就活でよく聞かれる質問が、学生時代に力をいれたエピソード、通称「ガクチカ」です。そこで今回は、ガクチカの構成や書き方をご紹介する他、アルバイトや部活、ゼミなどのエピソード別の例文を解説します。
ガクチカの見つけ方や、ガクチカがない場合の対策などもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
<目次> ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)とは何か? ・自己PRとの違い ・ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を聞かれる理由 ・企業が見ているポイント ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の書き方と高評価を得るポイント ・重要なのはエピソード(What)ではなく思考性(WhyとHow) ・成果よりプロセスを重点的に伝える ・企業が求める人物像とマッチするか ・エピソードのオリジナル性・具体性 ・文章の論理性・わかりやすさ ・成果を定量的・相対的に伝える ・ONE CAREERの体験談を参考にする ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の構成・テンプレート ・結論 ・現状 ・目標 ・課題 ・アクション・解決に向けた取り組み ・結果・学び ●エピソード別のガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の例文 ・アルバイト ・ゼミ・研究 ・サークル・部活 ・留学経験 ・インターンシップ経験 ・趣味 ・ボランティア ・資格 ・日常生活 ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を書き始める前の対策 ・自己分析 ・企業分析 ・ロジカルシンキングの習得 ・ONE CAREERの体験談の活用 ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の探し方 ・一番時間を使った経験 ・思い入れを強く持って取り組んだ経験 ・困難を乗り越えた経験 ・自分の強みを発揮できた経験 ・他人に褒められた経験 ・他の人には珍しい経験 ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)がない場合の対応策 ・今までの経験を深掘りする ・課題を設定してガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を作り出す ●ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を書く際の注意点 ・社風・仕事内容に合うエピソードを選ぶ ・高校以前のエピソードを使わない ・実績を残していないエピソードを使わない ・誇張しすぎるエピソードを書かない ・専門用語を使わない ・指定された文字数の9割以上を書く ・誤字・脱字はないか ●まとめ
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)とは何か?
ガクチカとは、「学生時代に力をいれたこと」の略語です。「学生時代に力をいれたことはなんですか?」という質問は、就活でよく聞かれる質問です。そのため、事前に回答を考えておくことで、スムーズに面接を進められるでしょう。
ここでは、ガクチカと自己PRの違いやガクチカを聞かれる理由、企業が見ているポイントなどを解説します。
自己PRとの違い
ガクチカと自己PRでは、「企業に対してアピールすること」が異なります。自己PRでアピールするのは、基本的に自分のスキルや能力、人柄などです。一方、学生時代のエピソードを中心に伝えるものがガクチカです。
強豪のサッカー部でレギュラーの座を獲得したエピソードを例に、それぞれの違いを確認しましょう。
- ガクチカ:100名の部員が所属するサッカー部で、はじめはレギュラーになれませんでしたが、食事の見直しと筋力トレーニングに力をいれた結果、レギュラーの座を獲得しました。
- 自己PR:自分の強みは、「課題解決力」だと認識しています。100名の部員が所属するサッカー部で、周囲からは難しいといわれていたレギュラーの座を得られたのは、自らの弱みを客観的に捉え、努力できたからだと考えます。
このように、ガクチカは力をいれて取り組んだエピソードを、自己PRは自分の強みを伝えることが一般的です。ガクチカでは取り組みの過程が、自己PRでは強みそのものが重視される傾向にある点も押さえておきましょう。
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を聞かれる理由
就活の選考でガクチカを聞かれる理由として挙げられるのは、主に以下の2点です。
- 自社が求める人材とマッチしているかを確認するため
- 経験から学ぶ力があるかを見極めるため
企業は、ガクチカを通してその学生が自社の求める人材像とマッチしているかを確認しようとしています。なぜなら、ガクチカによってその学生の人柄や価値観の他、何をモチベーションにしているかがわかるためです。
経験から学ぶ力があるかどうかを見極めることで、入社後に活躍できるかどうかを評価しているケースもあります。
企業が見ているポイント
企業はガクチカを通して、その学生の人間性や自社を志望した理由、自社での活躍の見込みなどを知りたいと考えています。ここでは、企業が見ている具体的なポイントを、それぞれ確認しましょう。
あなたはどんな人間?
企業はガクチカのエピソードから、学生の性格や価値観を理解しようとしています。それらを踏まえて、自社の理念や社風にマッチしそうかどうかを判断すると考えられます。
新卒の採用選考では、実務スキルや経験での判断ができません。そのため、スキルや経験の代わりに性格や価値観を知り、自社とマッチするか否かの判断材料にします。
なぜうちの会社?
