新卒の学生ならば、「自分の持つ力で企業を変革したい、社会を根本から変える仕事がしたい」と一度は考えたことがあると思います。全産業の大手企業から官公庁に至るまで幅広く組織変革プロジェクトを手掛ける企業があります。それがオースビーです。
自身も企業の変革に深く携わり、「企業で変革を起こすには組織が何よりも大切。それこそオースビーが大事にする経営哲理です」と話すのは株式会社オースビーのAus執行室でエクセキュート・オーガナイザーとして会社全体を統括している水嶋吉之さん。今回のインタビューでは、水嶋さんが説く「経営哲理」に迫ります。
<目次> ●根底にある「人」と「組織」の変革を実現する ●日本を世界で一番知性的にすべく、組織の歩むべき道を見つける ●大手物流や国家プロジェクトにも関わる。企業の中長期の成長に直接携わり、知的生産を行う ●自己分析ではなく、自己創出を行い、考えを全てぶつけてほしい ●「知的さを追求することを諦めてはいけない」。オースビーは「人と組織そのもの」が商品。人の力を高めることで、必要不可欠な人材になる
水嶋 吉之(みずしま よしゆき):2007年の株式会社オースビー設立以来、コーポレート部門である統合・推進本部で人事や経理の管理職を務める。現在はAus執行室でエクセキュート・オーガナイザーとして全社を統括している。
根底にある「人」と「組織」の変革を実現する
──まずはオースビーの事業内容を教えてください。
水嶋:オースビーは、ビジネスエンジニアリングを通じて、顧客企業のあらゆる経営・事業・業務の課題の解決を当事者として推進し、根底にある「人」と「組織」の変革を実現する企業です。
人が生きていくためには、必ず生産行為をせねばなりません。近代以降、その主体を担うのは企業です。オースビーという会社は一貫して、企業をより本来の組織にしていく、企業の本来あるべき生産の力を上げていく、ということに取り組んでいます。
──どのような企業がオースビーの顧客企業なのでしょうか?
水嶋:メーカー、総合商社、金融、インフラ、物流など主要産業の業界シェアトップ5に入る企業がオースビーの顧客の80%を占めています。
──水嶋さんは社内でどのような領域を担っているのでしょうか。
水嶋:私はオースビー全体を統括するリーダーの立場です。オースビーは「ビジネスエンジニアリング本部」「BE強化本部」「統合・推進本部」の3本部からなり、私は3本部それぞれと会社全体が価値を発揮できるよう統括しています。
──水嶋さんがこれまで歩んできたキャリアをお聞きしたいです。
水嶋:社会人のキャリアとしては、オースビーの前身の会社で情報システムの開発や企業の組織運営改革に携わり、その後オースビーのコーポレート部門である「統合・推進本部」で人事や経理、人材育成、新人教育などに携わりました。
オースビーのコーポレート部門はオースビー社内の改革部門です。その管理職を経て、今はエクセキュート・オーガナイザーとして会社全体を見て、オースビーの組織運営を改革しています。
日本を世界で一番知性的にすべく、組織の歩むべき道を見つける
──なぜ、オースビーは顧客企業から熱烈な支持を得ているのでしょうか?
水嶋:オースビーの経営哲理が本質をついているからです。経営哲理の根底には「人は組織でなければ生きられない」という事実があります。そして、「社会は組織の生産革新によって発展する」ものです。人が生きる“組織”に向き合い、組織が行う“生産”を革新することによって社会を発展させていく。これこそが、社会観・歴史観・世界観に根ざしたオースビーの経営哲学であり哲理です。
──組織でなければ生きられない、人・組織の根本の問題に着目するからこそ、オースビーに依頼が来るのですね。
水嶋:ええ。そして、オースビーは理念として「高級・普遍・稀少」を掲げています。人は高級な存在でありたいし、高級な仕事をしたいもの。そして、高級は戦略でもあります。人間として、会社として「高くあろうとする」オースビーのあり方が顧客企業から支持を得るのだと思います。
また、オースビーはその時代のトレンドの問題ではなく、どの時代にもどの場所にも存在する普遍的な問題を扱っています。今売れるものを売るのではなく、いつでも売るべきものを売っているのです。その売るべきものが組織の生産をより良くすることなのです。そしてこの高級・普遍の追求が結果として稀少性を生み出す。「高級・普遍・稀少」は私たちの根幹です。
──「組織の生産をより良くする」ことが普遍的に売るべきものというのは、どういうことでしょうか?
