こんちには、ワンキャリ編集部です。今回は「内定ブルー特集」の第2弾をお届けします。
ここ数年取り沙汰されるようになった「内定ブルー」とは、企業から内定をもらっているにも関わらず、本当にその会社に努めていいのか? という不安を覚える状況を指し、学生にとっても企業にとっても非生産的な現象です。
そんな「内定ブルー」がなぜ発生するのか、構造的問題点を読み解き内定ブルーを生じさせないためにはどうすればいいのかを考えます。
17卒の皆様には内定ブルーの解消に、18卒の皆様には反面教師とするために知っていただければ幸いです。
【第1弾】内定ブルーを克服するたった1つの方法~就活を終えて分かった仕事との向き合い方~
就活氷河期を抜け、新卒就活を取り巻く状況は変化した
「内定ブルー」という言葉が取り沙汰されるようになった背景には、世の中の流れがあります。少し前まで新卒就活は「内定が取れるかどうか」という状況でしたが、就活氷河期を抜け、昨今は複数内定を得ることが当たり前になりました。その世の中の流れに呼応するように、学生が不安を感じる点が「内定が取れるか?」から「どの会社を選ぶか?」に変化したのです。
過去には幸せと捉えられていた状況を不安と思っているということだけを見ると、内定ブルーは一種の「幸せ病」といえるでしょう。
学生側の問題点〜働く意味合いを自分で見つけ出せ〜
ただし、今、学生が「この会社で本当にいいのか?」と悩むことは、人として当然のことです。なぜなら、人は他者と比較して幸せを感じる性質があるからです。そのことを感じさせる例をご紹介します。
今から約10年前、ブータンは世界で最も幸せな国として知られていたことをご存知でしょうか。実に97%のブータンの国民が「幸せ」と回答していました。
しかし、10年の間にブータンを取り巻く環境は大幅に変わりました。SNSやネットによって外部から情報が集まるようになりました。他国との比較が可能になったのです。
この変化と時を同じくしてブータンの幸福度は大幅に低下したといわれています。
実際、2015年にUNDPの「人間開発報告書」が調査した幸福度ランキングにおいてブータンは世界132位となりました。10年前の調査とは調査方法が違い単純な比較はできませんが、現在ブータンの幸福度が高くないということは分かるかと思います。
かつては現状で満足していたのに、世の中が変化したことで満足できなくなっていく。
人間の幸せは「比較」によって成立していることが分かる例だといえます。
規模感が異なるものの、「内定ブルー」においても同じことが起きています。
「この内定先でいいのか?」という迷いが生じる一因も、「人と比べて自分が優位だから幸せだと感じる」「自分が人より劣っているから不幸だ」という比較尺度にあるのです。
「職に就くまで」ではなく、一生の問題
この問題は内定から入社までの限られた期間のみでなく、一生つきまとう問題でもあります。
「内定ブルー」は、社会人になると「ここで働いていていいのか?」というかたちに変貌します。
その悩みを確実に排除したいなら、学生自身が変化するしかありません。
「幸せかどうかを決めるのは自分次第」ということを再確認して、「選んだもの・今持っているものを意味づけし直す」という意識を持ちましょう。
今度は、視点を企業側に移します。
企業にとって、採用期間中に築いた信頼関係を維持し、モチベーション高く学生に入社しもらうのがベストです。しかし、現状には乖離があります。
内定ブルーは、その要因の1つに数えられるでしょう。
「内定ブルー」にハマった末、学生が内定取り消しを行うかもしれません。そこまではいかなくとも、入社時のモチベーションが下がる可能性もあります。
そんな「内定ブルー」の要因に、企業もまた関わっているのです。
企業の学生への対応は、就活期間中と内定を出した後で大きく変化します。
採用期間中は頻繁に連絡し、学生に夢のある言葉を掛けていたのに対し、内定を出したあとは連絡を取らなくなり、現実的な言葉を掛けるようになります。
学生からしてみると、配属部署に希望を持つ学生が、就活時は「新卒でも行けるよ」と可能性を提示されていたのに、内定後に「新卒でその部署に行くのはおそらく無理だ」と言われるということも起こっているのです。
「裏を返された」「予想と違う」と学生が失望してしまっても頷けます。
ここまでではないにしても、その会社に内定を決めたことへの納得度を下げてしまうのは然るべきでしょう。
「優秀な働きをする学生」が欲しいなら工夫が必要
このギャップを本質的に回避する方法は1つ。
「情報ギャップを作らず、選考の段階からフェアに情報を開示する」ことです。
上記の例でいえば、「新卒では難しい。でも配属された部署で実績を積み、ぜひ手を挙げてほしい」と伝えるべきです。
それによって、期待する学生に辞退されることもあるかもしれません。しかし、「優秀な学生」ではなく「優秀な働きをする学生」を手に入れるためには、企業側の対応も重要です。
人はその環境に納得しているかどうかで働きぶりが大きく左右されます。
採用期間中からフェアに情報を開示し、入社時点まで継続的に学生への意味付けを行うことが、「優秀な働きをする学生」の割合を増やす1つの方法でしょう。
「今の若者は手が掛かる」と思う人もいるかもしれませんが、これは学生の質の変化ではなく、日本の現状の変化です。
その現状への対応力を企業は求められています。
おわりに
学生・企業双方にデメリットを生む「内定ブルー」。
その要因は、就活市場の変化により学生の不安が「内定が取れるかどうか」に変化したことと、企業が内定前後で学生への対応を違えてしまうことにあると読み解きました。
また、取れる対策は、学生側は「自分で意味づけし直す」こと、企業側は「一貫してフェアな情報開示をする」ことです。
内定ブルーの根本的な要因は「学生」ではなく「世の中の変化」にあります。双方が自助努力をすることでWin-Winの関係につなげることができるでしょう。
全3回:「内定ブルー特集」
【第1弾】内定ブルーを克服するたった1つの方法~就活を終えて分かった仕事との向き合い方~
【第2弾】現代の幸せ病「内定ブルー」が蔓延する構造的な理由を検討してみた
【第3弾】良い企業から内定もらって調子に乗っている友人と内定ブルーの美人がキラキラ系パーティーで出会ったら地獄だった話