インターンシップは、就職する前に職場の仕事を体験できる制度です。学生にとっては、就職を希望する企業の業務や働く環境を間近で確認できる良い機会だともいえます。また、インターン先の社員に質問を行うことで、好印象を与えることもできます。
そこで今回は、好印象を与えるインターンシップの質問例と、避けるべき質問やマナーについて解説します。今後、インターンシップに臨む学生は、ぜひ参考にしてください。
インターンシップで質問した方が良い理由
インターンシップ中に積極的に質問することで、さまざまメリットがあります。ここでは、インターンシップで質問した方が良い理由を具体的に解説します。
社員の生の声が聞ける
インターンシップは、現場で働く社員の生の声が聞ける絶好の機会です。細かな業務内容や仕事に対する考え方などは、企業のホームページを閲覧する、説明会に参加するといったことだけでは、なかなか見えにくいものです。企業への志望度が高ければ高いほど、「実際に働く社員の働き方を知りたい」「残業はたくさんあるのかな?」など、疑問や不安が出てくることがあるでしょう。インターンシップに参加すれば、職場の雰囲気や、社員の仕事への姿勢などを自分の目で確認できます。
また、社員と積極的にコミュニケーションを取ることで、個人的な意見やアドバイスを受けられることもあるでしょう。インターンシップに参加し、働く社員のリアルな声を聞くことで、企業への理解を深めることができます。
企業が自分に合うかどうかの判断材料になる
インターンシップで質問することは、企業が自分に合うかどうかの判断材料になることもメリットの1つです。インターンシップに参加することで、事業に対する考え方・求める人材・福利厚生・社内の雰囲気などを事前に知ることができます。
例えば、「大きなプロジェクトに関わりたい」という就職の希望がある場合は、「今後の事業展開」に関する質問をすることで、自分に合った企業かどうかを知ることができます。就活をする中で、自分にとって譲れない判断材料がある人は、インターンシップでの質問を活用しましょう。
志望度の高さが伝わる
企業側に志望度の高さが伝わるというのもインターンシップで質問する魅力の1つです。質問を通じて、自分が志望する理由や熱意を、直接社員に伝えることができます。自社に興味があることを採用担当者が知り、本選考の評価に加えることも考えられます。
積極的に質問した場合、企業が学生の前向きな姿勢を評価し、良い結果につながるケースもあるでしょう。また、質問することで採用担当者の目にも留まりやすく、面接の前に顔と名前を覚えてもらうチャンスにもなります。志望度の高さを伝える質問をすることで、就活を有利に進められることもあるでしょう。
インターンシップで聞くべき質問は? 質問例を紹介
インターンシップで社員に質問するときは、事前に具体的な内容を決めておくことをおすすめします。どのような質問をすれば良いのか迷っている学生は、以下のような項目の中から選んでみましょう。
・事業や仕事の内容
・社風
・仕事のやりがいや魅力
・必要な能力やキャリアパス
・福利厚生や働き方
ここでは、項目ごとに質問の例文を挙げていきます。
事業や仕事の内容
インターンシップでは、事業や仕事の内容に関することを聞くのがおすすめです。入社前に事業や仕事の内容を把握しておくと、自分が働く姿を具体的に想像しやすくなります。また、入社後に職場とのミスマッチが起こりにくくなるでしょう。
一日もしくは1カ月の仕事の流れを聞いておくと、どのような働き方をしているのかがイメージでき、入社後もギャップを感じにくくなるでしょう。
質問するときには、以下のような例を参考にしてください。
・具体的な業務の内容をご教示いただけますか。
・一日の仕事の流れを教えていただけますか。
・業務を行うときに注意されていることはございますか。
・主な顧客をご教示ください。
・御社の強みを教えていただけますか。
・今後、新たな事業に取り組まれるご予定はございますか。
社風
質問をするときには社風を聞くのもおすすめです。実際に働く社員の声を聞くことで、自分に合った職場なのかを判断する大事な要素となります。
