こんにちは、ワンキャリア編集部です。
130年以上にわたり海運業を中心に事業を展開する「商船三井」。企業の歴史の長さと、グローバルな環境で大きくモノを動かす仕事に惹(ひ)かれ、志望する学生も少なくありません。
この記事では、商船三井の陸上総合職に絞って、選考対策の具体的なポイントをまとめてお伝えします。選考前の最終確認のためにご一読ください。
<目次>
●商船三井の特徴:高い技術力を生かし活躍する海運のスペシャリスト
・圧倒的な影響力を武器に海運ビジネスを戦略的に追及する
・ジョブローテーションで「専門性」と「マネジメント能力」を高める
・日本郵船に比べて「個人の裁量」が重視される社風がある
●商船三井の選考全体の特徴:「なぜ海運業界なのか」「なぜ商船三井なのか」を明確にしよう
●商船三井の本選考フロー
・エントリーシート(ES)
・Webテスト
・グループディスカッション
・1次面接
・2次面接
・最終面接
●おわりに
商船三井の特徴:高い技術力を生かし活躍する海運のスペシャリスト
圧倒的な影響力を武器に海運ビジネスを戦略的に追及する
商船三井の最大の特徴は「海運ビジネスにおいて圧倒的な影響力をもっている」こと。売上の9割以上は海運に関わる事業が占め、運航船舶数も日本最多の857隻です(※1)。海運ならではの大きなスケール感を味わえるでしょう。
商船三井は海運業において培った高い技術力を生かし、ハイブリッド船の開発に投資しているのも魅力の1つ(※2)。また、横浜国立大学とともに、人工知能(AI)を用いた「海運ビッグデータの分析と活用」の共同研究を行うなど(※3)、新しいビジネスに対し積極的な姿勢を見せています。
とはいえ、商船三井の事業展開は「攻め」ばかりではありません。コンテナ船事業規模が海外海運に劣る現状を打破するために「日本郵船」「川崎汽船」と合同会社を設立し、欧州のメガキャリアとの競争に打ち勝つための「守り」の姿勢も見せています(※4)。
継続的に利益を生み出すための戦略性に長けた会社といえるでしょう。
(※1)参考:商船三井「2018年3月期アニュアル・レポート P.10」
(※2)参考:商船三井「世界初の新造ハイブリッド自動車船『EMERALD ACE』が竣工~停泊中ゼロエミッションを実現~」
(※3)参考:商船三井「横浜国立大学との海運ビッグデータ活用に関する共同研究を開始」
(※4)参考:日本経済新聞「コンテナ船3社統合『親会社しのぐ存在に』ONE発足」
ジョブローテーションで「専門性」と「マネジメント能力」を高める
商船三井では「ジョブローテーション」が採用されています。具体的な職種は大きく次の3つに分類されます。
・営業:運搬する商材の契約を取りつける
・船体整備:運ぶ船を調達する
・運搬管理:運ぶ際の価格と安全を管理する
ある内定者によると企業説明会にて「最初の10年は最低3部署を経験して、基本的なスキルを身につける」と社員が話していたそうです。
幅広い相手と関わることにより、海運ビジネスの専門性とマネジメント能力の習得が期待できます。さまざまな仕事を経験しながら、人を束ねることに関心がある学生は、挑戦してみる価値があるかもしれません。
日本郵船に比べて「個人の裁量」が重視される社風がある
内定者によると商船三井は「個人の裁量」を重視する社風があるようです。業務ごとに担当者が決まっているため「主体性」が求められるとのことです。実際に「入社3年目の社員が船上風力発電の提案と実行を行う」といった例もありました(内定者談)。
一方で、併願されるケースの多い「日本郵船」では、業務マニュアルがあり、どの社員でも対応できる仕組みができているようです。組織力の強さを重視しているのかもしれません。
「自分の頭で考えながら意欲的に行動する力」を重視するかどうかが、商船三井との違いと言えるでしょう。
商船三井の選考全体の特徴:「なぜ海運業界なのか」「なぜ商船三井なのか」を明確にしよう
商船三井の選考で大切なのは「なぜ海運業界なのか」「なぜ商船三井なのか」を明確にすること。募集人数が30名程度と少なく内定辞退者も一定数いることから、志望度の高さがチェックされます。実際に面接でも志望動機について深掘りされたケースも多いようです。
関係者との利害の対立をおさめる「コミュニケーション能力」も求められます。社内外の多くの人と関わる商船三井の仕事は、意見が衝突するシーンも少なくありません。相手の意見に耳を傾けつつも、上手に場をおさめる力が必要です。
また、事業規模が大きいこともあり、1つのミスが巨額の損失を生み出す可能性もゼロではありません。あらゆるプレッシャーにも負けず乗り越える「ストレス耐性」を示すのも大切です。
商船三井の本選考フロー
商船三井の選考フローは以下のように進みます。
・エントリーシート(以下:ES)
