売り手市場と言われる昨今、インターンシップ経由での採用は企業にとっても重要な戦略だ。
しかし、ワンキャリアに寄せられたクチコミを見てみると、企業によって学生の満足度は大きく異なることが分かる。良いインターンとは一体どのようなものなのだろうか。
ワンキャリアでは、学生のクチコミから「良いインターン」を行う企業を可視化している。
今回、 5万件以上のクチコミを手がかりに、学生から評価されるインターンは3つのお土産を学生に提供していることを突き止めた。
【学生の満足度を高める3つのお土産】
(1)本選考での優遇
(2)今後の就活に生かせる学び
(3)充実したコンテンツ
本記事では、学生が本当に良いと思う説明会を実際のクチコミをもとに紹介する。
【お土産1】本選考での優遇
企業側が早期に学生を囲い込むことを目的にしているように、学生も早期に内定を獲得しようと必死だ。
早期から就職活動に取り組む学生たちからは、以下のような声が寄せられている。
就活は実質3年生から始まっている。自分は3年のうちに就活を終えられるように取り組んでいたし、周りには3年夏に終了していた友人もいた。(慶應義塾大学4年)
学生から人気のコンサルティングファームなどは、夏や秋に選考をしている。そこに標準を合わせている学生が多く、大学4年3月に内定を持っていない学生は早期層に相手にされていない。(早稲田大学4年)
実際に、「クチコミアワード」上位企業には以下のようなクチコミが寄せられている。
【入社パスにもつながる内容充実のインターン】
3週間程度の期間で、個人ワーク+グループワークに取り組むインターン。内容に関しても進め方に関しても自由度が高く、社員のFBをどうもらうかといったことも含めて、自分でPDCAを回していくことが求められたことが成長につながったと感じる。成績優秀者は入社パスを獲得でき、そのあとのフォローアップも受けられる。※出典:ワークスアプリケーションズのクチコミ
【本選考直結のインターン】
GW→プレゼン→順位決め→懇親会
という、一日中行われる濃密度の高いインターンだった。1dayにしては、メンターも1班に1人つき、かなり見られていた。優勝しなかったがメンターから評価され、本選考に優遇された※出典:P&G Japanのクチコミ
反対に、クチコミでの評価が低い企業には
・インターンシップという名目で、実態はただの説明会だった。参加しても選考に優遇があるわけでもなく、行く意味がなかった
・インターンシップに参加すると有利とのうわさがあったが、実際は全く関係ないそうで、行かなければよかった
などの声が散見された。
早期に学生を囲い込みたい企業と早期に就職活動を終えたい学生。インターンシップ経由の早期内定への案内は、両者にとってメリットがあるといえそうだ。
【本選考での優遇 まとめ】
●適切な企業
└ 参加者に早期選考を実施
└ 参加者に選考上の優遇あり
└ 参加者限定のイベントを実施
└ 参加者にリクルーターがつく
●適切でない企業
└ インターン参加が本選考に影響しない
└ インターン参加者に対しイベントを実施しない
└ インターン参加者と個別で連絡を取り合う社員がいない
【お土産2】今後の就活に生かせる学び
インターンシップは就活の登竜門であり、インターンを通じて学生は志望業界を決めたり、自己PRをブラッシュアップしたりしている。
したがって、インターンシップには今後の就活に役立つ情報を受け取る機会となることが期待される。
実際に、「クチコミアワード」上位企業には以下のようなクチコミが寄せられている。
【社員学生雰囲気が良く、自分の成長と企業理解につながる】
学生が30人ほどでとても仲良くなれる! 社員さんも学生も面白い人が多く、とにかく楽しかった! 楽しいだけでなく学生のレベルも高いため、自分の成長にも繋がる。企業説明や仕事の説明など丁寧に座学を行っていただいた後にグループワークを行う。社員さんの熱い想いが感じられ、キリンという会社を好きになるとても良いインターンであった。インターン選考にもつながる。とりあえず受けてみたほうが良い。※出典:キリンホールディングスのクチコミ
【ひたすらリサーチスキルを磨き、自分と戦う3日間】
