世界の大手会計事務所を指す「BIG4」の一角を担うPwC。PwC Japan有限責任監査法人(以下、PwC Japan監査法人)は日本で監査およびアシュアランスサービスを提供する、PwCグローバルネットワークのメンバーファームです。会計の専門性を磨きつつ、必要に応じた海外メンバーファームとの連携でグローバルに活躍できる環境があります。
一方で、学生には接点が少ない「監査法人」の仕事はイメージしづらい部分があるかもしれません。PwC Japan監査法人ならではの仕事のやりがいはどこにあり、どのようなキャリアパスが描けるのか。パートナーの浅野圭子さんと2023年入社の濱元一壮さんにお聞きしました。
<目次>
●「グローバル×専門性」で活躍できるチャンスがある
●財務会計の専門性を土台にCFOの多様な悩みを解決する
●アドバイザリー業務の基礎となる資格「USCPA」とは?
●本質的な「企業の価値」について議論できる面白さ
●自分次第で好きなように描けるPwCのキャリアパス
「グローバル×専門性」で活躍できるチャンスがある
──まずは浅野さんの経歴から聞かせてください。
浅野:私が会計の仕事を始めるきっかけになったのは、社会人になってから米国でMBAを取得したことです。アカウンティングを専攻し、USCPA(米国公認会計士)にも合格しました。その後、米国で他監査法人にて経験を積みました。
帰国後、金融機関を挟んで現在のPwC Japan監査法人に入社しました。金融機関で働くうちに、アドバイザリーの仕事への興味が高まったからです。入社してからは、会計アドバイザーとして幅広いプロジェクトに携わっています。
なお、2020年に所属の財務報告アドバイザリー部(FRA)内にサステナビリティチームを立ち上げ、企業のサステナビリティ報告関連サービスをリードしています。
浅野 圭子(あさの けいこ):財務報告アドバイザリー部 パートナー
大学卒業後、総合商社で貿易実務を担当した後、米国の監査法人にて監査業務に従事。帰国後、金融機関を経て2008年11月に入社。SEC上場支援、IFRS導入、デジタルレポーティング、データ規制などを経験。2020年11月には財務報告アドバイザリー部にサステナビリティチーム立ち上げ、サステナビリティ領域におけるレポーティング&トランスフォーメーション業務をリードしている。
──なぜアドバイザリーの仕事に興味を持ったのでしょうか?
浅野:米国での監査経験の中で、助言を提供した際のクライアントからの「ありがとう」の言葉がきっかけでした。監査先の経営者や担当者から、会計処理や体制など、さまざまな質問を受けることがあり、限定的な自分の知見のみならずチームおよびファームの知見・経験を基に助言を提供できる楽しさを感じました。その中で、クライアントの役に立てることの喜び、そして付加価値を提供するやりがいと面白さを感じるようになったのです。その経験と金融機関での業務の中で、会計アドバイザーとしてのキャリアを築きたいとの志向が強くなり、監査法人への転職を考えるようになりました。
──濱元さんの自己紹介も聞かせてください。
濱元:私は2023年、新卒でPwC Japan監査法人に入り、現在は金融機関向けに内部統制が適切に運用されているか検証する仕事をしています。また、日本語の会計マニュアルを英訳する仕事や、浅野さんのサステナビリティ開示に関わるプロジェクトにも参画しており、GHG(温室効果ガス)の排出量算出に関する仕事もしてきました。
──学生時代はどのような勉強をしてきたのでしょう。
濱元:国際系の学部にいたので、大学の専攻は会計ではありませんでした。就職活動の際に簿記2級を取得し、USCPAの存在を知って会計に興味を持ち始めました。
当時はグローバルで生かせる専門性を身に付けたいと思っており、PwCに応募したのも、その思いにマッチしていたからです。USCPA取得に向けて勉強を始めていたこともあり、PwC Japan監査法人ならその資格を生かせることも大きかったです。
濱元 一壮(はまもと かずあき):財務報告アドバイザリー部 アソシエイト
2023年4月、新卒入社。同年10月にはUSCPA全科目に合格。現在は内部統制関係のプロジェクトに従事している。
財務会計の専門性を土台にCFOの多様な悩みを解決する
──お二人が所属しているチーム「財務報告アドバイザリー部(FRA)」について聞かせてください。
浅野:FRAのミッションは、グローバル企業のCFO(最高財務責任者)が抱える多様な問題を解決することです。FRAの創設時は財務会計や内部統制に関するアドバイスが中心だったのですが、時代の変化によってクライアントの悩みも多様化してきたことに合わせ、私たちのサービスも多様化してきました。
例えばグローバル展開であれば、M&Aやマネジメント・アカウンティング(管理会計)から始まり、デジタル化や資金管理システム高度化、そしてサステナビリティなどを組み合わせてサービス提供しています。
かつては金融機関向けにサービス提供する部門と、非金融機関向けにサービス提供する部門、そしてIPOアドバイスをする部門で分かれていたのですが、現在は統合され、よりさまざまな業界の多様な課題に対してサービス提供しやすい体制に進化しました。
──クライアントの業界やサポートの範囲が広いと、ファーム内の他の部門と事業領域が被ることはないのでしょうか?