水嶋:人や組織にはしかるべき歩む道があります。人はより知性的になるべきですし、組織は人がより知性的になるための場を担っていくべきです。単に生産活動をして稼いで食っていける以上の知性的な活動の中に、皆が求める「仕事のやりがい」があります。
今の企業の中では不正がはびこり、組織がまとまらず機能しなかったり、派閥ができたり、人が真面目に仕事をしないといった問題があります。そして、これらの問題に対して、それでも食えているならば、知性的になるのは「そこそこでよい」と諦めている実情があります。
私は日本が世界で一番知性的になり得る可能性のある国だと思います。階級社会ではありませんし、宗教的にも思想的にも自由です。全体への意識があり、役割分担や制限を超えて「上のこと」「全体のこと」を自由に考えられるのは、日本人が持つ強さであり、これが1980年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれ、海外から脅威を感じられていたゆえんです。
しかし、ただ過去に回帰するのではなく、改めて良い国・良い社会をつくることが重要です。どんな教育をして、どのような経済活動を通して、国をどうつくっていくのか。そこに目覚めてほしいのは企業です。
企業は「人が知性的に生きていく場」になっていくべき。組織の生産をより良くすることはそのように企業を変えていくことです。
──世界で一番知性的になれる国だからこそ、より良い社会をつくるべく企業はそこを目指すべきだと。オースビーは企業をどう変えていこうとしているのでしょうか。
水嶋:「原理に根ざして人や組織が生きていけるようにすべきである」と考えて、変革に臨んでいます。
そもそも、人は組織がないと生きられないのですが、今の組織への認識は現実から離れており、組織に対して考え方が薄かったり甘かったりします。それどころか、組織を悪者のように扱い、人を縛るものという認識が社会にあります。まず、「人は組織がないと生きられない」という原理的な認識を持つように変えていくことです。
──組織が機能するために、何が必要なのでしょうか。
水嶋:組織を機能させるには、組織を導く「上の人」が必要です。自分のこと、今のことだけを考えるのではなく、全体のこと、未来のことを考える人です。「今、これをやらなければならない」という事柄に対して、どんな抵抗があってもやり抜いてきた人たちです。
ただ、「上の人」は少数派です。人は集まるとどうしても大衆化していきます。そのため、組織が機能し続けるようにするためには「実行する上の人」が必要になる。リーダーという肩書がついていようといまいと、実行する人に人はついていきます。オースビーの社員は皆、全体や未来のことを考えられる人たちです。そして、実行する人たちです。
──その「実行する上の人」として、何を求められているのでしょうか?
水嶋:オースビーの改革力や推進力です。企業はずっと同じことをやり続けていくと衰退します。常に改革をしなければなりません。どんな組織だろうが、個人だろうが変わり続けねばならない、これは原理です。
ただ、どの企業でも改革は全く進まずほぼ失敗しているのが現状です。その進まない企業改革や新しい取り組みに対してオースビーの改革力や推進力が企業から求められているのです。
──オースビーは企業に対して、どのようなアプローチをするのでしょうか。
水嶋:どんな現場でも、組織の上にオースビーは入ります。組織の上に入らなければ、下まで改革の動きを行き届かせ、推進していくことは難しいものです。
例えば、進まないプロジェクトを進めるのは非常に困難です。企業の業務というものは誰が何をどんなふうにやったか、という関わる人全ての行動によって成っています。これが人と人の間、部署間など組織で緻密に連携されることが企業の目指す知的生産的協働です。しかし現場では、連携の中で誤解と間違いと漏ればかり……。この現場の状態をどう変えるかを考えるためには、現実を客体化する必要があります。
「自分たちの事業の何が弱いのか」「何を変えなければいけないのか」……考え、変えていくため、顧客のあらゆる活動を克明にし、客体化していきます。顧客自身ではそれができない。ですから、オースビーの社員が顧客企業に入ってリードします。
──顧客企業にオースビーの社員が直接入って変革を成し遂げていると。その中で、オースビーはどんな役割を担っているのでしょう。
水嶋:先ほどもお話ししたように、オースビーの社員はリーダーの役割を担います。ただ、顧客企業の各所にオースビーの社員が入っている状態が一番理想です。プロジェクトマネージャーとして入り、業務の現場に入り、システムづくりに入り……組織のピラミッドの中でキーポイントには全てオースビーの社員が入っていると各現場の客体化は進み、知的生産的協働に近づいていきます。
──知的生産のために何が必要でしょうか?
