自己PRは、就活生がつまずきやすいポイントの1つです。「自己PRの伝え方が分からない」「自分のアピールすべきところが見えてこない」と不安に思っている人は多いでしょう。
そこで今回は、自己PRの内容を決める方法を詳しく紹介していきます。例文や自己PRでの注意点も併せて紹介します。採用担当者に自分の良さを伝えられる自己PRの書き方を知り、就活を有利に進めましょう。
自己PRの内容を決める方法
そもそも、自己PRに書く内容が決まらないと思う人も多いでしょう。自己PRの内容を決めるときには、以下の3つの手順で進めるとスムーズです。
1. 自己分析する
2. 企業の求める人物像を把握する
3. 長所を選定する
1. 自己分析する
自己PRの内容を決めるには、まず自己分析をしっかりと行いましょう。自己分析とは、自分の強みや弱み、今後のビジョン、能力や性質などを理解するために、過去の経験や思考を整理することです。
自己PRを行う理由は、志望する企業に自分を売り込むためです。自分を売り込む上で、魅力が伝わらなければ誰も採用したいとは思いません。そのため、自分という人材はその企業にどのような利益やメリットをもたらすのかをアピールし、相手に一緒に働きたいと思ってもらうことが大切です。
2. 企業の求める人物像を把握する
自己分析の次には、志望企業が求める人物像を把握しましょう。その企業は、どのような人材を求めているのかを把握することで、自分の魅力を伝えやすくするためです。
企業のニーズを把握するためにも、企業研究や他社比較をする必要があります。企業理念や社風、事業内容、創業からこれまでの歴史、実際に活躍している社員の人物像などを踏まえ、求められている人材のイメージを固めていきましょう。
3. 長所を選定する
自己分析によって見つけ出した自分の能力や性質と、企業の求める人物像を重ね合わせて、合致する部分から採用担当者にアピールする自分の長所を選定します。
例えば、以下のようなアピールポイントを持っている人がいたとしましょう。
・コミュニケーション力に自信がある
・部活で部長を務めたためリーダーシップがある
・1つのことを最後まで突き詰める力がある
そして、志望企業の研究を行った結果、その企業は以下のような人物を新入社員として求めているとします。
・専門性を高める努力をいとわない
・チームで成果を出すために柔軟なコミュニケーションができる
例えばこのケースなら、「幼少期からピアノを続けてきており、1つのことを最後までつきつめる性格なので、業務を通じて専門的な知識を探究し続けることができる」というアピールが考えられます。また、「サッカー部の部長として部員とコミュニケーションを取りながら、チームを優勝に導いた経験がある。仕事でも目標を達成をするため、他の人と協力して業務を遂行することができる」とアピールできます。
このように、自己分析と企業研究の結果を照らし合わせて、自己PRで伝えるべき要素を絞り込んでいきましょう。
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・【自己PRの書き方】エントリーシート(ES)で自分の強み・弱みと企業をつなぐアピール方法
ESの要約で自己PRを書くときのポイント
履歴書の自己PRを書くときにはいくつかのパターンがあります。ここでは、ESを活用して自己PRを書くときのポイントをチェックしておきましょう。
300字程度に要約する
企業によって異なりますが、履歴書の自己PRを、おおよそ300文字程度にまとめるケースがよくあります。ESから必要な部分だけを抽出して端的にまとめると、分かりやすく伝わりやすい自己PR文が作成できます。
ESを要約するときには、省略しても問題ない言葉をカットしていくと、きれいにまとまります。例えば、「非常に」「大変」などの飾り言葉はできる限り省きましょう。なくても意味が通じる言葉をそのまま残す必要がない場合がほとんどです。
また、企業についての情報も省略して問題ない場合が多いでしょう。要約文であるため、企業側が理解している内容は省いても意味は伝わります。ESは、企業が一番興味を持ちそうな自分の長所を盛り込むことが多いため、要約して書くことで効率よく履歴書が作成できるでしょう。
ESと異なる長所をアピールする
履歴書に自己PR文を書くときには、ESとは違った長所をアピールしていく方法もあります。ESとは異なる長所や取りえを伝えることで、さらに深みがある人物だということを採用担当者にアピールできます。
多くの魅力を伝えることは、それだけその企業に入社したいという強い意思表示と捉えられ、好感度が上がる可能性も考えられます。
ただし、異なる長所を選ぶときには、履歴書とESの内容を統一する必要があります。例えば、「即断即決力がある」と「石橋をたたいて渡る」など、相反する長所を訴求するのは避けましょう。
職種別! 使える自己PRの例文6つ
自己PRで取り上げるべき長所は、職種によって異なります。ここでは、職種別に自己PRの例文を見ていきましょう。自己PR文を考えるときのコツも併せて解説していきます。
営業職志望
