一浪MARCH・留学なし「普通すぎる学生」の就活全勝法、教えます
私は2018年卒のMARCH生だ。就活で有利とはいえない学歴だが、第一志望の大手デベロッパー、鉄道、通信大手をはじめ、選考を受けた企業すべてから内定を獲得した。
……と聞いたら、「体育会で頑張ったんでしょ?」「帰国子女なんでしょ?」と思うかもしれない。残念ながら違う。
私は学歴も武器もない「普通すぎる大学生」だ。スペックは以下の通りだ。
学歴:MARCH(しかも一浪)
部活:体育会だが、活動は週2回
資格:なし
TOEIC:スコアが低すぎて履歴書は空欄
留学経験:なし(海外旅行の経験すらない)
成績:GPAは中の下(気にしたこともない)
でも、就活は成功に終わった。その「なぜ」、「どうやって」を連載形式で伝えていきたい。
不安なMARCH生、武器のない早慶生、周りが夏インターンに参加したと聞いて焦り始めた就活生……。
大丈夫、この続きを読んでほしい。
やるべきことは「普通」、留学もTOEICも関係ない
私はアルバイト先の塾で現代文の講師をしている。その伝え方に慣れているので、現代文の問題になぞらえて説明していきたい。
早速だが以下の「例題」に答えてみてほしい。
問題:「学生時代頑張ったこと」を答えよ。
あなたはどう答えるだろうか? MARCH生の帰国子女、A君はこのように答えた。
A君の回答
私は大学2年時に、1年間のアメリカ留学で異文化理解と語学力の向上に力を入れました。
結果として、留学終了後はTOEICで900点を記録し、留学前から400点もスコアを伸ばすことができました。
留学経験と、TOEICハイスコア。おなじみの「MARCH生が就活に勝てそうな」キラーワードだ。
普通ならこのA君に対し、「すげー、やっぱり大企業ってこういう人が受かるんだなー。」と感じるだろう。しかし、A君に対して私は思う。
「A君はES落ちだろうな、思考のない回答だもの……」
なぜA君はES落ちか? どうすれば受かるのか?
答えは簡単。現代文を解くように考えればいい。
「人事の意図」を「読解」せよ
断言しよう。「現代文」と「就活」はまったく同じだと私は思う。
次の国語の問題を解いてみれば、分かるはずだ。
問題:現代文と就活の共通点を答えよ。
試しに以下の穴埋め問題に答えてほしい。
答えはもちろん【1. しかし】だ。Webテストでもおなじみの問題だが、少し詳しく解説をする。
1. 本文の構造を整理する
【熱がある】―【空欄】―【学校へ行く】
2. 文章の前後関係は何か?
逆説の関係。普通は「熱がある」と「学校へ行く」のはやめる
3. 逆説を示す選択肢を選ぶ
答えは【1. しかし】
この問題を解く時に考えるのは、「筆者の気持ち」ではなく「設問作成者の意図」だ。このように、入試現代文は「設問作成者」の頭の中を読み取るゲームといえる。
それを図に表すと以下のようになる。
塾講師をしていると、毎年のように「ウチの子は現代文が全然ダメなんです。読書はたくさんさせているのですが……。」と相談を受ける。読書の量と、現代文が解けるかは全く違う。これは、先ほどの「現代文のゲームの仕組み」が分かれば簡単だ。
現代文で読み取るのは「設問作成者の意図」である。一方の読書は、文章を通して「筆者の意図」に思いをはせる行為なので、根本的に違う。しかも、読書では「時間制限を意識したり、問題を解いたりする行為」は必要ない。
いくら読書をしてもその本質にたどり着けないのは言うまでもない……。
就活の敵は周りの「学生」でも「企業」でもなく、「人事」である。
「読書ができる=現代文ができる」という誤解は、就活でも同じような構図で起きている。
本当に読み取るべきは「人事の意図」なのに、「企業そのもの」に目を奪われていないだろうか?
私たち就活生は、志望企業について必死に勉強する。経営計画やIR情報(投資家向け情報提供)を漁り、今まで読んでこなかった新聞や経済系の本に手を出す。そして、覚えただけの知識を面接で披露しては落ち続ける。
なぜ、社会に出たことのない私たちが、企業という大きすぎる存在を相手にしてしまうのか?
まず私たちが知るべきは、企業の事業やIR情報ではなく、人事の心理なのでは?
なぜなら、内定を与えてくれるのは人事の社員や、人事担当の役員だからだ。
そう、現代文と就活の共通点は「筆者(=企業)」ではなく、「問題作成者(=人事)」の意図を知れば攻略できるという構造にある。
ES落ちの理由は「人事目線」が足りないから
ここからは、そんな「人事の読解法」を詳しく説明していきたい。A君の「ES落ち」する回答をもう一度見てみよう。
A君の回答
私は大学2年時に、1年間のアメリカ留学で異文化理解と語学力の向上に力を入れました。結果として、留学終了後はTOEICで900点を記録し、留学前から400点もスコアを伸ばすことができました。
この答えを、「人事目線」で考えてみよう。人事は、どんな学生を採用したいだろうか。答えはもちろん、営業職として活躍できそうな学生だ。
では、どんな能力があればメーカーの営業職で活躍できそうか? と考えてみる。すると例として、ざっと以下の要素が思い浮かぶだろう。
・顧客のニーズを把握する力:話す力、聴く力
・商材の知識を身に付ける力:下調べや準備の入念さ
・顧客ソリューションを提供する力:プレゼンのスキル、明るさ
※加えて、説明会や新卒採用サイトでも求められる資質を読み取れるだろう
あとは簡単。これらを言語化すれば、人事目線で「採用したい学生」に映る。
逆に、A君の回答は、これらの資質を全くアピールできていないのだ。模範解答として、私ならこう答える。
回答の一例
私は塾のアルバイトで、生徒の成績向上のため「授業の質」に力を入れています。
そのため、日頃から生徒や保護者との会話からニーズを探り、授業に取り入れています。
その経験から「ニーズを把握し、適切に伝える」大切さを学びました。
さて、A君の回答と比べて、どちらがメーカーの営業として活躍できそうだろうか……?
TOEICスコアも帰国子女も怖くない。「人事目線の思考」こそ最強の武器だ
もちろん英語力も大事かもしれない。けれど、「ただのTOEICハイスコア持ち」は早慶や東大にいくらでもいるだろう。あなたがすべきことは、人事が欲しがる学生像をアピールすること。それだけでいい。
今日お話ししたいことは以上だ。「宿題」を2つ出して、今回は終わりにしたい。
宿題1.「就活=受験」の構図をよく理解してきてほしい
宿題2. 自分の志望業界を思い浮かべて、例題をもう一度解いてみてほしい
──【第2講:就活は最終面接から逆算せよ】につづく
──町田イチロー、Twitterやってます。相談や質問はこちら(@MARCHdaICHIRO)へ
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・第2講:就活は最終面接から逆算せよ
・第3講:そんな自己分析やめてしまえ!すべては等身大の企業・業界分析から始まる
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・第5講:面接は「完璧」がスタートライン。無敵の回答のカギは4Kにあり
・第6講:OB訪問・説明会を攻略せよ。「それっぽい」就活生を脱するコツ
・第7講:MARCH生こそ胸を張れ
・課外授業:合説に参加するか否かを自分で考えるための仮説検証
・第8講:面接まであと1週間、後悔しないための「最終チェックリスト」
※こちらは2017年9月に公開された記事の再掲です。