浅野:他の部門と被っているサービスはあります。一方で、各部門によって「強み」が違うのでそれを生かしたサービスを提供しています。
例えばFRAですと、財務会計や内部統制の専門性の高さを強みとしています。部門同士でサービスが多少被ることがあっても、それぞれの強みとその強みを生かせる範囲が違うため、強みを掛け合わせたOne Teamで「新たな強み」そして「価値」を創出し、クライアントの課題を解決しています。
クライアントのニーズに応えるために、部門や法人を越えて連携しやすいのがPwCの強みだと思っています。
──クライアントの産業に縛りがないというお話でしたが、規模はいかがでしょうか?
浅野:グローバル展開している上場企業や政府系の企業が多いのは事実ではありますが、サービスの提供先は多様で、非上場企業でも、上場に向けた支援を多く提供していますし、将来的なビジネスプランを描くところから一緒にお仕事させていただくこともあります。
アドバイザリー業務の基礎となる資格「USCPA」とは?
──お二人が取得しているUSCPAが、業務にどのように関わってくるのか教えてください。
浅野:FRAの業務は、現在は半分ほどが財務会計や内部統制に関するものです。USCPAはそれらの基礎となる知識を身に付けられます。産業が変わっても会計の知識基盤は共通していますし、サステナビリティも財務への影響が重要視されるため、どんな仕事をするにもUSCPAの知識がベースになってきます。
FRAの新卒採用においては、入社後一定期間内にUSCPA全科目合格を目指していただくことを前提に採用活動をしています。もちろんそのための費用や時間面のサポートも行っており、これまで多くの新卒採用の方が全科目合格を達成してきました。USCPAを取得する過程で、単なる知識だけでなく、会計知識をいかにクライアントの実務に適用するかを討議する力も磨かれるため、私たちの仕事に欠かせない資格といえるでしょう。
──日本の公認会計士の資格も取得する必要があるのでしょうか?
浅野:日本の公認会計士の資格を取らなければならないということはありません。ただし私たちは日本企業に対してサービス提供することが多いため、日本基準に関しての知識を持つことも重要です。特に私たちの場合は、グローバル展開している企業がクライアントに多いため、海外の会計基準と日本の会計基準どちらの知識も必要になることも珍しくありません。USCPAは欠かせない資格ですが、それだけで仕事ができるわけではなく、仕事をしながら必要に応じて勉強していく必要があります。
──濱元さんがUSCPAを取得して、仕事に生きていると感じたことがあれば聞かせてください。
濱元:金融機関の内部統制で扱う資料などは、会計の知識がなければ読み解けないことも多いので、その点でUSCPAの勉強が生きていると思います。特に私たちがチェックする書類は、クライアントの業務から生まれきたものなので、クライアントの方が深く理解しています。
私たちより業務を理解しているクライアントに対して、アドバイザリーとして価値を提供するには、深い会計の知識が必要です。USCPAを取得することは、プロフェッショナルとしてクライアントに向き合うための基礎知識を身に付けることになるため、必須の資格だと思います。
本質的な「企業の価値」について議論できる面白さ
──おニ人はFRAの仕事のどこに魅力を感じていますか?
浅野:本質的な企業の価値について議論できるのが面白いです。例えば、日本では、2023年の決算からプライム市場の上場企業にサステナビリティ情報開示が有価証券報告書(法定開示)上義務化されたこと、さらにグローバルでのサステナビリティ情報開示規制の発効により、私たちのもとにも多くの企業から相談があります。開示はあくまでも企業の戦略と実行の結果なので、企業にとっての目的は、開示・報告書を作成することではなく、「企業の価値創造」への接続です。
グローバルにてサステナビリティ開示基準が開発され発効されたことを背景に、クライアントとさまざまな討議を続ける中で、「サステナビリティをいかに企業の価値向上につなげるか」と「本質」を含めて考えてくださる企業が徐々に増えています。何らかの問題意識を持っている企業と本質的な議論を重ねられるのは、他の仕事にはない面白さだと思っています。
──「会計」と聞くと数字と向き合うイメージがありましたが、人と向き合う仕事なのですね。
浅野:会計アドバイザリーの仕事の一例に、適用基準と各企業内の情報の存在、情報収集プロセス、会計処理などを理解および解釈し、基準要求事項をどのように各企業に適用して新たな開示プロセスを構築するかを検討・実行の支援があります。サステナビリティ領域も、財務情報がサステナビリティ情報に置き換わりますが、基本的な考え方は同じです。支援する中で、クライアントと話しクライアントの現状や今後の計画を理解する必要があり、会話力・コミュニケーション力は必要な要素です。実際に、そのような力がある人はより活躍できています。
──濱元さんはいかがでしょうか?
