「技術職だから、パソコンに向かって一人で仕事をするものだと思っていました」
「IT知識は入社するまで全くなかったんです」
「ITの専門商社」と聞いて、ピンとくる学生はあまりいないかもしれません。しかし、ダイワボウ情報システム(以下、DIS)には独自の強みがたくさんあります。
DISは全国に約90の営業拠点を持ち、パソコンやサーバー、その他周辺機器、ソフトウエア、クラウドサービスなど220万点の商材を取り扱っているIT専門の商社。2021年3月期には過去最高の売上高9,614億円を達成し、今勢いがある企業の一つといえます。
2021年11月にはIT専門商社の強みを生かした、中堅・中小企業向けの「DX教育サービス」をリリース。なぜDISの業績が伸びている中、「DX教育サービス」という新規事業に挑戦するのか。情報戦略部の谷水部長に注力している事業内容を詳しく伺い、技術職として入社4年目になる矢本さん、同じく入社3年目の服部さんから見た現場のリアルな声を聞きました。
IT専門商社が「DX教育サービス」を始めたワケ
──DISは中堅・中小企業向けに「DX教育サービス」を開始しました。どのようなサービス内容なのか教えてください。
谷水:私たちはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したい企業を対象に、「DXを正しく理解する」という基本概念をお客さまに知ってもらうところからスタートして、DXを推進する上で大切な発想法やデジタルスキル習得につながるトレーニングを提供しています。
デジタルツールの知識や技能を身に付けた後、ビジネスの変革をどのように進めていくべきなのかをお客さまに学んでもらうため、私たちが推進しているデジタルツールを使ったハンズオン(体験学習)や、ツールの実装なども含めて展開しているんです。
DX教育サービスの中では、特にローコード(※1)、場合によってはノーコード(※2)という、プログラミング(ソースコード)を記述しなくてもアプリケーションを作れるMicrosoftの「Power Apps(※3)」を使用しています。今まで開発経験のないビジネスパーソンでも理解できるものなので、部署を超えて全社的なDXを進めることができると考えています。
(※1)……ソースコードの記述をほとんど書かずにシステム・アプリケーション・ツールを開発する方法。
(※2)……ソースコードの記述を一切せずにシステムを開発すること。
(※3)……プログラミングが不要でアプリケーションが開発できるツール。
──座学だけではなくて、アプリケーションを実装するところまで担当するんですね。
谷水:はい。研修中は講師がいるので、自分でもアプリをなんとなく作れる気がします。でもいざ現場に戻り、現実の課題を解決すべくアプリケーション作成に取り組むと、さまざまな壁に直面して、どうしていいか分からなくなってしまう。
例えばアプリケーションの開発をする際に、トレーニング通りの手順を踏んでも、なぜかうまく進むことができないといった課題も出てきます。まさに「研修あるある」ともいえますね。
トレーニングを受けた受講者が自身のスキルだけでその課題を解決するのは、なかなか難しいものです。その際に、アプリケーションやツールの開発に関して何でも聞ける「DXよろず相談室」のようなところがあると心強いですよね。私たちは、ツールやアプリケーション開発のトレーニング提供のみならず、ツールを活用したアプリケーション開発のさまざまな相談にも応えています。
谷水 茂樹(たにみず しげき):ダイワボウ情報システム 情報戦略部 部長
1997年ダイワボウ情報システムに新卒入社。DISグループ全体の最適化を図るため、新規ビジネスの企画・立案を実施。
──DISがDX教育サービスを展開する意義について教えてください。
谷水:DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略ですが、ビジネスの世界ではバズワード化していますよね。しかし、DXとはどういうものなのか、どうやって進めていけばいいのか、正しい理解がなかなか広がっていない現状があります。
IPA(情報処理推進機構)がまとめた資料によると、日本では従業員1,001人以上の企業であっても、全社的にDXに取り組んでいるのは29.3%。従業員が少ない企業ほど、DXの取り組みが進んでいない状況があるといえます。