営業職は、コミュニケーション力や課題解決力を持つ人材が求められるケースが多いといえます。積極的に人に話しかけられることや、顧客の抱える課題への解決法を提案できることをアピールすると効果的です。もちろん目標を達成することも重視されるため、「コミュニケーション力を生かして、成果を出したい」と、高い意欲があることも伝えると良いでしょう。また、簡単には達成できない目標でも、挑戦していく力があるという粘り強さをアピールするのもおすすめです。
【例文】
私は、ボランティア活動で培ったコミュニケーション力に自信があります。大学3年生の夏休みに、豪雨災害のボランティアに参加しました。はじめは、家屋周辺の泥を撤去するなど黙々と行う作業が中心の活動だと思っていました。しかし、本当に被災者が求めていることは、会話をしなければ分からないことに気が付きました。
そこで、作業する中でも積極的に被災者に声を掛け、必要な物資や悩みを聞き出すことを心掛けました。本当のニーズを発見して対応することで、ようやく人の役に立つボランティアができたと感じています。入社後は、お客さまと会話をする中で、相手が求めていることをくみ取りながら、営業職で実績を出していきたいと考えています。
販売職志望
販売職を志望する場合は、積極的にPRができる行動力、基本的なコミュニケーション力、気配りができる力などが求められるケースが多いといえます。そのため学生時代に販売・接客のアルバイト経験がある場合は、自己PR文にその経験を盛り込んでアピールすると良いでしょう。
もちろん、販売系のアルバイト経験がなくても、行動力や積極性、コミュニケーション力に自信がある人は、その長所をアピールすれば好印象につながります。販売職と相性の良いポイントを押さえて、効果的な自己PRをしましょう。
【例文】
私は、学生時代に飲食店で2年間アルバイトをしてきました。アルバイト先では、オーダーを伺うときに新メニューのPRを積極的に行ってきました。最初こそ緊張してうまくできませんでしたが、お客さまとコミュニケーションをする中で適切なタイミングで提案をすることで、徐々にお客さまからの注文が増えました。提案をしたことが最終的にお客様の満足につながったことで、充実感を得られるようになりました。結果的に、販売目標数を3期連続で達成できたことを誇りに思っています。貴社の販売職でも、接客経験とチャレンジ精神を生かして成果に結びつけていきたいと考えています。
事務職志望
事務職を志望する人は、細かい作業でも集中して取り組めることや、チェックを怠らない慎重な性格、責任感、真面目さなどをアピールすると良いでしょう。また、学生生活中にオフィスソフトの使用経験などがあれば、盛り込んでも良かもしれません。
サークル活動などで会計業務を務めた経験がある人は、その経験をアピールするのもおすすめです。事務職で生かせる経験・スキル・長所は、積極的に伝えていきましょう。
【例文】
私は、一つ一つの作業を丁寧に進めることに自信を持っています。学生時代はアルバイトで出版社の庶務を行ってきました。仕事内容は書類やファイルの整理が中心で、膨大な数の資料でも間違えることなく迅速に確認する必要がありました。
そこで私は、短時間でも集中して作業をする力がつきました。また、提出前に再確認してミスを防ぐことの大切さを学びました。貴社の事務職に携わらせていただけるのであれば、持ち前の集中力と丁寧さを生かして、皆さまからの信頼を獲得できるよう努力していきたいと思います。
建設業志望
建設業志望の自己PRでは、計画的に物事をこなしていく姿勢、リスク管理に対する意識の高さ、長期的な業務をやり遂げる忍耐力、チームワークを大事にする協調性などをアピールすると良いでしょう。
建設業は、学生時代のアルバイトなどで経験がある人は少ないかもしれません。未経験でも、建設業で求められる姿勢や考え方をアピールしていくと良いでしょう。
【例文】
私は、学生生活の中で計画的に行動することの大切さを学び、そのことを自分自身の行動指針にしています。私が所属していたゼミでは、研究発表をする機会が何度もありました。
研究内容を分かりやすく正確に伝えるためには、研究の段階からスケジュールを組み立てる必要があり、期限に遅れることなく行動する計画性と、自己管理力を身に付けることができました。貴社では、プロジェクトを計画通りに進める上で活躍できると考えております。
研究職志望
研究職を志望する場合は、論理的思考力や、困難な状況でも諦めずに取り組む継続力、研究熱心な性格などをアピールすると良いでしょう。
【例文】
私の長所は、簡単には諦めないところです。学生時代は、それまではまったく知らなかった◯◯について研究してきました。自分なりの仮説を立てて実験を進めることに非常にやりがいを感じ、さらに好奇心を高めることにつながるのだと知りました。また、研究がうまく行かず停滞していたときもありましたが、諦めることなく毎日データを取り続けたことで、粘り強さが身に付きました。結果的に、◯◯が持つ新たな可能性を見いだせたことは、私にとって最高の経験だと思っています。貴社でも、研究職に関わることができたときには、好奇心を持って知らない分野にもチャレンジし、持ち前の粘り強さを生かして研究・開発に貢献していきたいと思います。
IT系技術職志望
IT系の技術職(例えばエンジニアやデザイナー)を志望する場合は、モノづくりへの強い興味、集中力・忍耐力・創造力・向上心の高さをアピールすると良いでしょう。
