こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を挙げてお届けする業界別質問集。今回は毎年就活生から圧倒的な人気のある、三菱商事や三井物産をはじめとした総合商社を取り上げます。頻出の質問に対してはしっかりとした回答を事前に準備していき、面接当日のリスクをできるだけ下げるようにしましょう。
頻出! 総合商社の面接質問
2017年卒・2018年卒の内定者の生の声を参考に、総合商社業界の面接で頻繁に聞かれる質問をピックアップしてみました。総合商社の面接で問われる質問の傾向として、「商社ならではの魅力を具体的な事業領域に絡めて語れるか」「他者から信頼を得て組織をまとめることができるか」を測るものが多いことが特徴です。
・学生時代頑張ったことはなんですか
・なぜ他の総合商社ではなく弊社なのか、その志望理由を教えてください
・入社後に携わりたい業務や事業領域を教えてください
・最近気になったニュースはなんですか
・なぜ総合商社がいいのか教えてください
・商社で具体的にどんなビジネスをやりたいですか
上記の質問を見ると、総合商社の面接ではオーソドックスな質問が多いことが分かります。あらかじめ対策が可能なので、内定獲得に向けて入念に準備をしておきましょう。
中でも、5大商社内定者が「頻繁に聞かれた」「対策しておいて本当に役に立った」と語る4つの質問に自信を持って答えられる回答例をまとめました。面接前にぜひご一読ください。
<目次>
●学生時代頑張ったこと:商社の業務内容に絡めた回答を意識しよう
●志望理由:理念や人を中心に話そう
●携わりたい業務や事業領域:特定の事業を答えるのはNG! 抽象的に魅力を語ろう
●気になったニュース:面接の朝は日経新聞の1面を必ずチェック。商社との関係を考えておこう
●企業ごとに異なる質問一覧
●おわりに
学生時代頑張ったこと:商社の業務内容に絡めた回答を意識しよう
総合商社の面接では、「学生時代頑張ったことは何か」というオーソドックスな内容が頻繁に問われます。このような質問は、「総合商社で活躍できる素養があるか」を評価するために聞かれているのだと考えられます。
総合商社での仕事は多岐に渡りますが、業務の特徴として
・リーダーシップを発揮して多様な関係者を巻き込む
・物事を調整する
・新しい仕組みやビジネスを創出する
といった要素が挙げられます。これらの素養を持っているかということを、過去の経験を聞くことで判断しているのです。この質問は、他業界の面接でも頻出しますが、総合商社の場合は上記の素質をアピールできるように論を組み立てる必要があります。
例えば、ある内定者は経験→背景→行動→結果の順で、以下のように回答したそうです。
【経験】
部長を務めた大学のテニスサークルで、団結力を向上させた。
【背景】
特に初心者のモチベーションが低く、参加率が低いことに問題意識を持った。
【行動】
彼ら一人ひとりに話を聞くと、「上達が感じられなくてつまらない」「活躍の場がないために面白くない」などの声が挙がった。
そのため、経験者に協力を仰ぎ、初心者の練習をサポートする制度を作った。また、テニス以外の場でも楽しい感覚を持ってもらうために、「イベント係」の役職を設け、月1回のペースで遊びを企画した。
【結果】
彼らのモチベーションと参加率は大幅に改善され、その後辞める学生はいなくなった。
また、学生時代の経験を聞く質問は、以下のような形で深掘り、または角度を変えて質問されることがあります。
【質問の深掘り】
・なぜそれを頑張ったのか教えてください
・その経験の中で苦労した点はなんですか
・その困難に対してどのように対処しましたか【角度を変えての質問】
・周りと信頼関係を構築した経験は何か
・周囲を巻き込んで何か成し遂げた経験があるか
・リーダーシップを発揮した経験はあるか
・人生で一番の挑戦は何か
・チームで活動する際、どのような役割を担うか
あらゆる角度から自分の強みや価値観などをアピールできるよう準備しておきましょう。
志望理由:理念や人を中心に話そう
同業他社を併願する学生が多い総合商社では、「なぜ他の総合商社ではなく弊社を志望しているのか」を問われることが多々あるようです。これは、内定を出した学生が競合の内定を得て自社を辞退することを避けるべく、志望度の高さを見極めるためだと考えられます。
志望度をアピールする軸は、事業・理念・文化・人・待遇など多々ありますが、総合商社では、理念や人に絡めた志望理由が無難といえます。事業や待遇は、学生が知り得る限りは各社横並びで比較が難しいためです。一方で、人を軸にして話す場合は、OB・OG訪問をその主張の根拠にできるので、考えやすいというメリットがあります。人の魅力と企業理念を絡めて話すことで、説得力を増せるようにしましょう。
