こんにちは、ワンキャリ編集部です。
OB・OG訪問での鉄板の質問といえば、「同業他社との違いはなんですか?」。
どの企業を志望するかを決める際にも、選考で面接官にとって納得感ある志望動機を準備するためにもキーとなるこの質問。今回は、広告代理店3社の先輩に、ライターみやけよう氏がOB・OG訪問した様子をお伝えします!
A社の先輩:電通・博報堂・ADKの営業スタイルに、ぶっちゃけ、違いなんてありません
みやけ:電通・博報堂・ADKの3社がよく比較されると思いますが、社員の方から見た具体的な違いを伺いたいです。Tさんは営業担当とのことですが、営業スタイルはどう違いますか?
Tさん:僕も就活生の当時は気になっていましたが、ぶっちゃけ営業スタイルなんてどこも変わらない。それが真実ですね。とはいえ、テレビといえば電通、プロモーションは博報堂、アニメはADKといった、元々持っている会社の特色や強みに違いはあります。ただ、これはあくまでツールなので、営業スタイルが変わるわけではないですね。
みやけ:それぞれ会社の強みはあっても、縛られることなく仕事を進められるのですね。
Tさん:例えば、電通だからって「何が何でもテレビの枠を売る!」なんてこともないんですよ。それに自分たちが「A社っぽい」と染まっている実感もないですし、それは他の2社の方々も同じだろうなと思います。
※「広告代理店において“引き出しの多いミーハー”は最強:みやけようのOB訪問体験記 Vol.7」より
1人目、日系に勤めるA社の先輩は、「日系大手3社の営業スタイルは変わらない」「ただ、持っている特色や強みに違いはある」と語ってくれました。
続いて、外資の広告代理店にお努めのC社の先輩の答えを見てみましょう。
C社の先輩:外資は日系と違って、社内の飲みに関してもドライ
みやけ:日系の広告代理店と比較して、働き方の違いを感じることはありますか?
Rさん:ありますね。最近、日系の代理店で営業2年目の方と一緒に仕事をしたのですが、私と同じクライアントの他にもう1つ担当しているうえに、上司に週に何回も呼び出されて飲みに行っているそうです。その方と一緒に飲んでいた時も部長から電話かかってきて驚きました(笑)。
みやけ:広告営業マンだとそれが普通だと思っていましたが、C社ではないんですか?
Rさん:営業になって3年経ちますが、接待らしい接待は一度もなかったですよ。海外からクライアントが来る時にディナーに行くことはありますが、いわゆる代理店のイメージにあるような「カラオケ行って朝までオール!」なんてしたことないですね。
日系の代理店は「接待してナンボ!」の世界がまだ残っていて、飲んだ次の朝に、クライアントが追加予算をだしてくれることもあるみたいです。外資は社内の飲みに関してもいい意味でドライなので、仲は良くても、仕事終わって飲みに行こうなんて言ったこともない。プライベートと仕事をキッチリ分かれていて、接待がないのは私にとって素晴らしいことです(笑)。
みやけ:飲みの文化にも日系と外資の代理店で大きな違いが現れるものなんですね。
※「“CMで儲ける”という利益構造じゃないから、広告営業はコンサルに近い:みやけようのOB訪問体験記 Vol.14」より
2人目、C社の先輩のお話からは「外資は社内外問わず、飲み会がドライ」ということが分かりました。日系と外資では営業スタイルが大きく違うようですね。
最後は再び日系の広告代理店にお努めのB社の先輩です。
B社の先輩:電通は結果主義、博報堂は本質主義、ADKはコツコツ主義
広告代理店に、人の違いはあまりない
みやけ:きっとOB訪問でも、他の広告代理店との違いをよく聞かれると思うのですが、実際に違いは感じられますか?
Yさん:個人の比較なら代理店ごとの違いは、あまりないと思いますね。これは代理店が、モノが無くてヒトしかない環境だからこその特徴でしょう。職種の数も横の幅も広がって、変動している最中なので、中心になるペルソナ像が定まらないということもあります。
電通・博報堂・ADKは、何を「許せないか」が違う
Yさん:ただ個人の比較ははっきりしなくても、会社環境による視座の差はあると思いますね。日系トップ広告代理店3社を比べても、何を見て仕事をしているのかという視座に違いがあるとは思います。それは、「好きか嫌いか」、「許せるか許せないか」という差、というのか。
みやけ:3社の視座の違いですか……? 具体的に知りたいです!
