「確かに忙しいときはあるけれど、働き方を調整できるから意外とやっていけますよ」
個人の裁量が大きく、仕事の自由度が高いイメージのコンサルティングファーム。自分次第で働き方を決められると聞くことが多いですが、実際はどうなのでしょうか。
世界最初の戦略コンサルティングファーム、アーサー・ディ・リトル(以下、ADL)の全てを解説するシリーズ「ADL解体新書」。
第3弾はマネジャーの菅さん、中途入社したコンサルタントの福留さん、新卒2年目でビジネスアナリストの陶器さんの3人にインタビュー。お話を伺うと、ADLにおける働き方の「裁量」とは、単なる労働時間のコントロールだけでなく、キャリアや成長のスピードまで、個人の希望を大切にするカルチャーであることが分かりました。
<目次>
●入社後1カ月でクライアントへ10分プレゼン。若手の裁量は想像以上だった
●入社1年目でも働き方に関するルールはほぼなし、出社も自由
●子育てをきっかけに業務負荷を下げた男性、相談に不安はなかった?
●マネジャーになった今が一番面白い──産業全体を俯瞰する「視座の高さ」が醍醐味(だいごみ)
●文系出身者や女性が増え、メンター制度も進化。この5年でADLは大きく変わった
●コンサルだけど「ウェット」な文化。チャレンジしながら長く働ける環境がある
●プロジェクトに忙殺されず、違う分野にもアンテナを張れる人は強い
入社後1カ月でクライアントへ10分プレゼン。若手の裁量は想像以上だった
──今日はよろしくお願いします。まずは皆さんの自己紹介をお願いできればと思います。
陶器:私は新卒入社2年目です。個人的にはカーボンニュートラルやサステナビリティの領域に関心がありますが、現在はローテーション制度を使い、業界を絞らずにさまざまなプロジェクトを回っているところです。
福留:私は中途入社で4年目を迎えました。前職では航空会社の整備計画部にいたのですが、第三者視点で航空業界を変えたいと思ったことから戦略コンサルに転職しました。
現在は、航空系を中心とした製造業の案件や投資ファンド向けのビジネスデューデリジェンスなどの案件に携わっています。プライベートでは2021年秋に第一子が産まれて、1カ月間の育休を取得しました。
菅:私は2017年に新卒で入社し、今はマネジャーとして、新規事業戦略やR&D戦略の策定支援、官公庁大学向けのエコシステム形成支援など、主にイノベーションに関するプロジェクトを担当しています。
──今回のインタビューでは、皆さんが普段どういう働き方で、どんな仕事をしているのかを中心にお話を聞ければと思っています。コンサルティングファームは「激務」というイメージを持つ学生は少なくないですが、実際コンサルタントの方に話を聞くと、「働き方も自分で選べるから、見た目ほど大変ではない」との答えが多い印象です。皆さんはどう思われますか?
陶器:確かに「働きやすさ」という意味でも、「働きがい」という意味でも、ADLは裁量が大きいファームだと思います。仕事における時間の使い方の自由度が高いだけでなく、仕事の内容・アウトプットに対して若手が貢献できる範囲も広いですね。私自身、それらを期待して入社したわけですが、想像以上で驚きました。
というのも、入社1年目の4月半ばにある調査を任され、結果についてクライアントに10分ほどプレゼンを行ったことがあって。
──え! まだ働き始めて1カ月たってないのにですか?
陶器:そうなんです。これは私が特別なわけではなく、新卒全員が通る道らしくて(笑)。
そこから徐々にレベルアップしていき、1年目の最後のプロジェクトでは、最初の論点設計から最終的な資料構成、果ては重要課題の特定やクライアントへのプレゼン、ディスカッションまで経験させてもらいました。「1年目からここまでやれるのか」と、びっくりしました。
他のファームの友達と話していても、ADLほど若手のうちから裁量が与えられる会社はないように思います。
入社1年目でも働き方に関するルールはほぼなし、出社も自由
──いやあ……、驚きました。しかし、それだけ大きな仕事を任されるのであれば、絶対に忙しくなりますよね? 陶器さんは普段どのような働き方をされているんですか?