学生5人に社員メンター2人が付くインターンではあるものの、メンターからは学生自身に自力で考え、行動することを求められるため、まさに「ベンチャー企業」を体感できる。前年度以前からの評判通り、とにかく他社のインターンでは経験できないようなハードな3日間。参加者は有名大学出身の学生が非常に多い印象で、それ以外の大学の学生も総じて頭のキレる優秀な人ばかりだった。自分の実力を試したい人には大変お勧めのインターンである。※出典:Fringe81のクチコミ
反対に、クチコミでの評価が低い企業には
・フィードバックをもらえると思ってインターンに参加したのに、参加後は特に何もなく解散となった
・インターンを通じて新しい学びがなく、参加しなければ良かった
・周りの学生が就活初心者で、就活仲間もできなかったし、全く成長できなかった
などの声が散見された。
その企業を知れるだけでなく、学生の就職活動を支援するような企画こそ、学生が本当に求めているインターンシップだといえるだろう。
【今後の就活に生かせる学び まとめ】
●適切な企業
└ 学生が知らない情報を提供できている
└ インターン選考が本選考の形式に即している
└ 選考/インターンでフィードバックを実施している
└ 学生間で切磋琢磨できる仕組みを作れている
●適切でない企業
└ 既知の情報を繰り返し伝えている
└ インターン選考が特殊すぎる
└ 選考/インターンでフィードバックを実施しない
└ 学生間で実力に差が生じている
【お土産3】充実したコンテンツ
最後に、当然かもしれないが、インターンシップの内容自体を面白くすることが非常に重要だ。
インターンシップと銘打って、実態はただの説明会という企業も多いようだが、学生はインターンシップに説明会以上の体験を求めている。
実際に、「クチコミアワード」上位企業には以下のクチコミが寄せられている。
【総合商社のビジネスを理解できる濃密な2日間】
綿密に構成された総合商社体験ワークを2日間を通して行う。ゲーム形式のものであるが、他社と比べてリアル感が格段に違うので、脳みそに汗をかくほど考えさせられる。総合商社のトレーディングビジネスを理解したい学生にとって、これほど良い環境は他には無いのではないかと感じた。※出典:メタルワンのクチコミ
【現場社員の苦悩と葛藤を体感できるワーク】
会社で功績を挙げた、とある社員の実際のビジネスについて、時系列毎にワークで体感できるというもの。
グループでディスカッションを重ね、その都度シェアする形式。
参加学生の頭が良く議論が白熱するが、実際の社員の仕事の凄さに皆が度肝を抜かれた。
それ程にすごい総合商社のビジネスを体感できる貴重な機会※出典:三井物産のクチコミ
反対に、クチコミでの評価が低い企業には
・普段の説明会となんら変わらず、1日予定をあける必要を感じなかった
・グループワークに取り組んだが、まったく実際の業務の想像がつかなかった
・休憩時間が長く、ワークも力を入れて取り組むような内容ではなかったので、やり切った感覚もなかった
などの声が散見された。
インターンが終わったとき、素直に「やりきった」「楽しかった」「参加して良かった」と思える体験こそ、学生にとって最大のお土産となるだろう。
【充実したコンテンツ まとめ】
●適切な企業
└ 普段体験できないようなワークに取り組める
└ ワークの難易度が適切で、達成感を得られる
●適切でない企業
└ わざわざそのインターンに参加しなくても体験できるようなコンテンツ
└ ワークの難易度が低すぎる
インターンシップがクチコミで選ばれる時代に
売り手市場の今日、満足度の高いインターンを実施して学生を引きつけることは採用戦略上重要である。好評を得たインターンのクチコミデータは来年に続くアセットとなり、採用ブランドの構築に役立つだろう。
ワンキャリアは、学生に真摯(しんし)に向き合う企業が評価される採用マーケットを目指し、今後もさまざまなデータを可視化していく。
そのために、「#クチコミ公開中」。
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(Photo:Monkey Business Images/Shutterstock.com)