こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、五大商社の一角を担う総合商社「丸紅」(総合職)の本選考のポイントをお伝えします。
丸紅の代表的な事業として、電力事業と穀物事業の2つが挙げられます。また、総合商社には珍しく非財閥系の企業であることもあり、若手から活躍できる環境があるといわれています。
選考前の最終確認のためにご一読ください。
<目次>
●丸紅の社風
●丸紅の事業内容
●丸紅の本選考のフロー
・1. エントリーシート(ES)
・2. Webテスト
・3. 1次面接
・4. 2次面接
・5. 3次面接
・6. 最終面接
●おわりに
丸紅の社風:若手から挑戦できる機会と多様性のある環境が魅力
丸紅は近年、新卒採用の女性総合職比率を、3年以内に40~50%程度にすると宣言するなど、多様性のある組織作りに取り組んでいます(※1)。
これまでも、応募者の多様性を高めるため、新卒採用の手法を多様化させてきました。ある分野で第一人者といえることを応募資格とする「No.1採用」や、新卒~就業経験5年程度までの若手を対象に、入社後の部署や業務を明示して募集する「Career Vision採用(※2)」など、従来の一括採用以外の手法でも採用を行っています。
(※1)参考:ONE CAREER「女性採用強化の丸紅に聞く、『結局、総合商社って男社会なんですか?』」
(※2)参考:ONE CAREER「「配属部署先決めの採用を始める丸紅さん。『やりたいことが明確』でないと商社を志望してはいけませんか?」」
総合商社にしては珍しい非財閥系。フラットに評価される風通しの良い社風
丸紅の特徴は、「風通しが良く親しみやすさを感じる社風」があることです。総合商社としては珍しく「非財閥系の企業」であり、年功序列の風潮が比較的弱いからでしょう。
また、丸紅では良いものは良いとフラットに評価される雰囲気があります。内定者によると、ある社員が「丸紅はボトムアップの会社。年次を問わず、相手の意見に耳を傾ける文化がある」と話していたそうです。
1年目から海外駐在も。必ず若いうちから海外で挑戦できる環境
総合商社では、年次が上がった後に海外の案件を担当したり、海外に出張したりするのが一般的。しかし丸紅では、若手のうちから海外事業に携われるそうです。実際に、採用情報の中でも「丸紅は必ず若いうちに海外に行く会社である。入社1年目から海外駐在を経験する人もいる」と書かれています(※3)。
加えて、丸紅は人材育成に積極的な姿勢を示しています。例えば、新たな商流を創造するための制度である「社外人財交流プログラム」では、金融やコンサルティングファーム、メーカーなどの各業界トップ企業に、将来の経営幹部候補となる社員を出向させることで、次世代の丸紅を担う社員の育成に努めています(※4)。
(※3)参考:丸紅「Q&A」
(※4)参考:丸紅「人財マネジメント」
丸紅の事業内容:丸紅を代表する「電力事業」と「穀物事業」
丸紅を代表する事業としては「電力事業」の「穀物事業」の2つが挙げられます。
中でも電力事業は、花形部門といわれているとのこと。地域・電源において最適な資産ポートフォリオを構築しており、合計持分容量12,022MW(2022年3月末時点)を所有しています(※5)。
さらに、2016年4月から始まった電力自由化を背景に、電力小売事業にも参入し、その影響力はより大きくなっていくと考えられます。主力部門ということもあり、電力部門の幹部が他部門の重要ポストに就く人事が増えているそうです(※6)。
また、穀物事業も発展しており、総合商社の中でも大きなプレゼンスを発揮しています。2008年、中国が大豆を大量輸入したことにより日本の穀物確保が危ぶまれた際には、中国のSINOGRAIN社と提携することで、日本の食料確保に大きく貢献しました(※7)。
(※5)参考:丸紅「電力本部」
(※6)参考:日本経済新聞「もはや丸紅電力 全社利益の4分の1稼ぐ」
(※7)参考:ONE CAREER「『7年目までに必ず海外へ』丸紅の若手に挑戦させる人材戦略【総合商社 人事インタビュー Vol.4】」
丸紅の本選考のフロー
丸紅の本選考のフローは以下の通りです。
1. エントリーシート(ES)
2. Webテスト
3. 1次面接
4. 2次面接
5. 3次面接
6. 最終面接
1. エントリーシート(ES):商社パーソンの素養「真面目さ、挑戦心」が問われる
過去にESで出題された設問は下記のとおりです。
(1)大学時代に学業で力を入れた点について記載してください(100字以内)
(2)大学時代に学業以外で力を入れた点について記載してください(100字以内)