住友商事や三井物産に内定した学生も、以下の要領で、結論→理由→結論の順序で理念と人の2つを織り交ぜた志望理由を話しています。
例1:住友商事
【結論】
私が数ある総合商社の中でも、住友商事を志望する理由は、理念と人に強く共感したからです。
【理由:理念】
まず、理念や行動指針にあるような、「信用を重んじる」「誠実に行動する」といった内容に魅力を感じています。私は、今までの経験から、他者と信頼関係を築いていくことが何よりも大切だと考えており、それを重要視していることに強く共感したからです。
【理由:人】
OB・OG訪問をした際にも、住友商事の社員の方々の姿勢に理念が浸透していると感じました。具体的には、社員の方々は全員が謙虚な姿勢で、否定することなく真摯(しんし)に私のつたない話を聞いてくれました。非常に好感を持ったと同時に、そのような社会人になりたいと強く思いました。
【結論:締め】
以上の理由から、私は他の総合商社ではなく、住友商事を第一志望としています。
例2:三井物産
【結論】
私が数ある総合商社の中でも、三井物産を志望する理由は、貴社の価値観と人に強く共感したからです。
【理由:価値観】
まず、三井物産が掲げる「挑戦と創造」の価値観に共感したためです。私は、今まで留学や学生団体、起業などの経験から、常に新しいことを行い、それに強くやりがいを感じてきました。そのため、社会人になっても新しいことに挑戦し続けたいと考えており、それを価値観として持っている貴社に魅力を感じています。
【理由:人】
実際に、OB・OG訪問をした三井物産の社員の方々からも挑戦と想像の精神を感じました。具体的には、社員の方々に「自身の新しい挑戦は何か」と聞くと、全員が自分の事業での挑戦を具体的にいくつも教えてくれました。他の総合商社の社員の中には、「まだ若手だから」といった理由などで明確な答えが返ってこないこともありましたが、三井物産ではそのようなことはありませんでした。全員が生き生きと自身の挑戦の話を語ってくれ、「挑戦と創造」の価値観が全社に浸透していると実感し、そのような環境で働きたいと強く思いました。
【結論:締め】
以上の理由から、私は他の総合商社ではなく、三井物産を第一志望としています。
人を軸にする際は、「波長があった」「尊敬するポイントがあった」など、志望理由のポイントは何でも構いませんが、なぜそう思ったのかをしっかりと語れるように準備しておきましょう。また、面接で詳しくOB・OG訪問の感想を聞かれることも多いため、どの部署の誰と会い、どのような印象だったのかを、しっかりと頭の中に入れてから面接に臨みましょう。
各総合商社の事業や社風についての詳しい比較についてはこちら。
・【データから見る商社】5大商社のビジネスを事業分析のプロが徹底解説!
・総合商社大研究!モテ度は?違いは?社員に聞けない秘密を徹底解明
携わりたい業務や事業領域:特定の事業を答えるのはNG! 抽象的に魅力を語ろう
総合商社では、「入社したらどのような事業に携わりたいか」といった、業務内容への興味・関心を問う質問がなされます。これは、総合商社の事業内容が多岐に渡るため、しっかりと理解した上で志望しているかを見たいからだと考えられます。
携わりたい仕事として特定の分野を答えると、「希望の部署に配属されなかったらどうする?」という質問への切り返しが難しくなってしまい、得策ではありません。そのためこの質問には、自身が興味を持っている事業内容に理由とともに言及しつつ、その理由が総合商社の業務全般に共通するポイントであることを付記すると良いでしょう。
以下、内定者の実際の回答例を紹介するので参考にしてみてください。
【興味のある事業】
電力事業に興味があります。
【理由】
なぜなら、ゼネコンや海外の政府など多くの人を巻き込んで、調整しながら主体的にビジネスを行っていくこところに引かれているためです。
【抽象化】
しかし、それ以外の部門でも問題ありません。なぜなら、上記した電力事業に魅力に感じる点は総合商社のビジネスモデルそのものであり、他の商材を扱っても似たような形で仕事が行えるためです。
気になったニュース:面接の朝は日経新聞の1面を必ずチェック。商社との関係を考えておこう
総合商社の面接では、「最近の気になるニュースは何か」という質問がされます。これも先見性で勝負する総合商社特有のビジネスモデルが関係していると考えられます。
総合商社は自社で製品などは持たず、時代に合わせてトレーディングや事業投資などの業態や、注力する事業領域を変えており、そうした意思決定にはビジネスに対する知識や先を読む力が必要となるためです。
以下に、実際の面接で聞かれた質問と回答例を2つ紹介します。
例1:「イギリスのEU離脱による影響はどのようなものがあるか」
【解答例】
イギリスに生産拠点を持つ日系メーカー、および総合商社の利益が下がる可能性があると考えます。
