※こちらは2021年9月に公開された記事の再掲です。
事業のアドバイザリーになるか、事業を成長させる当事者になるか──。
ファーストキャリアを考えるうえで、こういった視点で悩む方もいると思います。「将来は経営に関わる人材になりたい」と考えるならなおさら。どちらも有力な道ですが、得られるスキルや経験は全く違うためです。
「そんなの、両方やればいいんですよ」。
一見、二者択一の選択に見えるこの問題に対し、さらりと答えたのは、エッグフォワード株式会社の代表取締役である徳谷智史氏。
エッグフォワードは、ソニーや住友商事といった大企業や急成長スタートアップなどに「全社変革」をテーマにしたコンサルティングを展開する一方で、自社で次々と事業やサービスの開発もしているという、コンサルティングファームの中でも異色の存在です。
今回はエッグフォワード代表の徳谷氏と、大手コンサルティングファームや事業会社の経営幹部を経て、同社へジョインした田村学氏に、コンサルタントのあるべきキャリアパス、そして「戦略も事業も組織も、全部見る」というエッグフォワード流の企業支援について伺いました。
<目次>
●人生は有限。「限りある時間でどれだけ世の中を良くできるか」だけを考える
●経営視点を得たいなら、コンサルだけではダメ。事業の当事者として修羅場を経験すべきだ
●戦略も事業も組織も全部見る。全社変革に特化したコンサルが、今求められている
●新規事業が生まれなくなった大手企業。「30年後の未来」を作るため、エッグフォワードがメスを入れた
●経営的には非効率。それでもエッグフォワードが自社サービスを開発する理由とは?
●意志ある人には、機会を「無限に」提供する会社でありたい
●「大事なところで意思決定を委ねる人は、どこまでいっても他人のものさしで生きることになる」
人生は有限。「限りある時間でどれだけ世の中を良くできるか」だけを考える
──まずはお二人のこれまでのキャリアを教えてください。徳谷さんはエッグフォワードを設立する前、戦略系コンサルティングファームにいたと聞きました。
徳谷:そうですね。私は新卒で戦略コンサルティングファームに入ったのですが、何が何でもコンサルに行きたかったというよりは、世の中や社会を変えるための一つの手段として捉えていました。
学生時代、アフリカや中南米などを転々としていたのですが、そこで経済的に厳しく、将来の可能性を広げにくい人がどれほど多いかを目の当たりにしました。一方で、日本は経済的にはある程度恵まれているにもかかわらず、社会に出て活気がなくなってしまう人、まるで死んだ魚のような目をしている人も少なくない。
その頃、大切な身内を亡くし「人生は有限だ」と強く思うようになったことが、一つの転機となりました。「限りある時間でどれだけの価値を出し、世の中を良くしていけるか」。そのためには、影響力のある会社が変わるべきだと。これがコンサルティングファームを選んだ理由であり、今もその想いは変わっていません。
徳谷 智史(とくや さとし):エッグフォワード株式会社 代表取締役社長
京都大学 経済学部卒業。大手戦略コンサルティングファームでアジアオフィス代表を務めた後、人の可能性を最大化し、「人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る」べく、エッグフォワードを設立。総合商社・戦略コンサル・IT系などの大手企業から、先進スタートアップ各社まで、業界トップ数百社に対し、企業変革のコンサルティング・トレーニングを幅広く手掛ける。あわせて、人と世界を前向きに変えていく自社事業を複数立ち上げ、展開。キャリアの専門家として2万人を超えるビジネスパーソンの意思決定・成長支援を実施。東洋経済オンライン連載。著書『いま、決める力』(日本実業出版社、2013)など。(所属部署はインタビュー当時のものです)
──徳谷さんがエッグフォワードを設立した背景を教えてください。
徳谷:戦略コンサルティングファームでは、国内外100社以上の企業変革に関わり、担当クライアントは金融、総合商社、食品、製造、小売、外食、学校、病院、省庁など多岐にわたりました。海外オフィスの立ち上げも行い、アジア統括に就任して、現地における企業戦略策定・実行支援を行いました。
ただ、働くうちに「人の可能性を最大化し、世の中を変えていきたい」という私のビジョンは、既存の戦略コンサルでは、現実的にはなかなか実現できないと感じるようになりました。
──どうしてですか? 話を聞く限り、スケールの大きな仕事に携わっている印象を受けたのですが。