ガクチカのエピソードから、自社を志望した理由を読み取ろうとしていることも多いといえるでしょう。ガクチカを通してわかる価値観やモチベーションの源から、志望理由や志望度の高さを判断しようとしています。
自社に入ったら何ができる?
自社に入社したら何ができるかという点も、企業が知りたいポイントの1つです。そのため、ガクチカから「経験から学べるか」「努力ができるか」「分析力や課題解決力があるか」といった点を把握し、入社後の期待値を測ろうとしています。
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の書き方と高評価を得るポイント
ガクチカで企業から高評価を得るには、エピソードのみではなく思考性が伝わるようにすることや、成果よりもプロセスを重点的に伝えることなどが欠かせません。
ここでは、ガクチカの書き方と高評価を得るポイントについて解説します。
重要なのはエピソード(What)ではなく思考性(WhyとHow)
ガクチカを書く際には、エピソード(What)よりも思考性(WhyとHow)のほうが重要です。
「どのような問題があり、結果的にどうしたのか」という内容だけでは、その学生の考え方や価値観を伝えることは困難であるためです。より共感を得るためにも、「その行動に至った考え方」を伝える必要があります。
相手に伝わりやすいように、どのような状況下で何を考えて行動したのかについて、具体的に伝えることを意識しましょう。
成果よりプロセスを重点的に伝える
成果よりプロセスを重点的に伝えることも、ガクチカで高評価を得るために外せないポイントです。
ガクチカの内容は単なるエピソードトークではなく、再現性を感じられるものにこそ意味があります。再現性を伝えられるのは頑張ったことの成果ではなく、プロセスであるためです。
例えば、テレアポのアルバイトにおける後処理の時間を、それまでよりも10%短縮できた経験を伝えるとしましょう。成果のみを伝えても、志望先が別の業種の場合、汎用性はありません。
しかし、「タイピングの速度を向上させれば状況が改善すると考え、自らタイピング練習ソフトを使って練習した」というプロセスを伝えれば、「課題解決力」のアピールにつながります。
ガクチカで高評価を得るには、再現性を感じられる内容が必要であるため、成果よりもプロセスを重点的に伝えることが大切です。
企業が求める人物像とマッチするか
ガクチカは、企業が求めている人材像とマッチしているかどうかを意識して書きましょう。企業側は、学生が自社にマッチする人材かどうかを見極めたいと考えており、求める人材像は企業によって異なるためです。
例えば、その企業が柔軟な思考を持ち、積極的に新しいことにチャレンジする人材を求めているのであれば、「好奇心が強い」「行動力がある」ことが伝わるガクチカを選びましょう。
単に自分が一番頑張った経験を伝えるのではなく、力をいれた経験のうち、その企業が求めている人材の特徴をアピールできるエピソードを選ぶことがポイントです。
エピソードのオリジナル性・具体性
エピソードにオリジナル性や具体性があると、企業からの評価を得やすくなるでしょう。よくあるエピソードの場合、企業側にインパクトを与えることが難しく、記憶にも残りにくいと考えられます。また、具体性が強いとその分エピソードをイメージしやすく、共感を得やすいためです。
自分自身の経験やそのときの感情を、自分なりの言葉で表現することで、オリジナル性はおのずと出ると考えられます。
また、具体性を高めるには、なるべく数字を用いた書き方を意識することがコツです。例えば、ただ「順位が上がった」とするよりも、「◯◯位から◯◯位に順位が向上した」と表現したほうが、イメージしやすく印象に残るでしょう。
ただし、エピソードの具体性を高めようとすると、本筋とは外れた情報を盛り込んでしまいがちになるため注意しましょう。
文章の論理性・わかりやすさ
評価されるガクチカを作成するには、文章の論理性やわかりやすさは不可欠です。論理的な文章とは、筋道を立てて考えられている文章のことです。エピソードの内容を正確に伝えるには、論理的かつわかりやすい書き方を意識する必要があります。
仕事においても、論理的かつわかりやすく伝えるスキルは必須だといえるでしょう。企業はガクチカを通して、学生が論理的思考をできるかどうかを判断している側面もあります。
自分が熱中している趣味の話でも、熱中しすぎてダラダラと話したり、決められた文字数を超過して書いたりするのは控えましょう。