※出典:「IT人材白書 2020」(情報処理推進機構社会基盤センター編)
──中堅・中小企業規模の会社だと社員も少ないため、思うようにDX化が進んでいない現状があります。その上で、DISが注力する領域について教えてください。
谷水:IT人材不足の問題を改善していきたいです。「人材が不足しているならば、新たに雇えばいい」という考え方もありますが、日本は今、働き手がどんどん減っています。特に中堅・中小企業にとっては、優秀な人材を集めることが以前よりも難しい時代になったと感じます。
私たちは「DXをやりたいです」と手を挙げた企業に対して、一辺倒の教育サービスを提供するわけではありません。会社のトップがDXをやるんだと舵(かじ)を切ったとしても、現場からすると何も変わっていないし、業務にプラスして複雑な任務が追加された一面もあります。
だからこそ、まずはお客さまと一緒にDXを進める準備として、現状を整理したいです。特にIT人材が関わる現状業務を棚卸しして、これまで通り対応が必要な業務についても、さまざまなサービスを活用し、工数を削減する、ある意味「自動化していく」といったことを提案します。この取り組みを通じて、人材不足の問題を支援したいと考えています。その上で、DX教育を進めることで、デジタル人材の育成面でもお客さまをサポートします。
──なぜITの専門商社が、こうしたDX教育サービスに参入したのですか。総合コンサルティングファームやSIer(システムインテグレーター)もDX推進サービスを展開しています。DISの強みはどのような部分にありますか。
谷水:DISは日本全国に約90の営業拠点があり、地域に密着しながら、地域の販売パートナーやその先のエンドユーザーと一緒に成長してきた会社です。
一方で、弊社と特に取引の機会が多い中堅・中小企業は、デジタル化という観点で見ても遅れている現状があり、IT人材不足という点においても深刻です。私たちが伴走型のDX教育サービスを提供することで、それらの課題に向き合えるのではないかと考えています。
DISグループではソフトウエア開発も行ってきた実績があるので、より実践的で、より現在の課題に即したトレーニングが行えます。また、サービス内容もDX教育サービス以外に「ツールの運用」「システム構築」など幅広くメニュー化しており、欲しいメニューをピンポイントで分かりやすく採用できる点も強みですね。
──DXにおける課題を因数分解して、メニュー化し、教育サービスとして提供している。そんなイメージでしょうか。
谷水:そうですね。お客さまの必要性に応じて、今のDXの「レベル」を診断するサービスも実施しています。会社全体で取り組んでいる企業もありますが、部署ごとにDXに取り組んでいる企業も多く、成果にばらつきがあるのです。そのため、全社のレベルでDXの進み具合を整理し、やるべきことの優先順位を付けて、今必要なDX教育をお客さまに提案しています。
パートナー企業を通じてエンドユーザーに製品を買っていただくことだけに注力しているわけではありません。
私たちはディストリビューターという立ち位置なので、パートナー企業との関係を築き、パートナー企業には当社サービスと自社の強みを掛け合わせてサービス価値を高めていただき、一緒に成長していくことにも注力しています。
ITを使い、顧客に最適なソリューションを提案できる魅力
──矢本さんと服部さんは、DX教育を現場で進めていると聞きました。まずは、お二人がDISに入社した経緯を教えてください。
矢本:私は大学で情報学を専門に学んでいました。そのため、将来的には大学で4年間みっちり学んだことを生かしたいと思って、IT企業、中でもSIer(システムインテグレーター)を中心に就職活動をしていました。一方で、人と話すことが好きなので、営業職も向いているかなと思い、商社も見ていましたね。
DISを知ったきっかけは、1dayインターンシップに参加したことです。就職活動を始めたのが遅かったので、もう長期インターンはあまり開催されていなくて。それで1日ならと思って参加したんです。
企業説明会を通じて、DISの詳しい事業内容を知りました。ITに関連している企業で営業もできるところや、複数のメーカーの製品を取り扱う企業として、自由に最適なソリューションをお客さまに提案できるところに興味を持って、入社しました。