陶器:案件によりますが、チームの打ち合わせが2〜3日に1回あるので、それに向けて自分の調査・分析を進めるのが基本的な流れです。
やるべきことさえやっていれば、どう働いてもOKなので、業務時間は日によって変わります。私は寝ないとパフォーマンスが出ないタイプなので、どれだけ忙しくても睡眠時間は確保するようにしています。出社するかどうかも自由でして、その日の気分で「今日は天気が良いからオフィスに行こうかな」という感じで決めます。
福留:実際、雨の日はオフィスに人が少ないですよね(笑)。
陶器 美詠(とうき みえ):ビジネスアナリスト
京都大学大学院 工学院研究科 建築学専攻 修士課程修了。2021年4月に新卒入社。入社後1年間で、建機・農機業界、ユーティリティ業界、建設業界、鉄道業界など幅広い業種のクライアントを担当。直近は長期カーボンニュートラル戦略立案や再生可能エネルギー戦略立案など、サステナビリティ観点でのプロジェクトに尽力。
──「若手だから早く仕事を始めなきゃいけない、出社しなければいけない」といった不文律はないのでしょうか。
陶器:ないですね。最初のうちは出社が推奨されていましたが、それは慣れない間は対面の方が仕事をしやすいからです。働き方を決めるのはあくまでも自分なので、入社直後から働き方の裁量はありました。
──働き方に対するルールはほぼないと。しかし、求められる成果のために長時間働くことも多いですよね。つらいと思ったことはないですか?
陶器:確かにトータルで働く時間は多い方かもしれませんが、ある程度忙しいだろうと思って入社していますし、自分の働きやすいように仕事ができて、希望のキャリアをかなえられる土壌がある。満足度は高いですね。
福留:近年は労働時間を短縮するための施策も行っています。2022年度からは新卒社員や未経験の中途社員に対して、一人一人にコンサルタントがついて、3〜6カ月間は一緒にプロジェクトに入りつつOJTでサポートする取り組みもスタートしました。
経験がないゆえに何をやっていいか分からず、やり直しが多くなってしまうことが、労働時間が長くなる理由の一つなので、しっかりやり方を教えることで解消しようとしています。
子育てをきっかけに業務負荷を下げた男性、相談に不安はなかった?
──福留さんは子育て中ですよね。どのようなスケジュールで仕事をしているのでしょうか。
福留:子どもがまだ0歳児なので在宅勤務にしています。朝起きて子どもにご飯を食べさせてから、そのまま自宅で仕事をすることが多いですね。食事は家族ととって、夕飯後は子どもをお風呂に入れて仕事を再開しています。仕事の状況によりますが、夕飯後に仕事をしないことも結構ありますよ。
福留 悠斗(ふくどめ ゆうと):コンサルタント
早稲田大学大学院 創造理工学研究科を修了後、日本航空(JAL)に新卒で入社。約4年間在籍し、整備本部の予算計画立案、航空機の整備計画の立案・予実管理に携わる。ADL入社後は、自動車・二輪・産業機械メーカーなどの製造業、航空業界、商社、投資ファンドなどの幅広いクライアントを担当。案件内容は、事業戦略策定、新規事業立案、ビジネスデューデリジェンスおよびPMI、事業再生など、多岐にわたり、直近ではビジネスデューデリジェンス・PMI、事業再生などのトランザクションに注力。
──ご飯やお風呂など、仕事を中断する時間が多いですね。実際、大変じゃないですか?
福留:保育園の送り迎えやお風呂、寝かしつけなどの予定をあらかじめブロックしている人はシニアから若手社員まで多くいるので、年次に関係なく家族の時間を確保しやすい環境で助かっています。ADLでは、働く母親だけでなく、働く父親にもきちんとサポートするという雰囲気はありますね。とても本質的で重要なことだと思います。
菅:そうですね。シニアスタッフでも男性でも育休を取りますし、子育て中であることに対してネガティブなイメージは全くないです。
──とはいえ、仕事と子育てを両立させる中で苦労する場面はありますよね?
福留:プロジェクトが忙しい時期はやはり大変ですね。実は昨年末、子どもの夜泣きがひどかった時期に私が仕事に忙殺されてしまって……。家のことに手が回らず、家族の体調が悪くなってしまったことがありました。それをきっかけにマネジャーと相談し、今は業務負荷を下げてもらっています。
──業務負荷を下げることに、不安はなかったですか? 相談するにしても、少しためらってしまいそうです。
福留:正直、相談するときは少し緊張しました。ただ、ADLにはライフステージによってさまざまな事情があることを理解し、受け入れる文化があります。
私と同じように、一時的にプライベートにフォーカスする社員は男女問わずいます。再び仕事に打ち込みたいタイミングで働き方は変えられますし、業務負荷を下げている間も仕事のクオリティを担保していれば、きちんと評価をしてもらえる。だから今は全く不安はありません。
また、「長い目で見ればこういうアサインメントもあるよ」と上司から提案してくれることもあります。少数精鋭で、個人に目が行き届く規模だからこその安心感があるように思いますね。
──メンバーそれぞれの状況や、個人の希望を大切にしているのですね。
菅:「その人がどうなりたいのか」を一緒に見いだし、実現に向けて応援するスタンスは、ADLのリーダーやマネジャーがみんな気をつけている部分だと思います。「働きやすさ」と「働きがい」の両輪が回ることで、社員一人一人のパフォーマンスが向上し、結果としてクライアントに高い価値提供ができる、という考え方ですね。
マネジャーになった今が一番面白い──産業全体を俯瞰する「視座の高さ」が醍醐味(だいごみ)
──1日のスケジュール、マネジャーの菅さんはいかがですか?