成果を定量的・相対的に伝える
ガクチカで高評価を得るには、成果を定量的・相対的に伝えることも欠かせません。定量的とは物事を数値や数量に着目して捉えることであり、相対的とは、他との比較の上に成り立つさまを意味する言葉です。定量的・相対的に伝えることで、より具体的にイメージしやすくなるでしょう。
例えば、飲食店のアルバイトで「売上を向上させました」と伝えるよりも、「前の月よりも売上を20%向上させました」という書き方のほうが、より具体性が高まります。
自分の成果を適切にアピールするには、状況が伝わりやすいように定量的・相対的に伝えるように意識する必要があるでしょう。
ONE CAREERの体験談を参考にする
ONE CAREERのサイトに掲載されている志望会社の体験談を活用して、過去に聞かれたエントリーシート(ES)の内容を確認して、先輩たちのガクチカの内容を参考にして、自分なりのガクチカを書き出しましょう。
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の構成・テンプレート
ガクチカは、「私が学生時代に力をいれたことは◯◯です」と結論・概要から書き始めることがポイントです。その次に動機や具体的な取り組みを説明し、最後は「経験を通じて得た学び」で締めくくります。
ガクチカの書き方に悩んでいる方は、ご紹介する構成・フレームワークに沿って書き進めてください。ここからは、各項目の内容と書き方のポイントを解説します。
結論
ガクチカは、結論から書き始めましょう。いきなり本論に入ってしまうと、何の話が始まったのかがわかりにくく、読み手に負担を与えてしまうためです。
「どのような取り組みをして、何を成し遂げたのか」が瞬間的にわかるように、あまり余計な説明は加えないことがうまくまとめるコツです。文字数としては長くて60文字以内が望ましいでしょう。
例 「アルバイト先である家電量販店で、店舗売上目標を7カ月連続達成したことだ」
その企業が求める人材の特徴に寄せることが基本ですが、一般的には「目標達成能力」「リーダーシップ」「チャレンジ精神」の、3つをアピールできるエピソードを選択するとよいでしょう。
現状
結論よりも踏み込んで、どのような状況だったのかを端的に述べます。具体的には、以下のような内容が該当します。これらの内容を冒頭で説明しておくことで、相手がこの先の話を理解しやすくなるでしょう。
- 学生時代に力をいれた活動
- どのような状況下で取り組んだか
- その活動に取り組んだ理由
- 活動の中の役割
例 私が所属している店舗では、約一年にわたり毎月の売上が減少し続けていた。アルバイトリーダーであった私は、店長から相談を受け、解決策を考えることにした。
目標
次に、自分なりに設定した目標を伝えます。エピソードに目標がないと、どの程度頑張ったのかを伝えることが困難であるためです。
具体的な目標の他、その目標を設定した理由もセットで記述しましょう。読み手が、よりスムーズに理解できるようになります。
また、目標は水準の高さが伝わるように記載しましょう。そのためには、定量的な目標を記載したり、相対比較ができる情報を補足したりすると効果的です。
例 店舗の目標として「前年度の売上に対し、毎月110%を達成する」ことを定めた。
企業側は取り組みにおける目標を、その学生の志の高さを見極める判断材料にすると考えられます。
課題
目標とあわせて、取り組みを行う上での課題も具体的に伝えましょう。企業はガクチカの中の課題を通じて、「どのようなことを課題と感じるのか」を知りたいと考えています。また、仕事でも課題を乗り越えられる人材であるかどうかを評価しようとしています。
例 各販売員へのヒアリングの結果、商品知識が少ないこと、顧客に最適な商品提案ができていないこと、という2つの課題を見いだした。
課題に関する内容として、以下の項目も伝えることがおすすめです。
- 課題が生じた背景
- 課題を乗り越えるまでのプロセス
- なぜそれを重要な課題と捉えたのか
「どのような課題であったか」という事実にとどまらず、課題を乗り越えるプロセスや、それを課題と捉えた理由も丁寧に述べることで、課題に対する考え方を伝えられるでしょう。
アクション・解決に向けた取り組み
目標や困難に対する、具体的なアクションや解決に向けた取り組みを書きます。物事への取り組み姿勢には、人柄が表れるためです。その企業が求める人材像に近いことをアピールできるエピソードを選ぶのが賢明でしょう。
