こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は外資系投資銀行のバークレイズ(グローバルマーケッツ部門)の本選考のポイントをまとめてお伝えします。
バークレイズの社風:挑戦する革新性とそれを育てる新人制度
バークレイズは1690年にロンドンで設立された歴史が長い世界有数の銀行です(参考:バークレイズ「歴史」)。
長い歴史と変革の精神を兼ね備える欧州系投資銀行と言えます。伝統的なイメージとは裏腹に積極的に新しいことに挑戦する風土が根づいています。
事実、以下のようなさまざまな面でバークレイズの革新性を感じることができます。
商品面では、英国初のグリーン住宅向けの低金利住宅ローン「Barclays Green Home Mortgage」、日本初の指標連動証券(ETN)である「iPath®」の東京証券取引所への上場など、世界初・業界初・地域初の商品を多数生み出しています。これらの革新性が表彰され、今までに数多くの賞を受賞してきました(参考:バークレイズ「バークレイズ、BCCJ主催の2019年度ブリティッシュ・ビジネス・アワードで『ポジティブ・インパクト賞』を受賞」)。
事業面では、2008年のリーマン・ショックで他社が混乱する中、バークレイズはリーマン・ブラザース北米事業をいち早く買収し、グローバルでのプレゼンスを高めることに成功しました(参考:Bloomberg「英バークレイズ、リーマン買収が吉と出る-前CEOの置き土産」)。過去には、調査部門や株式調査・債権調査部門で高い評価を受けています(参考:バークレイズ「プレスリリース」)。
以上のような革新性にひかれ、ある社員は「新進気鋭の会社で会社とともに成長できると考え、入社を決めた」そうです(参考:バークレイズ「社員からのメッセージ」)。大きな変化というダイナミズムがあるマーケットの中で、さまざまな新しいことに積極的に挑戦することで、より一層刺激を受けられることはこの上ない魅力でしょう。
数ある外銀の中でも突出しているフラットな社風
バークレイズの最大の特徴は「外資系投資銀行の中で、最もフラットな雰囲気がある」という点です。
特にグローバルマーケッツ部門については、木曽社長が、もともと債券出身であることもあり、社長が気さくに1年目社員と一緒にランチを食べるくらいのフラットさがあるそうです。
後に述べる、若手の裁量権の大きさも相まって「肩書きは関係なく、フラットに業務に取り組める和やかさ」が魅力であると言えるでしょう。
外銀各社の社風の比較については、こちらををご覧ください。
・【業界研究:投資銀行】米系投資銀行4社『ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、J.P.モルガン、バンクオブアメリカ・メリルリンチ(メリルリンチ日本証券)』の特徴や社風を徹底比較!
新卒育成の充実。研修制度、裁量権、業務環境は成長のきっかけに
競合他社の毎年の内定者が数人であるのに比べ、バークレイズは1人であるように少数精鋭であり、新卒からでも早期から業務に貢献していくことが期待されていると考えられます。このため、会社側も新卒に多くの成長機会を提供する環境を整備しています。
(1)研修制度の充実
バークレイズには入社前から研修制度が整えられています。具体的には、入社前に数週間に及ぶ内定者インターンが行われることに加え、月間で数十万円の英会話スクール費用負担が保証されています。
もちろん、入社後も一般的な研修に加え、入社1カ月目のときにロンドン本社で全世界の新卒が集められての研修などが用意されています。
(2)若手からの裁量権の大きさ
少数精鋭な環境から、若手からでも早期に業務に携われる傾向があります。
実際に、内定者は「3人のチームのうち1人が1年目にアサインされて実際に業務を行っているという話を聞いた」そうです。
「他の外銀もいろいろ見たが、他と比べて圧倒的に教育制度が良い」という内定者の言葉からも分かる通り、今後のキャリアを形成していくはじめの新卒で他社と比べて成長が見込めるので、早期にマーケットから求められる人材になりやすいでしょう(選考対策ページより)。
▼バークレイズの社風について詳しく知りたい方はこちら!
【合格の秘訣】企業概要・選考での評価ポイント
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バークレイズの本選考のポイント:「暗算力」と「英語力」
バークレイズのインターン/本選考を通じて見られているポイントは主に次の2点です。それぞれ詳細に見ていきましょう。
その場で小数の複雑な計算ができるほどの数字への強さを示せるようにする
マーケッツでは刻一刻と変化するマーケットにおいて瞬時に大体の計算をして投資判断を下す必要があります。
このため、入社時から複雑な計算でも瞬時に大体の値が出せる、かつどの数値を使うべきかを判断できることが求められます。実際に、筆記テストでは外銀を受ける優秀な学生であっても半分程度しか得点できない非常に難易度の高い問題が出され、その中でもほとんど満点でないと次に進めないという厳しい選考が用意されています。また、筆記テスト通過後も数年後のでデリバティブの価格予想を暗算で行うケース面接が行われています。
内定者いわく、暗算力は必須なのでヒューマネージ社の計数問題で対策するなど瞬時に大体の計算ができるようにしておきましょう。
相手に質問できる程度の英語力は必須
上述のように、バークレイズでは1年目から外国人のチームに配属される可能性があります。このため、金融用語を理解している必要は必ずしもないが、最低でもメンバーとコミュニケーションが取れるほどの英語力が入社段階で必要不可欠です。
事実、2次面接と最終面接では外国人による英語面接が実施されます。また、ケース面接を英語で行う2次面接で、内定者は「デリバティブに関する用語など、ほとんど知らない単語が飛び交っていたので、一つ一つ理解するようにそれについての説明を英語で求めた」そうです。
事前準備として、未知の単語を文脈で多少判断できる「リスニング力」と、面接官に質問できる「スピーキング力」を養いましょう。この具体的方法として、専門的な内容のスピーチ(TEDなど)を聞いて、未知の単語についてどのように質問するかを自分なりに考えることが効果的です。
▼選考におけるポイントやクチコミを詳しく見たい方はこちら!