菅:私は朝があまり強くないので(笑)、ジュニアのときから、朝はゆったりめに開始しています。
マネジャーの場合はプロジェクトを掛け持ちしながら提案活動もすることもあるので、午前中は自分が持っているプロジェクトメンバーと会話をし、お客さまが動きやすい昼の時間帯に提案や報告に伺うことが多いです。夕方にかけてもう一度メンバーと会議を行い、その後、自分の調査や思考を深めることに時間を使っています。プロジェクトの状況に余裕があるときは、早めに切り上げたり、自分が関心のあるテーマの提案活動に参画したりということもできます。
菅 真央(すが まお):マネージャー
大阪大学大学院 理学研究科 数学専攻を修了後、2017年4月に新卒入社。入社後5年間で、電機業界、インフラ業界、素材業界、官公庁系機関など幅広い業種のクライアントを担当。案件内容は、新規事業戦略策定、イノベーション・エコシステムの戦略策定、技術戦略策定など、イノベーション領域を中心に多岐にわたる。
──菅さんは今、新卒6年目ですよね。6年目でマネジャーになるのは早い方かと感じましたが、実際はどうなのでしょう。
菅:私は5年目でマネジャーに昇進しましたが、平均的なスピードかと思います。新卒のメンバーは入社4〜6年でマネジャーになるケースが多いです。今はマネジャーになって1年ほどたちますが、入社してから今が一番チャレンジングで、楽しいんです。
──マネジャーになると、具体的に何が変わるのですか?
菅:クライアントと目指す「絵」の大きさですね。ビジネスアナリストやコンサルタントの場合、プロジェクト内で完結する活動が主ですが、マネジャーの場合は、プロジェクト後のクライアントの持続的な成長や、クライアントを取り巻く社会・産業・生活者にもたらす変化など、より広い視点を意識する必要があります。
特に私が担当しているイノベーションの領域では、「クライアント中心の視点」だけでなく「まわりのステークホルダーを含む俯瞰(ふかん)の視点」も重要です。個別のクライアントの成長はもちろん、「各クライアントがこう動くことで、産業全体がより充実していくのではないか」と大きな絵を思い浮かべながら、日々のコミュニケーションを取り、考え、実行できる楽しさがあります。
──産業全体を意識しながら、目の前のクライアントに向き合う。言葉にすると簡単ですが、非常に難しいことのように聞こえます。
菅:私は答えのない問いに立ち向かうことが好きなんです。そこに「10〜20年後の世の中がどうあるべきか」という問いが合致したことが、イノベーション領域を極めようと思ったきっかけでもありました。企業ごとの取り組みで閉じずに、産業としてどうあるべきかの視点で考える、このスケールの大きさに惹(ひ)かれています。
同時に、ジュニアメンバーのマネジメントも考えなければなりません。業務のクオリティを担保しつつ、働きやすさと働きがいも考えなければいけない。考えるべき要素が増えるのは、もちろん大変ですが、チャレンジングであり、面白いと感じています。
──視点が増えることを楽しめる人が、マネジャーに向いているのでしょうか?
菅:そうかもしれないですね。就活生の中には、社会課題の解決に関心がある方もいると思いますが、そういう方は特にマネジャーの立場を楽しめるでしょう。
──それはなぜですか?
菅:コンサル業界では、扱う業界や課題を最初から定めてキャリアを始めることも多いと思いますが、ADLの場合は、ジュニアでもさまざまな領域を見られる環境があり、私のようにマネジャーになっても、領域横断的な活動をすると決めている人間もいます。
先ほどお話ししたように、1つの企業が頑張るだけでは社会課題は解決しません。さまざまな視点で物事を分析し、ときには異なる分野をつないで……と複雑なアプローチが求められます。その適応力を育み、楽しめる環境があるのはADLの強みだと思いますし、マネジャーになるまで、ADLに居続けてほしいと思っています。
文系出身者や女性が増え、メンター制度も進化。この5年でADLは大きく変わった
──女性のマネジャーは、菅さんの他にもいるのでしょうか?