徳谷:一般に、コンサルティングの仕事は、チャレンジングで面白さはありますが、現実的には、担当企業の役員に報告書を提出したら終わってしまうことも少なくない。どのファームも「実行支援」とは掲げるものの、実行には「机上の戦略」だけでなく、コンサルタントとは専門性の異なる「組織」や「人」のテーマも必要で、実行の全てに携わることは構造的に難しいのです。コンサルフィービジネスである以上、予算のあるクライアントテーマにしか関与できない矛盾もありました。
私自身も、戦略コンサル在籍中にさまざまな業種の仕事に携わったものの、実際に企業が変わる瞬間に携われたのは、案件全体の数%程度でしょうか。
もちろん、戦略コンサルも素晴らしい価値を提供しているのですが、人の入れ替わりも激しく、正直なところ、「自分自身」でなくても、誰かに変わりの利く仕事だとも感じました。これだけを続けていても、世の中は変わらない。もっと、自分たちにしか作り出せない価値を生み出し、人の可能性を実現し合う世界を作りたい。その志からエッグフォワードを設立しました。
経営視点を得たいなら、コンサルだけではダメ。事業の当事者として修羅場を経験すべきだ
──田村さんも、戦略コンサルティングファームに在籍されていたんですよね。
田村:私は大学を出て4年間銀行に勤めたあと、転職してアクセンチュア(旧アンダーセンコンサルティング)の戦略グループに入り、コンサルタントとして13年間キャリアを積みました。
アクセンチュアを離れてからは、外資系小売業者に転職し、3年ほど勤務した後に、またアクセンチュアに戻り、直近はマネジメントディレクター(経営層)の役割を担っていました。そして、エッグフォワードが掲げる「いまだない価値を創り出し、人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る」というミッションに触れて共感し、入社したというわけです。
田村 学(たむら まなぶ):エッグフォワード株式会社 ディレクター 企業変革支援事業統括執行役員
東京大学 工学部卒業後、都市銀行勤務を経て、アクセンチュアに入社。戦略コンサルティング本部において企業の事業戦略立案、ミッション・ビジョンの策定、組織変革支援などの多様な経営テーマのコンサルティングに携わる。マネージングディレクターとしてコンサルティング組織の運営自体にも関与。その後、エッグフォワードに参画。人と組織の変革によりフォーカスした各種プロジェクト支援を実施。都合20年にわたり、企業のトランスフォーメーションの伴走支援に従事。(所属部署はインタビュー当時のものです)
──コンサルと事業会社の両方を経験した田村さんですが、エッグフォワードのどんなところが魅力だったのでしょうか。
田村:アクセンチュアでは、学歴やカルチャーが同じようなメンバーが多い中で仕事をしていました。企業を支援するためにさまざまな仕組みを作るのが主なミッションで、メンバーも同じようなスキルを持ち自律して動けるので、どちらかというとマネジメント能力が問われます。
しかし、転職した外資系小売業者では全く違いました。流通の現場や店舗のメンバーには、パートの人など多様な立場の人がいるので、戦略だけでは通用しません。チームを鼓舞し、コンディションを高めていくリーダーシップも必要だと痛感しました。つまり、戦略を考える「コンサル的要素」に加えて、事業を動かす「事業当事者」としての力が両方必要だと。
その点、エッグフォワードはコンサルティングをしながら自社で事業も作っている。これまで培ってきた両方の力を生かせる環境があるので、自身もより成長できると考えたのです。そして、その力を、改めて社会課題に向け、世の中を前向きに変えていきたいという想いで入社しました。
──なるほど。「事業のアドバイザリーになるか、担い手になるか」という観点で、コンサルティングファームと事業会社で迷う学生も少なくありません。田村さんは両方を取れる道を選んだと。
徳谷:私自身、さまざまな方から「コンサルと事業会社、どちらに行くべきか?」という相談をよく受けるんですが、別に両方やればいいじゃないか、と思うんです。
「将来的に起業したり、経営に関わったりしたいからコンサルを」という人もいますが、正直なところ、コンサルの経験は必ずしも起業に役に立ちません。コンサルに行っても、特に領域が細分化した案件では経営者の視点は身につかない。
経営層と対峙(たいじ)する仕事を経験できることは意義がありますが、結局コンサルは第三者なので、どこかのタイミングで自らゼロイチで事業を創る経験が必要になるわけです。経営する力を身につけるためには、事業を横から見てアドバイスするだけでなく、事業の当事者として修羅場を経験することは不可欠だと思っています。
──コンサルティングの経験だけでは、キャリアとして不利になる場面もあるということなのでしょうか?
