかないかは大きかったと思います。
このようなご報告は複数あり、いざという時の支えに親が大きな役割を果たしていることが分かりました。1人暮らしで奮闘している学生にとって「帰ってきていいよ」と言ってもらえるのは大きな支えとなります。
こちらは選考状況を報告した、別の就活生と親御さんのLINEです。「応援しています!」という背中を押してくれるメッセージと、かわいい絵文字が合わさり精神的な支えへつながっています。他の学生からも「LINEスタンプなどでポップに応援してくれたので気楽に読めた」など、重くなりすぎないメッセージを心地よく感じているようです。
これから就活を応援するなら「背中を押してあげる」
ここまで、実際の就活生が迷惑だと感じた、あるいは感謝している実例を中心に親としての関わり方をご案内してきました。学生のためになった就活支援は、下記のどれかに当てはまります。
【学生がありがたいと思う親のサポート】
・社会人経験にひもづいた具体的に役立つノウハウ
・今、受けている企業の情報
・背中を押してあげる気楽なアドバイス
これらの支援がうまく働くケースは、根底に普段からの密なコミュニケーションがある場合がほとんどです。就活がより本格化する前から気軽にLINEのやりとりをしておくことをオススメします。
※読みやすさやプライバシー保護の観点から、学生のコメントを一部編集しています。なにとぞご容赦ください。
▼内定後に読みたいオススメ記事はこちら
・もし親が「この内定、辞退して」と言ってきたら?人生を導く「親ブロック」の処方箋
・内定辞退の連絡方法は電話?メール?内定辞退のマナーを知ろう
・承諾&辞退のポイント!/失敗しない最終面接の準備/グループ面接突破の戦略【今週の記事まとめ】
「キャリアを考える 親のこと」特集|記事一覧
Vol.1 トイアンナ:就活を邪魔する親と、感謝される親の違いとは?LINEで見るトップ学生の本音
Vol.2 りょかち:「大人サンプル」を親以外に増やすことの効能
Vol.3 ニャート:地元で就職する気がなくても、地元の企業分析だけはやっておこう
Vol.4 北野唯我(KEN):父よ、母よ。まずはお前が仕事を楽しめ。「就活のアドバイス」はその次だ。