※本記事は、外資系金融キャリア研究所の記事を転載・一部加筆したものです。
世間はクリスマス。
いつもは外資系金融のキャリアについて書いている私だが、今日は世のトレンドに合わせ、彼らの恋愛や結婚事情をテーマに記事をお届けしようと思う。
もちろん、モテるモテないで企業を選ぶのは本質から外れているのは百も承知だが、それでもこの記事が誰かの役に立てば幸いだ。「クリスマスの日くらい、就活も恋愛も忘れたい」という方は、そっとページを閉じてほしい。
<目次>
●外資系金融に対する誤解──28歳で年収1400万円は「少なすぎる」
●外資系金融勤務の男性は、結婚相談所でどの程度モテるのか?
●「自分よりも年収が高い男性がいい」という医者や弁護士に人気
●モデルやアナウンサーは超レアケース。CAの人には会いやすい
●「バリキャリ女性」がハイスペ婚活のメインストリーム
●結婚相談所の世界における、外資系金融のライバルは?
●「モテたい」と切に願う、外資系金融志望者たちがやるべきこと
外資系金融というと、外銀、外資系運用会社、PEファンド、ヘッジファンドなどを含めても、従業員の総数は2万人にも満たないような小さな業界だ。
しかも、基本的に東京にしかオフィスがないため、東京以外の地域では見られないマイナーな存在といえる。
それにも関わらず、年収や入社難易度が突出して高いからなのか、注目度や関心度は想像以上に高い。就活や転職とは関係がないような人たちから、「外資系金融だとアナウンサーと付き合えるの?」といったような質問をされることがある。
そもそも、外資系金融に勤めている人たちについては、情報が少ないためか、誤った情報も多い。メジャーな女性雑誌系のメディアでも、想像で書いたであろう、以下のような誤ったペルソナが描かれていることもある。
<誤った外資系金融マンの情報例>
・28歳、六本木ヒルズの外資系証券会社に勤務するトレーダー
・年収約1400万円(基本給80万円、役職手当10万円、定期賞与(2回計)320万円)
業界内の人間からすると、「よくもこれだけ適当なことを想像で書いたものだなあ」と感心するのだが、モテるかモテないか、という本題に入る前に、まずはこの「誤解」を解いておこう。
六本木ヒルズにある外資系証券会社は2社。「ゴールドマン・サックス」と「バークレイズ」である。「インベスコ」という運用会社も入居しているが、証券会社ではないので対象外だろう。ここまではまあいい。
外資系金融に対する誤解──28歳で年収1400万円は「少なすぎる」
問題は給与の話だ。こちらはめちゃくちゃである。
外資系証券会社、少なくとも、ここで対象となり得る2社については「役職手当」という概念がない。そして、定期賞与の「2回計」というのも誤りで、賞与は年1回だ。
そして「年収1400万円!」と「!」まで付けて、驚くほど高給だろうということを言いたいのだろうが、実際はこんなに少なくない。
28歳のトレーダーであれば、基本給だけで1,500万円はあるだろう。賞与はリーマンショック以降は大幅に減ってしまったものの、基本給と同水準くらいは期待できるだろうから、1000万円以上はあるはず。よって、年収3000万円程度はもらっていると考えるべきだ。28歳で年収1400万円というと、日系の総合商社勤めの人とそれほど変わらない計算になる。
さて、外資系金融に関する正しい年収水準が分かったところで本題だ。果たして、彼らのような「スペック」だと、実際はどの程度モテるのだろうか。
港区でハイスペ男女を対象とした結婚相談所を営んでいる経営者5人にヒアリングをしてみた。なお、今回の話はほぼ男性向けの話になってしまうがご容赦願いたい。
外資系金融勤務の男性は、結婚相談所でどの程度モテるのか?