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バークレイズの本選考のフロー
バークレイズの本選考の選考フローは以下の通りです。
1. エントリーシート(ES)
2. 筆記テスト
3. 1次面接
4. 2次面接
5. 3次面接
6. 最終面接
それでは選考のポイントを見ていきましょう。
1. エントリーシート(ES):結論を第一に、職種を意識して具体的に
バークレイズの本選考のESで注意すべきポイントは、インターン時のESと同様に人数の絞り込みが激しいということです。
設問内容は以下の通りです。
(1)第一希望の志望部門を選択した理由をご記入ください(300字)
(2)バークレイズで働きたい理由をおしえて下さい。その際、あなたの思う当社の強みを明記してください(300字)
(3)あなたの考える金融業界で働くことの魅力についておしえてください(300字)
※出典:バークレイズ|グローバルマーケッツ部門2020年卒のES
まず対策としては、結論を分かりやすく述べ、その後に理由を付けてまとめる事を意識しましょう。
本選考では大量の学生が応募していると考えられるため、残念ながらES応募数の少ない企業よりも一人一人の内容について深く読み込むことができないと想定されます。そんな中で、質問に対して冒頭から答えているESは非常に好感度が高く、「忙しい中ぱっとみて分かりやすくてありがたいな」と感じてくれることでしょう。事実、内定者は「結論→理由&具体的なエピソード」という論理構成で書くことを意識したそうです。
その他に、グローバルマーケッツでは職種別の採用を行っているので、ESでも自分の職種が明確に分かる回答をしておくことが重要です。
具体的には、セールスなら「自己PRの欄に営業系のアルバイトでの実績を記載しておく」、トレーダーなら「資格の欄に数学オリンピックでの受賞履歴など分かりやすい実績を記載する」など、自分のキャラを確立させておきましょう。「どの職種で何をやりたいのか」は面接官が最も突っ込んでくるポイントなので、ESから意識して書いておくと、その後の面接でも相手に説得力を持って主張する事ができるようになります。
▼バークレイズのES・志望動機について詳しく知りたい方はこちら!
【ES・体験談】選考通過者の事例と対策法
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2. 筆記テスト:対策は「外資系企業がほしがる脳ミソ」で
バークレイズの筆記テストは本社受験の企業オリジナル。内容は数学クイズ。所要時間は30分程度で、難易度はかなり高いです。
バークレイズのテストでは他の企業でなかなか見かけない、難易度が非常に高いクイズのような問題が出題されます。トレーダー職は満点を目指しましょう。
事実、内定者は「難易度は非常に高かった。優秀な学生が集まる外銀でさえ、ほとんど解けていない学生が散見された」と言っています。このような難易度の高さとはいえ、「トレーダー職で通過した人は皆満点の自信があったそうだ」という内定者の声からも分かる通り、トレーダー職を目指す人は特に対策が必要です。その他の職種においても、難易度が非常に高いことは変わらないため、参考書で徹底した対策をとるようにしましょう。
上述のように、問題の難易度は非常に高い傾向にあります。
しかし、似たような問題が「外資系企業が欲しがる脳ミソ」に載っているといると内定者が語っていたので、これを徹底的に解けるようにしておきましょう。過去には、掲載されているものと全く同じ問題が出たという情報もあるので、確実にやっておきましょう。
・外資系企業がほしがる脳ミソ―採用試験の定番! 問題解決力を試す60問
3. 1次面接:2次面接の選考順にも影響する、鬼門の面接
バークレイズの1次面接は、社員2:学生3の、30分程度のグループ面接でした。
質問内容は、以下の通りです。
・自己紹介
・なぜ金融なのか
・なぜ、その職種がいいのか
・学生時代頑張ったこと
・逆質問(5分程度、1人1問程度)
※出典:バークレイズ|グローバルマーケッツ部門2020年卒の1次面接
1次面接ではインターン選考の面接と全く同じ形式と質問内容で行われます。しかし、夏に行われるインターン選考に比べ、冬に行われる本選考では「本当に入社してくれるか」という観点で見られる傾向にあると考えられます。このため、インターン選考よりも明確な根拠を持って志望動機を語れることが重要です。
落ち着いて論理構成に沿った回答を心がける
バークレイズの本選考は11月と日系企業などと比べると早期に行われるため、外銀を受ける優秀な学生とはいえ、面接慣れしている人はほとんどいません。事実、内定者は「インターン選考ほどではないものの、多くの人が面接に慣れておらず、しどろもどろになりながら長々と話している傾向があった」と述べています。
したがって、長々と話すのではなく、落ち着いて論理構成に沿った端的な回答を心がけましょう。この対策として、質問内容は志望動機や学生時代頑張ったことなど基本的なものが多いので、「主張→理由&自分の経験」という論理構成であらかじめ用意して、面接の場で答えられるようにしましょう。