例 改善策として毎朝のロールプレイングの実施を店長に提案した。商品知識を深め、顧客のニーズに合わせて柔軟かつ広範な提案ができるようになると考えたからだ。しかし、「出勤者が日によって違い、さらに人によって話す内容が違う」という課題に直面したため、日々のロールプレイングを撮影し、その動画を共有した。
ここでも、「どのように取り組んだのか」だけでなく、以下のような内容にも触れるのが理想的です。
- 当時の状況や課題にどのような考えを持っていたか
- 目標を達成するために行った工夫
- その工夫が効果的だと考えた理由
上記のような項目を盛り込むことで、経験を描写するだけのガクチカからの脱却を図れるでしょう。
結果・学び
最後に、学生時代に力をいれたことの結果やそこから得た学びを述べて締めくくります。自分が取った行動によって、どのような結果になったかを伝えましょう。大きな結果でなくても努力のプロセスを伝えることで、企業から評価される可能性があります。
例 結果として、取り組みを開始した3カ月後から7カ月連続で店舗目標を達成できた。この経験から、協調性を持ち主体的に目標達成に向けて取り組むことの大切さを学んだ。
その他、得られた学びや経験を通して身についたスキルや価値観が、入社後のどのような場面で活用できるかまで説明することで、企業から高評価を得られる可能性が高まるでしょう。
エピソード別のガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の例文
ここで、ONE CAREERに掲載されているエピソード別のガクチカ例文をご紹介します。これを参考にし、自分が取り組んだ内容を選び、自己のガクチカに役立てましょう。
アルバイト
【設問】
学生時代に力をいれたこと
【回答例】
個別指導塾の塾講師として、担当していた中学校3年生の生徒10名全員を志望校に合格させることを目標にし、取り組んだ経験だ。普段の授業における生徒との関わりを通して、生徒自身が基本的な知識が身についていないがゆえケアレスミスを起こしていることに問題意識を感じていた。加えて講師から言われた勉強しか取り組まない生徒もいる中で、生徒自身が能動的に学習に取り組む必要性に気づいた。そこで各教科ごとの暗記プリントを他のアルバイト講師と協力して作成し、授業内で取り入れた。またプリントの取り組み状況を表にして可視化し、進捗状況を生徒自身が確認できるようにした。その結果生徒の模試における点数が少しずつ安定するようになるだけでなく、自主的にプリントに取り組む生徒が塾内全体へと広がった。最終的に担当生徒10名全員が志望校へと合格し、目標を達成することができた。今後も他者との協力を通して、目標を達成していきたい。
※出典:みずほフィナンシャルグループ|2025年卒オープン型本選考のES
ゼミ・研究
【設問】
力を注いだ科目または研究テーマの概要(400文字)
【回答例】
◯◯は◯◯の一種であり、安価な◯◯などの普及により近年需要が高まっている。そして、◯◯による◯◯は実世界の◯◯を示すデータであるため、◯◯や◯◯など多くの分野で注目されている。私は◯◯の一つである◯◯について研究している。◯◯は◯◯から◯◯を生成するため、◯◯などをリアルに表現しやすい特長がある。しかし、◯◯化する際に使用する◯◯によって◯◯の精度が大きく左右されるため、◯◯や◯◯などに時間が掛かるうえに、最大限に活用するためには専門的な知識が必要となる。私は、◯◯や◯◯、◯◯化にかかるプロセスを効率化するとともに、生成される◯◯の精度の安定・向上を目指し、研究をしている。考案したアルゴリズムを共同研究先である◯◯に提供し、よい評価を頂けている。
※出典:東京エレクトロン|2024年卒総合職本選考のES
サークル・部活
【設問】
学生時代に頑張ったこと/チャレンジしたことを、具体的なエピソードを交えて説明してください
【回答例】
【「脱・◯◯選手が部にコミットできない風潮」に向けた取り組み】
