こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回はリクルートについて、グループ全体の各事業会社(カンパニー)の特徴や違いなどをお伝えします。
<目次>
●リクルートグループ=ホールディングス+事業会社 ・進化し続ける「ベンチャー」企業 ・リクルートの事業の基本、「リボンモデル」とは? ・成長の勢いが止まらないリクルート。その秘訣(ひけつ)とは
●一目瞭然! リクルートホールディングスの事業内容 ・メディア&ソリューション:海外展開をもくろむ創業事業 ・販促領域 ・人材領域
●リクルートのカンパニー比較 ・リクルートキャリア:頭の切れるパッション系 ・リクルートジョブズ:イケると思ったらまず行動 ・リクルート住まいカンパニー:アットホーム ・リクルートライフスタイル:個性が集まる動物園 ・リクルートマーケティングパートナーズ:ロマンとそろばん ・リクルートスタッフィング:キラキラ系 ・リクルートコミュニケーションズ:クリエイティブ、論理的思考力
リクルートグループ=ホールディングス+事業会社
進化し続ける「ベンチャー」企業
リクルートの歴史は意外にも長く、1960年に東大の学生新聞の広告代理店として設立されたのがルーツです。以前は「リクルート」という一つの会社だったのですが、2012年に分社化して以降、リクルートホールディングスと事業会社に分かれています(※1)。
また、若手から大きな仕事を任せてもらえるような「ベンチャーマインド」が残っている会社でもあります。例えばRingと呼ばれる制度があり、「誰でもビジネスプランを提出でき、審査に通ったプランには予算を与えられる」といった社内ビジコンに似た制度になっているようです。これまでに「スタディサプリ」や「ゼクシィ」などの中核事業を生み出してきました(※2)(※3)。
(※1)参考:リクルートホールディングス「会社概要」
(※2)参考:Ring ホームページ
(※3)参考:日系ビジネス「[議論]新規事業生む組織とは? リクルート名物制度の秘密」
リクルートの事業の基本、「リボンモデル」とは?
「人と企業の不満、不便、不安といった『不』を解消し、新しい価値を提供する」
これはリクルートグループの企業理念です。リクルートは人々のニーズの源泉である「不」をITの力で解決し、世の中に新しい価値を提供しようとしています。
実際にリクルートの各事業会社が提供する「SUUMO」や「リクナビ」をはじめとしたサービスの多くは、さまざまな「不」から始まったWebサービスです。上記のような「不」を解消するために、リボンモデルというビジネスモデルをリクルートは生み出しました(※4)。
下の図は、リボンモデルを簡単に表したものです。
※リクルートホールディングス「統合報告」より
SUUMOやリクナビなど、同社が提供するサービスの多くは「企業と顧客を結びつけるビジネス」といえます。
例えばSUUMOは住宅販売会社と購入者、リクナビは採用を行う企業と就活生、そして「ホットペッパー」は飲食店や美容院とユーザーを結びつけるマッチングサービスともいえるでしょう。
(※4)参考:リクルートホールディングス「映像でみるリクルート」
成長の勢いが止まらないリクルート。その秘訣(ひけつ)とは
リクルートは近年の年平均成長率が8.9%と、常に成長し続けています(※5)。
なぜ、これほど高い売上成長率を持続できているのでしょうか?
(※5)参考:リクルートグループ「成長方針と文化」
その背景には、新しいビジネスモデルの構築に積極的な社員や企業文化があると考えられます。
上述したRingなどの社内制度がある点や、起業家志望の社員が多い点など、新しいサービスを生み出す「ヒト」と「文化」がそろっている点が、リクルートの成長に貢献しているのでしょう。
このような「常に新たなビジネスを創出することで成長していく」という企業文化は、多様なビジネスを生み出す力を身に付けたい、起業家志望の学生がリクルートを目指すことにもつながっています。
一目瞭然! リクルートホールディングスの事業内容
リクルートホールディングスの事業は「HRテクノロジー」「メディア&ソリューション」「人材派遣」という3つのセグメントに分かれています(※6)。
セグメントごとに会社も分かれており、「HRテクノロジー」はRGF OHR USA, Inc.、「メディア&ソリューション」はリクルート、「人材派遣」はRGF Staffing B.V. が担当しています。
(※6)参考:リクルートホールディングス「事業セグメント」
※出典:リクルートグループ「リクルートグループの事業について|リクルートホールディングス統合報告書2019」
今回は、リクルートが担当する「メディア&ソリューション」について詳しく説明します。
メディア&ソリューション:海外展開をもくろむ創業事業
メディア&ソリューションは販促領域および人材領域で構成されています。
販促領域
販促領域は、住宅、結婚、旅行、飲食および美容などの分野において、オンラインを中心としたプラットフォームを運営しています。SUUMO、ゼクシィ、じゃらん、ホットペッパーなどが代表的なサービスです。
※出典:リクルートグループ「リクルートグループの事業について|リクルートホールディングス統合報告書2019」
人材領域
メディアの運営や人材紹介サービスを通じて、個人ユーザーの求職活動および企業クライアントの求人活動を支援しています。リクナビ、タウンワークなどが代表的なサービスです。
