こんにちは、ワンキャリ編集部です。今回は600を超えるPCソフトをリリースし、近年はAI翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」で注目を集めるソフトウエア/IoT企業、ソースネクストの魅力に迫ります。
お話を伺うのは、常務執行役員を務める田岡通子さん。ヒットを生み続ける製品づくりの背景から、「働きがいのある会社」ランキングで総合10位・女性ランキング2位に輝く、働く環境の魅力までお聞きしました。
POCKETALK(ポケトーク)の快進撃を支える常務執行役員に独占インタビュー
──本日はよろしくお願いいたします。まず田岡さんの現在のお仕事を、学生にも分かりやすく説明していただけますか?
田岡:常務執行役員として、経営企画室と新規事業開拓に携わっています。経営企画室にはいくつかの機能がありますが、分かりやすいのは広報、広告宣伝の統括です。予算管理や投資家向けのリレーションシップづくりもしています。
兼任先では、AI翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」を中心とした新規販路の開拓をしています。現在は、さまざまなお客様に対応するための管理体制や販売手法を整えているところです。
田岡 通子(たおか みちこ):株式会社ソースネクスト 常務執行役員
2003年、新卒入社。入社当初は営業チームで新規チャネル開拓を担当。その後、ECグループに異動し「ZERO ウイルスセキュリティ」などのソフトウエアマーケティング全般、In-App Purchaseの仕組みづくりなどを担当。経営企画室などを経て、2013年には常務執行役員へ昇格。現在は、ビジネスディベロップメントグループでの新規事業開拓と、経営企画室を兼務している。
「本当に翻訳できるの?」ユーザーにウソはつかない、合成・差し替え一切なしのアドリブCM
──先ほど話題にも上りましたが、ソースネクストといえば2017年末に発売されたAI翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」が話題ですね。明石家さんま氏を起用した、インパクトあるCMが印象的です。
田岡:現在(※2019月1月時点)販売されているのは、「POCKETALK(ポケトーク)W」という2代目の機種です。この最新機種を出すにあたり、広告宣伝のコンセプトを2018年の1〜2月くらいから練っていました。億単位で予算を割くつもりでいましたので、広告代理店に企画案を求める際も、最初から社長向けのプレゼンを想定して進めました。製品のコンセプトや実現したい世界観を細やかに伝えることに注力しましたね。
また、企画案が決まった後は、社内外の調整に苦労しました。面白いCMシナリオで、かつCMの15秒という短い尺にあわせたセリフを優先しようとすると、「POCKETALK(ポケトーク)」の翻訳精度と異なるものになります。端末そのものの準備も必要でした。CM撮影が行われる時期に、「POCKETALK(ポケトーク)W」はまだ開発中だったのです。それでも実際に翻訳できるセリフであることと、動かせる製品がどうしても必要だと考えました。セリフの見直しは最後まで粘り、「撮影に使える製品を用意してほしい」と関係各所に相談しました。
──大規模な広告宣伝プロジェクトは、広告代理店に一任して進める印象がありました。メーカー側でも思いの外、細かな調整が必要なのですね。
田岡:広告の世界観づくりや、製品の見せ方にどこまでこだわるかは、私たちメーカー側が姿勢を示す必要があります。CMの面白さだけを優先してセリフを作成し、翻訳の音声や文字を後から映像で編集すれば非常に楽だったかもしれません。
ですが、私はソースネクストとして「実機で翻訳できること」にこだわるべきだと思い、粘り強く調整を続けました。最終的には、面白くかつ本当に翻訳できる、しかも多言語を利用した素晴らしい台本ができました。端末については「POCKETALK(ポケトーク)」のプロトタイプをつくり、撮影に使用しました。実際のCMには、台本にない発言もあります。そんなアドリブのセリフも、「POCKETALK(ポケトーク)」が本当に翻訳しています。
──田岡さんが、そこまでリアリティにこだわった理由はなぜでしょうか?
