三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほフィナンシャルグループ、といえば、知らない人はいないほどの有名企業。そのブランドイメージの良さや、年収の高さ、待遇の良さなどから、メガバンクに興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回インタビューしたのは、「金融業界」を中心に就活に取り組み、最終的にメガバンクへの就職を決意したDさん。毎年多くの学生が応募する人気企業であり、さらに近年は採用人数を減らしている3行。内定を獲得するのは、容易ではないでしょう。
Dさんは一体どのように内定獲得に至ったのか。内定先に決めた理由から、選考の対策方法まで詳しく伺います。
<目次>
●幼い頃から見てきた銀行員に憧れた
●三井住友銀行の「体育会っぽい」雰囲気に魅力を感じて第一志望に
●23卒はケース面接があった!? 三井住友銀行の選考ポイント
●銀行を受けるのなら、ニュースと財務諸表は確認必須
幼い頃から見てきた銀行員に憧れた
──Dさんは、金融業界と人材業界を中心に受けていたそうですね。
Dさん:高校生の頃からメガバンクに行きたいと思っていたので、金融業界を中心に受けました。あとは、メガバンクに落ちるリスクを考えて人材業界も見ていましたね。人と話すのが好きなので。人材業界では紹介から内定につながることもありました。しかし、最終的には昔からの夢だったメガバンクから内定をいただいたので、メガバンクに就職することにしました。
──就活を始める前からメガバンクに行こうと決めている人は少ないと思いますが、Dさんはなぜメガバンクを志望していたのですか。
Dさん:父親が自動車会社を経営しているのですが、小学生の頃、学校終わりに家に帰ると、父が銀行員と話している光景をよく見てきました。そこで親身になって新しい取引先や融資の提案をしてくれている姿をまじまじと見てきて、だんだんと企業や人を支えている銀行という存在に憧れるようになりました。
──銀行の中でも、メガバンクにこだわっていたのはなぜですか?
Dさん:就活を始めてメガバンクの業務について詳しく調べていく中で、芸能人やスポーツ選手の資産管理をしたり、大企業への提言を行ったりするなど、世の中への影響力がとても大きく、夢のある仕事だと感じたためです。
もし転職を考えるようになった場合でも、お金についての知識は汎用性が高く、財務諸表から傾向を読み取って営業などに生かすことができます。
三井住友銀行の「体育会っぽい」雰囲気に魅力を感じて第一志望に
──Dさんはメガバンク3行の中で、どのようにして第一志望を決めたのでしょう?
Dさん:メガバンク3行はそれぞれの良さがあったので、最終的には会社の雰囲気で決めましたね。私は体育会系の部活に所属しているのですが、内定先である三井住友銀行は他行に比べて体育会出身の方が多いので、自分に合うと思ったんです。少数精鋭を掲げているため、一人一人に与えられる仕事が大きい点や、切磋琢磨(せっさたくま)できる風潮もあります。
また、勤務時の服装が自由なところも魅力的でした。夏はポロシャツと短パンで会社に来る人がいて、メガバンクの中でもすごく自由な社風だと感じます。
──社風が合っていると感じたんですね。他にはありますか?
Dさん:若手の出向にも積極的に取り組んでいて、さまざまな業種、勤務地を経験できることです。時代が急速に変化していく中で、さまざまな場所にアンテナを張ることができるシステムがあるのは非常に良いと思います。
また、働きやすさと福利厚生も決め手になりました。働きやすさについては、上下関係がある中でも社員同士の仲が良いので、働きやすいと感じました。特に寮が一緒の人と仲良くなる傾向があるようです。
また、福利厚生については家賃補助がとても大きいと感じています。1万円ほどで寮に住めるのでお金がたまります。休暇制度については、育児休業制度、有給休業などもほぼ全員が最大まで消化できます。
──他の2行の良さも教えていただきたいです。
Dさん:三菱UFJ銀行は、全体的にお堅いイメージで、何事にも冷静に対応される社員さんが多いイメージでしたね。特にOB・OG訪問の際は、全社的に誠実さを大切にしている雰囲気が感じられました。
みずほフィナンシャルグループは、グループ力が魅力だと感じました。顧客のニーズに対してメガバンクだけで解決しようとするのではなく、他の金融機関の力も利用してチーム一丸となって対応できると感じたためです。
23卒はケース面接があった!? 三井住友銀行の選考ポイント
──Fさんは三井住友銀行のインターンに参加したんですか?
Dさん:はい、私は5daysの夏インターンに参加しました。
──最近の就活では、インターンに参加することが内定への近道になっている企業が多くあります。三井住友銀行ではインターンに参加していない人でも内定はもらえるのでしょうか?
Dさん:もらえると思います。しかし、三菱UFJ銀行はインターンに参加することがとても重要になっていて、インターンに参加できればほとんどの人が内定するといわれています。
──企業によっては、インターンへの参加が重要になるんですね。
Dさん:インターンに参加すると、リクルーターという同じ大学出身の社員の方に就活のサポートとして付いてもらえます。
──リクルーターについてもらうと、どんなメリットがあるんでしょうか?