水嶋:必要なのは、頭を良くすることです。頭を良くする、というのは「情報を扱う力」を上げるということ。よく「ITの力を使って効率化、省力化」と言われますが、実はコンピューターを導入しても仕事の省力化はできません。
もちろん、コンピューターは情報処理をする機械なので、情報を扱う力の向上につながる可能性を感じ、経営層は「何かを変えたい」という思いで導入するのですが。
知的生産とは、人が組織の中でさまざまな情報に触れて「社員としてのあり方は?」「事業の未来は?」「組織運営とは?」といった根本的なところまで問い、考えながら企業の生産活動をしていくことです。ですからコンピューターに任せているだけでは人の情報を扱う力、そして、それが基になっている組織運営の力も低減していきます。
──組織運営の力自体が足りていないがゆえに、企業の力が低下してしまっているんですね。
水嶋:はい。そして、組織運営の力は実は新入社員であっても発揮できるものなのです。企業という組織の中で人が行っていることは全て「情報を扱う」ことです。現実を認識し、組織で連携し、判断し、生産を実行していく……。
全ての活動の基である情報は、身に付けた専門知識ではなく、枠にとらわれず物事を問い、考えることでその場で生み出されるものだからです。情報をその場で生み出し、きちんと扱う力を持った新入社員の存在は、顧客に大きなインパクトを与え、やがて上の人として頼りにされる存在となります。
大手物流や国家プロジェクトにも関わる。企業の中長期の成長に直接携わり、知的生産を行う
──オースビーで携わった具体的な企業変革について教えてください。
水嶋:例えば、ある空港の国際化に際して、国際便の貨物を扱う会社の創設・管理を行いました。もともとはある総合商社が請け負っていましたが、プロジェクトは難航し、一時は「国際空港開港の時期を遅らせなければならない」という事態にまでなったのですが……。そこにオースビーから10人の社員を送り込んで成し遂げました。
──空港の国際化という国家の政策に関わるプロジェクトだったのですね。一から会社をつくるというのはひときわ苦労があったのでは。他に手掛けた案件も教えていただけますか?
水嶋:大手物流会社のグループ会社を一つの会社として再編するプロジェクトも手掛けました。大企業は経営の効率化を目的に子会社をつくり、グループ会社化しますが、子会社をつくるとそこで問題が生まれます。そして、その問題解決のために親会社とまた合併して……と集中と分散を繰り返します。
社会情勢の変化の中で経営の危機に直面し、今回再び一社に統合しようとなりました。悩まれたその大手物流会社の役員の方が、尊敬する別会社の役員の方から「本当に客のことを考えてやってくれる会社は世界でオースビーしかいない」と言われました。その言葉を信じ、オースビーにお声がけをいただいての案件でした。
──商社や大手物流企業など日本を代表する企業が頼るのはオースビーなのですね。大手企業がここまでオースビーを頼る理由は何でしょうか。
水嶋:企業が変革をできない理由は、「これまでのビジネスの枠にとらわれること」「今までのしがらみや人間関係、派閥にとらわれること」です。そして、どの会社でも知的生産能力を高めることに苦労しています。長期を見据えて、知的生産をリードできるのはオースビーです。
大きなプロジェクトには何千人もの人が携わります。しかし、何千人がバラバラに働いていたら動きは見えないものです。企業を変革するプロジェクトを手がけるならば、所属する一人一人の知的生産の力を上げ、その上で協働する力を高めないとうまくいかないでしょう。そこに対してメスを入れるのがオースビーなのです。
自己分析ではなく、自己創出を行い、考えを全てぶつけてほしい
──どのような学生にオースビーを志望してほしいですか。
水嶋:オースビーは大学の学部学科は一切問いません。自分の力を、今まで発揮してこなかった力も含め社会に発揮して、「社会に貢献したい」「本来人が向かうべきところへ向かわせる意味のある仕事をしたい」という方にこそ来てほしいですし、私たちも一緒に働きたい。
──学生は就職活動をどのように進めていけばいいですか?
