新型コロナウイルスの感染拡大やデジタル化で変化の激しい金融業界。各社が変化に対応し、さまざまな挑戦を続けています。
消費者金融のアコムもその1社。テレビCMのイメージが強い同社ですが、以前から業界初の試みにも挑戦しており、事業領域の幅も広がっています。
今回、お話しいただくのはアコムで人材採用室長をしている松浦博之さん。入社25年目を迎え、自身も新設部署での業務経験がある松浦さんが語る同社の一番の強みは「自らチャレンジができる環境があり、それをサポートしてくれる仲間がいる」ということ。アコムの事業の最前線と変わらぬ強みに迫ります。
法人営業からマーケティングまで。アコムの業務の幅広さに触れる
──松浦さんのご経歴を見ると、マーケティングやクレジット営業など消費者金融のイメージにはあまりない部署も経験されています。どのような業務を経験されてきたのですか。
松浦:1997年に入社して最初は東京の立川支店に配属されました。同じ支店の先輩からマーケティングのレクチャーを受けたことがきっかけで興味を持ち、独学ですがマーケティングの勉強を始めました。いつか自分でもマーケティングの業務に携わってみたいという思いが強くなったのが、入社から5年ほどたった頃です。ちょうどその時期にクレジット営業部の立ち上げが予定されていました。
松浦 博之(まつうら ひろゆき):アコム人事部 人材採用室 室長
1997年、アコム株式会社入社。立川支店勤務、2003年よりクレジット営業部。その後、営業管理部(現・営業推進部)、マーケティング部(現・営業企画部)を経て、2010年より保証事業部。同事業部在籍中の2012年~2014年にauじぶん銀行に出向。2020年より人事部人材開発室。2021年7月より現職。
──新設の部署だったのですね。クレジット営業部はどのような役割を担っていたのでしょうか。
松浦:アコムは1998年にMastercardの発行ライセンスを取得し、消費者金融業界では初めてクレジットカード事業に進出しました。当時も、本社の中にカード推進部という部署は存在していましたが、新たに営業を主軸とした部署を作り、事業拡大を図っていくことが決まったのです。この部署であれば、マーケティングの実践ができるのではないかと思い、新しく部長になられる方に希望を伝えたところ異動がかないました。これが28歳の頃です。
──実際に異動してみて、いかがでしたか?
松浦:まるで別の会社に入った感覚でした。主な業務は、小売店をはじめ一般消費者向けのビジネスを展開する企業に、アコムのクレジットカードを取り扱ってもらうための新規開拓営業です。店舗や企業のブランドロゴが入ったオリジナルのクレジットカードをアコムが発行するという企画だったのですが、当時のアコムは法人営業のノウハウをほとんど持ち合わせておらず、手探り状態でした。飛び込み営業なども行ったのですが、ようやく提案できたとしても押さえるべきツボがずれていることが多く、毎日が失敗続きでした。
実際に提携先でクレジットカードを取り扱うことになっても、利用客は発行時にその店舗でもらえる特典を目当てにされる方が大半で、クレジットカードの利用率が低いことも課題でした。ただ、その中でも利用率が高い提携先もあったので、要因を分析して営業戦略に活用していました。
──法人マーケティングに近い業務が経験できたのですね。
松浦:支店時代は個人のお客さまと接する仕事が中心だったので、全く異なるビジネスを経験できたのは、自分の成長に大きくつながっていると実感しています。
残念ながら、事業自体は期待したほどの成果が出せず、最終的には約4年で撤退することとなりましたが、この経験は私にとって大きな財産となりました。
事業の3本柱で、国内外でシェアを拡大
──アコムと聞くと、CMで見る消費者金融のイメージが強いですが、仕事の幅は思ったよりも広そうですね。アコムが手掛ける事業について詳しくお聞かせください。
松浦:アコムには、主に「中核3事業」と呼ばれる3つの事業があります。1つは多くの方がご存じの「ローン・クレジットカード事業」です。こちらはBtoCのビジネスであり、個人のお客さまにカードローンやクレジットカードの発行といったサービスを提供しています。
もう1つは、BtoBの「信用保証事業」です。この事業では、提携する銀行が販売するカードローン商品の債務保証をアコムが行い、銀行から保証料をもらうビジネスです。国内の個人向けカードローン市場は2022年3月時点では、9.25兆円の規模ですが、BtoC、BtoB双方の事業を展開することでアコムのシェアは連結ベースで21%を占めています。
──最後の1つは何でしょうか。
松浦:海外金融事業です。現在は東南アジアでマーケットを開拓していて、タイ王国やフィリピン共和国でカードローン事業を展開しています。タイでは、ノンバンクでトップシェアを獲得しています(※1)。また、マレーシアにも進出すべく事業参入のためのライセンス申請を行っています。
アコムグループの従業員数は2022年現在、日本国内が約2,300人ですが、海外の子会社を合わせると約5,300人ですので、実は割合としては海外の従業員数が少し多いのです。このように国内外を問わず、既存事業の拡大や新規事業の立ち上げを図っています。
(※1)参考:アコム 企業情報サイト「海外金融市場」
──新規事業は、どのようなものが進んでいますか。