Dさん:まずは選考対策のフィードバックがもらえます。私の場合は、面接練習で「こういうところが良かったよ」「ここを直した方がいいね」というアドバイスをもらったり、「過去にこういう質問があったから、こういうことを聞かれると思うよ」と選考のポイントを教えてもらったりもしました。
──三井住友銀行の本選考の具体的な内容を教えてください。
Dさん:自分の場合は、
・ES
・リクルーター面談(2回)
・1次面接(リモート)
・リクルーター面談(3回)
・2次面接(対面)
・リクルーター面談(3回)
・最終面接(対面)
という流れでした。合計で8回くらいリクルーター面談がありましたね。
リクルーター面談の回数は人によって違うそうです。リクルーターの方が「これで次の面接に送り出せる」と思うまで面談が続くのだと思います。
──8回も面談をするんですか? 面接ではないので、軽い気持ちで臨む人も多そうですね。
Dさん:リクルーター面談は、面接前の練習と思われがちですが、落とされる人もいます。練習だと思って気を抜かないように注意してほしいです。
自分が気を付けていたことは、面接だと思って固くなるのではなく、アドバイスをもらいに行くような感じで本音で話すということです。正直、相手に良く思われようとうそをついても、バレてしまいます。本当は思っていないことを言ってしまうと、深掘りされたときの内容が浅くなってしまい、結局はマイナスに映ります。そのため、正直に自分の気持ちを伝えることはとても大事だと思います。
──どのような対策を行っていましたか?
Dさん:部活の先輩と面接の模擬練習を何度も行いました。銀行でよく聞かれる質問を紙にまとめて、質問してもらっていました。例えば、なぜ金融業界がいいのか、なぜ銀行なのか、なぜメガバンクなのか、など。そして、それぞれの回答に対して「なんで?」「なんで?」と、深掘りをしてもらいました。
──面接でうまく話せない、緊張してしまうなど、苦手意識を持つ方も多いと思います。Dさんはどうでしたか?
Dさん:初めは、面接に慣れなくてとても緊張していました。こういう対策を積み重ねていくうちに緊張しなくなっていきました。
──最も大変だと思った選考はなんですか?
Dさん:2次面接ですね。ケース面接のような内容でとても驚きました。2022年卒までの2次面接は定番の面接でしたが、今回から内容が変わったんです。本当にパニックになりましたね。
──ケース面接ですか、具体的にはどんな内容だったのでしょうか?
Dさん:まず「これから1つ質問するので、この紙を使って3分間で考えてください」と言われて、「北海道で新規事業をするならどんな事業をしますか?」と質問されました。ここでされる質問は人それぞれです。質問の候補が複数あって、自分は北海道出身だったので、この質問が選ばれたのだと思います。
他には、「コロナ禍で、もしこれから居酒屋を始めるならどんな居酒屋を作りますか?」という質問もあったそうです。
そして、そのケース面接が終わった後は、定番の「なぜ銀行を志望するのか」「なぜ三井住友銀行なのか」「学生時代に頑張ったことは何か(ガクチカ)」などの質問をされました。
銀行を受けるのなら、ニュースと財務諸表は確認必須
──Dさんが就活をする中で、特にやってよかったことは何ですか?
Dさん:やっぱりOB・OG訪問ですね。まだ行きたい企業が決まっていない人は、あれこれ考える前にいろいろな企業にOB・OG訪問をした方がいいと思います。ネットでその企業について、入念に調べていたとしても、実際に話を聞かないと分からないことはあると思うので。現場で働いている人と会って話を聞くことが、一番の企業理解につながると思います。
あと、行きたい企業が決まってきても、何回も足を運んだ方がいいと思います。いろいろな人から話を聞くことによって、さまざまな角度からその企業を知ることができます。また、どのような質問をされたか、どのような質問をされそうかなどを教えてくださる方もいるので、その分有利にはたらくと思います。
──ただ、いろいろな人から話を聞くといっても、社会人とのつながりがないという人も多そうですね。
Dさん:出会いは意外と身近なところにあると思いますよ。私は、部活の先輩、バーで知り合った人、Facebookで知り合った人に「この会社に興味があるのですが、知り合いの方いらっしゃいませんか?」と聞いていました。中には、「実は私はこの会社の役員だから、その会社の役員と知り合いだよ」と言って、志望企業の役員の方を紹介してくださったこともあります。
──バーで出会う、なんてこともあるんですね……! 他に、周りと差をつけるために取り組んでいたことはありますか?
Dさん:ライバル企業との違いと強みを徹底的に調べました。ネットなどで軽く調べる人はたくさんいるんですけど、どこまで調べたかで、やはり差が出てくると思いますし。そういうところで周りと差をつければ、「この会社に本当に入りたい」という熱意が人事にも伝わると思います。
──具体的にはどのようなところまで調べていたんですか?
Dさん:企業ホームページに載っている財務諸表を見て、売上や利益率の推移の理由を一つずつ調べていきました。
ただ、これは銀行ならではかもしれません。財務諸表を読むことは銀行員にとって非常に大事なことなので、面接などで自分が財務諸表を見て思ったことを話すと、より会社に入りたい気持ちが伝わると思います。他にも、ネットに載っていないことは、OB・OG訪問で聞いていましたね。
──他に銀行ならではの対策があれば教えてください。
Dさん:とにかく毎日、新聞を読むことです。自分はスマートフォンに日本経済新聞のアプリを入れています。面接で「今気になっているニュースはありますか」などの時事にまつわる質問はよく聞かれていたので、役に立ちました。
──ありがとうございました!
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