田村:特に大手ファームでは事業の効率性を求めて採用数も増やしていますし、業務内容が細分化しています。これは組織として効率的に運営する意味では合理的なことです。ただ、業務内容が細分化しているということは、個人が身につけられるスキルも細分化されてしまうということであり、若いうちは、経営の全体像が見えにくい環境でキャリアを積むことになりやすい。
徳谷:そうですね。コンサルティングファームに限ったことではないですが、手順通りのことはできても、全体の設計を指揮するなどの経験がない人材は、中長期的に世の中から必要とされるような市場価値を得ることが難しくなっているのは事実です。代替性がないユニークな力を身に付けないと、30〜40代になって市場価値の差は大きくなるでしょう。
田村:私もそう思います。逆に経営視点を持っていれば、経営者から直接相談を受けたり、会社全体のビジョンやミッションの策定を依頼されたりするなど、仮に転職をするとしても引く手あまたです。
考え方は人それぞれかもしれませんが、コンサルタントを志す方なら、経営者の視点に立って本当に企業を変えていきたいと思っている人が少なくないはず。エッグフォワードの場合、企業のミッション・ビジョン策定から、組織や事業など全体の変革をサポートするため、全ての案件で経営陣と関わることができるのは特徴的だと感じます。
戦略も事業も組織も全部見る。全社変革に特化したコンサルが、今求められている
──経営陣と関わるケースがほとんどだというお話ですが、エッグフォワードのコンサルティングは他社と何が違うのでしょうか?
徳谷:田村さんがお話ししたように、企業「全体」の変革をやっているという点ですね。ビジョンやミッションの策定、というと組織や人事のコンサルと思われる方もいると思いますが、そうではありません。全社変革に特化したコンサルというイメージが近いですね。
だから、戦略も事業も組織も全部見ます。上流から下流まで全てです。戦略策定から組織の体制作り、人材育成までを一貫して実行できる会社はそうそうない。大手戦略コンサルティングファームのコンサルティングから人材育成まで、その全てをエッグフォワードが手掛けているということが、その証拠かもしれません。
──コンサルファームのコンサルや育成もされるのですね。それは驚きました。
田村:自身の経験を踏まえて言うと、エッグフォワードでは、ITシステムや業務プロセスという「ハード面」というより、会社の存在意義や目指す姿、そのための事業戦略、リーダーシップ、カルチャーの浸透など、経営・組織・人を中心とした「ソフト面」にフォーカスして変革を支援できる。この点が大手ファームとの大きな違いでしょうね。だから、一つの案件で長くクライアントと関わることになります。
一般に、コンサルティングファームでは数カ月単位での支援が多いですが、エッグフォワードの場合は、数年来のご支援になるケースが非常に多いですね。
──なるほど。目先の改善ではなく、企業のビジョンやミッションといったそもそもの存在意義からも考えると。そのような案件は、引き合いが多いものなのですか?
