今回は理系女性として戦略的に就活へ取り組み、就職と結婚のW内定を決めたYさんからお話を伺いました。
地方勤務を理由に別れる周囲を見て危機感が生まれた
——理系女性としての就活に、どのような意識を抱いていましたか?
Yさん:何よりも就職と結婚の両立に悩みました。結婚願望がもともとあって、家族や親戚同士も仲がいいような世界を作りたかったんです。
この就職と結婚について考え始めたとき、まず身近なのは研究室の先輩でした。そうすると学生の時に付き合っていた人とそのまま結婚するというパターンは少なかったんです。
研究職の就職は地域に行く場合が多いんですけど、地域が違うとやっぱり関係が続きにくいですよね。結婚にいたる前に別れてしまったり、結婚に踏み出しにくかったりということがあります。奥さんが辞めて旦那さんの勤務地近くにするか、専業主婦になるという決断を迫られるわけですから。
そういったことから「就業する地域は大切だな」と意識しました。
「 社会に出たら可愛い慶應の子やワセジョと戦わないといけない」
——学生のときからの彼と結婚するという前提でお話しされているように聞こえますが、社会人になってから出会いを探すという考えは当時ありましたか。
Yさん:理系では社内結婚も一般的です。ただ、私は院卒だから24~25歳のスタート。もう若さも失っています。東大なら女性が圧倒的に少ないという優位性もありますが、社会に出たら周りの可愛い慶應の子やワセジョ、みんなの中で戦わないといけない。これは無理だろうと身に染みて分かっていました。
高校時代は、大学に入ったら私も彼氏ができるものと思っていました。同級生は大学に入ってすぐ1人目の彼氏を作って、別れたと思ったら2週間後には新しい彼氏ができている。
東大は男性が多く女性はモテるので「勘違い系・東大女子」と呼ばれる子もいたりします。スタバでバイトして、彼氏はいるのに複数の男性との写真をSNSにあげて「こんなに人気者」って見せるようなのが典型例ですね。
でも、そんな中で私はモテなかったんです。私は振られる一方で、大学3年生くらいまで誰とも付き合っていなかった。このまま就職したとして、彼氏を作って結婚できるのかなと。
そんなとき、縁あって研究室の先輩と付き合うことになったので、もう絶対この人だなと。なので、社会人になってから出会いを探すというふうには考えていませんでした。
都内の研究職は誰でもできる内容しかない
——理系就職の場合は地方勤務が別れのきっかけになるとのことですが、都心の就職をする選択肢はなかったのでしょうか。
Yさん:理系の研究職で都内でとなると化粧品メーカーなどが当たります。しかしそれらの研究は正直にいって誰でもできる内容です。年収も地方勤務と比較すると地方の専門的な職種の方が高い。私は2年間大学でしっかり勉強した専門の化学職に就きたかったので、あまり都内の就職は考えていませんでした。
第一志望へ向けて80社の選考で「練習」
——就活で特に頑張ったことを教えていただけますか?
Yさん:まずたくさん会社を受けました。文系だと50社・100社受けるのが普通ですよね。一方、理系は10~20社受けてあとは推薦で決まるケースが一般的かと思います。そんな中、私は文系の人にも数は負けないくらい受けました。プレエントリーは80社。その後、本エントリーは70社、一次の紙を出すのは60社……というように10社ずつ切っていきました。その中でステップアップしていく。
3月からエントリーした、そのすべては6月1日の第一志望の面接のためでした。
就活の軸は当時付き合っていた彼の勤務地と、自分がやりたい化学の業務、そしてライフワークバランスの充実度。どれを見ても本命企業はパーフェクトでした。
結婚と就活の両立には身の程を知っていれば前もって計画が必要
——内定と同時に婚約されたとのことですが、その婚約までの道のりを教えてください。
Yさん:私は自分の身の程を知っていて、その上で早めに結婚したいという夢がありました。だからといって相手へ妥協したというわけではないですが、お金持ち・イケメンといった世間が求めるものは優先しなかった。身の程を知っていれば、自分への妥協は必要かなと(笑)。
そして結婚へ向けては、外堀から埋めました。彼がいなくても地方のインターン中にご実家へお邪魔したり、友人とも仲良くしたり。
外堀りの「最後のひと堀り」が内定です。私はあなたの勤務地の近くを仕事場に選びましたよ、あなたはどうしてくれる? と。
6月1日の面接、帰りの新幹線で内定をいただきまして、すぐ彼へLINEを送りました。「内定しました。つきましては、プロポーズをよろしく」と。元々その後日に会う予定があったので、そのときにプロポーズとなりました。ベタなんですけどスカイツリーへ連れて行ってもらって……展望台で「結婚してください。こんな感じでプロポーズはどうでしょうか」って言ってくれました(笑)。
——「W内定」を狙う方に向けてアドバイスはありますか?