・Webテスト
・グループディスカッション
・1次面接
・2次面接
・最終面接
ここからは選考突破に必要なポイントをお伝えします。
エントリーシート(ES)の選考基準:「なぜ商船三井なのか」を志望動機で示そう
2020年卒の商船三井の本選考では、ESに以下の設問が課されました。
(1)卒論の内容(250字)
(2)学業以外で学生時代頑張ったこと(150字)
(3)資格・趣味・特技(150字)
(4)自分の長所と短所(200字)
(5)企業を選ぶポイント(100字)
(6)海運業界および商船三井の志望動機(300字)
(7)人生で最も困難だと感じた経験とその際の解決法(300字)
(8)商船三井が掲げる5つのバリューの中で共感するものとそれを表すエピソード(300字)
(9)商船三井以外で興味のある業界や企業(100字)
(10)任意の自由記述(30字)
※出典:商船三井|陸上総合職 2020年卒 本選考のエントリーシート
ESの位置付け:絞り込みの可能性あり! 入念な作り込みが大切
商船三井のESは絞り込みのために行われている可能性があります。実際に内定者の話によると「最低限の理解がないレベルで雑にESを提出した何人かの友人は落ちてしまっていた」と話していました。設問数が多く時間がかかることも想定し、入念に作り込みましょう。
設問(4)(7)の選考基準:周囲を巻き込み対立をおさめた経験を書こう
「強み」と「困難だと感じた経験」には、「周囲を巻き込んで解決した経験」を書くのをおすすめします。商船三井の仕事では社内外のさまざまな人を相手に、利害の対立をおさめなければならないケースも少なくないため、周囲の人と協力し意見の衝突を乗り越えた経験から、業務で活躍できるイメージを示しましょう。実際にある内定者は「サッカー部の主将としてマネジメントした経験を書いた」と話していました。
設問(5)(9)の選考基準:志望動機と一貫性のある「企業選びの軸」を答えよう
「企業を選ぶポイント」や「商船三井以外に興味のある業界や企業」は、抽象的な回答に留めるのが無難です。海運業にこだわりすぎると「本当なのか」と、疑われてしまう恐れも考えられます。とはいえ、志望動機と全く別の内容では信ぴょう性も失いかねません。「なぜ商船三井なのか」といった理由と一貫性を持たせた「企業選びの軸」を書くのが良いでしょう。ある内定者は「グローバルに働きたい」といった軸を設け、総合商社にも関心がある旨を示したそうです。
設問(6)の選考基準:「なぜ海運業界なのか」「なぜ商船三井なのか」を明確にしよう
志望動機は「なぜ海運業界なのか」「なぜ商船三井なのか」をはっきりと示すのが大切です。「選考全体のポイント」でも述べたとおり募集人数が少ないため、企業情報について入念に調べて志望度の高さを示し、説得力のある回答を心がけるのが大切です。以下のようなチャネルを活用しながら、企業理解を深めておくと良いでしょう。
企業情報を獲得するチャネル例
・採用ホームページ
・パンフレット
・インターン
・座談会
・OB訪問
設問(8)の選考基準:日本語訳で正しい解釈をしてから回答しよう
「商船三井の5つのバリュー」は日本語訳を確認したうえで、共感するポイントを示すのが重要です。英語では曖昧な解釈しかできず、的外れな回答をしてしまうかもしれません。
日本語訳を確認する際は「パンフレット」がおすすめです。内定者も「非常に丁寧に書かれていた」と話していました。パンフレットがない方は、企業ホームページ(※5)にも簡単にまとめられているのでチェックしてみてください。
(※5)参考:商船三井「会社案内パンフレット」
Webテストの選考基準:ボーダーは高い! 油断せず徹底的に対策しよう
商船三井のWebテストの形式は玉手箱。自宅で受験できます。出題される科目は「言語」「非言語」「英語」「性格」の4つです。ボーダーは決して低くありません。
内定者によると「言語と非言語は8割の出来」で通過できたが、友人の約半数が落ちていたそうです。事前に参考書を繰り返し解きながら、徹底的に対策するのをおすすめします。
グループディスカッションの選考基準:最大の鬼門! 協調性を示しながら柔軟に対応しよう
グループディスカッションは学生6名のグループにつき社員1名が担当します。テーマについて個人プレゼンテーションとグループワークを行うそうです。
過去には「とある街にショッピングセンターの隣に建てるべきものは何か」といったお題が出題されました。
内定者によると倍率は約6倍。選考最大の鬼門といっても過言ではありません。通過するポイントは「仲間全員と円滑なコミュニケーションをとり、柔軟に対応する」こと。
多くの関係者と関わる商船三井の仕事では、人を選ばず良好な関係を築く必要があります。話し合いでも、各メンバーに話をふりつつ協調性とコミュニケーション能力の高さを示すのが大切です。