(3)自分をPRするキーワードを最大5つまで記載してください(各20字以内)
※出典:丸紅|総合職2022年卒本選考のES
設問(1):目の前のやるべきことに、愚直に取り組める姿勢を示そう
ここでは、「やらなければならないことについて、しっかり向き合ってきたか」が評価されていると考えられるでしょう。大きなプロジェクトにおいても、細かいタスクを真面目にこなす必要がある商社パーソンにこそ、求められる素養といえます。
回答を記入する際は、どんなことでも自分なりに「面白さ」や「意義」を見いだして努力できることをアピールできると良いでしょう。
設問(2):現状を打開する「挑戦心」を示そう
「とがった丸になれ、丸紅。(※8)」という採用スローガンから分かる通り、丸紅は「新しい正解を作り出すことのできる人材」を求めています。
そのため、現状に満足せず、新たな価値を生み出すために、粘り強く取り組んだ経験を書くと良いでしょう。
ある内定者は「部活での雰囲気が悪い状況の中、他の部員を巻き込んだ取り組みを行うことで、組織内に一体感を生み出した経験について記入した」と話していました。
(※8)参考:丸紅「とがった丸になれ、丸紅。」
2. Webテスト:ボーダーが高い適性検査。他の商社との両立を心がけよう
Webテストの形式は玉手箱で、内容は言語、非言語、英語、性格検査です。ボーダーは8〜9割といわれており、非常に高いと考えられます。
丸紅と併願されることが多い、伊藤忠商事・三井物産・住友商事のWebテスト選考はGAB形式であるため、玉手箱の対策はおざなりになりがちです。
五大商社のうち、丸紅のWebテストの締め切りは最も遅いため、他の商社のWebテストを受け終わり次第、玉手箱の参考書を解き直すなどして、問題の出題形式に慣れておきましょう。
3. 1次面接:深掘りは少なめ。余計なことを話さず簡潔に答えるべし
1次面接は、社員1人に対し学生1人で行われる、所要時間30分程度の個人面接です。質問内容は、ESで出題された設問が多いのが特徴です。
・自己紹介
・学業以外で力を入れたこと
└サークルの規模感・役割
・学業で力を入れたこと
└そのゼミに入った理由
└卒論のテーマ・アルバイト経験の有無
└始めた理由
└学んだこと
・自分をPRするキーワードについて
└ このキーワードはどういう意味か
└ これらが発揮されたエピソード
・逆質問(5分程度)
・最後に一言
など
※出典:丸紅|総合職2022年卒本選考の1次面接
ネガティブチェックの意味合いが強い
丸紅の1次面接は、ネガティブチェックの意味合いが強いと考えられます。
内定者によると、「形式的な質問が多かった。深掘りも少なく、次々に質問が投げかけられた」とのこと。ハキハキと話す、質問に対して簡潔に答えるなどの点を意識しましょう。
端的に物事を伝えるコミュニケーション能力を示そう
面接では、伝えたいことを明確にし、コンパクトにまとめて話すようにしましょう。
実際に、面接の最初に「時間が短いので、簡潔に回答することを意識してください」と伝えられるそうです。そのため内定者は、「全ての質問の意図をくみ取り、相手の知りたい情報を考える」「聞かれたことにだけ答え、余計なことは一切話さない」「『主張・具体例・理由』の順番で構造的に話す」ことを意識して回答したそうです。
4. 2次面接:OB・OG訪問は必須!? あなたの強みが丸紅にどう生かせるかが問われる
2次面接は、社員1人に対し学生1人で行われる、所要時間30分程度の個人面接です。質問内容は、以下の通りです。
・自己紹介
・学生時代に力をいれたこと
└サークルに入った理由
└当時の目標
└直面した課題
└どのように克服したか
└学んだこと
・自分をPRするキーワードについて
└ 業務でどのように活かせると思うか
・逆質問(10分程度)
・最後に一言
など
※出典:丸紅|総合職2022年卒本選考の2次面接
2次面接では、1次面接よりもエピソードが深掘りされ、「自己PRとしてESに記入していた能力・性質が、どのように業務で生かせるのか」が問われるそうです。
アピールする自身の強みは、本当に丸紅で求められる力かを、OB・OG訪問などを通じて確認しておくとよいでしょう。下記の具体例も、参考にしてください。
・英語力:海外駐在先でのタフな交渉
・関係調整能力:ステークホルダーの利害関係調整
・データの活用力:財務情報の分析、投資管理
5. 3次面接:海外駐在への適性が見極められる。入社意思の高さが突破のカギ
丸紅の3次面接は、社員1人に対し学生1人で行われる、所要時間30分程度の個人面接です。質問内容は、以下の通りです。
・自己紹介
・人生で一番苦労した経験
└克服方法