「試合に出られない選手との対話」「◯◯選手の評価機会創出」により部員のコミットを高めチームの一体感醸成に努めた。我が部はセレクションが無く部員の競技レベルの差が大きく、◯◯選手がチームにコミットできない雰囲気があり勝利に不可欠な一体感が欠けていた。プレー以外にも多様な良さを持つ部員がそれを発揮できない事に悔しさを感じ、私はコミュニケーションによって相手のオンリーワンを引き出す事でそれぞれに合わせた貢献を後押しした。又、対話を通して◯◯の評価環境改善が必要だと考え、公式戦後に練習試合を組み全員が不満なく◯◯軍を目指せるようにし、部の目標を意識しやすい環境を作った。この二つの働きかけにより、自分の想いが部員のチーム貢献という形になり、熱意が伝播して皆が自分らしく活躍し、蔓延していた風潮を変えられた事に大きな喜びを感じた。メンバーの考えに寄り添い能力を引き出す事が私特有のリーダーシップだと学んだ。
※出典:博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ|2021年卒総合職本選考のES
留学経験
【設問】
学生時代に特に力をいれたことを教えてください。
【回答例】
学生時代に力をいれた異文化交流のなかで、チームプロジェクトの際に自身の行動が業務効率化につながりました。留学中に、異文化の背景を持つチームメイトとプロジェクトを行った際に生じた誤解を解消するべく、自身が仲介役を務め、計画を効率的に進めました。プロジェクトでは環境問題に対する学生の意識を向上させる目的でSNSを通した情報発信を行うことにしたのですが、5人チームで物事を決める話し合いで各々がアイデアを提案し、意見がまとまらないまま計画会議が終了したため、役割分担やSNSの投稿内容の理解に個人差が生じました。そこで自身が各チームメイトと比較的親しかったことから、話し合いで提案したアイデアを個別に再度確認しあい、内容をレポートにまとめ共有しました。他の留学生たちの合同チームだったため、各メンバーの性格や考え方も多様な環境で全員が納得いく内容にまとめるのが大変でしたが、チーム内で自身が率先して仲介役を果たすことで、組織の調和を保ちつつ、個々の意見を尊重することができたと感じました。今後も主体的にチーム内の調和を図りつつ目標に向けて周囲に率先的に行動するべく心がけます。
※出典:日立グローバルライフソリューションズ|2025年卒ビジネス/マネジメント系(マネジメント/プランニングスタッフ)本選考のES
インターンシップ経験
【設問】
・ゼミや部活動、アルバイト等の課題に対して力をいれたことについて、何の活動のどのような課題か教えてください。
・課題の苦労やそれを乗り越えるために工夫したことを教えてください。
【回答例】
◯月から始めた◯◯会社での長期インターンシップである。私は、インサイドセールスとして取り組んでいたが、当初は、企業ごとの提案ができておらず、3ヶ月間アポイントが取れていない状況であった。
自身を客観視したいと考え、社員の方にロープレを定期的に行って頂いた結果、信頼関係を構築せずに会話に入っていたこと、相手の断り文句に対してスムーズに対応できないことが原因であると判明した。そこで私は、相手との関係値を追求することで営業成積向上に繋がると考え、次の2点を実行した。(1)過去・現在・未来の3軸でヒアリングをすること(2)断り文句に対応するために、企業課題を予測し、切り返しトークを作成するなど事前準備を徹底した。結果、通電数◯◯件で初アポを獲得、◯月には月間アポイント数1位を達成した。
※出典:ヤマト運輸|2025年卒総合職本選考のES
趣味
【設問】
これまでにあなたが最も力を入れて取り組んだこと
【回答例】
歌で人の心を動かせる存在になりたいと思い尽力した音楽活動です。中学の頃に参加したライブで、プロ歌手の圧倒的オーラに憧れ、独学で歌を学び始めた。中学・高校ではとにかくその歌手のように歌うことを目標に、些細な癖から全てを模倣し練習を重ねた。文化祭のステージで歌唱した時、これまで関わりのなかった人も高揚させることができ、観客を巻き込み音楽で通じ合う楽しさを知った。大学では◯◯サークルに所属し、一人で歌うこととの違いに直面した。ハモる声を身につけることを目標に、倍音が出る声を探求した。◯◯人バンドのリーダーとして練習の舵を取りながら、仲間たちとピッチや癖を合わせ、日々の性格や態度が音楽を纏うことや他人と音楽を奏でる楽しさを知った。個人では路上ライブやSNS投稿を始め、気持ちを乗せて歌うことを目標に実践を重ねた。多くの方から感動したとの声を頂けた。各段階で学んだことを次に生かし、私は音楽と真剣に向き合った。
※出典:トヨタ自動車|2025年卒技術職本選考のES
ボランティア
【設問】
学生時代に、どのような挑戦をしてきましたか?
