こんにちは、ワンキャリ編集部です。
日本を代表する総合商社7社が一堂に会する特別企画「総合商社の採用戦略」。
今回は豊田通商で採用グループのリーダーを務める廣岡さんにお話を伺いました。
豊田通商の採用戦略 押さえるポイントはここ!
・豊田通商の強みは「自動車関連事業」「アフリカ事業」
・30代前半でマネジメントに昇格、ジョブローテーション制度も活用可能
・求めるのは「現場に立って課題と向き合い、額に汗することができる人」
「本籍地:トヨタグループ 現住所:商社」世界ブランドを支える総合商社
——廣岡さん、本日はよろしくお願いします。早速で恐縮ですが、豊田通商はシンプルに言うと、総合商社の中でも一体どのような位置付けの企業なのでしょうか? 就活生の声を聞くと、豊田通商は「トヨタグループの1社」という印象が強く、その事業や企業風土は謎に包まれているようです。
廣岡:豊田通商は「本籍地:トヨタグループ 現住所:商社」として、トヨタグループの一員でありながら、グループのビジネスを超えた役割を果たすことを目指しています。再生可能エネルギー事業や穀物インフラ事業など、幅広く事業を展開していますが、中でも、「自動車関連事業」と「アフリカ事業」の2点が、他の総合商社から一線を画す強みです。
廣岡 学(ひろおか まなぶ): 豊田通商株式会社 人事総務部 採用グループ グループリーダー。2003年、中途採用にて豊田通商入社。人事総務部、金属本部を経験後、2012年より中国・天津に5年間駐在、人事労務分野を中心にグループ会社支援を担当。2017年に国内へ帰任し、現職。
——「自動車関連事業」は何となく想像がつきますが、アフリカ事業は耳慣れません。それぞれ詳しく教えていただけますか。
廣岡:はい。前者の「自動車関連事業」では、サプライチェーンの川上から川下までを手掛けます。例えば、自動車のボデーの素材供給に始まり、工場の製造プロセスや配送効率化への対応をしています。また、アフターサービスや自動車生産時に出る金属のリサイクルなどと、豊田通商はトヨタグループのみならず、他自動車メーカー、部品メーカー各社のものづくりを隅々まで支えています。
後者の「アフリカ事業」では、アフリカでのプレゼンスNo.1の商社を目指しています。アフリカは、急激な経済発展とともにモータリゼーションが進んでいる注目の市場です。1922年に旧トーメン(2006年に豊田通商と合併)が進出し、1964年には自動車輸出業を開始するなど、90年以上にわたりアフリカと良い関係性を築いてきました。2012年にはCFAO社(※)へ資本参画を行ったことで、アフリカ54カ国中53カ国で事業を展開しています。今年度には新たに、当社初となる地域を軸とした「アフリカ本部」を新設しました。
(※)CFAO社:フランス最大の商社。中・西部アフリカを中心にアフリカ33カ国で事業展開をしている。2016年末に完全子会社化。
——なるほど。豊田通商は世界規模での自動車関連事業の展開を支えるとともに、新規市場への進出もリードする役割を持っていると。
多様性を受け入れ、伸びしろを育てる風土
——豊田通商の事業面での特徴は大まかに分かってきました。では、企業風土についてはいかがですか。
廣岡:私は中途採用で豊田通商に入社しました。入社当時を振り返ると、トヨタグループの1社であり、唯一の商社であるがゆえに、「レベルが高く厳しい環境だろう」「トヨタグループの純粋培養な社員が多そうだな」というイメージを持っていました。しかし実際には、他者を受け入れて尊重し、活躍できる環境を整えるような考え方が根付いていました。
——具体的に、そのマインドを実感したエピソードはありますか?
廣岡:私が採用試験を受けたとき、最終選考で「保留」と言われたんです。その理由は、私が前職で英語と縁遠かったためです。私が入社した後、もし昇格に必要なTOEICの点数が取れなかったら、せっかく入社しても活躍できないという理由での保留だったそうです。それなら私ではなく他に英語ができる人材を採用すればいいのに、人事から「英語を頑張ってくれますか?」と問われて、最終的に内定をいただきました。採用で「豊通らしい人だ、うちに合いそうだ」「活躍してもらえそうだ」と判断したとき、一つのネガティブポイントで結論を出すのではなく、伸びしろや可能性を見てくれる会社だと感じたのが印象的です。
——正社員3000人以上という大きな組織でありながら、一人一人に目を向けてくれていたのですね。
廣岡:はい。それは今でも変わりませんし、私自身が採用の時に意識していることでもあります。
30代前半でマネジメントクラスへ。新人事制度に込められた若手への期待
——そのような企業風土の中で、若手はどのように活躍しているのでしょうか?