徳谷:コロナ禍において、企業の存在意義やその実現に向けて真正面から向き合うようなご相談は特に増えています。経営陣も「売り上げを伸ばす」「コストを下げる」といった短期的な目的よりも、「これから自分たちは何のために、どこを目指すのか」という中長期的な議論に立ち返ることが増えて、ビジョンやミッションの重要性が以前よりもさらに増しているように感じます。会社の原点を作り直すようなプロジェクトは、大企業でも増えています。
しかし、そのようなプロジェクトには、ビジョンやミッションだけでなく、事業も組織も関連します。そこまで巻き込むような変革を、当事者であるクライアントだけの力で進めるのは容易ではありません。
田村:デジタルが普及し、変化が激しい時代だからこそ、自分たちの存在意義を問い直すことが重要です。事業の成長はもちろんですが、加えて、それに沿った組織の構築や、また従業員の考え方を変えたり、彼らのスキルを伸ばしたりすることが、企業の成長につながると考えています。
新規事業が生まれなくなった大手企業。「30年後の未来」を作るため、エッグフォワードがメスを入れた
──実際にエッグフォワードが手掛けた、企業変革支援の事例を教えてください。
徳谷:誰もが知っている日本を代表する大手電機メーカーの事例などは分かりやすいかもしれません。これは目先の改善が目的ではなく、20〜30代の将来の経営幹部候補を集めた、30年後の会社の未来を作る社長直轄のプロジェクトでした。
かつては、先進的なプロダクトや事業がどんどん生まれていた同社でしたが、組織が大規模化したことで、新規事業が生まれにくくなった。戦略の行き詰まりもありましたし、大企業病とも言いますが、やれない理由ばかりが先に来て、新規事業へ挑戦する雰囲気になりにくかったという課題もありました。
──同じような問題で苦しむ大手企業は多そうですね。
徳谷:そこでわれわれは、目指す姿を経営陣とともに再定義し、新規事業創出のために必要な要素を設計し直しました。その意義を社長に語ってもらうことはもちろん、そのスタンスをどう社内に浸透させるか、新規事業を生み出しやすい組織構造とはどういうものか、さらには従業員のモチベーションをどう上げていくか、そのキーマンをどう育成するか、という点まで広く変革支援に携わりました。そして2年以上にわたる取り組みを経て、結果としてカルチャーは大きく変わり、新規事業数が大幅に増えたのです。
まだ変化の途中ではありますが、このプロジェクトに関わった人たちも大きく成長し、その後、実際に徐々に経営にも関与しています。
──なるほど。戦略から組織まで見るというのはそういうことなのですね。結果として、事業や会社の成長につながっていくと。
徳谷:はい、加えてエッグフォワードは、大企業だけでなくスタートアップの支援も非常に多い。ソーシャル経済メディア「NewsPicks」などを提供するユーザベースさんなども黎(れい)明期から長く携わってきました。少し変わったところでは、ベンチャー企業への出資も行っています。そのような支援をしているコンサルティングファームは珍しいでしょう。
──それは驚きました。エッグフォワードは、「コンサルティング」だけではなく、「出資(資金提供)」も行うのですね?
徳谷:はい、従来型のコンサルティングでは、期間限定のプロジェクト型支援なので、経営と本当に同じ目線で会社を変革するという関係になりにくかった。
だからこそ、われわれは資金が必要なスタートアップに出資を行い、株主としても経営に参画しています。経営陣と実際に同じ目線で、起業変革や成長支援を行っています。これをエッグフォワードファンド、通称「Golden Egg」と呼んでいますが、資本とコンサルの両面で支援する、エッグフォワード独自の全く新しいスキームと言っていいかと思います。
経営視点では、会社の血液とも言われる資金を扱う意味もありますし、また、金融や投資銀行に興味のある方などには、投資先企業を一緒に経営視点で成長させていくという意味でも、興味深い取り組みではないかと思います。
経営的には非効率。それでもエッグフォワードが自社サービスを開発する理由とは?