率直に申し上げて、就活が始まる前から恋人がいないと就職と結婚の両立を目標に動き始めるのは難しいかもしれません。
研究室で出会えなくても、婚活パーティや街コンなど出会いはいくらでもある。行動しないで「出会いがない」というのは甘えじゃないかなと常日頃から思っています。
また、そうやって外に出ていくのは自分の市場価値を知ることに繋がります。私も婚活パーティで自分の市場価値はこの程度なんだと視野を広げました。
先輩と付き合えば就活・研究面で楽になる
——研究で忙しい中、さらに就活と婚活。どう両立させていらっしゃいましたか?
Yさん:私の場合は同じ研究職の先輩だったので、むしろ彼がいることによって就活・研究面が楽になりました。就活のエントリーシートや研究のプレゼンへアドバイスをもらえるんですね。他にも助かった部分が多かったです。ただし、妬み嫉みも激しいですが。
——妬まれる、とは、どういうことですか?
Yさん:理系の就活で同じ研究室ごとに1人しか採らないなど枠が決まっていることが多いんですね。研究室の先輩を味方に付けた私がそれらの枠を総なめした結果、他の同期は行きたかった会社に書類審査すら通らなかったりすることもあって。私が奪ったというような見え方ができる状況でした。それによって同期との関係を難しく感じたこともあります。そういった意味で、研究室の先輩と付き合うリスクはあります。
ただ、それでも私は研究室の先輩と付き合ったメリットを大きく感じています。当時の私の悩みの多くに対して、先輩はもう何年か前の経験としてアドバイスしてくれました。
それと「婚活内定」の面からも、就活のタイミングが一緒だと勤務地を合わせにくいですよね。
合理主義的すぎるかもしれませんが、就活に限らず人生で先に成功した人と付き合うメリットは大きいです。
結婚と就活をW内定させる5カ条とは?
——婚活と就活をリンクさせるために、理系女性に同じキャリアパスを歩むためのアドバイスをお願いできますでしょうか。
1. 自分自身も、話す内容も「見せ方」を磨く
理系は実験のプレゼンを重視するといわれますが、それだけでは理系同士の差別化になりません。理系女性って人から見られることに慣れてないと思うんですよ。就活になって初めて化粧して、スーツ着て大人の前に立つような子が多いので。でも、就活って人から見られる・選んでもらうものなので、「見せ方」を意識してほしいと思います。2. 面接官と同じ年代の方と話すことに慣れる
お父さんしか面接官と同年代の人を知らない方も多いと思いますが、その理由で緊張が高まったらもったいない。この年代の人は探せばどこにでもいます。私も銀座のバーでサラリーマンと仲良くなって帰るというトレーニングをしていました。帰る時間はずらして危なくないようには気をつけて(笑)。この前モツ焼き屋で「これから面接なんですけどどうしたらいいですか?」と話しかけたおじさんも元・人事部長でした。3. 自分の市場価値を就職・婚活の両面で知っておく
あちこち自分の足で行ってみてください。具体的には飲食店や塾講師でバイトしてみたり、婚活パーティへ行ってみたりする。フットワークを軽くして、ひいては就活のネタにします。それをハタチまでに済ませておけば「何歳までに結婚したいからこうしよう」といった方向性を決められます。4. お金を貯める
就活は思いのほかお金が掛かるのでバイト代を溜めておいた方がいいと思います。例えば肉体労働系のバイトをしてみて「意外とこういう場所でも私って使えるんじゃない?」と自分に自信をつけることもできます。5. 彼と就活解禁までに結婚を意識する仲になる
就職活動が解禁される3月までには、彼と結婚を意識するまでの仲になっていた方がいいです。現在就活しててまだ彼氏がいないなら、今から作るくらいの気持ちで。——最後に、何かメッセージはありますか?
「じゃあ、結婚に向けて頑張るわ」と話をできたら片方がどんなにカリカリしていても、未来のためだと頑張れます。学部就職なら3年生の最初か、院なら1年生の最初までに彼氏を作っておいた方がいいですね。そして彼の周り、友人などから話を聞いて結婚相手にすべきか見定めます。必要なのは、攻めの姿勢です。
——ありがとうございました!
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