松浦:最近、社員の発案によってエンベデッド・ファイナンス(組み込み型金融)という事業への参入が決定しました。この事業は、金融以外の事業会社がカードローン事業に参入するためのサポートを行う事業で、2022年4月に子会社を設立しました。アコムが培ってきた金融ノウハウが活用できますし、「今困っている人を支援する」という意味では、アコムの事業の根幹ともつながります。今後もこのように社員が中心の新しいチャレンジが続くでしょう。
私自身もそうでしたが、アコムにはチャレンジができる環境があります。自分が積極的に手を挙げれば、チャレンジする機会を多く与えてもらえますね。
金融機関への出向も。MUFGグループだからこそ得られた経験・学びがある
──先ほどの「中核3事業」に挙げられた信用保証事業についても、お聞きします。松浦さんは人事部に異動してくる前は保証事業部に在籍されていましたが、どのようなことを経験されましたか。
松浦:2010年から2019年までの約10年間、銀行への出向も含めて保証事業部で経験したことは非常に多岐にわたります。
最初に取り組んだのは、MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)における保証事業の再編です。具体的には、それまでアコムとは別のグループ内の2社が分担していたカードローンの保証をアコム一社に集約していくというものでした。当時は社内でも信用保証事業の認知度が低く、私自身も勉強しながら臨んだ業務でした。
保証事業再編のプロジェクトを終えてからは、銀行との関係を強化し、規模拡大に向けた提案や支援を行うチームに属しました。このチームでの主な業務は、銀行で取り扱うカードローン商品の新規獲得キャンペーンや利用促進施策の企画提案です。他にも商品の見直しや、申込サイトのリニューアルなどを経験しました。くしくもマーケティング知識を生かせる業務を経験できている喜びとともに、1つの銀行を裏方から支え、その銀行の商品の価値をいかに高めるかを本気で考える毎日でした。
──2012年の12月から2年間、auじぶん銀行に出向されていますね。どのようなことを経験されましたか。
松浦:アコムのカードローン事業の一部をauじぶん銀行に譲渡し、銀行のカードローンを中核事業に成長させるための業務を経験しました。出向は初めての経験で緊張もありましたが、まったく別の会社の一員になったので、触れ合う人や見聞きすることすべてが新鮮で毎日が刺激的でした。また、auじぶん銀行をはじめネット銀行ならではのスピード感を知り、アジャイル(※2)的な仕事の仕方を学びました。
自分自身がビジネスパーソンとして最も成長できたのは20代のクレジット営業部でしたが、学びが多かったという点ではこの保証事業部が一番だったと思います。
(※2)……「すばやい」「俊敏な」という意味合いで、短い期間単位を採用することでリスクの最小化を図る手法。
消費者金融に訪れた「冬」の時代も、人を大切にする経営は変わらなかった
──お聞きしていると、さまざま業務を経験でき、順風満帆なキャリアだったように思います。
松浦:そんなことはないですよ(笑)。 大変な時期もたくさんありました。
クレジット営業部の撤退が決まったときは、個人的にも責任を感じ、会社を辞めて新しい挑戦を始めるべきか悩んでいました。撤退処理のために部門は大阪に移ることになったのですが、当時の部長から「撤退業務に道筋をつけるには、君の力が必要だ。大阪に来てくれないか」と頼まれたことで、残る決意が固まりました。若輩者の自分に頭を下げてくれる部長への申し訳ない思いと、その期待に応えなければならないという思いが一気に強まったんです。
そして、撤退の道筋を立て、半年程度で東京に戻ることができ、次の配属先がマーケティング部に決まりました。もう一度、マーケティングに挑戦できると期待に胸が膨らんだのですが、大どんでん返しを経験することとなります。
──何があったのですか?
松浦:大阪から東京に戻り、マーケティング部に配属されたときは、自分のやりたい仕事を専門でやれるということで、すごくモチベーションが高まりました。そこで新規の商品や販売戦略などを提案したのですが、結果的には何も実現しなかったのです。
──どういうことでしょうか?
松浦:ちょうどこの時期に総量規制(※3)や上限金利の引き下げに関する貸金業法の改正がありました。その影響によって同業他社が倒産したり、会社更生法の適用となってしまったりと、消費者金融業界が大きく揺らいでいました。そして、アコムも例外ではなく、改正される貸金業法の対応が最優先となりました。
そして、アコムでは総量規制のシステムを作るためのリソースを集中させるために、マーケティングを含めた新たなプロジェクトが全て凍結となってしまったのです。
そのような中でも、当時の社長(現・会長)が、社員へのボーナス支給を約束してくれたのは、とてもありがたかったです。アコムばかりか、消費者金融業界そのものが存続していくことが厳しい時代でしたが、人、社員を大切にする経営は変わらなかったのです。
(※3)……「総量規制」とは借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために設けられた規制を表します。
──人を大切にするのが、アコムの特徴なのですね。
松浦:そうですね。社名の由来である「愛情(Affection)」「信頼(Confidence)」「節度(Moderation)」といったキーワードが、そのまま体現されている会社だと感じています。
就職活動のときも、そう感じて入社を決めました。
──どこに感じたのですか?