※ リクルートグループの事業について|リクルートホールディングス統合報告書2019より
次に、これらを運用する各会社の特徴を説明していきます。
リクルートのカンパニー比較
以下、リクルートを構成する主要7社について、事業内容や社風などを基にご紹介します。
リクルートキャリア:頭の切れるパッション系
「リクナビ」「リクナビNEXT」などを運営する人材メディア事業のカンパニーです。
人材紹介業の営業は、取引先企業の採用責任者など、職位の高い人と向き合います。そのため上下関係に慣れている人が適しており、リクルートキャリアの社員はグループの中でも体育会系の割合が多いといわれています。
また、人材のなかでも正社員を扱うことから、自分の未来に対してもビジョンを持つ社員が多く、「自分のなりたい将来像」を熱く語る人が多いようです。
リクルートジョブズ:イケると思ったらまず行動
「タウンワーク」「フロムエー」など、人材メディア事業のなかでもアルバイト、非正規雇用領域で事業を行っています。
同じ人材メディア事業を行うリクルートキャリアと比較すると、リクルートキャリアのクライアントが大手企業なのに対し、リクルートジョブズのクライアントは中小企業であり、クライアントの数はリクルートジョブズが圧倒的に多いです。そのため一つ一つについてゆっくり考える時間はなく、「イケると思ったらまず行動」という傾向が強くなっているようです。
リクルート住まいカンパニー:アットホーム
緑のキャラクターで有名な「SUUMO」を持つ、販促メディア業務のカンパニー。SUUMO一本というイメージが強いですが、最近は「住まいから暮らしへ」というコンセプトを掲げ、関連領域で新規事業が立ち上がっています。
とはいえ事業の核はSUUMO。他のカンパニーと異なり、一つのメディアに強く依存しています。また主要クライアントの数も少なく、「狭く深い」付き合い求められます。社員の多くが同じサービス、同じクライアントに向き合うことから、社内に団結力が生まれ、アットホームな雰囲気が出来上がっているそうです。
リクルートライフスタイル:個性が集まる動物園
「ホットペッパー」「じゃらん」など、販促メディア事業のなかでも日常消費領域でサービスを展開しています。最近は無料POSレジアプリ「Airレジ」が急速に拡大し、新たな基幹事業となりつつあります。
ライフスタイルの担当する日常消費領域は事業サイクルが早いため、新規事業を生み出すスピードも早くなります。提供するサービスも多く、28(※7)もあります。このような特徴もあり、ベンチャー気質の強い社員が多いといわれています。一方で多様性に富んでいるともいわれ、ある社員は「ライフスタイルは動物園のようだ」と形容していました。
(※7)参考:リクルートライフスタイル「すべてのサービス」
リクルートマーケティングパートナーズ:ロマンとそろばん
販促メディア事業のうち、「結婚」「進学」「車」の3領域で主に事業を行うカンパニーです。業界で圧倒的な地位を誇る「ゼクシィ」を軸に、新たな基幹事業となり得る「スタディサプリ」の拡大に取り組んでいます。
マーケティングパートナーズでは「ロマンとそろばん」という考えを大事にしています。この言葉のロマンは「情熱」、そろばんは「論理」を意味し、これらが合わさって初めて良い新規事業が生まれるという考えです。以前社長が、ある事業コンテストの公表において「ロマンとそろばんを掛け合わせて考えたか」という趣旨の発言をしており、社内でもこの言葉を耳にすることは少なくないようです(※8)。
新卒採用について「ロマンとそろばん、どちらかに秀でている人を取りたい」と社員が語るように、社員は、ロマンを熱く語る人と、論理的思考力に優れた人の2パターンに大きく分かれるようです。
(※8)参考:リクルートマーケティングパートナーズ「【UXデザインディレクター】を絶賛募集中!活躍メンバーインタビュー vol.6」
リクルートスタッフィング:キラキラ系
「人材派遣領域」の中心的カンパニーです。
クライアント企業に必要な人材像の提案と、自分たちが持っている人材のマッチングを行っています。内定者によると、スタッフィングの社員は女性率が半分程度と高く、いわゆる「キラキラ」した人が多いそうです。採用HPの社員のインタビューにも「成長し続け、キラキラと働く人になりたい」と語る社員がいます(※9)。
(※9)参考:リクルートスタッフィング:「絶対にあきらめない姿勢をチームに学んだ。」
リクルートコミュニケーションズ:クリエイティブ、論理的思考力
各カンパニーのメディアのコンテンツ制作を行う機能会社です(※10)。各メディアの、各領域での競合優位性を高めることを主軸としています。
新卒で入社すると高確率で「ディレクター」職につき、各カンパニーに配属されます。どのようなコンテンツを作れば人を動かせるか、クリエイティブに考えることが主な役割です。広告・制作事業であるため、社員には大手広告代理店からの転職者、内定者が多くいます。
グループの「社内コンサル」のような位置付けでもあり、コンサル志望の人も一定数います。他カンパニーと比較すると「論理的思考力」が強いといえるでしょう。また全体を俯瞰(ふかん)する能力も優れており、事業会社の社員とのディスカッションで「そもそも……」という言葉が頻繁に使われるようです。
(※10)……グループ内部のある業務を専門で受け持つ会社。取引先は主にグループ中の企業。経理や人事、総務などの機能が分社化されて機能会社となるケースが多い。
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