──エッグフォワードは、ここまでお話しされたコンサルティング事業に加え、近年、自社事業を次々と展開していますよね。それはなぜですか?
徳谷:シンプルにミッションの実現のためです。「人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る」ためには、より多くの人たちに影響を与える必要がある。私たちは企業支援で得たノウハウをサービスやプラットフォームとして展開しています。
例えば、経営の意思決定を支援する企業向けSaaSの「Aim」は、企業向けのコンサルティング支援で培った成功法則を生かして、従業員がエンゲージメント高く生き生きと働けるように、事業の成長に必要な指標を自動で測定し、経営者が意思決定できる全く新しいプロダクトです。これはエッグフォワードが多くのトップ企業にコンサルティングを手掛けてきたからこそできるものです。
──ノウハウをサービスにすることで、ビジネスとしてスケールしやすくなりそうですね。
徳谷:同時にわれわれは、数多くの人たちの人材開発や、変化の支援も手掛けてきました。だからこそ、人と人との出会いを最適化する「バーチャルランチクラブ」や、個人のキャリアの選択をもっと最適化したいという想いで、転職エージェントの食べログとでもいうべき、「みんなのエージェント」も開発するなど、人が変わるきっかけや仕組みに関する事業開発を加速させています。
こうして企業支援から自社サービスが生まれることもありますし、自社の事業を運営する中でコンサルティングのヒントを得られるなど、相乗効果もあります。ただ、これは企業経営の形としては非効率なんですよね。
──どういうことですか?
徳谷:収益を優先するなら、コンサルだけをやっていればいいわけです。しかし、一社一社のコンサルティングだけでは、世の中全体に与えるインパクトとしては小さい。
エッグフォワードは、ミッションの実現に向けて、企業にも個人にもターニングポイントとなる起点を創り続ける会社でありたい。私たちは「コンサル屋」じゃないんですよ。世の中の人、もっといえば世界のターニングポイントを創っているんだと。実際に、手を挙げた若手が新規事業の立ち上げに関わっている例も多いですし、良いサービスは世の中にどんどん広がってほしいですね。
※エッグフォワードの事業展開図
──コンサルティングも自社事業も「世の中を変える」という目的でつながっていると。
田村:そうですね。コンサルティングというのは、あくまでミッションを達成する手段の一つです。そういう背景もあって、エッグフォワードには、「いまだない価値で人の可能性を広げる」、「世の中を前向きに変えていく」というミッションやビジョンの方向性に共感した人が集まっています。
他社だと「どれだけ自分が成長できるか」など、自分本位の視点で会社を選ぶ人も少なくありませんが、エッグフォワードにはそれがない。もちろん成長も大切ですが、自分の成長だけではなく、ベクトルが外に向いている。これが転職して一番驚いたことかもしれません。
意志ある人には、機会を「無限に」提供する会社でありたい
──エッグフォワードに入社した若手はどのようなキャリアを歩むことになるのでしょう。コンサルティングと自社事業、どちらに配属となるのですか?
徳谷:エッグフォワードでは「手を挙げる限りは機会を提供する」というポリシーを大切にしていまして、コンサルティングか自社事業のどちらを選ぶかは、本人の希望を第一に考えます。とはいえ、3年程度で一人前になってもらうことを会社としても目標にしているので、コンサルティングと事業の両方に携わってもらうことを念頭に置いています。
──入社した若手はプロジェクトにどうやって関わるのでしょうか?