Yさん:まず電通の場合は、売上があがらないことは絶対にあり得ないんです。電通は企業体力があるので、メディアの枠を1度買い切ってクライアントとマッチングさせることができる。クライアントに「枠を用意できません」という状況があり得ないし、媒体社側にも、この枠は自分たちで売り切りますと言う。売上に繋がることは、全て何としてでもやるというのは電通の心情だと感じますね。
みやけ:なるほど、結果主義なんですね。広告代理店の代表モデルなんですね。
Yさん:アサツー ディ・ケイ(ADK)も、わりと電通と同じ体質ですが、最近ではデジタル領域に力を入れていますね。ウェブ運用によって信頼を築いて、「僕たちに管理全体をさせませんか?」というモデルをとるようになっています。小さなところから扱える範囲をコツコツこなして、信頼を獲得する。そこから拡張させていくイメージですね。
みやけ:得意な領域の違いから、視座が変わっているということですね。結果主義の電通に対して、ADKはコツコツと着実に積み上げていくという。では博報堂の視座はどこにあるんでしょう?>
Yさん:博報堂は、そもそも発想がメディアから始まってないんじゃないかな。「自分たちが存在することで、悩んでいる人やクライアントに残せる価値は何か?」ということから考えているこだわりを感じます。「本質って何でしたっけ?」という話が大好きなんですよ。クライアントのビジネスを根本から考えた時に必要なことが浮かんできたら、その内容がメディアや広告に関わらないことでも言わずにはいられない。クライアントが突っ込まれたくないことでも正論を言ってしまう感じ。真っ向勝負のバカ正直者で、青臭いという印象があります。
電通は実際に売上げを作るから、クライアントに信用される
みやけ:お話を聞いて、思考的に対局をいく電博と、中庸をいくADKというイメージを抱きました。特に電博を比較すると「売上をあげられないことは許せない」と「本質を考えられないことは許せない」という視座がハッキリ分かれているんですね。
Yさん:電通は「とにかく露出したいんだ! 絶対に失敗できないんだ!」というクライアントの意志に対する責任を果たす姿勢・能力は圧倒的だと思います。だからオリンピックの放映権を買い取る努力もするし、そのための力もあるし、是が非にもクライアントのオーダーを叶えていこうという意思が明らかですよね。電通の場合は悩んでいる人の課題に「できない」とは言わないことが絶対条件で、なにより実際に「売上を作ります!」というところで証明しています。それがクライアントの信用に繋がっていると感じますね。
みやけ:となると、クライアントの指向性も異なってくるのですか?
博報堂は相手の気持に立つから、クライアントに愛される
Yさん:そうですね。博報堂は出来る・出来ないの前に、「どうしてこれをやるのか? 本当に価値になるのか?」という部分をきちんと決めて、クライアントと納得するところから始めたいという気質を感じます。自分たちの都合だけではなくて、届けたい人の気持ちに立っているのかと、考えたがっているんです。
だからこそ「僕達の課題が何なのかを考えてくれた上で、広告を提示してくれるなんて、なんて密な付き合いなんだろう!」と思ってくれるクライアントに愛されているのだと思いますね。
※「結果主義の電通、本質主義の博報堂、コツコツ主義のADK:みやけようのOB訪問体験記 Vol.12」より(一部改変)
B社の先輩によると「企業が違っても人の違いはあまりない」そうです。A社の先輩が営業スタイルにあまり違いがないと語っていたのと通じるところがありますね。
一方、A社の先輩が日系大手3社の違いを「持っている特色や強みに違いはある」と簡潔に語っていたのに対し、C社の先輩はさらに掘り下げてお話くださいました。
「業務を進める上で何が許せないかや、それに起因するクライアントとの関係性」に違いがあるようですね。
OB・OG訪問したら、後日総括しよう!
3社の先輩のお話を総括すると、こんなことが分かります。
1. まず、外資と日系で大きく文化が違うこと
2. 日系の中なら、企業ごとの人や営業スタイルの違いはあまりないこと
3. 日系大手三社の違いは、会社の持つ特色や「何を許せないか」から生まれていること
具体的な情報ももちろん大切ですが、複数の方がおっしゃったことを自分なりにまとめなおしてみることも大切です。
たとえば、B社の先輩は「広告代理店は企業による違いはあまりない」とおっしゃる一方、C社の先輩は「日系と外資で働き方は違う」とおっしゃっています。一見、矛盾しているようですが、内容をよく読み解くとB社の先輩のお話に外資系企業のお話は出てきていません。とすると、B社の先輩が語っている「企業による違い」は「日系の広告代理店の比較のお話」かもしれないと想定できます。
このように、OB・OG訪問後には自分なりの総括をしてみることをオススメします。OB・OG訪問をうまく使って、就活を進めていってください!
文中で引用した「ワンキャリアのOB訪問体験記」、こちらもオススメです!
1. 総合商社:「やりたいことがあるなら商社に来るな」
2. 広告代理店:「広告代理店に向くのは、いい意味で不感症な人」
3. 外資メーカー:「5年経ったら専門性は変えられない―ファイナンスは望まない『専門性の枠』だった」
4. 外資IT:「日系でもなく、外コン外銀でもない、バランスを求めた人が集まるのが弊社」
5. インターネットサービス企業:「本質的な仕事は、コンサルではできない」
また、志望動機の対策をまとめた、オススメ関連記事はこちらです!
・志望動機の書き方と例文集!就活のES・面接で役立つアピール方法