菅:もちろんです。ADLでは、プリンシパルにもパートナーにも女性がいて、シニアポジションにいる女性が珍しいということはないですね。実際、女性マネージャーの比率は、ADL全体の女性比率と同じくらいなので、女性だからマネジャーの門戸が狭いといったこともありません。
福留:最近は女性社員が増え、働きやすい環境づくりに注力するようにもなり、女性マネジャーの数も増えていますよね。私の元上司も女性でしたし、女性マネジャーに特別感はないと思います。
陶器:まずはマネジャーを目指すのが、私に限らず、多くの新卒の一つの指標でもあります。インターンのときから「マネジャーを目指してほしい」と言われていました。
──女性が活躍しやすくなっているということでしょうか?
菅:性別に関係なく活躍できること自体は以前から変わりませんが、「価値の出し方」の多様性は以前に増して広がっており、より活躍しやすい環境になってきていると思います。対外的なADLの見え方が変わってきたことで、性別だけでなく、多様な属性を持つ人が増えてきたこともその要因の一つですね。例えば、昔は理系のイメージが強く、応募者の8〜9割が理系でしたが、近年は理系以外の人も活躍している様子を意識的に見せるようになったことで、文系や女性の応募者も増えています。
──菅さんが入社してからの6年で、他にどのような変化がありましたか?
菅:教育制度はかなり変わりました。社員数が倍近くに増え、教育の在り方は属人的なものから、体系的に整備されたものになりました。社員がさまざまなキャリアパスを描けるよう、各自の意欲に応じて選択できる多様な研修メニューを充実させています。
また、実際のプロジェクトから得られた学びや知見を社員同士で共有する「ナレッジシェア」という会議も、以前は担当領域ごとに行われることが多かったのですが、最近は、所属の垣根を越えた参加が推奨され、活発化していますね。
──なるほど。他にはありますか?
菅:特にメンター制度は進化しました。私が入社した頃と比べると、メンター側からも積極的に面談の声がけをするなど、より信頼関係を作りやすいような工夫がされるようになっています。最近は、メンターと定期的にご飯に行くだけではなく、自分のキャリアを相談したり、身近な上司には言いにくい悩みを打ち明けたりといった目的で使う人も増えています。
陶器:メンターも自由に指名できるので、使い方に応じて、人それぞれ活用していますよね。自分とは全く異なるバックグラウンドを持つ人の話を聞いてみたいという軸でメンターを探す人もいれば、メンターを固定せず、いろいろな人の話を聞く人もいます。
──菅さん自身がメンターになることもあるのでしょうか?
菅:そうですね。今は3人ほど担当していて、最低でも1〜2カ月に一度は何かしら場を作るように、私からも声をかけています。陶器さんもその一人ですね。
陶器:菅さんはすごく面倒見が良くて、定期的にご連絡いただいています。同じ新卒入社の女性なので、菅さんがどういうふうにマネジャーに上がっていったのか、各年次でどのような立ち回り方をしてきたのか、実体験を聞けるのがとても参考になっています。
プロジェクトのケースリーダーとそういう話をする機会はあまりないので、制度を通じて役職者と話ができる縦のつながりが持てるのはありがたいです。
──特に印象に残っている話はありますか?
