こんにちは、ワンキャリ編集部のトイアンナです。
外資系・日系企業で幅広くキャリアを積み、現在は就活や恋愛に関する執筆活動などを行っています。それらの経験から、今回は女性の働き方についてお伝えします。
総合職に入って損した。アラサーになると、こんな話題が登場します。これまで男女は平等だと信じて勉強へ励んできた彼女たちは、就活で初めて女性差別に触れることも少なくありません。
自分は働くのが好きだから、高給が欲しいからと総合職を選択した後で、じわじわと総合職の短所が見えてきます。たとえば総合商社で一般職になった方が時給換算した額が高くなることや、恋愛市場での明らかな待遇差のように。
女性が高収入であるほど未婚率が高くなることは肌感覚から実際のデータまで知られていますから、女性にとって就活は「結婚か・キャリアか」優先順位を付けさせられる時期でもあるのです。
結婚できないバリキャリ女性たちは高望み?
バリキャリ女性は結婚できない。その背景には上方婚志向を捨てられないことが挙げられています。
古き良き価値観を維持するなら、女性はしばらく働いても腰掛で、高年収の男性と結婚して寿退社するのが最適とされます。しかし以前より高学歴女性が増えた現代においてその価値観をキープしてしまうと「私は東大だし、結婚相手は最低でも東大じゃないと」という極端に少ない人口としかマッチングできなくなります。
女性の上昇婚志向は女性の大学進学率が6割に届きそうな現在も残存しており、73%の女性が「自分より年収が低い男性とは結婚できない」と調査で回答しています。
これだけを見ると高所得女性が結婚できないのは自業自得、男性と同じように専業主夫を養ってから男女平等を語れ――という反論も説得性があるでしょう。
バリキャリの生きざまへ適応できないのは、男性も同じ
ところが、さらに調査を進めていくと面白いことが分かります。バリキャリ女性自身が上昇婚を捨てきれないのと同様に「男性」もまた、過去の価値観から脱却できていないようなのです。
先ほどの調査とは逆に「自分よりも彼女のほうが給料が高いと、あなたは気になりますか?」という質問では72%の男性が「いいえ」と答えています。これだけを見れば男性はキャリアの主導権を女性へ託す気があるように見受けられるのですが、「結婚相手としてはどうか」という別の調査では44.3%が専業主婦を希望。
調査対象が違うためやや乱暴な推論ですが、「付き合う分にはバリキャリでもよいが、結婚するなら専業主婦がいい」と考えている男性が3割弱もいる。
つまり、バリキャリを選択していざ彼氏ができても、付き合ってから「やっぱり専業主婦と結婚したいからお前とは別れるわ」とポイされる女性が出ているかもしれないのです。もしこの予測が正しければ、悲劇としか言いようがありません。キャリア女性同士の対談でも、「最初は総合職でも気にしないと言っていた男性が実は女性の年収が高いのを不満に思い始める」ケースが報告されています。
親もまた、過去の価値観から脱却できていない
楽天オーネットの調査では娘さんを持つ両親の半数が結婚相手の収入を気にすると答えています(IT media ビジネスオンラインより)。さらに年収の条件は厳しく、約4割は500万円以上を娘の結婚相手へ希望。しかし、29歳~49歳のバツなし未婚男性は8割以上が年収400万円未満です。女性が親を納得させられる伴侶を連れてくるには、大変な倍率を勝ち抜いてトップ男性を狙うしか方法がありません。
「女性の両親」もまた、過去の価値観から脱却できていないのです。
バリキャリ女性が抱える2つの壁
バリキャリ女性の場合は、さらにここへ2つの壁が加わります。
1. 自分も高収入なため、年収400万円以上の男性を「高倍率をかいくぐって口説き落とす貴重な相手」として見られない
バリキャリ女性にとって高所得の男性は大学時代の同輩であったり、長い友達であったりします。これまで平等に仲良くしてきたのに、いきなり「どうか結婚してください」と持ち上げるには違和感があるでしょう。年収も自分と同じくらいのため彼らを「高収入」と感じにくくなります。「私と同じくらい稼いでいる人でいいよ」ですらかなりのトップ狙いなのです。
2. 真面目な女性は親の意見を内面化しがち
もともと本人は高学歴・高収入の男性を求めていない場合でも、前述の通り親がそれらにこだわりを持つケースがあります。これまで親の言いつけ通り進学・就職してきたタイプにとって、結婚においてのみ親の意見を無視して好きな相手と結婚するのはムリがあります。
これは真面目な男性にもいえることで、同じく「自立している女性もいいな」と考えていたはずの男性が30代になって専業主婦を求めることがあります。これは実際に私が外資系コンサルタント会社勤務の男性へ結婚相手の条件をヒアリングした記録です。
――いま結婚したい相手ってどんな方ですか?
コンサル男性:自立してる子。あと可愛い子ですね。僕って面食いというか、好きな顔にこだわりがあるタイプで。美女がいいっていうより「この造形がいい!」ってならないとグっとこないんです。
――そうなんですね、今の彼女さんはどんなきっかけでお付き合いを?
コンサル男性:合コンです。あんまり行かないんですけど、たまたま大学時代の先輩に誘われて行ったらちょうど「私も珍しく参加しました」っていうタイプの子がいて。清楚で大人しそうだし、デートしたら手料理を振る舞ってくれて。あとMARCH卒っていうのもよかったですね。親がそういうところを気にするので。
――先ほどの条件だった「自立」と「顔」はいかがでした?
コンサル男性:うーーん。正直言って、真逆だと思います。彼女はずっと実家暮らしだし、経済的には自立していないですよね。顔も悪いってわけじゃないですけど……好みとは違う。ただそこまで自分の我を通すのもこの年で、ねえ。彼女なら家を切り盛りしてくれそうだし、俺が会社を辞めて起業しても文句を言わなさそうだった。それはファクトとして大きいです。
――その彼女と結婚しようと思っていますか?
コンサル男性:ええ、ええ。実はもう親に会わせてるんですよ。非常に受けがよくて。ほっとしましたね。
彼自身は無意識なのかもしれませんが、自分が直観で好む相手より両親が好みそうな相手を選別しています。気付かぬまま両親の希望を内面化する傾向は、男女問わず「真面目ないい子」としてのトップ層が陥りやすい壁といえるでしょう。
高収入「でも」既婚の女性は何が違うのか
もちろん、高収入でも既婚者となる女性は多くいます。ヒアリングから、結婚できるバリキャリ女性の大多数は下記いずれかの方向で成婚していました。
1. 付き合った男性や親が下方婚へ寛容だったため、年収を気にせず付き合えた
2. 親の反対を気にせず結婚した
3. MBAの同輩や社内の上司と付き合うことで上昇婚を成立させた
もし、これらの状況に当てはまらない、もしくは自分で作り出せる余地がないのなら……あなたのキャリアは「結婚かキャリアか」の厳しい選択を迫られるでしょう。あなたが結婚できるかどうかは実のところ総合職・一般職の差ではなくもっと根本的な、家庭環境と上昇婚へ割けるリソースに左右されているのです。