「外資系企業って魅力的だけど、英語ペラペラじゃないと入れなそう……」
こう思っている学生も多いのではないでしょうか?今回は外資系企業で求められる英語力を、入社後、入社前(選考)に分けてご紹介します。
実は英語を話していない外資系企業
外資系企業といえば、社外社内問わず常に英語で仕事をしているイメージがある方もいると思いますが、実は英語をバリバリ話す場面は限られます。英語をを話す場面は主に以下の2つです。
・プロジェクトメンバーに外国人がいる場合
・大人数の会議に参加する場合
プロジェクトメンバーに外国人がいる場合は、クロスボーダー案件(国をまたいだ案件)のケースがほとんどです。国内案件の場合も、上司が外国人などの事情により英語を使うケースが一部見られます。とある外資系コンサルティングファームの社員によると、「100%日本語の案件が5割、日本語と英語をミックスで使う案件が3割、100%英語の案件が2割」だそうです。
大人数の会議に参加する場合は、参加者に外国人が混じるケースが大半であるため、使用言語は英語となります。コンサルティングファームのジュニアコンサルタントの場合、1か月に1回ほどこの手の会議に参加するそうです。
多くの場合、普段の業務ではメールでのやりとりを英語でできれば問題ないそうです。業務上英文のメールを扱うことはあるものの、国内案件のプロジェクトの場合、資料や会議を日本語で済ませることが多いからです。
もちろん、求められる英語力は業界や職種により大きく異なります。例えば、同じ外資系銀行でも、社内の大半が日本人である投資銀行部門では英語をほとんど使わないのに対し、非日本人社員の割合が高いマーケット部門では職場で英語が飛び交うそうです。
※参考:英語のいらない外資?外銀IBD部門の実態
※参考:実力主義、高収入、グローバル!三拍子そろった外銀マーケット部門の内実とは?
とはいえ英語は話せた方がよい
では、外資系企業に勤める場合英語力は不要なのでしょうか。答えは「否」です。外資系企業で英語を話せるメリットは大きく分けて2つあります。
・アサインメントの幅が広がる
・キャリアアップに影響する
アサインメントの幅が広がる
ビジネスレベルの英語力を有する社員は国内案件だけでなく、クロスボーダー案件を担当するチャンスに恵まれます。他のグローバル拠点と協力するクロスボーダー案件は、多くの社員が担当希望を出すため倍率が高くなりますが、高い英語力を有する社員は有利になります。
キャリアアップに影響する
多くの外資系企業では、マネージャーレベル以上に昇格するために上級レベルのビジネス英語が必須とする外資系企業が増えてきています。これは、経営に関わるレベルになるに連れ、アジア統括の部署や本社との直接的なやり取りが増えるためです。英語力が不十分な場合、昇進が頭打ちになってしまうでしょう。
義務教育レベルの英語で大丈夫:選考で求められる英語力
選考の段階で英語力が試される外資系企業。しかし、過度な心配は不要です。なぜなら、英語選考で見極められるのは額面的な英語力の高さではなく「分かりやすく伝えられるかどうか」だからです。
以下、英語ES、英語面接を突破するためのコツをご紹介します。
英語力を披露してはいけない英語ES
英語ESで重要なのは、「難しい英語力を使う=自分の英語力を披露する」ことではなく、「文章構造を明確にして分かりやすくする」ことです。英語ESと聞くと、ついつい難解な表現や単語を使って英語力をアピールしようとしがちですが、言いたいことが伝わらなければむしろ評価は下がります。
英語ESでは以下の3点に留意して、分かりやすい文章を書くことを心掛けましょう。
1. 成果を無理矢理にでも数値で明示する
2. 結論→背景事情→結論のサンドイッチ構造にする
3. エピソードには人と一緒に活動した経験を選ぶ
以上の3点を踏まえた英語ESの一例をご紹介します。
[設問]
あなたの自己PRを〈英語で〉お書きください。(半角英数字600文字以内)
※出典:17卒モルガン・スタンレー証券本選考
[回答例]
I have 2 strengths, 1) activeness and 2) commitment.(全体構造を説明する)
For 1), I was selected to the first student in 3 intensive courses, while usual students hardly achieve one course. (結論1)
3 intensive courses included; 1-1) The speech of French that I won the internal competition, 1-2) English literature, becoming 1st positioned student, and 1-3) Mathematics that I led the conference as a representative. The biggest achievement was on the 1-3) Mathematics course.(数字の成果を要素ごとに整理する)
My major had no connection to high level mathematics, but there was only 10 months left by the conference.(課題・苦労したこと)
I made 2 efforts to manage. A) Joining the seminar of mathematics course and leading the discussion within the team, and B) Skilled-questioning to gain professors advice with maximum efficiency.(どのような努力をしたか)
For A), mathematical seminar provided high-leveled mathematical skills to the whole team, and for B), the team managed to receive 24 hours a day support from professionals.(どういう成果を得たか)
By the end, I was selected to 1 out of min. 30 graduate students who applied the mathematics conference.(部分の結論)
▼英語ESについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください
・英文レジュメ(ES)の書き方と例文:中学レベルの英語力でOK!
英語面接は準備がすべて
英語面接と聞くと、「ネイティブスピーカーのように流ちょうに英語を話さなければいけないのかな……」と不安になりがちですが、英語面接で一番重要なのは本番ではなく準備です。なぜなら、英語面接で聞かれることはESとほぼ同じだからです。つまり、ESの設問に対して英語で答えられるようにすることが英語面接突破の対策となります。
では、ESの内容を丸暗記すればいいのかというと、そうではありません。英語面接でもやはり「分かりやすさ」が重要となります。キーワードは、「短く、ゆっくり、堂々と」です。
単語と単語の間、フレーズとフレーズの間をしっかりと区切って発音することで、面接官に「この学生は堂々としていて、きちんと伝えようとしているな」という印象を与えることができます。
実は高い! 日系企業で求められる英語力
最後に番外編として日系企業で求められる英語力についてご紹介します。グローバル化の潮流の中で、英語力を求める日系企業は増えつつあります。
海外駐在する人に一定レベルの英語を求める場合もあれば、ユニクロ(ファーストリテイリング)や楽天のように社内公用語を英語に設定している場合もあります。10年後、20年後は外資系企業同様、英語を話せないと昇進できない可能性もあるので、日系企業で勤める場合でも英語の勉強を怠らないように注意しましょう。
以下に入社後に英語が必要になる企業の一例を紹介します。
・楽天
・ユニクロ
・ソフトバンク
※参考:公用語化でどうなった?楽天社員の英語力
※参考:ユニクロ、楽天だけじゃない 英語公用語化へ向かう現実
※参考:ソフトバンクの研修、英語も財務も「同僚が講師」
おわりに
いかがでしたか。英語ペラペラじゃないとやっていけないと考えられがちな外資系企業ですが、内実は読み書きレベルの英語ができれば十分な場合も多く存在します。
「外資系企業に興味があるけど、英語力に不安が……」と考えている方はぜひ思い切って応募してみてください。対策はそれからでも十分間に合いますよ!