IT系技術職は、根気よく案件と向き合った上で、より良いものを作り上げていく姿勢を持った人材が求められます。その理想像に当てはまるように、自己PRをするのが望ましいでしょう。
【例文】
私の長所は、集中して1つの物事に取り組めることです。子どもの頃からイラストや絵を描くことが好きで、高校生になってからはデザイン画の制作に打ち込んできました。1つの作品と長い間向き合い、コンセプトや伝えたいことに基づいてより良いアウトプットをする集中力や創造力は、しっかりと持っていると自負しています。
また、作り上げたものをよりブラッシュアップするための試行錯誤や、技術習得にもやりがいを感じます。貴社でウェブデザイナーとして仕事をするときにも、集中力や継続する力、そして創造力は生かせるスキルだと考えています。
自己PR欄以外でもアピール! 新卒の履歴書での他項目
自己PR欄以外でも、履歴書ではさまざまなアピールができます。自己PRだけでなく、多くの場面で自分自身の魅力を伝えられるように、履歴書における別の項目についてポイントを見ていきましょう。
資格・免許
学生時代に取得した資格・免許があれば、アピール材料となるため、履歴書には積極的に書き込みましょう。職種や業務に関連する資格であれば、仕事への高い熱意を伝えることもできます。また、自己PRや志望動機と関連付けられると、説得力が増すでしょう。
志望企業の業務内容と直接関係がなくても、書いておくことをおすすめします。一見関係ないと思える分野でも、資格や免許のことがきっかけで、面接時に話題が広がる可能性もあります。
趣味
趣味は、自分自身の人となりを伝える大事な要素の1つです。経験やスキルのみでは、人柄は伝わりにくいものです。面接官に好感や親しみを持ってもらうには、趣味で自分の人物像をアピールすることも重要です。
ただし、趣味を「登山」などと一言で終わらせるのは少しもったいないかもしれません。どのように楽しんでいて、どのようなことがモチベーションにつながっているのかを具体的に記述すると、あなたの人柄がより一層伝わりやすくなるでしょう。
特技
特技の欄には、仕事に生かせるような特技であればより良いですが、そうでなくても問題ありません。就活生の人となりや個性を見るために設けられていると考えましょう。
個性的な特技でなくても問題ありませんし、背伸びをする必要もありません。自分が得意だと思っていることを、特技として書きましょう。履歴書に書くときは、特技そのものだけでなく簡単な説明も記入することをおすすめします。例えば、「マラソン」であれば、スタミナの多さや大会での実績を記載するといいでしょう。
自己PRでありがちな失敗例
最後に、自己PRでありがちな失敗例を紹介していきます。事前に注意点を知っておくことで、間違いを避けることができます。
ESと面接の内容が矛盾する
自己PRは、ESと面接の内容が矛盾しないように気をつけましょう。内容が矛盾していると、面接のときに深掘りされてもうまく答えられません。
例えば、ESには「リーダーシップがある」と書いていたのに、面接の自己PRで「縁の下の力持ち」だと伝えてしまうと、採用担当者は、あなたの人物像がうまく把握できなくなる可能性があります。アピールポイントや人となりが分かりづらくなるため、矛盾する内容は避けましょう。
結論までが長い
自己PRでは、結論までが長くなってしまうのもNGです。先に結論を述べてからエピソードや理由、そして最後にもう一度結論に触れるのが望ましいでしょう。
ありがちな間違いは「私は大学時代に柔道部に所属し、毎日練習を重ねていたのですが……」と経験談からスタートしてしまうことです。読んでいる人からすると、結論がなかなか出てこないため、理解できないまま読み終えてしまうことがあります。
結論から端的に始めて、分かりやすい自己PR文を目指しましょう。
エピソードと長所がつながらない
自己PRでは、長所を話す上で関連性のないエピソードを選ぶのは避けましょう。エピソードと長所がつながらないと、自己PR文全体が説得力に欠けてしまいます。エピソードを読んだだけで、何の長所をアピールしているかが分かる文章を目指しましょう。
長すぎて読みづらい
自己PRを履歴書に書くときは、文章の長さにも気を配りましょう。必要以上に長い自己PR文を書くと、論理的な文章が書けない人と思われて、低い評価をつけられてしまう可能性があります。
また、長い文章を欄内に収めるために文字を小さくすると読みづらくなります。必要以上に長くまとまりもない文章は、読み手への配慮も見られません。企業側は履歴書やESを見るときに、「伝えたいことを分かりやすく、かつ簡潔にまとめる能力はあるか」も同時にチェックしています。必要な情報だけを抽出し、なおかつ本質を捉えた内容を書きましょう。
まとめ
就活で自己PRをするには、企業が求める人材像を基に、自己分析をすることが重要です。説得力のある自己PRができれば、それだけ自己分析や企業研究ができているという印象につながり、選考にも良い影響を与える可能性があります。
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