外資系金融が結婚相談所でどの程度モテるのかといっても、もちろん、その人の年齢や役職、年収、容姿、その他の特徴によって異なる。
極端な話をすれば、年収1500万円の20代アナリストと年収1億円の40代MD(マネージングディレクター)とでは、状況が大きく異なる。当たり前の話だ。
ヒアリングしているのが結婚相談所ということで、今回は年齢は35〜49歳、役職はVP(ヴァイスプレジデント)以上(VP、Director、MD)。年収はとりあえず5000万円以上と想定することとした。容姿その他については平均的であり、それによる影響はあまりないことにしておく。
結論から言ってしまえば、当然のことながらモテる。ハイスペ向けの結婚相談所ということで、年収が最重要のファクターであるのも大きな理由だ。
とはいえ、一言に「モテる」といってもいろいろある。実際にどういった女性たちと会える(人気が出る)のかについて、カテゴリー別に整理してみた。
「自分よりも年収が高い男性がいい」という医者や弁護士に人気
まず、外資系金融に対するニーズが強い女性ということで挙げられるのは、医者と弁護士なのだという。
医者の場合には、勤務医で年収1500万円、開業医だと年収3000万円くらいはある。相手がサラリーマンだと、商社や大手金融でも年収1000万円台なので、彼女たちからすると物足りないのかもしれない。故に、外資系金融に対する需要があるというのだ。
もちろん、「自分が稼げるので相手の年収は気にしない」というタイプの医者も少なくないが、確かに、外資系金融の男性が医者と結婚したというのは、ちょくちょく聞く話ではある。
一方の弁護士は、いわゆる「町弁」ではなく、大手渉外法律事務所勤務の弁護士だろう。もちろん、結婚相談所に登録している人数という点では、医者の方が多いようだ。
もっとも、彼女たちは年齢が近い人を好む傾向にあるようで、10歳以上年下を求めるのは難しく、せいぜい7~8歳くらい年下というのが目安のようだ。
従って、外資系金融の男性がアラフォーであれば、30代前半くらいが限界ということになり、20代にこだわるような人には難しいだろう。また、医者も弁護士も一人前になるまでに時間がかかるため、20代で婚活市場に出てくる人は少ないというのもあるようだ。
モデルやアナウンサーは超レアケース。CAの人には会いやすい
モデルと外資系金融というと、いかにもありそうな組み合わせだが、意外にも、結婚相談所の世界では、モデルの人はあまりいないそうだ。
もちろん、たまたまモデルの人がたくさん登録しているという結婚相談所もあり、そういった場合にはマッチングは可能なようだが、常時何人にも会えるということはない。
また、女性アナウンサーの方を紹介してもらえることもあるそうだが、そもそも人数が少ないので難しい。キー局の人などはまずいない。
他方、外資系金融マンが会いやすいのはCA(キャビンアテンダント)だという。ここまで紹介してきた他の職種と比べれば、人数は多いものの、経営者の話によるとCAには、さまざまなヒエラルキーがあるそうだ。
国内系大手(要するにJAL、ANA)とLCC、国内系と外資系、ファーストクラス担当だとか、プロモーションに関わる仕事をさせてもらったとか。外の世界から見ると分からないかもしれないが、内情は複雑なようだ。
CAというと、外資系金融に勤める人間ではなくとも、別の業種の人たちとの出会いもありそうだが、結婚相談所に来る30代以上のCAの中には、高年収(年収3000万円以上)を狙う人たちが少なくない。
ある結婚相談所の経営者はこう語る。
「彼女たちの場合、富裕層と結婚したような同僚もいるため、高収入志向の人もいるのだと思います。高収入の人たちのことをよく知っているので、話は合いやすいのではないでしょうか」
シフトがあり、カレンダー通りの休日ではないケースもあるなど、難しいポイントもあるとのことだが、比較的成就しやすいという。
「バリキャリ女性」がハイスペ婚活のメインストリーム
銀座や港区にあるハイスペ型結婚相談所に多いのは、いわゆる「バリキャリ女性」のカテゴリーだという。
大学は東大、国立大学理系院卒、早慶上智ICU、海外の有名大学などを卒業。金融、コンサル、マスコミ、大手消費財メーカー、外資系企業などで働いていて、年収は年齢にもよるが800万円~1000万円台はあるらしい。30代後半になると、有名大学の准教授というケースもあるようだ。
外資系金融で年収が5000万円くらいあれば、こういった人たちを紹介してもらえるという。確かに外資系金融で働く人は彼女らとの接点はあまりない。その点で、結婚相談所という場はうまく機能するかもしれないと思った。
とはいえ、こういったもろもろの条件を超えて、とにかく「お金重視」という女性も一定数存在すると複数の結婚相談所の経営者が言っていた。年齢は25歳くらいが多いらしい。40代どころか、50代、60代ともお見合いが成立するという。
MDくらいの給料があれば、紹介してもらうのも楽なようだが、本当に結婚するとなると話が少し変わってくる。彼女たちは結婚後に、ネイルサロンやヨガ教室、バレエ教室など自分の好きなことをやりたいのだという。
だとすれば、下手をすると年収数億円くらいではとても足りない。実際、お見合いが成立している60代男性たちは、100億円クラスの資産を持っている(非ネット系で起業し、株式を売却した「イグジット組」である模様)ということなので、外銀MDでも無理だろう。東京には、本当にいろいろな世界があるものだ。
結婚相談所の世界における、外資系金融のライバルは?
