こんにちは、ワンキャリ編集部のトイアンナです。
就職活動はこれからの40年を変えうる大きなイベント。当事者の就活生はもちろんのこと、あなたの親も気にかけているはずです。就活のアドバイスをもらえる分にはありがたいのですが「この会社、受けるのやめなさい」「A社の内定は辞退したほうがいいと思う」といったことを、親がアドバイスしてくれても即答するのは難しいもの。
そこで今回はあなたがベストな選択肢を取れるよう、親から「この内定、辞退したら」と言われたときの考え方をご案内します。
何を理由に親が反対しているか確認しよう
まずは「親が就活に干渉してくるなんて!」あるいは「親の言うことが正しいと思うから……」と無条件に反応する前に冷静な問いを親へ投げかけましょう。なぜ、あなたの親は反対したのでしょうか?
今までに就活生からヒアリングした結果、内定先の「親ブロック」にはこんなパターンがありました。
1. 親が業界を嫌っており、その「仲間」になってほしくない
例:金融は虚業だからやめておきなさい。
2. 親世代の基準で「リスクの少ない」人生を送ってほしい
例:ベンチャーや外資は不安定だからやめておいたら?
3. 転勤などで「わが子が離れて行ってしまうことが怖い」
例:商社はどこへ飛ばされるか分からないからやめてちょうだい。
4. 社会が評価する「いい会社」を選んでほしい
例:財閥系なら安心だから、そこにしなさい。
ここからは、各「親ブロック」へ対応するかたちであなたがどう人生を選んでいくべきか、考えるヒントをお届けします。
1. 親が業界を嫌っており、その「仲間」になってほしくない
もし「その業界はちょっと」と、内定先の企業ではなく業界について苦言を呈す場合は、親御さんが「その業界の典型的な人材の性格」が嫌いなのかもしれません。同じ業界でも企業や部署や上司次第で風土が異なる一方、典型的な「業界の性格」が存在することも否定できません。例えば商社であれば上意下達の体育会系文化、広告代理店なら人当たりの良さなどです。
とはいえ、こういった理由で反対されるときは、親は、あなたの内定先が本当に業界の文化に染まっているかどうかまでは把握していないでしょう。内定先の何名かの社員に会わせてもらい「本当に内定先に親が言っている欠点はあるのだろうか」と確認することをオススメします。
2. 子供に親世代の基準で「リスクの少ない」人生を送ってほしい
あなたの両親が就職活動をしていたのは、おそらく30年ほど前です。ということは親が考える「内定すべき企業」は、もしかすると30年前の状態で凍結しているかもしれません。ここで当時の就職人気企業ランキングを見てみましょう。
(出典:就職・転職情報ナビ「過去30年の就職人気企業ランキング」)
こうして現在の就活と比べるとメーカーと銀行が人気だったことが分かります。2016年卒のトップ10にある全日本空輸(ANA)、JTBや電通は影も形もありません(※)。
(※)参考:Rakuten「2016年卒 就職人気企業ランキング 総合ランキング」より
もし親が昔の就活目線から内定先へ反対してきた場合は、現在の業界マップを見せるなどして展望を語りましょう。と同時に、上の表はあなたがいま安泰だと考える企業ですら30年後にはどうなっているか分からないことも意味しています。「今は◯◯が人気企業だから、◯◯なら40年働けるよ」などとは言わず財務状況や転職の展望まで考えて親を説得してください。
3. 転勤などで「わが子が離れて行ってしまうことが怖い」
商社やメガバンクなど全国転勤がありうる業種へ就職した場合、子供が親元を離れることを不安がるパターンが一定数あります。特に女性の場合は、母親から「私を捨てるつもりなの?」と強い言葉で止められることもあります。(参考:日経カレッジカフェより)
こういった場合は、できるだけ親から離れることを以下の2つの理由からオススメしています。第一に、実家から通勤すると家事スキルが身につきにくく、結婚という別のキャリアで足を引っ張られるから。次に、いざ親に寄り添う必要が生じても、転職して実家へ戻ることはいつでもできるからです。悲しむ親を置いていくことは寂しいかもしれませんが、今こそ親離れ・子離れのとき。試練を乗り越えて大人になっていってください。
4. 社会が評価する「いい会社」を選んでほしい
「リスクの少ない」人生選択とも似ていますが、親はあなたが「一般の大人からもてはやされる企業」を選んでほしいと考える傾向にあります。それは決して親の虚栄心からくるものではありません。会社名はあなたが将来結婚したり、家のローンを組んだりする場面での判断基準となるからです。
新卒からベンチャーへ入ることに反対されることが多いのも、あなたの両親自体は「好きにやってみなさい」と考えていたところで、あなたの伴侶やその両親までも同じ考えかは分からないから。あるいは家を買いたくてもローンが組めなかったり、露骨にクレジットカードの限度額が変わったりするからです。親は社会の評価を考慮しているのです。
ベンチャーなど比較的社会信用度が低いこれからの分野へ転職する場合、「結婚してから転職しな」「最初の大企業を辞める前にクレジットカードを作っておきな」と先人がアドバイスをくれることも多々。もしあなたが心から行きたい企業へ進むことを決めたなら、ぜひそこで活躍してください。しかし婚約が破談になる、借金ができないといったリスクについては覚悟してから飛び込むようにしましょう。
おわりに:親に従う義務も、反発する正義もない
ここまで、典型的な「親ブロック」のパターンとその処方箋をご案内してきました。大切なのは親がブロックしてきても「間違っている」と反発したり「言うことを聞かなくちゃ」と無条件で従ったりする必要もないということ。
あなたのキャリアは、あなたが決めるものです。親が反対する理由をよく吟味し、デメリットを踏まえてなお進みたい内定先であれば、10年かかってでも「あなたの仕事ぶり」で親を説得してゆけばいいのです。親の意見だから……と背負いすぎず、ひとつの助言としてうまく就活へ活用していってください。
内定後に心に重石としてのしかかってくるのは親の反対だけではありません。内定後の思わぬ落とし穴が気になる方は以下の記事もご覧ください。
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内定通知書は必ずしも未来へのプラチナ切符とは限りません。内定をもらった後にもあらゆる理由により、内定は取り消されうるのです。内定を取り消されてから後悔しないためにもすべての就活生にご一読いただきたい記事です。