グローバルな職場環境や社会的インパクトの大きい職務内容、そして圧倒的な成長機会やそれに見合う給与形態から、就活生を惹(ひ)きつけてやまない総合コンサルティングファーム(通称:総コン)。
「他の早期内定してる人より、全然すごくないと思いますけど大丈夫ですか?」
そう話しながら就活時代の経験を1つ1つ紡ぐように、丁寧に説明してくれた総コン内定者のDさん。
早期内定レポート、第4弾。今回は、人気が止まることのない総コンの早期内定を手にした彼の就活記に迫ります。
<目次>
●早期に就活を始めたきっかけは、先輩を見て「こうなりたくないな」と思ったこと
●ESは内容を暗記。発声練習をしつつ、「1分」で話せるように
●人と比べられて合否がつく就活への葛藤。でも、就活は「合う」「合わない」のマッチングだと気付いた
●早期内定は、「大学生活を有意義に過ごすための1つの手段」
早期に就活を始めたきっかけは、先輩を見て「こうなりたくないな」と思ったこと
──Dさんは、大学2年生の3月から就活を意識していたそうですね。3年生の夏くらいから就活を考える人が多い中で、Dさんが就活を早く始められたきっかけは何だったのでしょうか?
Dさん:大学で3月に開催された「3年生向けの企業説明会」に、2年生の時に参加したんです。参加している3年生たちが、追い詰められた目をしていて……。素直に「僕はこうなりたくないな。焦りたくないな」と思ったことが就活を始めたきっかけです。早く内定もらえるなら、もらっておこうと思いましたね。
──「この会社に行きたい」という気持ちがあったわけではなく、「早期に内定もらおう」というモチベーションで就活を始められたんですね。Dさんは、どのような業界を見られたんでしょうか?
Dさん:そうですね、コンサルから商社、銀行やVC(ベンチャーキャピタル)まで3年生の4月から6月は幅広い業界を見ていました。コンサルにはもともと興味があったので、サマーインターンに参加しました。インターンでコンサルの適性を測って、合わなかったら日系大手か外資系企業に行こうと思っていました。
ちなみに、総合コンサルに惹かれた理由の1つに、「事業領域が広いこと」があります。戦略コンサルは経営のトップに関わることはできますが、業務の領域が狭いと思います。トップレベルの意思決定だけではなく、実行もやってみたいなと思っていたので、総合コンサルはとても魅力的でした。
※Dさんの選考対策時期
──具体的には各フローでどんな対策をされたのでしょうか?
ESは内容を暗記。発声練習をしつつ、「1分」で話せるように
ES(エントリーシート)
Dさん:ESはワンキャリアなどの就活サイトを見て、1人で書いていました。書き終わったら友人に日本語の添削をしてもらっていましたね。コンサルは選考時期が早いので、正直、ESを書く時期にはコンサルに行きたい理由は決まっていませんでした。先輩のESを読み漁って、自分の価値観にマッチするものを見つけていましたね。
企業の担当者は、大量に届くESを読まなければなりません。誤字や脱字があったり、文章のつなぎ方が分かりにくかったりするESは面接官を疲弊させてしまうと思います。
「将来成し遂げたいこと」や「学生時代頑張ったこと」など、ESの中身をOB・OGに添削してもらう人も多いと思いますが、それに加えて「日本語が読みにくいところはないか」と見栄えや流れの部分を誰かに見てもらうこともオススメです。
GD(グループディスカッション)
GDは、4月〜6月くらいにスーツを着ていたコンサル志望の友達と一緒に練習をしていました。コンサルの選考で重視されている「結論ファースト」は、何回も練習するうちに身につけていきました。
もう1つ意識したのは、「議論の段取り」です。具体的には、今自分たちは議論の「発散」「ディスカッション」「収束」、どこにいるのかを理解できるようにしました。
「これくらいの重さの議論は、何分後には収束していないといけない」などは最初からは分からないので本を読んでインプットしていました
※Dさんが参考にした本。「議論の段取り」に関連する内容が書かれている。吉田 雅裕 「東大生が書いた 議論する力を鍛えるディスカッションノート: 「2ステージ、6ポジション」でつかむ「話し合い」の新発想! 」(東大ケーススタディ研究会、2014年)
Webテスト
──上位校に通っている人は特に、「Webテストは何とかなるだろう」と思っている人が多いように思えます。その中で、Dさんはテスト対策に力を入れられてますね。
Dさん:そうですね。3年生の4月から時間を割いて勉強していました。
周りには2年生からWebテスト対策をしている人もいたので、3年生の4月〜5月には対策をしたほうがいいと思います。問題集を2周くらいすれば解けるようになるものから、TG-WEBのように難易度の高いテストもあります。
