生命保険への加入を考えたことはないが、生命保険会社への就職には興味がある──。こうした考えで就職活動をしている人もいるのではないでしょうか。
こう思う理由は、生命保険の特殊性にあります。自分が病気になったときのことはあまり考えたくない人が大半のため、「自分から入りたい」となかなか思いにくいのです。これは生命保険業界ならではの特殊性といえるでしょう。
この特殊性に真正面から向き合うのが、オリックス生命です。デジタル化の波で生命保険業界全体が過渡期を迎える中、1991年創業の同社は10期以上の連続成長を遂げています。
ワンキャリ編集部では今回、別の生命保険会社からオリックス生命に転職されてきたお2人の社員にインタビューを行いました。話題になったのは、「正攻法」とも呼べる戦略と、それを実行するスピードでした。
「お客さまの立場で『考え抜いて』いくことで差別化を実現し、『感動』を生み出すことができるのではないでしょうか」
オリックス生命だから実現できた、成熟市場で成長する方法を探りました。
※この記事は個人情報保護のため、名前をイニシャルで表記しています
デジタルシフトのみでは変革できない生命保険の特殊性
──最近、世の中のデジタル化がどんどん進んで、特に「買い物」のインターネット化が進んでいます。その中で、生命保険もインターネットでの販売が主流になっていくのでしょうか?
Tさん:いくらインターネットが発達してデジタル化が進んだとしても、それだけで保険の販売の主流が急にインターネットに取って代わられるかというと、そうはならないと思います。特に生命保険の場合は、なおさらでしょう。
──えっ……、それはどういうことでしょう。
オリックス生命保険 経営企画部 広報課長Tさん
Tさん:ここで一つ質問をします。ここにいる皆さんはまだお若いと思いますが、自分から「どうしても保険に入りたい!」と考えたことはありますか?
──いや、正直に言いますと「今、別に入らなくても……」というように思っています。
Tさん:そうですよね。生命保険は、とても特殊な商品で、誰かに背中を押してもらわないとなかなか加入しようと思えない商品なんです。「自分が病気になってしまったり、万が一のことがあったりしたときのこと」について、あまり考えたくないのが普通です。
だから、対面販売を行う保険会社の社員がお客さまの職場まで何回も足を運んで説明をし、相談に乗る。そうやって何度もお客さまに会い、少しずつ保険の必要性などを意識してもらうことで、やっと検討いただける商品なんです。
──手厚く、時間をかけてニーズを発掘していくことが大事なのですね。
Eさん:最近はセキュリティも厳しくなり、お客さまの職場を訪問することが難しくなりました。生命保険会社の中には、インターネット企業と組むことで販路拡大を目指している会社もあります。
デジタル化が進み、スマートフォンによる保険加入や保険料支払いの手段も生まれている一方で、保険商品の特性や対面販売を中心に成長してきた業界であることを踏まえると、徐々にネット販売のウエートは増えていくかもしれません。しかし、急激に方向転換することは難しいのではないかと思います。
オリックス生命保険 保険金部 Eさん
──従来のような手厚さがないからでしょうか。
Tさん:そうですね。例えば東南アジアの一部の国では、日本以上にITと生活が密接に関わっており、ほとんどの物がスマートフォン上で売買されています。しかし、生命保険も同じようにスマートフォンからの契約がすぐに増えるかというと、違っているようです。商品性がインターネットにマッチしていないのです。
──すると、インターネットは脅威にはならないということでしょうか。
Eさん:インターネットが脅威というのは語弊があると思います。実際に通信アプリ会社やIT関連会社も保険業界に参入されていますが、保険会社としてではなく販売代理店としての参入が大半かと思います。当社をはじめとした保険会社側もそういったIT・通信業界のノウハウ・技術を利活用することで、新たなお客さまサービスをどんどんご提供していく必要があると考えています。
Tさん:そういう意味では、生命保険会社の根幹は変わらず、今後どのようにインターネットをうまく活用することができるのかという点が問われている、まさに過渡期といえますね。
「あらゆる接点において、『感動』を生み出せる会社となる」ことを目指したい