松浦:私が就活生だった90年代当時は、消費者金融が大変な活況であり、大手をはじめ各社とも勢いよく業績を伸ばしていました。そこで私も興味を抱き、アコムの説明会に参加しました。他の消費者金融会社や、不動産、流通、飲食などの業界でも何社かの説明会に参加しましたが、「学生に寄り添う」という姿勢はアコムが圧倒的でした。
説明会の会場に着いてから、「何か不安なことがあったらいつでも聞いてください」などと積極的に話しかけてくれたり、途中でもちょっとした気配りの一言をかけてくれたりしたことが、不安な学生にとってはうれしかったです。また、当時の会場は社員7、8人の方が運営されていましたが、皆で学生が居心地良く説明会に参加できる環境を作ろうとしている一体感を感じました。すごく親しみやすい会社だと感動を覚えました。
随分と昔の話なのですが、会社の根幹的な部分や、就活生への向き合い方などに関しては、現在も何一つ変わらないと感じています。
プロとして顧客を大切にする。その文化を受け継げる人と働きたい
──人を大切にするアコムの姿勢を、入社後はどのような場面で感じましたか。
松浦:最初に感じたのは、配属された立川支店です。「お客さまを大切にする」ということの意味と重要性が、アコムに入社する前とは大きく変わりました。
これは当たり前のことなのですが、お客さまと接する以上、たとえ新人であってもプロでなくてはいけません。支店の先輩方は一つ一つの対応が丁寧かつ正確で、常にお客さまの先回りをするように行動していることを知りました。
プロとしてお客さまに向き合い、大切にする。それによって、本当にお客さまが求めていることを引き出せたり、ベストな選択を導き出せたりできるのです。
──プロとしての心構えを学んだ場所なのですね。
松浦:今でも思い出すのは、ある高齢の女性のお客さまです。その方は、ご入金のために毎月ご来店なさっていました。ご入金自体は店外のATMで完結するのですが、いつも窓口にもあいさつされますので、いつしか私たちとも世間話をするほどのコミュニケーションを取るようになりました。私自身も、その方が来られるのが楽しみでした。
その後、お客さまは完済されたので、もう来店される必要はないのですが、「お礼を言いたくて……」とお顔を出していただいたのです。私たちはお客さまから利息をいただいていますし、決してお礼を言われる理由はありませんでしたが、そのお客さまとお話をしていくと、かけがえのない娘さんの結婚費用のためにお金が必要だったが、身内に相談できずアコムで借りたとのことでした。お客さまの笑顔と娘さんの笑顔、顔は知らないですが(笑)、を想像して、本当にお客さまのお役に立てたんだな、とうれしく思いました。支店での5年半を振り返ると真っ先にこのお客さまの顔が浮かびますね。
──人事部に移られて、それまでとは違う視点で会社を見ることになったのではないでしょうか。改めてアコムの強みとは何でしょうか。
松浦:人事部に配属となり、最初の1年半は人材開発の仕事を担当しました。アコムでは社員の成長を支援するためのコンテンツが充実していて、多くの社員が積極的に活用していることがわかりました。こうした取り組みを通して、改めてアコムは「人がいい」「人が強い」ということを感じました。私が入社するずっと以前から現在に至るまで受け継がれている強みといえます。
──配属や会社の制度にアコムの強みが反映されている部分はありますか。
松浦: 例えば、海外事業やマーケティングに関しては、まずはやりたいと手を挙げている人がいないかを探します。もちろん適正の有無は考慮しますが、やりたいという人に対しては、上司や会社が全力でサポートするという方針です。私も人事部に配属となり、改めてアコムには会社全体に人を尊重する文化が根付いていることを認識しました。
配属に関しては自己申告制度が用意されており、自己PR文と一緒に自分が行きたい部署を3つまでリストアップできます。他に上司との1on1での面談も月に一度設けられているため、自分の希望を述べたり、コミュニケーションを深めたりできます。
──アコムではどんな人材を求めていますか。
松浦:アコムの「人間尊重の精神とお客さま第一義」という企業理念に共感を持っていただけるかどうかが一番大切です。また、自らそれを体現できるかどうかについて面接ではお聞きするようにしています。
お客さまや仲間を大切にできる素養に加え、困難なことを乗り越えたり、粘り強く向き合ったり、積極的に吸収しようとする貪欲さ。これらを持ち合わせている方にぜひ来ていただきたいと考えています。
──最後に、就活生の皆さんにメッセージをお願いします。
松浦:就職活動は世の中にあるたくさんの企業を見て回れるチャンスです。ぜひ学生さんにはこの機会に、1つでも多くの企業を見ていただきたいと思っています。その上で、アコムの企業理念である、「人間尊重の精神」「お客さま第一義」に共感し、これらを自分自身の行動にも落とし込んでいただける方はぜひエントリーしていただきたいと願っています。面談、面接でお会いできることを楽しみにしています!
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