【回答例】
NPO法人◯◯での学習支援のボランティア活動です。はじめは、家庭、経済、知的能力など様々な困難を抱える子どもの言動や行動が理解できず、うまくコミュニケーションが取れませんでした。そこで次の2点を中心に取り組みました。1つ目は、チームのメンバーからフィードバックをもらうことです。客観的に自分の指導を見直すことで自身の視野が広がりました。2つ目は、子どもが自分の力で学習できる環境を整えることです。具体的には、「問いかけ」を中心に行い、教師ではなくサポーターとして振る舞いました。この結果、子どもと信頼関係を構築し、効果的な指導内容を考えられるようになりました。この経験から、未知の分野であっても積極的に挑戦し、仲間と協力しながら行動することの重要さを実感しました。
※出典:パナソニックグループ|2024年卒事務系本選考のES
資格
【設問】
学業で力をいれたこと(200字以内)
【回答例】
学業で注力した事は、基本情報技術者試験の取得です。情報学部に在籍しながらも、プログラミングへの苦手意識があった為、克服する為の目標として挑戦しました。特に科目Bのプログラム問題に焦点を絞り、模擬試験や過去問に努め、弱点を見つけ改善策を練りました。その結果、1カ月という短期間で、科目A・Bともに600点以上を達成し、合格しました。これらの経験から得た苦手克服力を今後も生かし、着実な自己成長を目指します。
※出典:キヤノンITソリューションズ|2025年卒システムエンジニア本選考のES
日常生活
【設問】
学生時代に最も打ち込んだことは何ですか(200文字以下)
【回答例】
◯◯の大会である◯◯です。プログラミングを本格的に経験したことがなかったため、ソフトスキル向上のために参加しました。1日7時間のシステム開発やデバッグ作業を5カ月間行いました。小さな疑問点を自分で調べたり、教授や先輩方に聞いたりして一つひとつ丁寧に解決していくことで、汎用性のあるプログラムの作り方や安定したシステムの構築手法に関する知識を身につけることができました。
※出典:東京海上日動システムズ|2025年卒ITエンジニア本選考のES
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を書き始める前の対策
ガクチカを書き始める前に、自己分析や企業分析などの事前対策を行っておく必要があります。いきなり文章を書き始めると、何を伝えたいのかがわかりにくい文章になってしまうリスクがあるためです。
ここからは、ガクチカを書き始める前の対策に当たる、各項目について解説します。
自己分析
ガクチカを書く前の事前準備として、自己分析は必須です。自己分析とは、経験や考え方を振り返って整理し、客観的に自己理解を深める分析手法を指します。
ガクチカを書く際に自己分析が必要なのは、考え方や価値観、人柄などを表すエピソードを探す際、そもそもどのようなエピソードが自分らしさを表すのか理解できていない可能性が高いためです。
自己分析は、以下のような手法で行うことをおすすめします。
- 「Why(なぜ)」で掘り下げる
- 自分史を書く
- マインドマップを作る
- ジョハリの窓を活用する
- モチベーショングラフで可視化する
自分史とはその名のとおり「自分の歴史」のことであり、マインドマップは思考を具現化するための手法です。
ジョハリの窓は、自分が見た自分と他人が見た自分のズレを理解するためのフレームワークで、モチベーショングラフとは、過去の出来事や気持ちを可視化するためのツールを指します。
自己分析は、ガクチカを書く際だけでなく自己PRを書く際にも必要です。また、志望企業が自分に合っているかどうかを判断する材料にもなります。ガクチカを書くにあたって、必ず自己分析を行っておきましょう。
企業分析
企業分析も、ガクチカを書く前に行わなければいけないプロセスの1つです。企業がどのような人材を求めているのかがわからなければ、ガクチカで伝えるべきエピソード選定ができません。
企業分析は、企業の基本情報を掲載したコーポレートサイトやIR(投資家向け情報)、就職情報サイトなどから得られます。OB・OG訪問で、実際にその企業に勤める先輩から情報を収集するのもよいでしょう。
ガクチカを書く事前準備として、自己分析とあわせて企業分析を行い、その企業が求める人材像を明確にしておく必要があります。
ロジカルシンキングの習得
ガクチカを書く準備として、ロジカルシンキングを習得することもおすすめです。ロジカルシンキングとは、物事を結論と根拠に分け、その論理的なつながりを考慮しながら物事を理解する思考法のことです。
ガクチカはその内容はもちろん、文章の論理性も問われます。仕事においても、論理的に物事を考え、伝えるスキルは必須であるためです。
論理的思考力を鍛えるには、以下のような方法が効果的です。
- 論理的思考力に関する書籍を読み理解を深める
- 常に言語化を意識する
- 物事を疑う練習をする
ガクチカをわかりやすく正確に伝えるためにも、日頃からロジカルシンキングを意識して生活するとよいでしょう。
ONE CAREERの体験談の活用