──生命保険業界は、伝統ある日系大手から新興のベンチャー企業までがプレーヤーとして存在していますよね。その中で、オリックス生命はどんな存在を目指していくのでしょうか。
Tさん:「当社を取り巻く人々とのあらゆる接点において、『感動』を生み出せる会社」になっていければ良いなと思っています。
生命保険業界はこの数年でさまざまな変化があり、それに伴って多くの課題を解決していく必要に迫られました。販売チャネルの大半が保険会社の社員だった時代から、代理店、金融機関、インターネットなどへとチャネルが拡大してきたとともに、どんどん商品も複雑になってきています。それにより、商品知識が十分でない営業社員による販売などの問題もメディアなどで一部取りざたされることもありました。それらの問題をしっかりと受け止めるだけでなく、お客さまに「感動」していただけるようなレベルで解決していける会社を目指していきたいと考えています。
──なるほど。その一つに当てはまることかもしれませんが、保険商品の情報は、雑誌やインターネットにたくさん掲載されていて、結局自分にとってどれが一番良い商品なのか、なかなか分からないですよね。
Tさん:だからこそ、保険を提案する側は、本当にお客さまの立場でサービスを届けようとしているのかが問われます。
そして、当社のように代理店さんを介して商品を提案している保険会社としてできることを考えれば、代理店さんや募集人さん(※)がお勧めしたくなる商品やサービスを開発することが重要です。また、代理店さんや募集人さんの提案力やそのために必要な知識の習得を支援していくことなども大切です。
(※)……生命保険協会が運営する業界共通試験に合格し、生命保険の販売資格を有する人
これらを行うことにより、お客さまが「とても分かりやすく、納得感のある提案を受けることができた」と感じ、代理店さんも「オリックス生命のおかげで良い提案ができた」と感じてもらえたら最高ですよね。最近では、コールセンターの対応や当社の保険証券の見やすさなどを、お客さまからお褒めいただいた事例もありました。このような「感動」をたくさん作り出せたら、お客さまからも代理店さんからも「オリックス生命ってすばらしい」という評価がいただけるでしょうし、それが会社の強さになっていくと考えています。
──つまり「正攻法」で戦える企業が勝つ時代になるということでしょうか?
Tさん:そうかも知れませんね。先ほども申し上げましたが、生命保険は、「自分から入りたい」となかなか思えない商品であり、それにも関わらず「自分の力だけでは、どの商品に加入するのが良いのかがなかなか判断できない」特殊な商品でもあります。だからこそ、お客さまの立場で「考え抜いて」いくことで差別化を実現し、「感動」を生み出すことができるのではないでしょうか。
若いうちから、裁量と責任を持ち活躍する
──業界大手も含め、他社を経験しているお二人だからこそ感じるオリックス生命の魅力について、もう少し教えてください。
Eさん:まだまだ生命保険会社の中では規模が大きい訳ではないので、「企画から実行までのスピード感」や「一人一人が幅広く業務を受け持つこと」を行っていかないと、経験も規模も圧倒的に大きい競合他社に立ち向かっていけません。当社のような会社が勝ち抜いていくためには、商品開発や新たな施策などについて、計画から実行に移すまでの期間を短くしていく必要がありますし、その過程で若い社員にも多くの業務をどんどん任せていく必要があります。それを魅力と感じるかは人それぞれですが、私は魅力だと感じています。
こうした特徴は、従業員数や組織が他社ほど大きくないからでもありますが、人間関係がとてもフラットであるからだと思っています。上下分け隔てなく、コミュニケーションが取りやすい組織風土は当社の特徴であり、強みだと思います。
──環境や風土について、もう少し詳しく教えてください。
Eさん:自分の意見や考えを、上司や先輩に率直に伝えやすい環境があると思います。もちろん、自分の言いたいことを好き勝手言えるということではなく、社会人としての礼儀はもちろん、論理性なども必要ですが、自分の意見や考えをまっすぐ表現できることは、仕事を進める上で大きなやりがいにつながります。むしろ、組織に影響力を発揮し活躍していくためには、自分の考えを率直に伝えることが求められていると思います。