濱元:勉強できる環境が整っているのは魅力だと思います。USCPAを取得したからといって学びが終わるわけではなく、私たちは常に学び続けなければなりません。PwCはe-ラーニングの環境も整っていますし、学び続けている先輩から話も聞けるので、常に刺激を受けています。
仕事をしていると専門知識が必要になることも多いので、私自身も新たな資格の取得に向けて勉強しているところです。そのような仲間が社内にたくさんいるので、時間の使い方なども参考になり、常に成長を感じられます。
──学ぶためのサポートが整っているのですね。
濱元:会社からのサポートはとても手厚いです。私は学生時代からUSCPAの勉強をしていましたが、当時は周りに同じ勉強をしている人がいなかったので、とても孤独でした。しかし、PwC Japan監査法人に入社が決まってからは、先輩職員が一人一人に付いてサポートしてくれたので、とても心強かったです。
受験に向けてのスケジュールの立て方や、経験から培った情報まで教えてもらえて非常に助かりました。そのようなサポートが入社前だけでなく入社後も続きましたし、実際に働いていく中では年次の近い先輩がついてサポートしてくれるので、安心して働けると思います。
自分次第で好きなように描けるPwCのキャリアパス
──PwCで、どのようなキャリアが描けるのか聞かせてください。
浅野:自分の専門性を軸にしてキャリアを広げることが可能です。一つの分野をとことん掘り進めてもいいですし、私のように専門性を増やしてキャリアを広げる人も少なくありません。キャリアの選択肢が多いため、自分次第でキャリアをデザインできるのは魅力的ですね。
例えば会計アドバイザーとして活躍していた人が、金融規制の専門家に転向したケースもあります。
他にも、デジタルの知見を身に付けて「デジタル×会計」の専門家になるなど、多種多様なキャリアの築き方があります。私も、会計からサステナビリティに転向している例ですね。どのようなケースでも、「アドバイザー」としての経験が基盤となって、専門性の掛け合わせで、各人が独自のキャリアを確立しています。
──グローバルでのキャリアについても聞かせてください。
浅野:グローバルでも活躍できますが、PwCのグローバルというのは、必ずしも海外に赴任して現地の方と働くことを意味していません。グローバル展開する日本企業を支援する仕事が多いため、日本にいながらグローバルな仕事ができます。
また、海外のメンバーファームとの連携が強いのもPwCの特徴です。私も入社直後に、海外のパートナーにメールで相談をして、とても丁寧に長文のメールを返してもらったことがあります。PwCはグローバルネットワークの絆が強いため、海外から最先端の情報を取得できるなど、キャリア形成でも大きな助けになると思います。
会計基準は国によって違いますが、最初から全てを知っている必要はなく、必要に応じて都度勉強しながら仕事に生かしていけば大丈夫です。
──最後にPwCに興味を持った学生に対してメッセージをお願いします。
濱元:PwCで培われる専門性は、生涯にわたって自分の強みになると思っています。私は学生時代にコロナ禍を経験したことで「世の中が変化しても必要とされる専門性を身に付けたい」と強く考えるようになりました。PwCはゼロからのスタートでも、自分次第でいくらでも専門性を磨き続けられる環境があるため、強みが欲しいと思う学生には強く勧めたいです。
実際の仕事の中では、頼まれたことをただこなすだけではなく、自分なりに考えて行動することが求められるので、成長を実感できるペースも早いです。いち早く自分を成長させたいと思っている方は、ぜひ話を聞きに来てください。
浅野:私たちの仕事には「型」がないため、クライアントの要望に合わせて都度メンバーたちと討議しながらプロジェクトを進めていかなければなりません。参考にするメソドロジーや事例はあっても、ゼロから積み上げることも多くさまざまな専門知識を組み合わせていく必要があるのです。
そう考えると、人の数だけキャリアパスがあり、自分の好きなようにキャリアをデザインしていけると思います。自分の思うようにキャリアを築いていきたいと思っている方はぜひ一緒に仕事をしていきましょう。
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