田岡: メーカーとして、ユーザーにウソをついては絶対にいけないと思ったからです。「POCKETALK(ポケトーク)」を知ったみなさんは「すごい」と言ってくださるのですが、次に言われるのは「で、本当に翻訳できるの?」という疑問です。
本当に翻訳できなければ意味がない。それがこの製品の全てですから、実際にその価値を表現できていない広告に意味はないと考えます。
ユーザーの声も社員の意見も、社長に届く。すべては「いい製品」のため
──「POCKETALK(ポケトーク)W」は、CMも含め、社運を賭けたプロジェクトだったわけですね。実際の製品も、ドイツ・ベルリンで開催された展示会「IFA2018」で「Innovation Award モバイルコンピューティング部門」を受賞するなど、国内外で高く評価されています。社内では、製品に対してどのような反応があったのでしょうか?
田岡:「POCKETALK(ポケトーク)W」の仕様が固まったとき、社員全員が「圧倒的にいい製品だ」と確信していたと思います。開発責任者は非常に自信を持っていましたし、なんといっても、お客様から初代「POCKETALK(ポケトーク)」に対していただいていた要望が、全て解決されていました。プロトタイプを見ただけで「すごい」と納得しました。
──顧客の声を製品づくりに生かしたのですね。こうしたユーザーファーストの姿勢は、社内に浸透しているのですか?
田岡:そうですね。ユーザーの声を製品に生かす姿勢は、「POCKETALK(ポケトーク)」に限らず、創業当時からずっと続いています。「100%お客様視点で考える」というのが、松田(代表取締役社長)が日頃から社員に対して言っていることです。
現在も、松田はユーザーからのコメントに毎日目を通し、それをもとに経営にかかわる議論が行われます。また、所属や年次を問わず、社内の声を事業に生かす仕組みもあります。社員の日報には「マーケティング・イノベーター」という欄があり、アイデアや他社でのいい取り組みを何でも共有できるようになっています。これにも松田は全て目を通し、返信しています。いいアイデアがあれば、担当部門につないで「できそうですか?」と聞きます。そのようなことが日常的に行われています。
全ては、最高の製品づくりのための手段。世界中のパートナーと連携できる強さ
──ここまで風土の面から、ソースネクストがいい製品を生み出せる秘訣(ひけつ)を語っていただきました。事業面の強みも教えてください。
田岡:自社開発に閉じたこだわりを持たず、世界中のパートナーと連携できることです。ソースネクストは、最高戦略として「製品を通じて、喜びと感動を、世界中の人々に広げる」をミッションに掲げています。このミッションに合致するものであれば、他社の技術を導入することも選択肢に当然入ります。
また、その時のパートナー選びに困らないのは、ソースネクストが創業23年を超え、確かな実績とコネクションを持っているからこその強みですね。
──具体例を教えていただけますか。
田岡:「POCKETALK(ポケトーク)W」は、複数の企業が提供する翻訳エンジンをクラウド上で組み合わせています。つまり、「世界最高の翻訳機」を実現するために、「世界最高の翻訳エンジン」を選んで採用しているのです。
例えば和英の翻訳はGoogleの翻訳エンジンを使っていますが、他の言語では別の企業の翻訳エンジンを使用しています。これを自社開発や自社のアセットだけにこだわっていると「お客様に最高のものを提供する」ということがかなわない場合もあると思うのです。
時短と制度さえあれば、働きやすいわけではない。「女性の働きがい」2位の実力
──続いて、働く場所としての魅力をお聞きします。ソースネクストは2018年、Great Place to Work®が調査する「日本における『働きがいのある会社』ランキング」で第10位、同女性ランキングでは第2位に選出されています。田岡さんが働く中で、その理由を実感することはありますか?
田岡:まず、仕事が面白い。働きがいを語る上では、これに尽きると思います。ソースネクストは最高戦略で「世界一エキサイティングな企業になる」と掲げていますが、これを有言実行している環境だと思います。
例えば「POCKETALK(ポケトーク)」を使って、初めて孫と話せるようになったお客様から感謝の言葉をいただいたことがあります。その方のお孫さんは国際結婚で生まれ、海外で暮らしているので、日本語が話せないそうです。今までコミュニケーションがうまく取れなかった状況が、「POCKETALK(ポケトーク)」を使うことで変わったそうです。
このように、自分が取り組んでいる仕事が社会貢献につながっていて、喜んでいる人がいると実感できるのは重要だと思います。
──田岡さんは在職中の2014年にお子さんが生まれ、育休と復職を経て活躍しています。女性のライフイベントを踏まえた、ソースネクストの働きやすさについて教えてください。
田岡:ただ制度が使えるだけでなく、個々人にとっての「働きやすさ」を尊重してくれる会社だと思います。私は、自ら希望して出産直前まで働いていました。もちろん産前休暇制度はありますが、私は出産直前まで働きたかったので、上司と相談して勤務形態を調整してもらいました。
特に、柔軟に在宅勤務を許可いただけたことにも助けられました。大きなおなかで1日中机に向かうのは負担が大きかったので、午前中はオフィスで会議に出席し、午後は在宅勤務をする期間もありました。
──田岡さんは今、育児と常務執行役員の大役を両立しています。どのような働き方をしているのですか?