└学んだこと
・海外で言語や文化に苦労した経験
・勉強内容
└ 最も印象的だった授業
・商社業界の志望理由
・他商社と丸紅の違い
・入社後に取り組んでみたいこと
・他社の選考状況(具体的な企業名)
・逆質問(5分程度)
など
※出典:丸紅|総合職2022年卒本選考の3次面接
精神的なタフさを、異文化交流や苦労した経験から語ろう
3次面接では、「人生で一番苦労した経験は何か」「留学中・海外生活で直面した困難は何かあったか」といった質問が行われます。精神的にタフかどうかが評価されていると考えられるでしょう。
その背景には、多くの社員が経験する海外駐在において、言語や価値観の違う現地の社員の意見をまとめながら、円滑に業務を進める必要があるためです。
ある内定者は、「留学中に行ったグループワークで、当初は文化と言語の違いから全く相手にされなかったものの、信頼関係を築くために必死に行動した」と伝えたようです。ストレスのかかる環境の中で、やり遂げた経験をアピールしましょう。
志望動機では「挑戦を重視する企業文化」に共感しよう
3次面接からは、なぜ総合商社かという質問に加え、なぜ丸紅かという入社意志の強さを問われます。
ここでは、挑戦を重視する丸紅の企業文化へ共感することをおすすめします。
実際にある内定者は「現在業界上位にいる企業(伊藤忠商事・三井物産・三菱商事・住友商事)よりも、これから上位を目指していく丸紅で働く方が面白みを感じる」という話をしたところ、面接官から高評価をもらったそうです。
6. 最終面接:最後に合否を分けるのは「熱意」。失敗経験を話せる準備をしておくとベスト?
最終面接は、社員3人に対し学生1人で行われる、所要時間30分程度の個人面接です。最終面接が行われた後には、15分程度の人事面談が行われます。
<最終面接(30分程度)>
・学生時代に頑張ったこと
・これまでに失敗した経験
・丸紅の志望動機
・興味のある事業
・丸紅の志望順位
・丸紅の課題と改善点
・他社の選考状況(具体的な企業名)
・最後に言い残したこと
など
<人事面接(15分程度)>
・面接の感想
・他社の選考状況
・志望動機
・逆質問(5分程度)
など
※出典:丸紅|総合職2022年卒本選考の最終面接
丸紅への志望度の高さを、他社比較を通じて伝えよう
最終面接で一番大切なことは、「丸紅で働きたいという熱意」を示すことです。丸紅は、「内定を出したら本当に入社してくれるかどうか」を重視していると考えられるからです。
面接では、「丸紅の志望動機」や「他の企業と比べて、丸紅が良いと思う理由」といった質問が行われます。他の商社との違いを明確にしつつ、なぜ自分が丸紅に行きたいのかを、根拠を持って伝えられるようにしておきましょう。
内定者は、「OB・OG訪問でお会いした社員の方々は、自信と謙虚さがあり、親しみやすさを感じた」「業界トップの立場で安定するよりも、常に挑戦者の立場で戦いたい」と伝えていたそうです。
失敗した経験は、原因まで言語化できるように
最終面接では、複数の内定者が「失敗した経験」について質問をされています。この質問では、経験の内容よりも「なぜ失敗してしまったのか」という原因を解明できているかが重視されていると考えられます。
丸紅は、若手の挑戦を後押しする企業です。失敗を分析し、次に生かすことのできる学生は、成長スピードが速いと判断され、内定獲得の可能性も高いでしょう。「失敗した経験」「なぜ失敗したのか」「同じ場面では失敗をどう生かすか」を整理することで、失敗から学びを吸収できる人材であることをアピールしましょう。
おわりに
ここまで、丸紅の本選考を突破するポイントをお届けしました。みなさんの選考対策のお役に立てたら幸いです。
丸紅の選考についてさらに詳しく知りたい方は、選考対策ページをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています。
【選考ステップ一覧】各選考の詳細と解説
【クチコミ】説明会/インターン/選考の評判
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
▼商社に関するおすすめの記事はこちら
・【業界研究:商社】5大総合商社「三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅」のメイン事業や社風を徹底比較!
・あの「#辞め商」が帰ってくる──商社卒業生に聞く「コロナ禍の今、総合商社に入りますか?」
・『総合商社で投資がしたい』君へ。長いけど読んでくれ。投資業務の理想と現実
(Photo:Avigator Fortuner/Shutterstock.com)