働きやすいのにうつ病続出!?
こんにちは、ワンキャリ編集部のトイアンナです。
これは、ある「女性が働きやすい会社」として知られるA社で働く女性のキャリア相談に乗ったときの話です。「実はウチの会社、結構うつ病になる人が多くて」と、赤裸々な告白が。A社では男女平等に昇進でき、育休の取得率も高く、さらには自宅勤務まで選べる先進的な企業でした。それなのに、うつ病とは?
話を聞くと、A社では男女問わずうつ病が多発しているようでした。原因は、業績悪化に伴うリストラで、1人あたりの業務量が増加したこと。毎日深夜まで残業をすることで、精神的にも追い詰められる人が増えてしまいました。
この会社は確かに男女平等を貫いていますが、果たして「働きやすい会社」と呼べるでしょうか? 昨今はどの企業も「女性が活躍できる」面を強調していますが、その内実について今回は「男女平等」と「女性優遇」の2つの視点からご一考いただければと思います。
視点1:「男女平等」型の女性が働きやすい会社
世間一般に「女性が働きやすい会社」として説明されるのは男女平等の部分です。女性でも出世できる、昨年は初の女性役員が誕生、一般職から総合職へのキャリアアップも可能。従来の「お茶くみは女性」の時代から、大企業を筆頭に変革が起きはじめています。
ただし、男女平等であるということは出世競争にも平等に組み込まれることを意味します。飲みニケーションが取引先と必要になれば、週に何度も飲み会へ参加するかもしれません。大事な企画を通す前日は、準備で徹夜なんてことも。
激務度は業界や企業によって変わるため一概にこういった業務が発生するとは言えませんが、男性と対等にやりあう覚悟は必要です。
また、時間の経過とともに人生の選択肢は変わることも考えておきたい点です。20代であれば飲み会、接待ゴルフに深夜残業も耐えられるかもしれません。しかしもし40代で、小学校に入る前の子供がいたらどうでしょうか。子供に熱があると、保育園へは預けられません。子供の発熱と大事なプレゼンが被っていたら……? 現在バリバリ働く女性は、ベビーシッターを雇うか、夫が専業主夫になっているケースが多いようです。
キャリアは今の体力、時間配分のまま継続できるものではありません。激務の会社で20代は自分を鍛え、30代から転職して専門分野で生きるなど、人生の変化に合わせて働き続けるキャリアプランを構築する必要があります。その対価として得られるものが裁量権の大きい仕事、やりがい、そして男性と同じ水準の給与といえるでしょう。さらに、年齢を重ねるごとに家庭のことも考える必要もでてきます。男女平等型が自分の求めるキャリアかどうか見極めましょう。
視点2:「女性優遇」型の女性が働きやすい会社
女性をあえて男性より優遇している会社もあります。たとえば未就学の児童がいるうちは時短勤務で必ず16時に帰れるよう、仕事の量を調整してくれる。営業や経営企画など取引先の都合で残業が多くなりやすい部署ではなく、仕事量を自分でコントロールしやすい部署へ配属してくれる、といったものです。
こういった会社では女性が長く勤務してくれることを願って女性を優遇しますが、その反面「自分の希望しない仕事へ回される」「早く帰らされることによって重要な会議へは出席できない」といった不平等感を抱える女性も多くいます。
私の聞いた話で女性が働きやすいと有名な大手広告代理店の、営業に配属された女性Bさんの例があります。Bさんは入社1年目で妊娠し、1ヶ月の産休を取りました。会社はBさんが子供を育てながら深夜まで業務が続く営業を続けるのは困難だと判断し、総務部へ産休後に異動させました。しかしBさんが望んでいたのは大変でも直接広告制作に関わることができる営業職。結果、Bさんは復帰後すぐに退職してしまいました。
会社が女性を優遇することで恩恵を感じる方もいれば、「キャリアから外された」と感じてしまう方もいます。このような理由からの望まぬ退職を防ぐため「女性が働きやすい」という言葉が何を意味するか、入社前に確認しておいたほうがよいでしょう。
自分に合う「働きやすい会社」の見つけかた
では、どうすれば働きやすい会社を自分で見分けることができるでしょうか。できれば入社前の段階で「産休や育児休暇から復帰して働いている女性」の話を聞かせてもらいましょう。
気にすべきは、「復帰後のキャリア」に関する2つのポイントです。
(1)管理職として昇進しているか
(2)フロントオフィスかバックオフィスか
昇進しており、営業や企画などのフロントで働いている場合は男女平等型の働きやすい会社である可能性が高く、専門職として経理や人事などのバックオフィスにいる場合は女性優遇型である可能性が高くなります。
「他の女性社員は復帰後に同じようなキャリアコースを取ることが多いのでしょうか?」と質問することで会社全体の方針を把握するとなお良いでしょう。
自分なりの「働きやすい会社」の条件を突き詰めて考えよう
ここまで、女性が働きやすい会社の2パターンと、そのメリット・デメリットをご案内してまいりました。最長40年以上働くことになる会社選びですから、ふわっとした「働きやすい」という言葉だけで納得せず実際に働く女性の話を伺うなど深掘りした社風への理解を深められるよう、頑張ってください!
※こちらは2018年1月に公開された記事です。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、働き方に関して変化している部分もあります