突然ですが、一目惚(ぼ)れをした経験はありますか?
と言っても恋愛だけの話ではありません。宝石箱のようなケースに入ったチョコレート、インスタグラムで見つけた1点ものピアス、ずっと見ていても飽きないアート作品、子どものころに川辺で拾った変な形の石……。理由を聞かれても「何か良かった」としか答えられない。そんな直感で「ビビッ!」と来た経験です。人は「直感」にこそ、その人らしさが出るといいます。
一目惚れをすると、いても立ってもいられなくなりませんか?
眠ろうとしても、ついついそのこと、その人のことを考えてしまい……どんどん頭がさえ、身体も目覚め、眠れなくなる。手に入れたいと思って、何度もお店に通ってしまう。どれだけ遠い距離であっても、会いに行きたくなる。
……では、就職活動で、そんな経験をしたことはありますか?
多くの方が、「ないかも……」と答えるのではないでしょうか。
コンサルはスキルが身につく、商社は年収も高いし海外にもいける、今一番人気のベンチャーは◯◯……。就活を始めると、そうした客観的な情報のシャワーを浴びます。すると、たとえ「ビビッ!」と心や身体がたかぶっていたとしても、いつの間にか冷めていってしまう。「就活は情報戦」といわれることもありますが、それは自分の「直感」に見て見ぬ振りをしている側面も、きっとあるはずです。
就職活動に、「一目惚れ」のような「直感」を取り入れることはできないのでしょうか? 夜に眠れなくなるほどの「出会い」を経験することはできないのだろうか?
これから始まる「あなたのキャリアに一目惚れしました。」という特集は、ワンキャリア編集部のメンバーが、「直感」を元に取材する人を決め、話を聞きに行きます。普段の取材では、聞きたいテーマがあって、そのテーマにまつわる人を探しますが、この特集では「何か、この人、良い!」と思った気持ちを大事にしてスタートします。
「直感」をもとにさまざまな準備をします。「なんで、私は、この人のことが気になるんだろう?」と考えます。取材本番も「一体、どうなっちゃうんだろう?」と先のことが見えないことも多く、ドキドキするし、ワクワクもします(なにせ「一目惚れ」した人に会うのですから)。
「直感」を大事にした取材だからこそ、思いがけないお話やドキッとさせられる一言を聞くことになるかもしれません。そして、自分だけが「良い」と思っていたものだったはずが、どこかで誰かの共感を呼び、キャリアに悩む人を励ますことになるかもしれません。
読んだ就活生も、「この人に会ってみたい……!」と思えるような、「好き」が連鎖していくような、濃厚な特集シリーズにしたいと思います。
今月は3名の方に会ってきました。
中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長)
1936年、東京都生まれ。1959年、東京大学理学部化学科卒業、1964年、東京大学大学院生物化学専攻博士課程修了、江上不二夫(生化学)、渡辺格(分子生物学)らに学ぶ。国立予防衛生研究所を経て、1971年、三菱化成生命科学研究所に入り(のち人間・自然研究部長)、日本における「生命科学」創出に関わる。しだいに、生物を分子の機械ととらえ、その構造と機能の解明に終始することになった生命科学に疑問をもち、ゲノムを基本に、生きものの歴史と関係を読み解く新しい知「生命誌」を提唱。その構想を1993年、大阪府高槻市に「JT生命誌研究館」として実現、副館長に就任。2002年から館長を務めたのち、2020年3月に退任し、名誉館長に就任。そのほか、早稲田大学人間科学部教授、大阪大学連携大学院教授などを歴任。主な著書に『いのち愛づる生命誌Ⅳ はぐくむ 生命誌と子どもたち』(藤原書店)、『「ふつうのおんなの子」のちから』(集英社クリエイティブ)、『こどもの目をおとなの目に重ねて』(青土社)など、多数。2007年に大阪文化賞、2013年にアカデミア賞を受賞。
太田彩子さん(「営業部女子課」主宰)
早稲田大学法学部卒業。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程修了。リクルートの営業職として活躍後、2006年株式会社ベレフェクト設立。2009年より、日本最大級の営業女性コミュニティ「営業部女子課」を主宰。他に上場企業2社での社外取締役、筑波大学客員研究員、日本政府主催「WAW!」アドバイザーなど兼任。「一人でも多くの人が夢や目標を達成していける社会創造に貢献する」ことをミッションに、働く女性を中心とした人の成長支援、キャリア支援に力を注いでいる。プライベートでは一児の母。趣味は登山
郡司芽久さん(キリン研究者)
1989年生まれ。2017年3月に東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了(農学博士)。同年4月より、日本学術振興会特別研究員PDとして国立科学博物館に勤務、2020年4月から筑波大学システム情報系研究員。幼少期からキリンが好きで、大学院修士課程・博士課程にてキリンの研究を行い、27歳で念願のキリン博士となる。解剖学・形態学が専門。哺乳類・鳥類を対象として、「首」の構造や機能の進化について研究している。これまでに30頭余りのキリンの解剖に携わり「世界一キリンを解剖している人間(かもしれない)」とのこと。第七回日本学術振興会育志賞を受賞。
あなたには、「何か良い!」と叫びたくなるくらい、「一目惚れ」したキャリアの持ち主はいますか? とても興味がありますので、ぜひ教えていただけるとうれしいです。
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もしかすると、実際に、あなたに取材してもらう、かもしれませんよ。
(Photo:masalskaya/Shutterstock.com)