ONE CAREERのサイトに掲載されている志望会社の体験談を活用して、過去に聞かれたESの内容を確認して、先輩たちのガクチカの内容を参考にして、自分なりのガクチカを書き出しましょう。
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)の探し方
ガクチカが、スムーズに出てこない方もいるでしょう。その場合は、もっとも時間を費やした経験や困難を乗り越えた経験、他人に褒められた経験などを思い出してみましょう。
ここからは、ガクチカがすぐに思い浮かばない方に向けて、ガクチカの探し方をご紹介します。
一番時間を使った経験
まずは、一番時間を使った経験を思い浮かべてみましょう。学生時代にもっとも時間を使った経験は、その分経験やスキルが積み上がり、ガクチカとして使いやすい題材であることが多いと考えられるためです。
自分としては何気なく時間を費やしていたことでも、通常は何か1つのことを長期間続けること自体が難しいことであり、他者との差別化につながります。
学生時代に、これといって力をいれたことがないという方は視点を変えて、長く時間を費やした経験を思い出してみるとよいでしょう。
思い入れを強く持って取り組んだ経験
思い入れを強く持って取り組んだ経験も、ガクチカの題材としてふさわしいでしょう。思い入れが強い取り組みは、何かしらの成果を残そうと努力した可能性が高く、ガクチカでアピールしやすいためです。
例えば、サークル活動やボランティア活動、ゼミでの取り組みなどが該当します。学生時代に思い入れを持って取り組んだ経験がある方は、そこからガクチカを作成することを検討してみましょう。
困難を乗り越えた経験
困難を乗り越えた経験も、ガクチカとして伝えるエピソードとして適しています。困難を解消しようと試行錯誤する過程で、学びを得られることが多いためです。
例えば、けがによって部活動で活躍できなくなった経験であれば、気持ちを奮い立たせながらリハビリを重ね、また試合に出られるようになった点に焦点を当てて伝えられます。
その他、アルバイトやインターンシップでの失敗、勉強や実習での挫折などを乗り越えた話も、ガクチカにふさわしいエピソードといえるでしょう。
自分の強みを発揮できた経験
自分の強みを発揮できた経験を挙げることもおすすめです。自分の強みは、企業へのストレートなアピールになるでしょう。
強みを発揮できた経験の成果がささいなものであったり、派手さがないものであったりしても、気にする必要はありません。エピソードに求められるのは、わかりやすさや具体性です。
日常生活におけるささいなエピソードでも、自分の強みとのつながりに説得力があれば、高評価を得られる可能性があります。
他人に褒められた経験
他人に褒められた経験を活用することも、選択肢の1つです。自分では当たり前に感じていて、特にアピールすべきものではないと考えていても、周囲から見ると十分に強みであることは珍しくありません。
学生時代にこれといって力をいれた経験がないという方でも、何かしら他人から褒められた経験はあるでしょう。ガクチカのエピソードがなくて困っているという場合は、他人から褒められた経験を思い出し、強みとして伝えられないかどうかを考えてみましょう。
他の人には珍しい経験
他の人からすると珍しい経験も、ガクチカの題材にしやすいといえます。他の人がしないような経験はオリジナル性が高く、印象に残りやすいためです。さらに、人と違う行動を取れることから、主体性や行動力を評価されると考えられます。
例えば、以下のような経験は、他の人からすると珍しいと評価されるでしょう。
- 世界を一周する旅に出かけた
- 環境保全のためのNPO法人を立ち上げた
- 海外のインターンに参加した
これらは多くの人が経験することではないため、前例が乏しく労力が必要だったり、挫折しやすかったりといった傾向があります。そのような労力もいとわない、チャレンジ精神に富んだ人材と評価される可能性が高いでしょう。
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)がない場合の対応策
どれだけ必死に思い出そうとしても、ガクチカに該当するエピソードが見つからない場合は、今までの経験を深掘りしたり、新たにガクチカを作り出したりすることを検討しましょう。それぞれの内容を解説します。
今までの経験を深掘りする
直近でのガクチカが思い浮かばない場合は、中学や高校時代の経験を深掘りするのも手です。
企業がガクチカを質問するのは、その学生の物事への取り組み方やモチベーションの源となるものを知ろうとするためであり、それらがわかるものであれば少し前の経験でも大きな問題はありません。
ただし、中高時代の経験をメインのエピソードにする場合でも、なんらかの形で大学時代のエピソードに絡めることが望ましいでしょう。大学時代の話にまったく触れないと、その期間は何もしていなかったと捉えられかねないためです。
課題を設定してガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を作り出す
ガクチカがない場合は、新たにガクチカのエピソードになりそうな経験をしてみることを検討するのも1つの方法です。ガクチカを作るために新たな活動をすることで、面接にも自信を持って臨めるでしょう。