ディスカッションを進めるために、自分の意見を曲げざるを得ないシーンもあるかもしれません。グループを円滑にまとめるためにも柔軟に対応し、中立の立場を意識しながら発言するようにしましょう。
1次面接の選考基準:基本的な質問が多い傾向! 入社意欲の示せる志望動機を回答しよう
1次面接は社員1名に対し、学生1名の個人面接。所要時間は20分程度です。過去には次のような設問がされました。
・自己紹介(1分)
・学生時代頑張ったこと
・どのような困難があったのか
・どのような思いで困難に立ち向かったか
・なぜ最後までやり遂げられたのか
・チームとどのように協力していたのか
・卒論のテーマは何か
・なぜそのテーマを選んだのか
・今後執筆を進めていく上での課題はどのようなものか
・なぜ海運業界なのか
・なぜ商船三井なのか
※出典:商船三井|陸上総合職 2020年卒 本選考の一次面接
1次面接は所要時間が短いこともあり「志望動機」や「学生時代に頑張ったこと」など、基本的な内容が質問されます。
志望動機は「選考全体のポイント」で述べたとおり「なぜ海運業界なのか」「なぜ商船三井なのか」を示すのが大切です。事前に企業情報をリサーチし、説得力のある回答を心がけましょう。
「学生時代に頑張ったこと」は「場をまとめあげる力」と「ストレス耐性」を示せるのがベストです。前述したとおり、商船三井の仕事では多くの関係者と関わります。利害の対立をおさえながら、場をまとめる力が必要です。
事業規模も大きく一人ひとりの責任も大きいため「ストレス耐性」をアピールするのもおすすめします。
2次面接の選考基準:圧迫感のある雰囲気に負けないように落ち着いて答えよう
2次面接は社員2名に対し学生1名の個人面接。四則演算の計算テストや履歴書の記入と同時に行われます。過去には次のような設問がされました。
・自己紹介(1分)
・なぜ海運業界なのか
・なぜ商船三井なのか
・ぶっちゃけどこが第一志望なのか
・インターンに来ていないのに本当に志望度は高いのか
・他のインターンは行ったのか
・印象の良かったインターンと悪かったインターンは何か
・なぜそのように感じたのか
・学生時代頑張ったこと
・この成果はあなたの頑張りによるものではないような気がするが、どのように思うのか
※出典:商船三井|陸上総合職 2020年卒 本選考の2次面接
2次面接は内定者によると、圧迫的な雰囲気で行われるそうです。巨額の資金を動かす海運業では関係者から厳しい態度をされるケースもあり、学生が実務で耐えられるかを判断されていると考えられます。
緊張感のある雰囲気に負けないように、落ち着いて回答しましょう。「志望動機」や「学生時代に頑張ったこと」などの対策ポイントは1次面接と変わりません。「入社意欲の高さ」「場所をまとめあげる力」「ストレス耐性」を示すのが大切です。
最終面接の選考基準:高い入社意欲を示そう
最終面接は社員3名に対し学生1名の個人面接。過去には次のような質問がされました。
・自己紹介(1分)
・なぜ海運業界なのか
・なぜ商船三井なのか
・学生時代頑張ったことは何か
・どのような困難があったのか
・どのように解決しようとしたのか
・その際の苦労などはあったか
・商船三井の座談会には来たか
・どのようなことが印象に残っているか、改善点はあるか
・今後の商船三井を発展させるにはどのようにするべきか
・本当に第一志望なのか
※出典:商船三井|陸上総合職 2020年卒 本選考の最終面接
最終面接といえど意思確認ではありません。内定者によると倍率は3倍~4倍で、厳しく深掘りがされるそうです。重視されるポイントは「志望度の高さ」。採用人数が30名程度と少数精鋭であることもあり、内定辞退をしないと信じてもらえるほどの「高い入社意欲」を示す必要があります。
ある内定者は「内定がでたら他社の選考はすべて辞退すると言い切った」とのことです。迷わずに入社する確固たる強い気持ちを示すことをおすすめします。
「志望動機」や「学生時代に頑張ったこと」などの対策ポイントは1次面接、2次面接と同じです。「入社意欲の高さ」「場所をまとめあげる力」「ストレス耐性」をアピールしましょう。
おわりに
ここまで、商船三井の本選考を突破するポイントをお届けしました。みなさんの選考対策のお役に立てたら幸いです。
商船三井の選考についてさらに詳しく知りたい方は、選考対策ページをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
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(Photo:Aun Photographer /Shutterstock.com)