廣岡:若手に仕事を任せ、育てていく風土があると思います。その表れとして、今春の新人事制度では、30代前半でもマネジメント職に就けるような制度へ改定しました。早期にマネジメント業務を経験し、部下の育成・評価やグループの経営数字に責任を持ってもらうことは、若手が「早期に」「大きく」成長してくれることに期待する、会社からのメッセージです。
——それは興味深いです。経験できる業務の幅についてもお聞きします。総合商社は、新卒から配属が変わらない「背番号制」のイメージがありますが、豊田通商ではいかがでしょうか。「入社以来ずっと自動車関連事業」という配属がありえるなら、自動車への興味・関心がかなり問われると思いますが。
廣岡:本部間での異動は珍しくなく、複数の本部で経験を積むことができる「チャレンジローテーション制度」を設けています。豊田通商は、今後も自動車領域におけるナンバーワン商社としてプレゼンスを高めていきたいと思っています。しかし、総合商社として発展するには、特定の事業領域のエキスパートばかりがいればいいというわけではありません。事業経験や人脈づくりを通して、まずは自動車マーケットを熟知し、その強みを他の事業分野へ生かせる人材を育てたいですね。
合併から10年。100年に1度の転換期に立ち向かう
——総合商社の中でも独自の事業内容と企業風土をもつ豊田通商ですが、主要な事業の展望をお聞かせください。コア事業であるMobility分野は、電気自動車をはじめ、近年さまざまな技術革新が起きています。
廣岡:モビリティの世界では今、「100年に1度」と言われる大きな産業構造の転換期を迎えています。豊田通商ではその変化を追い風とすべく、ネクストモビリティ分野に注力しています。2017年4月には社内横断組織の「ネクストモビリティ推進部」を設置し、自動運転技術からIoT化(モノのインターネット化)、素材革命への対応まで、次世代自動車に関わる多様なプロジェクトに取り組んでいます。また、革新的な新技術・新サービスへの投資を行う社内ファンド「ネクストテクノロジーファンド」も同時期に設置しました。8月には第1号の投資案件として、東南アジア最大のライドシェアサービスなどを行うグラブ社に投資を行いました。
——豊田通商の社員、あるいは商社パーソンとしてこの転換期に携わる魅力とは何でしょうか。
廣岡:トヨタグループの1社として、世界最先端のものづくりを支えられることは、他にはない魅力です。トヨタグループ唯一の商社としてトレーディングや事業経営などを担う豊田通商は、トヨタの事業構想だけでなく、提携する多くのパートナー企業も含め、広い視野でグループ全体、ひいては日本のものづくりの価値を向上させる役割を果たしていきます。
日本が今後も持続的に成長を遂げるためには、やはり強みである技術を磨くことが欠かせないと思います。そこで私たち総合商社に求められるのは、「日本のものづくりの技術を、どこで使い、どう伸ばすのか」の舵取りです。ものづくり企業の海外進出を支援したり、ものづくりの技術を生かせるパートナーシップを結んだりと、商社にはその機動力があるからこその役割があると思います。豊田通商は歴史的にもノウハウの面でも、ものづくりの技術をよく理解した総合商社です。日本と世界の発展を担う役割が大きいと感じていますね。
——なるほど。社内では、この転換期をどのように受け止めているのでしょうか。
廣岡:これからは過去の成功体験を健全に自己否定する覚悟が求められると思います。2006年のトーメンとの合併から10年が経ち、3兆円規模の会社が8兆円規模へと成長し、事業構造のバランスも合併前とは変わってきました。そんな今、我々を取り巻く環境は著しく変化しており、先輩方が築いてきた従来のビジネスだけではなく、新たな挑戦もしていきながら柔軟に対応していく必要があります。豊田通商は、完全に過去を否定するのではなく、今まで培ってきた強みや「豊通らしさ」をもう一度見つめ直した上で、新しい飛躍を目指します。
現場に立って課題と向き合い、額に汗する人が「豊通パーソン」
——そんな豊田通商の新卒採用について伺います。19年卒の採用にあたり、共に働きたい学生像をお聞かせください。
廣岡:事業面でもキーワードになりましたが、やはり「豊通らしさ」を持つ学生さんです。単に「大きい仕事がしたい」ということではなく、誰のために、何のために仕事をしているのかを理解し、モチベーションを保てる学生さんに集まっていただきたいです。
——その点で、「豊田通商には向かない」と思うのはどんな人ですか?
廣岡:総合商社の「海外とのトレーディング」や「投資」だとか、「世界で大きなプロジェクトを……」という、表面的に格好いい部分だけに魅かれて志望する人でしょうか。「数億円規模のプロジェクト」ということに魅かれるのであれば、その数億円を使って「誰のために、何のためにそのプロジェクトをするのか」というところにフォーカスできる人でないと困ります。総合商社の中でも、私たち豊田通商が「作業着を着た商社パーソン」と言われるように、豊田通商は実業を大切にしている企業です。お金、つまり投資だけでなく、現場に立ち、お客様に寄り添って尽力する。そのような価値観に共感できる人を求めています。
——「豊通らしさ」は、面接のどんな部分で見極めていますか?
廣岡:面接で「学生時代どんなことを頑張ってきたか」と尋ねると、「多数の人たちが関わる大きなプロジェクトで、メンバーの一人としてこんな役割を果たした」と語ってくれることがあります。確かに頑張りは伝わりますが、私達が知りたいのは「この人は何にモチベーションを感じているか?」ということです。豊田通商の理念や考え方に共感してもらえる学生さんは「誰にどう喜んでもらえるか」を描き、そこにモチベーションを感じて自発的に行動しています。自分が取り組んでいることや、価値を届ける相手に対して大義を見つけることができて、自ずと心に火がつく——いわば「自燃」できる人が、豊通らしさに近い人だと思います。
——まさに、質実剛健の「ものづくり商社」の気骨を感じます。最後に一言、メッセージをいただけますか。
廣岡:就職活動の中で「働く」ことに向き合い、じっくりと考えてほしいと思います。仕事を通じて、誰のために、何のために、自分はどう生きていくのか、その意味や目的、目標を見つけてください。
——廣岡さん、ありがとうございました。
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