矢本 理佳(やもと りか):ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社 テクニカル本部 テクニカル部 クラウドテクノロジーグループ所属
2019年新卒入社。MicrosoftのローコードツールPower Appsを専門とし、アプリ開発やハンズオン講師など主に顧客向けの技術提供を担当
服部:大学時代は理学部で物理を勉強していました。就職活動を始めた頃は、就活生にありがちだと思いますが、有名なメーカー企業を中心に見ていて、IT業界はあまり考えていなかったんです。
そんな中、就活サイトでDISを知って、企業説明会に足を運びました。IT業界の仕事を具体的に思い浮かべられる学生はあまりいないと思いますし、私もIT知識はなかったんですが、こんな業界があるんだと知って。
入社の決め手になったのは、DISは社内の雰囲気がアットホームで自分に合っていると感じたから。面接当日の待ち時間には、社員が緊張した空気を和らげるために声をかけてくれましたし、面接中も、私が話しやすいように面接官が和やかな空気を作ってくれたんです。また、福利厚生が充実している点も魅力に感じ、DISの入社を決めました。
服部 真依(はっとり まい):ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社 テクニカル本部 テクニカル部 クラウドテクノロジーグループ所属。
2020年新卒入社。MicrosoftのローコードツールPower Appsを専門とし、ハンズオンやハッカソン(エンジニアが集まり短期間集中でシステムを開発するイベント)など主に教育サービスの提供を担当
──矢本さんと服部さんは今同じチームに所属していますよね。DX教育サービスにおいてどのような業務を行っているのですか。
矢本:私たちは、技術チームが集まっている部署のクラウドテクノロジーグループに所属しています。その中のクラウドネイティブプラットフォームチームという5人のチームを組んでいます。お客さまから依頼されたアプリケーションの受託開発もしますが、直近では中堅中小企業向けのDX教育サービスに注力しています。
例えば、どういうものが「基礎編(DXを知る)」になるのか、「中級編(DXの本質を理解し、ツールを試す)」、「上級編(現場で開発したツールを導入)」の具体的な内容はどうするのか。内容を精査したり、分単位でシミュレーションしたりしながら、緻密に研修コンテンツをつくっています。
──DX教育サービスの業務で、どんな点にやりがいを感じますか。
矢本:お客さまの要望に沿ったレクチャーができたときや、自分たちが作ったDX教育サービスを通じてお客さまの課題が解決するのを見たときは、非常にやりがいを感じています。
学生から見ると、特に技術の仕事は、社内でパソコンをカタカタしているイメージを持つ人が多いと思います。しかし、このDX教育サービスを制作するにあたって、お客さまたちを前にして講師を務めたり、営業活動を行ったりするなど、人と向き合う場面がたくさんあります。
──技術職でありながら講師を務めて、営業活動も行うのは意外な一面だと思います。服部さんは入社してから自身の成長をどのように感じていますか。
服部:特にITの知識において学びを得る力に関しては、成長したと実感しています。私はITやプログラミングの知識がほとんどない状態でDISに入社して、技術者として働いています。
業務の中で聞こえてくる単語も全く知らない言葉だらけでしたし、IT業界は情報が日々どんどん更新されていくので、1人で全てを理解するのは困難を極めます。入社直後の私はついていくのに必死でした。
ただ、目まぐるしく変化し続けるIT業界が分からない、ITの情報を知らないからといって放置せず、未知の言葉が出てきたら、それを書きとめておいて後で調べたり、先輩に聞いたりして自発的に学ぶようになりました。
矢本をはじめ、DISの先輩社員は懇切丁寧に教えてくれます。ただ正解を教えるだけではなくて、それに関連する資料やデータも合わせて提供してくれるのです。より幅広く知見を得るためのフォローを日々いただいていると感じますね。矢本は年次が一つ上で、いつも優しく接してくれるので、何でも相談できる存在です。
矢本:そう言ってもらえると、うれしいですね。服部にいろいろ聞かれる度に、私も頑張ろうと思っています。
顧客に徹底して寄り添い、技術者としてのキャリアを歩む
──お二人はDISの業務でどのような経験を積みましたか?
