こんにちは、ワンキャリ編集部です。
先日、初代編集長である北野唯我が出版した『内定者への手紙 ─「仕事が遅い人」と呼ばれないための、10のチェックリスト』。Amazon新着ランキングで1位を獲得、さらには全体のカテゴリー別ランキングでも3部門1位を獲得するなど話題になっています。
この本は、その名の通り、北野が内定者に向けて書いたものですが、就活生がこれからのキャリアを考える上でも知っておいて損はない内容になっています。
そこで、この連載では、北野がこの本の内容を基に「仕事でミスが多い」「周りの内定者が優秀で自信がない」といった内定者の方たちからの悩みに答えていきます。4月に社会人になるという読者の皆さんはもちろん、就活生の皆さんもぜひお読みください。
さて、今回北野がいただいた質問はこちらです。
アルバイトで「仕事が遅い」とよく怒られます。私自身、作業スピード自体はそんなに遅い方だとは思っておらず、なぜ怒られているのか、正直分かっていません。どうすればいいのでしょうか?(神田さん・仮名)
北野からの答え:仕事のスピードを決めるのは「Time」ではなく「Timing」だ
神田さんではありませんが、ビジネスの世界でも「仕事が遅い人」というのは一定数います。前回の記事で、27歳までは仕事の「スピード」にこだわれ、とお話ししましたが、今回はその具体的な方法についてお話ししましょう。
結論から言えば「タイミングを制する者がスピードを制する」──つまり、仕事が早いというのは、「タイミングが早い」ということなのです。
そもそも、他人があなたの「仕事が早いかどうか」を判断する際には、「タイミング」と「タイム」という2つの軸で見ることになります。両者は似ているようで全く違うのです。さて。神田さんは何が違うか、きちんと説明できますか?
この違いに気付いているか否かが、実は仕事が早い人になれるかどうかの、最初の分水嶺(ぶんすいれい)になるのです。
さて、答えを言いましょう。タイム(Time)は「どれだけ時間(期間)がかかったか」、タイミング(Timing)とはその名の通り「いつやるのか」という視点です。
タイムの分かりやすい例は「普通の人が120分かかるタスクを30分でやる」。4倍のスピードということで、確かに仕事が早いと言えるでしょう。一方のタイミングは、「タイミングがいい」または「タイミングが早い」ということ。これをまとめると、下の図のようになります。
言葉にしてみると、なんてことのない話ではありますが、実は仕事が早いと評価される上で、往々にして重要なのはタイミングの方なのです。意外だと思いませんか? 「仕事が早い人」と聞くと、タイムが早い人だと考える人は多いと思います。
タイムよりタイミング。その理由はシンプルです。タイムの問題は自分一人で完結する話だが、タイミングの問題は、同僚などの「他者」が関わる話になるから。
極論を言えば、仕事の「タイム」が遅かったとしても、仕事にかける時間を増やせばいいのです。徹夜をすれば乗り切ることも可能でしょう。
一方のタイミングの問題は、他人との関わりが必ず出てきます。大体の仕事というのは、あなた一人で完結するものではありません。上司にチェックをもらうなど、他のメンバーに仕事を引き継いでいくようなこともあるでしょう。タイミングが遅れると、もはやあなたの力ではリカバリー(回復)できないのです。
タイムは自分一人の主観的な問題、タイミングはチーム全体の客観的な問題です。質問にある通り、神田さんは決して「作業のタイムは遅い方ではない」のでしょう。しかし、タイミングが遅いために、周りの人のスピードを下げてしまっている可能性があるかもしれません。
タイミングの法則:仕事のスピードを決める「3つのすぐ」を使いこなす
では、タイミングを制する、つまりタイミングを早くしていくにはどうすればいいのか。それは下にまとめた「3つのすぐ」を使いこなすことです。
<タイミングの法則──「3つのすぐ」>
・すぐやる:依頼された日のうちに、0.01%でもいいので早くその作業に取り掛かる
・すぐ出す:締め切り期限より早くに提出する
・すぐ答える:暫定でもいいので、その場ですぐに回答する。その上で正式な回答は期限を切って答える(暫定の回答を出せないときは、その日時を約束する)
難しいと思いましたか? ただ、実はこの「すぐやる」「すぐ出す」「すぐ答える」ほど、簡単なことはありません。スキルの問題ではなく、気持ちやスタンスの問題だからです。
正直なところ、仕事のタイムはベテランであるほど早くなっていくものです。仕事がデキる先輩に、皆さんが勝てる余地は少ないでしょう。一方で「3つのすぐ」は気持ちの問題で解決できます。新人であってもほんの1%の工夫をすれば、誰でもできるはずです。
ビジネスはほとんどがスピードの勝負です。人に与えられた時間は平等だから、早いほど価値は高い。仕事のタイムでは、ベテランに勝てないと言いましたが、裏を返せば、上司や経営者が若い社員に何かをお願いするとき、期待しているのは、高難度の業務ではなくこの「タイミングの精度」にあるのです。
どんな時でも、ビジネスは「信頼」がとても重要です。では、信頼がない状態の若い人や無名の人がどうやって信頼を得るのか。それは極めてシンプルな話で「タイミングの法則」を使いこなしていくことにあります。
まず、なるべく早いタイミングで仕事に手をつけ、期限の前に仕事を終わらせること。即答すること。それを繰り返して、信頼を獲得していく──それだけを繰り返せば、勝手に「あなたにしかできない仕事」を作るチャンスが必ず来ます。これが「タイミングの法則」なのです。
さらに詳しくは、新刊『内定者への手紙』にゆずりますが、社長や上司、重要なクライアントから、何か仕事を頼まれたときに、間髪入れずに「いいですね」「やります」と答えられることは、本当に多くのものを引き寄せてくれる、とても冴(さ)えた方法です(「マッチョだな」と思うかもしれませんが)。
特に入社して最初の3カ月ぐらいはボーナスタイムです。これをやるだけで、ポジティブな評価を得られる可能性すらあります。それぐらい「すぐやる」「すぐ出す」「すぐ答える」は圧倒的に強い武器になる。まずは何をするにも、これを意識して仕事に取り組んでいくべきなのです。
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これをするだけで「仕事が出来る人」になる、北野唯我が実践する仕事術、10のチェックリスト。
あなたはできていますか? 今なら、Kindle Unlimitedで無料で読める! ・内定者への手紙 ー「仕事が遅い人」と呼ばれないための、10のチェックリスト
【北野唯我のキャリア相談:特別編】
・あなたは「いい会社に入りたいのか」? それとも「いい会社を作りたいのか」?
・「20代はとにかく、仕事の量をこなした方がいい」というのは本当ですか?
・要領はいいはずなのに「仕事が遅い」とよく怒られます。どうすればいいですか?
・他の内定者が優秀そうに見えて、自信がなくなってしまいました
・仕事のスピードは朝決まり、翌日の成功は前夜に決まっている