田岡:私は現在、朝早く出社して17時には退社するというリズムで働いています。メンバーもそれを理解してくれて、承認や相談が必要なことは私の勤務時間内に出してもらえるので、窮屈さを感じることはありません。急ぎの依頼は携帯にメッセージを入れてくれるなど、臨機応変に対応してくれていて深く感謝しています。
大切なのは「働き方の選択肢があること」と、「自分が選んだ働き方を申し訳ないと思わなくていい空気」だと感じています。ソースネクストは、プライベートと仕事を分けたい人にとってももちろん仕事のメリハリがつけられる会社です。それだけでなく、私のように早く退社せざるを得ない人にとっては、家で仕事のメールを確認できる方がかえって安心する人や、仕事が育児のストレス解消になる人もいます。そうした働き方を尊重してくれるのはありがたいですね。
──ただ休暇の制度を設けたり、働く時間を制限すれば「働きがいのある会社」になれるわけではないと。仕事に意義を感じられて、社員それぞれにとって心地よい働き方がかなう環境だからこそ評価されているのですね。
「就活では100社に会った」15年間働き続ける決め手は、働く人だった
──インタビューも終盤です。キャリア選択の観点で、田岡さんにお聞きします。田岡さん自身が新卒でソースネクストに決めた理由は何でしょうか?
田岡:学生時代は特にやりたいこともなかったですし、社会人として長く働くつもりもありませんでした。就職活動を始めた当初も、自分に合う会社や職種に見当もつきませんでした。そこで最初に決めたのは「100社に会う」ということです。さまざまな会社へ選考を受けに行くと、なんとなく「好き」「嫌い」が見えてきました。私の場合は働いている人が好きかどうか、一緒に働く仲間が好きになれるかどうかが重要だと分かってきました。だから「人」を思い切って軸に据えて、ソースネクストに決めました。
──では、ソースネクストにフィットする人材の条件は何だと思われますか?
田岡:ポジティブで、前向きにチャレンジできる人ですね。例えば100万円があるという時に「100万円しかない、どうしよう」と思う人もいれば、「100万円もある、何ができるかな」と思う人もいる。この時に、プラスな言葉を選べる人は全てのことにチャレンジ精神があると思っています。そういう人でないとソースネクストのカルチャーには合わないと思います。
──新卒入社から15年間働いてきた田岡さんだから分かる、今のソースネクストに入社する醍醐味(だいごみ)を教えてください。
田岡:会社として揺るがない体制づくりが進んで、堅実さとチャレンジが両立できる組織フェーズになっていることです。私が新卒入社した当時のソースネクストは、良くも悪くもベンチャーらしい組織だった面もあると思います。そこから東証一部に上場し、2008年からのリーマンショックの赤字も耐え抜き……成功も苦労も味わってきた経験が、経営陣に蓄積されています。
就活のゴールは、自分の「譲れないもの」を考え抜くこと
──最後に、就活生に向けて一言メッセージをお願いします。
田岡:就活を「単に就職先を見つければよい」という活動ではなく、自分の中で譲れないものが何か考える節目の機会にしてほしいです。自分の経験から思うのは、キャリアに大切なのは、「何が必要で、何は捨ててもいいのか」を考え抜くことだと思います。「これさえあれば我慢できる」という軸が見つかると、その後のキャリアもブレません。どこかの企業に内定があればいいというよりも、自分にとって譲れないものを持っている企業の内定を取ることをゴールにするといいと思います。
──田岡さん、ありがとうございました。
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【インタビュー:めいこ/ライター:山下由美/カメラマン:塩川雄也】