矢本:社内の営業担当者向けにお客さまからのヒアリング情報を入力できるアプリ(アプリケーションヒアリングマップ)を開発しました。
当時は入社2年目で、開発スキルをまだまだ習得している段階でした。その中、初めて1人でアプリの設計から開発までを行いました。営業担当者にどのような機能が必要か、使いやすいフォーマットはどのようなものかなど、ヒアリングを行い、アプリのプロトタイプを作成したんです。
さらに、営業担当者のフィードバックをもとに工夫・改善を重ねてアプリ開発を行いました。その結果、お客さま先でのヒアリング時にこのアプリを活用してもらうことができ、この経験で大きな達成感を得て、やりがいを感じましたね。これが「私のステップアップにつながっているんだな」と実感しています。
──入社2年目でアプリの設計から開発に携わる機会はそうないと思います。服部さんはいかがでしょうか?
服部:私は、矢本とDX教育サービスを作成することで、業務の正確さを学びました。
DX教育サービスの作成は初の取り組みだったので、規模やレベル感などを見極めることが難しく、時間がかかりました。そこで、矢本の業務に対する見極めの正確さや速さを感じ、技術者として物事を追求するだけでなく、求められているものを、的確かつ迅速に見極めることの重要さを会得しました。
──お二人のキャリアプランを教えてください。
矢本:DX教育サービスはリリースしたばかりのサービスです。今はサービスをどんどん広げていくフェーズですが、今後、お客さまに受注いただいたときに、それぞれのお客さまに寄り添ったレクチャーができる技術者に成長していきたいなと考えています。
服部:先ほど谷水から話が出ましたが、IT人材不足は深刻なので、今後解決すべき課題だと考えています。もちろん、企業のDXを進めていくことも大切ですが、私のようにもともとITの知識がない人間を巻き込んでいくことも必要になるでしょう。
そのためにローコードを活用して、IT業界に入りやすい環境を整えたり、ITを知らない人に向けて、少しでも興味を持ってもらったりする施策ができたらいいなと感じています。
「人の魅力」ランキングIT企業で1位。DISの魅力
──最後に皆さんへお聞きします。どんな学生がDISで活躍できると思いますか。
谷水:DISの営業にも技術にも当てはまることですが、個人の力だけで仕事を進めるよりも、チームワークで進めていくことが多いです。チームワークを発揮して、成果を出したい学生は向いていると思います。
また、私たちはマルチベンダーとしてあらゆるメーカーの製品を扱っています。最先端のテクノロジーを実装した海外ベンダーとの取引も増えていますし、さまざまな製品を扱えるところは、大きな魅力になるのではないかと思います。
──DISは「ビジネス関係者から評判の良いIT系企業ランキング」でも6位を獲得していますし、「人の魅力」という項目ではIT業界でも1位です(※)。
(※)出典:マイナビニュース「ビジネス関係者から評判の良いIT系企業ランキング - 2位はグーグル、1位は?」
谷水:ありがたいことです。最新のテクノロジーを楽しみながら、一緒に日本のデジタル市場、IT市場を成長させていきたい人に出会いたいですね。
──服部さんと矢本さんはいかがですか?
服部:コミュニケーションを積極的にはかる意欲は大事だと思います。私たち技術者は、企業との会話もそうですし、営業担当者とも話し合う必要があります。また、DISの本社とのコミュニケーションが必要になる場面もあります。
コロナ禍だからこそ、自分から会話をしようという意欲がないと、本当に淡々と仕事を終えてしまうこともあると思います。周りに対してアクティブにはたらきかけられる人が活躍できる場所だと感じますね。
矢本:今の時代、フリーランスのエンジニアもいますが、私が会社で働く理由はチームプレイができるから。コミュニケーションを絶対的にとっていかないと、良いDX教育サービスを生み出せないと思っています。
また、インプットとアウトプットの両方ができることも大切だと考えます。自分から新しい技術を習得しようというインプットに加え、その知識をチームに共有して、より良いサービスを作ろうというアウトプットができることが重要です。
私たちが主に使う「Power Apps」はまだ新しいサービスで、リリースが頻繁に行われます。1カ月で仕様が変わることもあります。その変更に気が付いたら、資料を作って、チームに共有して、チームのレベルを一緒に上げていく。そのような人と一緒に切磋琢磨(せっさたくま)して働きたいですね。
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