合コン、出会い系アプリ、ギャラ飲み、食事会。出会いにはさまざまな方法があるけれど、ハイスペ結婚相談所での出会いにおいては、外資系金融のライバルになるのは、医師や経営者なのだという。その人気順は、大まかに以下のようになる。
「医師≧外資系金融>経営者」
理由は単純で、キャッシュフローの安定性なのだという。結婚相談所はわりとコンサバな世界なので、収入が同程度であれば、医師免許がモノをいうらしい。
もっとも、年収が5000万円を超えてくると、該当者は少なくなるので、医師と比べて外資系金融が不利となるケースは特にないようだ。
他方、ビジネスの世界と比べて、評価が低めなのは会社経営者だそうだ。理由は明白で「リスクが高そう」というだけ。結婚というテーマがテーマであるだけに、これはある程度やむを得ない話なのかもしれない。
こういう話をすると「外コンとか外資系IT(GAFA)とかはどうなんだ?」と思う人もいるかもしれないが、結論から言うと、外資系企業であれば業種は関係なく、単に年収だけの問題だそうだ。
年収5000万円の実現性は外銀の方が外コンよりも高い。ということは、マッキンゼーとゴールドマン・サックスの両方から内定をもらったら、モテ度の観点からは、ゴールドマン・サックスを選んだ方が正解……なのかもしれない。
また、単に年収がポイントということなので、別に外資系企業でなくとも、国内系企業でも年収5000万円ならば構わない。だから、歩合セールスで死ぬほど頑張って、営業成績で年収を上げるという方法もある。
「モテたい」と切に願う、外資系金融志望者たちがやるべきこと
以上のように、結婚相談所というフィールドならば、外資系金融に行って、VPまで行けばモテることは間違いなさそうだ。
「とにかくモテたい!」と考えているならば、特に外銀は有力な選択肢になるだろう。仮に全落ちしても、前の記事でもお話ししたように、国内系証券会社の専門職コースに進めばいい。国内系のフロント部門で頑張れば、中途採用で外銀に行けるチャンスは来る。諦めるにはまだ早い。
めぼしい金融機関から内定もらえず、他業界に就職してしまったとか、就職してから外資系金融という世界を知った、という場合とかも諦めるには早すぎる。海外有名大学に私費留学をして、そこで逆転するという手も残されている。米国のトップ校が難しくても、アジアの有力校のMBAという手もある。
そして、それでもダメだったけど、どうしてもモテたいというなら、起業してイグジット組を目指すのもアリだ。何年かかっても構わない。たとえ60歳になってしまっても、25歳の美人と出会えるのだ。資産が100億円あれば……。
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(Photo:anek.soowannaphoom , l i g h t p o e t , Yulia Grigoryeva , SFIO CRACHO, Nicola Forenza , Tiko Aramyan/Shutterstock.com)