陶器:ケースリーダーが何を求めているのかなど、普段聞きにくい「ぶっちゃけどうなんですか?」を聞いたことですね(笑)。上の立場の人の本音を聞けるのは貴重な機会ですし、その上で自分がどうすべきか、具体的な改善案が見えるので助かっています。
コンサルだけど「ウェット」な文化。チャレンジしながら長く働ける環境がある
──若手の育成やサポートについても、充実しているんですね。
福留:ADLは小規模ということもあり、ウェットな文化が強いように思います。私は中途入社ですが、即戦力になれないと居づらくなってしまうファームもある中、ADLは長い目で個人の育成を考えてくれます。
私も入社当初は毎日のように上司と話す機会を作ってもらい、どう立ち上がればいいのか相談に乗ってもらっていました。他のファームだと、できない部分を他の人が巻き取ってしまうこともあると思いますが、ADLでそういうことは基本ありません。チャレンジしながら長く働ける環境があることは魅力の一つだと思います。
陶器:それも、互いの意見を尊重する文化がベースにあるからだと思っています。立場の垣根がなく、上の人が興味を持って若手の意見を聞いてくれるから、チーム内の会議でも積極的に意見を言えます。
例えば、任された調査・分析に対して事実を伝えるだけではなく、「その結果を自分がどう解釈し、仮説を立てているのか」を常に議論しているのですが、間違っていたとしてもきちんと耳を傾けてディスカッションにつなげてくれる。それがADLの基本のスタンスだと感じています。
福留:上の人がファクトを知らずに仮説を話したときに、「それは違います」と調査・分析を担当したビジネスアナリストが言える環境がありますよね。事業会社ではありえないなと思います(笑)。
陶器:一番手を動かして、長く関与しているのは、一番下の立場であるビジネスアナリストです。最も多くのファクトを持っているからこそ、責任を持って確実に伝えることが大事だと考えています。
菅:私は「自分が考えるクライアントにとってのNew、つまり新しい発見を積極的に出してほしい」とメンバーにお願いしています。私自身が若手の頃の上司から「今日のクライアントにとってのNewは何ですか?」とディスカッションのたびに聞かれていたんです。
まだふわふわの状態の考察や仮説を持っていき、「それはおもろいね」「この視点で掘り下げてNewにしよう」など、一緒に議論をしていました。小さなことでもいいから、クライアントが「面白い」「課題が解決できた」と思えるようなNewをメンバーには出してほしいですね。
プロジェクトに忙殺されず、違う分野にもアンテナを張れる人は強い
──ADLで活躍しているのはどのような人ですか? 共通する特徴や資質があれば教えてください。
菅:一つは、考え続ける人だと思います。Newを出すのは容易ではありません。相手をリスペクトして話を受け止めた上で、さらにそこから掘り下げ、Newを見つけ出す。そんな姿勢を持った人が大きく成長し、活躍している印象です。
福留:オーナーシップも重要ですよね。若手のうちから裁量があるからこそ、主体性を持って動ける人は理想をかなえやすいし、自分がやりたいことに取り組める分、成長も早いと思います。
陶器:私は、キャッチアップを楽しんでやれることが大事だと感じています。どのプロジェクトでも、知らないことはたくさんある。そこに興味を持ち、社内の詳しい人に恐れず聞いて学んでいく姿勢が求められます。
菅:社会動向についても、現在の状態ではなく「次はどうなるのか、どうなっていくと良いのか」の視点を持って、自分なりの考えを持つ人は多いですね。
福留:進行中のプロジェクトに忙殺されず、違う分野にもアンテナを張れる人は強いですよね。そのために活用できる制度も整備されていて、海外のADLオフィスに異動や一定期間の移籍をしたり、東大やベンチャーキャピタルに出向したりといった若手が最近増えています。
菅:一方で、やりたいことが固まっていない人であっても、メンターやケースリーダーなど、周りの人との会話の中から、自分が目指したい方向性を見つけることもできます。
私自身、実は学生時代は教員を目指していたんです。社会勉強のつもりで始めた就活でコンサルに興味を持ち、「ちゃんと世の中を見られて、かつ変革に寄り添えるような仕事をしてみよう」と思ってADLに入社していますが、仕事をする中でイノベーションという軸を見つけられました。
──ありがとうございました。最後に、就活生へのメッセージをお願いします。
陶器:私が就活のときに最も大切にしていたのは、自分のモチベーションがどこから生まれるのかを言語化することでした。私にとっては「本質的な課題を突き詰めて、それが社会貢献に直結すること」「自分の行動によって価値貢献ができたと分かること」の二つであり、それがかなえられる場所として、コンサルを選びました。
ただ、実はコンサルに何となく怖いイメージがあって、最初は敬遠していたんです。説明会でコンサルティング会社の話を聞くうちに興味を持つようになったので、先入観にとらわれないことも大事だと思います。まずはいろいろな会社を見て、話をして、その上でどこを選ぶのか判断していただけたらと思います。
福留:コロナ禍で対面のコミュニケーションが取りにくくなったぶん、難しさもあると思いますが、逆に移動など物理的な制約がなくなったことで、たくさんの会社と出会いやすくもなりました。ぜひこの状況をチャンスと捉えて、陶器さんの言うように、まずはいろいろな会社を見てほしいですね。
菅:私がADLでインターンをした際、「10年後の新規事業を考える」というお題が出たのですが、当時のプリンシパルが「クライアントがワクワクするようなものを提案してください」と言っていたことを覚えています。新規の事業領域に飛び込む、売上が拡大するというだけでなく、クライアントの存在意義を再定義する、次の社会・産業のエコシステムを創る、生活者の未来を創るなど、今思えば「ワクワク」にはいろいろな意味が含まれていたのだと思います。
ADLは、そんないろいろな目線のワクワクを大事にしている会社です。コンサルの中でもちょっと変わっているので、気軽に門戸をたたいていただきたいですね。
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【ライター:天野夏海/撮影:赤司聡】