まず、EU離脱により今までEU間の輸出入で掛からなかった関税が掛かるようになると予想できます。そのため、それを避けるために日系メーカーはイギリス以外のEUの国へ生産拠点を置くようになるでしょう。加えて、ポンドの為替リスクも増えるため、取引も慎重になると考えられます。
加えて、イギリスマーケットへの参入は追加でコストが掛かるため、メーカーの利益が減少すると考えられます。
その結果、イギリスに注力することが減り、その分メーカーと総合商社が今まで行っていたイギリス関係のビジネスが減り、総合商社にとっても痛手になるでしょう。
例2:「円安と円高、どちらが商社にとってメリットか」
【解答例】
事業のフェーズや場合によって変わってくると思います。
例えば、海外の鉱山や油田などに権益投資する場合には、円高の方が安く買うことができ、メリットといえます。
その後そこで得られた収益は、円安の方が日本円で換算した収益としては大きくなるでしょう。
従って、投資時には円高、投資後は円安の方が収益をあげることができるといえます。
以上より、事業のフェーズや場合によって、円安と円高どちらが総合商社にとってメリットかは変化するでしょう。
このように、世界の市況を見極め、「将来どのような変化が起こっていくのか」について自分なりの考えを持っているかということが測られています。商社はエネルギーや金属といった資源ビジネスを手掛け、マクロ環境に左右されるビジネスが多いので、世界の経済状況を把握しておきましょう。
そのために、日経新聞などの経済誌を定期的に読み、興味のあるニュースには「商社がどう関係しているか」「ビジネスにどんな影響があるか」考える癖をつけておくことが有効です。面接当日の新聞1面は必ずチェックしてから臨みましょう。
企業ごとに異なる質問一覧
ここまで、5大商社でよく聞かれるオーソドックスな質問4つと模範回答例をお届けいたしました。
総合商社の面接選考ではオーソドックスな質問が多いといわれていますが、中には企業ごとの特色が出ている質問や奇をてらった質問が課される場合もあります。こちらでは、2020年卒の面接選考にて選考を受けた学生が実際に面接官から聞かれた質問をご紹介いたします(※)。
(※)……こちらは選考対策ページの情報を元に作成しております。今年度も同様の質問が課されることを保証するものではありませんのでご注意ください。
・少子化が進むなか、企業がグローバルに勝ち続けるには何をすればいいと思う?(三菱商事の選考対策ページより)
・他の国の人と比べて日本人の強みは? 弱みは?(三菱商事の選考対策ページより)
・将来オリンピックを開催すべき国はどこか(伊藤忠商事の選考対策ページより)
・日本が世界に発信していくべき魅力は何か(伊藤忠商事の選考対策ページより)
・世の中で理不尽だと思ったこと(住友商事の選考対策ページより)
・モチベーションが上がるとき、下がるときはどういうときか(住友商事の選考対策ページより)
・10年後に商社に必要な技術はなにか(丸紅の選考対策ページより)
・うまくいっている事業とうまくいっていない事業のどちらに力を入れたいか(丸紅の選考対策ページより)
・海外志向が強そうだが、双日では海外に行けない事業が結構ある。それでも良いのか(双日の選考対策ページより)
・一緒に働きたい人・働きたくない人(豊田通商の選考対策ページより)
・あなたの皮を剥いだときに残るものは(豊田通商の選考対策ページより)
さらに詳しく質問をご覧になりたい方は、下記の企業別選考ステップをご覧ください。
おわりに
いかがでしたか。
総合商社の面接は奇をてらった質問は少ないものの、油断は禁物です。各社の社風や企業風土、業務などをしっかりと把握した上で、自分がその企業で活躍できる人材であることをアピールしましょう。
各社の詳しい選考ステップや合格の秘訣は、以下のページをご覧ください。
▼各企業の選考対策ページはこちら
三菱商事
三井物産
伊藤忠商事
住友商事
丸紅
双日
豊田通商
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▼総合商社の選考対策についてさらに詳しく知りたい方はこちら
・【総合商社の筆記試験対策】ボーダーは9割? WEBテストの種類と通過率まとめ
・【ES対策】総合商社のエントリーシート通過例56選(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)
・面接質問集&回答例!総合商社の内定者が就活中に聞かれた過去問
・【面接・GD対策】5大商社の鬼門面接(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)
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・面接対策:就活で定番の質問と回答例・強みを企業にアピールするコツ