徳谷:コンサルティングと自社事業のどちらかに主軸を置きながら、どちらにも関わっていくことができます。テーマの異なる複数のプロジェクトを掛け持つことが一般的で、案件にもよりますが、クライアントや経営層に対峙する機会も多いと思います。
入社1年目からさまざまな業務に携わってもらうため、他社であれば早くても5年以上かかるところ、3年で一人前になってもらうことを目指しています。業務を細分化しすぎないことで、コンサルタントとして早く一人前になれるような人材育成を行うんですね。実際に、20代半ばで事業責任者を務めている人材もいるなど、年齢は本当に関係ないです。
また、エッグフォワードのメンバーは、コンサルファーム出身者、元事業責任者、元起業家、プロコーチなど多岐にわたります。このような多様な人材と一緒に働けることも、ユニークなポイントの一つだと思います。
田村:一般に、戦略コンサルティングファームにはモチベーションが高く、やる気のある若手が多いと思います。ただ、先ほどもお話ししたように、大手のファームではコンサルティング業務の細分化が進んでいます。そのため、早く一人前になりたいと考える人が多い一方で、特定の業務に精通できても、案件全体を俯瞰(ふかん)してチームをまとめるリーダーになるには時間がかかります。優秀な若手でも最低5~7年くらいはかかるのではないでしょうか。
機会提供の幅と深さもあると思いますが、実際、エッグフォワードに来て、若手の成長の早さに驚きました。当たり前に事業やプロジェクトをマネジメントしている人材がまだそんなに若いのかと。経営メンバーに20代がいるのも驚きます。
──逆に、エッグフォワードをファーストキャリアとして選択する場合に気をつけるべき点などはあるのでしょうか?
田村:率直に言えば、やはり強い意志が求められます。設計された、整えられた環境を求める方には必ずしも合わないと思います。大手の組織のように、最初はこれをやって、何年で異動して、というように、仕事内容やキャリアパスが良くも悪くもガチガチに決まっているわけではありません。
だからこそ、エッグフォワードのミッションと重ねながら、新卒・若手であったとしても、自分はどうありたいのか、どんな機会に関与したいのか、どんな価値を出し切るのか、といった意志が強く求められると思います。
徳谷:その通りですね。意志のある人には、機会を無限に提供する会社でありたいなと。
「大事なところで意思決定を委ねる人は、どこまでいっても他人のものさしで生きることになる」
──ありがとうございました。最後にコロナ禍で就活に挑む学生へ、応援のメッセージやアドバイスをお願いします。
田村:これから社会に出る学生の皆さんは、先輩たちの成功体験など、自分がもともと描いていたキャリアのイメージをお持ちかもしれません。しかし、社会に出ると、先輩と自分は違うことに気付きますし、そもそも中に入ってみると、外から見えていたキャリアイメージと実際は全然違う、という経験もすると思います。
ですから、先輩に憧れるだけではなく、5年後、10年後に自分が何をしたいのかを自問自答して、良い選択をしてもらいたいと思っています。自分の中に「ものさし」を持ってほしいです。
徳谷:私も、自分の意志で企業選びを行うことが大事だと思います。企業の人気ランキングや他人の評価は、参考にしてもいいのですが、振り回されてはいけません。人によって判断の材料は違いますから、あくまでも自分の意志で決断する。大事なところで意思決定を人に委ねてしまう人は、どこまでいっても他人のものさしで、自分の人生を生きていくことになる。
あとは、特定の会社に入ることを目的とする「就社」という概念には、もう意味がなくなる時代です。大事なのは看板ではなく、その会社で、何のために、誰と何を行うのか? どんな機会を掴(つか)むのか? が大切になってきます。
とはいえ、自分の将来像がまだ曖昧な人も多いと思います。その場合には、ぼんやりとでもいいので、「本当は自分はどんなことを大事にしたいのか」「どんな人と一緒に働き、どんなことを実現したいのか」を考えてみてください。その際、とりあえず稼ぎたいとか、人から評価されたいとかだけでなく、ぜひ、自身の将来やこんな社会にしていきたい、そういった「志」を大切にしてほしいなと思います。
われわれエッグフォワード自体も、いまだない価値を創り出し、人の本来持つ可能性を実現し合う世界を創るべくチャレンジの途上です。先の見えない時代だからこそ、恐れずに挑戦してほしいですね。
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【ライター:森英信/撮影:保田敬介】
(Photo:natrot/Shutterstock.com)