Webテストって企業にとっては、数多ある募集の中から候補者を一気に仕分けができる「スクリーニング」の要素があります。多くの人が案外落ちてしまうので「自分はいけるでしょ」と思わずに、謙虚に勉強したほうがいいです。
Webテストではないですがコンサルを受けるならば、GMAT(※)やフェルミ推定のテスト勉強もしなければいけません。ESや面接対策に時間を取られすぎず、テスト勉強にも気を抜かない方がいいと思います。
(※)……外資系戦略コンサルティングファームなどの筆記試験にて出題されることが多いテスト。対策は、「【筆記対策:GMAT】外資コンサル志望者必見!GMATの筆記選考を1週間で対策して突破する勉強法」にて。
面接
ESの内容が重視される会社の面接であれば、ESに書いた内容を何も見ずに1分で読めるようにしました。また、面接でよく聞かれる定番質問への回答をノートに書いて、スラスラ言えるようになるまで練習もしていましたね。私は声がこもりやすかったので、発声練習も同時にやっていました。
・学生時代に力を入れたこと(通称:ガクチカ)
・将来やってみたいこと
・他にどこの企業・業界を見ているか
・今、気になっていること
など
※サマーインターンの定番質問
サマーインターンでは、本選考よりも志望動機を聞かれることが少ないので、普段から社会や将来に対して深く考えているということをアピールしようと心がけていました。
※Dさんの選考スケジュール
──総合コンサルに内定が出てからも就活は続けられているのでしょうか?
Dさん:就活はもうやっていないです。
一番に内定をいただいた総合コンサルに行くことを決め、就活を終えました。実を言うと、商社の事業投資もやってみたかったし、VCにも興味があったし、銀行の法人営業もやってみたかったです。
でも妥協したわけではなくて、給料や業務内容を検討したらコンサルが一番良いと考え、納得して就活をやめました。私のように、とりあえず興味のある業界を手当たり次第に受けてみて、内定が出てから就活を続けるかどうか判断するのもアリだと思います。
人と比べられて合否がつく就活への葛藤。でも、就活は「合う」「合わない」のマッチングだと気付いた
──早期に内定をもらえる就活生は、就活対策の抜け目なさ・学生時代に多種多様な経験をしていることから「優秀」な学生と見られることも少なくありません。お話を聞く限り、とんとん拍子で就活が進んだように思いますが、Dさんは、就活をするに当たって悩むことはあったのでしょうか?
Dさん:私に限ってかもしれないですけど、そんなに優秀じゃないですよ。私は、アルバイトやサークルなど、一般的に言われる「学生時代に頑張ったこと」が特になかったことが悩みでした。だから、就活目的に大学2年生の時に長期インターンを始めたり、ガクチカで話せることが少なかったのでエピソードを少し盛ったりもしました……(笑)
選考中に「自分はこのサマーインターンに参加した企業に内定して、そこで何がしたいんだろう」とキャリアについて悩むこともたくさんありました。インターンに参加していく中で、「この会社には合わないな」、「この業界では活躍できそうだな」と思いながら、少しずつキャリア観を固めていきました。
──難なく選考を進められたと思っていたので驚きました。選考を進める上で、つらかったこともあるのでしょうか?
Dさん:受けていた企業から返信がこないとかは純粋につらかったです。企業からの不合格通知を見ると、自分を否定されたようでメンタルをやられましたね。大学に入ってから他人と自分を比較することがなかったので……。「あなたはOK、あなたはNG」という経験をするたびに、大学生活の通知表をつけられている気分でした。
今思えば、就活は「良い、悪い」ではなく「合う、合わない」なので、そこまで浮き沈みする必要はありませんでした。「あの企業とは合わなかったんだな。でも、面接でのあの発言はもっと良くできるかもしれない」と前向きに捉えて問題ないと当時の自分に言ってあげたいです。
早期内定は、「大学生活を有意義に過ごすための1つの手段」
──ありがとうございます。最後に、22卒の就活生に向けてメッセージをお願いします。
Dさん:私は、総合コンサルの内定をいただいた時点で就活をやめました。コンサルよりも他業界の適性があったかどうかは今となっては分かりませんが、就活を辞めたことを後悔はしていません。
それよりも、早期に内定を獲得したことで、残りの大学生活を有意義に過ごすことができることが嬉しいです。
時間と心にゆとりができたことで、資格や語学などまとまった時間が必要な勉強に取り組めています。大学時代には長期間の旅行に行く人は多いと思いますが、私の場合はその時間を勉強に当てたかったんです。社会に出たら、このような勉強もしにくくなるので……。
大学生活の使い方は人それぞれですが、みなさんが納得できる形で学生期間を終えられたらいいなと思います。
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