新しく始める活動としては、以下のようなものが挙げられます。
- インターンシップに参加する
- 資格を取得する
- ボランティアに参加する
- アルバイトを始める
- ゼミや研究に打ち込む
例えば、「何かをやり遂げた経験がない」「1人で新しいことに挑戦した経験がない」といったことを課題と捉える場合は、それらを解決できるような取り組みを始めることがおすすめです。
新しい取り組みを計画的に始めること、やり遂げることで自信が生まれると考えられます。また、これまでの自分にはなかった視点や気づきを得られる機会にもなるでしょう。
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)を書く際の注意点
ガクチカによってマイナス評価を受けないために、いくつかの点に注意する必要があります。ここからは、ガクチカの書き方における注意点を解説します。
社風・仕事内容に合うエピソードを選ぶ
ガクチカには、その企業の社風や仕事内容に合うエピソードを選びましょう。エピソードから伝わる強みや価値観が企業の求める人物像に合致しない場合は、採用につながらないためです。
企業の社風や仕事内容を正しく理解するためには、企業分析は欠かせません。企業分析を重ね、社風や仕事内容に応じたエピソードを選ぶように意識しましょう。
高校以前のエピソードを使わない
高校時代以前のエピソードのみに頼らないことも、ガクチカで失敗しないために押さえるべきポイントの1つです。ガクチカとして伝えるエピソードが高校時代以前のもののみの場合、大学時代に何もしていなかったと思われる可能性が高いでしょう。
基本的には、大学時代の経験を話した上で、追加で求められた際に高校以前のエピソードを伝えることが無難です。どうしても大学時代のガクチカがない場合は、メインの高校以前のエピソードに、大学時代の経験も絡めることをおすすめします。
実績を残していないエピソードを使わない
具体的な実績を残していないエピソードも、ガクチカとして使うのはやや不適切です。完全な趣味などは、たとえそこで困難を乗り越えたエピソードがあったとしても、あくまでも娯楽にとどまり、業務に生かせるわけではないと考える企業が多いことも事実です。
ガクチカは、必ずしも華々しい実績や派手さが求められるわけではありません。しかし、ある程度具体的な実績や成果を示せるエピソードを選ぶことが、選考を有利に進めるコツです。
誇張しすぎるエピソードを書かない
誇張しすぎたエピソードを用いないことも、ガクチカの書き方における基本です。面接官は数多くの学生のエピソードを見ているため、内容や話し方からそれが誇張であることを見抜ける可能性が高いです。
ガクチカは成果よりもプロセスを重視する以上、成果を誇張してもあまり意味がありません。成果や実績の誇張が見破られると、誠実性が疑われてしまいます。
自分を大きく見せて入社すると、採用のミスマッチが生まれやすくなります。企業にとっても自分にとっても不利益が生じることから、誇張しすぎるエピソードは書かないように注意しましょう。
専門用語を使わない
ガクチカでは、専門用語を使わないことも大切です。自分では当たり前のように使っている言葉でも、一般的には通用しないことが少なくありません。
同じ言葉でも使い方や意味が異なることがあり、誤解を生んでしまうリスクがあることに注意しなければなりません。
専門用語を書かず、誰が読んでもわかりやすく意味が正しく伝わるような言葉に置き換えるなどの工夫をしましょう。
指定された文字数の9割以上を書く
ガクチカで文字指定がされており、「200文字程度」「300文字以内」などと記載されている場合は、指定文字数の9割以上を埋めるようにしましょう。
指定文字数の9割未満しか埋まっていない場合は余白が目立ち、企業や仕事への志望度や理解度が低いとみなされてしまう場合があるためです。
200文字の指定であれば180文字、300文字の指定であれば270文字以上を書くことを徹底してください。マイナスの評価を受けないように、企業に対する熱意をアピールしましょう。
誤字・脱字はないか
ガクチカを書く際、誤字・脱字がないように注意しましょう。誤字・脱字があると、「仕事でもケアレスミスをしそう」「志望度が低いのではないか」などと捉えられ、マイナスの評価につながる可能性があります。
誤字・脱字に気づいた際に、修正液を使用することはおすすめしません。手間はかかるものの、書き直しをすることが望ましいでしょう。
誤字・脱字がないように慎重にガクチカを作成し、書いた後のチェックも欠かさないことがポイントです。
まとめ
今回は、ガクチカの書き方からテンプレート、押さえておくべきポイント、実際の例文、そして注意点までを詳しくご紹介しました。
ガクチカでの高評価を目指すためには、これらのポイントや注意点をしっかり意識して準備するとよいでしょう。ご紹介した例文を参考に、自分のガクチカを作成し、企業に高く評価される内容を目指していただければと思います。
しっかりと事前対策して、内定を勝ち取りましょう。
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