Tさん:学生さんからすると「当たり前では?」と思うかもしれませんが、生命保険会社に限らず、大きな組織になるほど、社内のコミュニケーションは難しくなります。新聞で報道されている企業の不祥事なども、根本の原因を探っていくと、社内コミュニケーションの欠如だったということも少なくありません。スピード感のある業務運営も、このコミュニケーションの円滑さがあって初めて実現できるのだと思います。
Eさん:率直なコミュニケーションももちろん大事ですが、そのコミュニケーションがどのような方向に向かっているのかを考えることも大事です。私は保険金部というお客さまに保険金・給付金をお支払いする部署で働いていますが、さまざまな企画・立案などを行う過程で、「お客さまから見たときにどうなのか」という視点でコミュニケーションを取ることも大切だと思います。
Tさん:Eさんのように、「お客さまから見たときにどうなのか」という視点でいつも考えています。自分の考えをしっかりと周囲に伝えている人のところには仕事も情報も集まり、さらに大きな影響力を発揮できるようになるのかと思います。ただ、その分責任も大きくなりますけどね。
Eさん:そうですね。もちろん影響が大きく、複数の幅広い業務を担うということは、裁量と同時に責任やスキルも求められるので、そこにやりがいを感じることができるかどうかが問われますね。ただ、やり切った先には、大きな成長を感じることができ、さらに次の仕事に生かすことができるという良いスパイラルにもつながるので、今後も前向きに取り組んでいきたいと思います。
「働く人」と「文化」を見極めれば、仕事も人生も楽しくなる
──最後にこの記事を読む学生に向けてメッセージをお願いします。
Tさん:仕事が楽しめると、当たり前ですが人生も楽しくなります。そして、どのようにしたら仕事が楽しめるようになるかと考えてみると、仕事を進めていく上でのスキルやマインドを、先輩からでも本などからでも良いので、まず「学んで」少しずつでも「身に付けて」みることです。そうすると「できること」が増えるので、「成果」が出る。成果が出ると評価されたり「感謝され」たりするのでモチベーションが上がり、さらに「学んで」みようと思う。このようなサイクルに入れると、仕事が随分楽しくなるのではないかと考えています。スタートはまず主体的に「学んで」みることだと思っています。
Eさん:Tさんの観点と似ていますが、「仕事を楽しめる」ことは、自分の価値観、求める仕事像やライフスタイルに合っていることだと思います。
入社する会社を決める前に、自分の価値観や求める仕事像などを漠然とでもイメージしてみて、それがその会社に合っているかを確かめてみることが大切だと感じています。会社を決める前に、ぜひイメージを膨らませてみてほしいと思います。
──例えば、どのようなケースがありますか?
Eさん:例えば、当社を志望している学生の方から、「オリックス生命は『医療保険の新キュア』が売れているから入社したい」というような話をよく聞きますが、その理由からは「商品が売れているから入社したい」ということしか読み取れません。
そもそも保険業界に関心があるのはなぜなのか、そして数ある保険会社の中でなぜ当社なのか、入社したら(漠然とでも)どんな仕事をしてみたいのかなどを自分なりに考えてみて、面接などでぶつけてみてほしいと思っています。
Tさん:まだ社会人として働いたこともない中で、具体的に想像できない面も多いかと思います。ただ、一度時間をとって、自分なりにイメージしてみることにチャレンジしてみてほしいと思います。
──では、就活生たちはどのような粒度で、自身のこれからについて考えてみるのが良いのでしょうか。
Tさん:例えば、「どんな成長をしていきたいか?」「どんなキャリアを実現していきたいか?」「どんな職場環境で働いていたいか?」など想像してみると良いかと思います。これらのイメージを持った上で、説明会や面接に臨むことができると、その会社が自分のイメージを実現できる会社かどうか、おぼろげながら感じることができるようになります。イメージするのとしていないのとでは、大きな差になってくるはずです。
あとは、入社してみないとイメージが膨らまない面も多いでしょうし、実際に職務経験を積んでいくことで価値観はどんどん変わっていくものなので、あまり詳細に考えすぎなくても良いかと思っています。まずはできるところまでイメージしてみてはいかがでしょうか?
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【ライター:スギモトアイ/編集:吉川翔大/カメラマン:百瀬浩三郎】