水嶋:新卒の学生が行うべきは「自己分析」とよく言われますが、そうではなくて「自己創出」をしていただきたい。今の自分に合った仕事にこだわる必要はありません。
例えば、小学校の頃に好きだったものが今でも好きかと言われれば、そうでもない人が多いのではないでしょうか。20代前半はまだ人生のスタートの時期ですから、その時期に自分自身の可能性を限定しなくて良いと思います。
自分を創り出すような就職活動をしてほしい。そのためには、社会を、企業を、考えることが必要です。そして、その考えたことを企業である私たちにぶつけてもらいたいですね。
──オースビーで新卒が入社し、プロフェッショナルのビジネスエンジニアリングを行うために、どういった研鑽(けんさん)・働き方ができるのでしょうか?
水嶋:オースビーでは新人研修でしっかりと土台を作ります。新人研修では「組織とは?」「人間の向かうべき先は?」といったことを教えます。それは社員にしっかりとした人生観を持ってほしいからです。人生観とは、社会観、歴史観、世界観からなるものです。
社会をどう見るか、歴史をどう見るか、世界をどう見るかによって自分の人生は変わるもの。「社会は自分を苦しめるものだ」という社会観を持ってしまうと、それはその人の生き方そのものに必ず影響します。
それぞれの人生観を磨きつつ、しっかりとした教育の上で「企業とは」「組織とは」「人間のやるべきこととは」を考えるからオースビーの社員は強いのです。
──新人研修後、オースビーではどんなキャリアを歩んでいくのでしょうか?
水嶋:オースビーの社員は、組織の中での「上の人」としての力が新人の頃から鍛えられています。新人であっても顧客企業の取締役や経営層の方から「この人たちは企業として“どうあるべきか”というようなことを真っすぐ考えてくれる」と信頼されます。
加えて、研修で高めた「情報を扱う力」を発揮してさまざまな現場で仕事を経験していきます。意図的に多様な業界で経験を積んでいくようジョブローテーションを行っています。数年経てば現場のリーダーになっていて、10年経てば顧客企業の経営陣のリーダーになっています。
「知的さを追求することを諦めてはいけない」。オースビーは「人と組織そのもの」が商品。人の力を高めることで、必要不可欠な人材になる
──就職活動を進めて、さまざまな企業の選考を受けているうちに、「本当に自分が満足できる会社はどこにあるのか?」と、自分の方向性が定まらず、さまよってしまう人もいると聞きますが……。
水嶋:大学に行き、学んでいろいろな世界を知ってしまうと、就職をして企業である一つの商品を売るということに対して「知的満足ができない」という感覚になります。それはまともな感覚です。
今の社会は「商品によって世の中に働きかける社会」です。大企業は自社の事業が知性的であるといろいろな宣伝をしますが、一番大事なのは商品です。事業を成り立たせるのはまず商品だからです。だから、企業に入ると知性発揮の範囲を商品によって限定されてしまう。そのことを学生の方は無意識に感じるのでしょう。
オースビーは人の活動や組織そのものが商品ですから、一番大事にしているのは人です。人の力を高めれば高めるほど良い。人を大事にし、知的に仕事ができる力をつけていきます。ゆえに、学生には「知的さを追求することを諦めなくていい」とお伝えしたいですね。
──ありがとうございます。最後に、オースビーとして24卒の学生に向けてメッセージをお願いします。
水嶋:オースビー社員のことを「実行する上の人」だと話してきましたが、現実に向き合って物事を進める人が決定的に足りません。これは日本の重要な課題です。皆さんも社会に出たら「実行する上の人」になってほしい。
また、企業はあるべき理想を掲げて追求しなければなりません。どの企業にも理念があります。時には「あんなものは言っているだけだ」と軽んじられながら、それでも、なぜ理念を掲げるのか。それは人が求めているからです。企業の中で、企業理念の下で仕事をして社会や組織や人の理想を実現したいから。人間の本能のようなものが理念を書かせるのです。
理念を言うだけでは理想は実現できません。だからこそ、理念を基に経営を考え、組織を動かし、仕事を実行する人が大事なのです。人を変え、組織を変え、企業を社会の理想を実現する存在に変えることがオースビーの使命だと考えています。
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