具体的なエピソードを示すことで社員に覚えてもらう
まず意識すべきなのは、自分を出し切り目立つことです。
金融商品は各社商品の質での差別化が難しく(フロー商品などは業界全体で全く同じ商品を扱うため特にこの傾向あり)、人で売り込んでいく特性があることから、マーケット部門では個性的な人材が好まれやすく、目立つ人材が選考を突破しやすい傾向があります。
また、1次面接は30分で3人のグループ面接であるため、とにかく目立ち、覚えてもらうことは最優先事項だと思いましょう。目立ち方は、さまざまですが、志望動機などを示す際にそのように感じたエピソードを話すことが最も容易であると考えられます。「◯◯の子だよね!」というイメージで覚えてもらえれば選考を突破しやすいでしょう。
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4. 2次面接:実質内定の可能性も!? デスクごとに行われる個人面接
バークレイズの2次面接は、4時間ほど(30分×8回程度)で、各デスクの社員と1:1で話す個人面接でした。
質問内容は、以下の通りです。内定者によると「問題の難易度は非常に高いが、面接官に分からないことを質問すると詳しく教えてくれた」そうです。
【ストラクチャー(4人程度)】
・算数の問題
・ストラクチャリングの説明(20分程度)
・逆質問
【セールス(8人程度)】
・自己紹介
└英語の自己紹介(外債)
・志望動機
・学生時代に頑張ったこと
・この鉛筆を売ってください
・逆質問
2次面接は1次面接で優秀だった学生から呼ばれ、ある内定者によると、2次面接時点で、既に実質内定が出ている人もいたそうです。
見られているのは、基本的に「論理性」「バークレイズを志望する確固たる理由&バークレイズらしさ」「志望デスクへの適性」とのことなので、これらを意識して対策しましょう(選考対策ページより)。
5. 3次面接:「バークレイズへの確固たる志望理由」「志望デスクへの適性」が問われる
3次面接以降は、セールス・トレーダー・ストラクチャーによって面接回数、質問内容ともに全く異なってきます。
内定者いわく、セールスは4、5回面接に呼ばれ、たくさん面接することになる一方で、トレーダーやストラクチャーは、社員数が、もともと少ないからか、面接は2、3回程度で終わり、内定が出るのも早いそうです。
それぞれのデスクで1人しか内定が出ないことを鑑みても、全ての面接が非常に重要であることは明らかです。内定者によると、基本的には「バークレイズへの確固たる志望理由」「志望デスクへの適性」が見られていたそうなので、2次面接と同様に、これらを意識して対策しましょう。
6. 最終面接:確認面接ではない。人柄を見ている英語面接
バークレイズの最終面接は、30分程度の個人面接です。最終面接と聞くと確認だけで終わるイメージがありますが、バークレイズの場合はしっかり選考されているそうです。
質問内容は、以下の通りです。
・自己紹介
・学生時代頑張ったこと
・挫折経験
・どのような人なのか
・逆質問
・金融の問題
など
※出典:バークレイズ|グローバルマーケッツ部門2020年卒の最終面接
「自分がどのような人間か」 エピソードをもとに示す
バークレイズでは、学生時代頑張ったことや挫折経験など、基本的な質問がされます。
実際に、内定者は「内容から考えると、人柄があらためて見られていたと感じる」と述べています。
したがって、「自分がどのような人間か」ということを、具体的なエピソードを通して伝えて「一緒に働きたい」と思ってもらえるようにしましょう。
そのためには、学生時代頑張ったことなどを「概要→挑戦した理由→直面した困難→どのようにそれを乗り越えたか→この経験による学び」というような順序で構造化して用意しておくことが重要です。
また、明るく人懐っこく話すことで、バークレイズのフラットな社風に合った人間だと思ってもらえるかもしれません。
デスクによっては金融の問題がなされる。知ったかぶりはNG
ある内定者によると、デスクによっては金融の問題が問われるようです。
難易度は非常に高く、専門的な知識が必要とされるものですが、内定者は「知ったかぶりはNGである」と話しています。
むしろ、金融知識よりは「地頭の良さ」「その場で論理的に考えられる能力」が見られているようです。
最終面接だからと気負って知ったかぶりをするのではなく、知らないことは積極的に質問し、社員と一緒に考えるつもりで食らいついていきましょう(選考対策ページより)。
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【選考ステップ一覧】各選考の詳細と解説
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おわりに
いかがでしたか。皆様の選考対策のお役に立てれば幸いです。
さらに詳しい選考対策ページと各選考のクチコミはこちらをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
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