社員同士の呼び名や接し方などを聞くと、職場の雰囲気が把握しやすいでしょう。企業の社風や雰囲気が、自分の求めている環境かどうか、確かめてみることをおすすめします。
社風に関する質問を行う場合は、以下のような例を参考にしてください。
・上司の方とは仕事以外の話もよくされますか。
・社員同士の呼び名はございますか。
・飲み会などの交流会は、どのくらいのペースで開かれていらっしゃいますか。
・社風について、どのように感じていらっしゃいますか。
・日頃から社員の方々が取り組んでいらっしゃるコミュニケーションはございますか。
仕事のやりがいや魅力
インターンシップでは、職場で働く社員に仕事のやりがいや魅力を聞くのも良いでしょう。現場の声を聞くことで、経験できる業務や身につけられる能力などが分かります。
日々の業務のやりがいを知ることにより、入社前後でイメージのギャップが生じにくく、仕事へのモチベーションを維持しやすいでしょう。社員に仕事のやりがいや魅力を聞き、入社後のイメージを明確にしましょう。
仕事のやりがい・魅力に関する質問は、以下のような例を参考にしてください。
・過去に仕事で大変だったことはございますか。
・仕事でのやりがいを教えていただけますか。
・モチベーションを保つ方法をお教えいただけないでしょうか。
・今後、取り組まれたい仕事はございますか。
・過去に経験された業務を教えていただけますか。
・仕事で達成感を覚えられた出来事はございますか。
・もう一度、取り組みたいと思っていらっしゃる仕事はございますか。
必要な能力やキャリアパス
仕事に必要な能力やキャリアパスについて、実際に働いている方に意見を聞いてみましょう。必要な能力を知ることで、自分のキャリア形成にも役立ちます。
入社後、どのような能力を身につけるべきなのか把握できれば、キャリア形成に必要なプロセスもおのずと見えてくるでしょう。
必要な能力・スキルに関する質問を行う場合は、以下のような例を参考にしてください。
・これまで、どのような経験を積んでこられましたか。
・今後のキャリア形成をご教示いただけますか。
・各スキルが活用される場面をご教示いただけますか。
・入社してから身につけられたスキルはございますか。
・活躍するために、入社前に身につけておくと良い知識はございますか。
福利厚生や働き方
インターンシップのときには、企業の福利厚生や働き方を確認しておきましょう。充実した福利厚生や社員研修制度などを取り入れている企業は、社員の働き方(労働環境)の改善に力を入れている傾向にあります。
例えば、有給休暇や育児休業の取得を推進している企業であれば、実際に制度を利用している社員は多いはずです。他にも、住宅手当や資格習得への支援制度はあるのかなど、多角的に見て社員の待遇を判断するのがポイントです。5年後、10年後も長く働くことを想定して、福利厚生やさまざまな制度を冷静に比較し、自分の求める働き方とマッチするかを判断しましょう。
社員に質問する場合は、以下のような例を参考にしてください。
・有給休暇の取得率をお教えいただけないでしょうか。
・休日出勤はございますか。
・資格習得を支援する制度はございますか。
・住宅・家族手当はございますか。
・産前産後休業の取得率をお教えいただけないでしょうか。
・育児休業の取得率をお教えいただけないでしょうか。
インターンシップでの質問のマナー
インターンシップで質問をする際は、マナーを理解した上でたずねる必要があります。前提として、社員に敬意を払い、言葉遣いや質問内容が失礼にあたらないよう注意しましょう。ここでは、以下のような質問のマナーを覚えておきましょう。
・質問内容の下調べをする
・社員のプライベートに関することは聞かない
・質問するタイミングを見極める
・待遇や条件に関する質問ばかりしない
・自分の意見を持ってから質問する
・質問内容はメモを取る
項目ごとに紹介します。
質問内容の下調べをする
インターンシップで質問する場合は、志望企業の理念や事業内容について事前に調べておきまましょう。ホームページや企業案内を確認すれば分かることは、質問すべきではありません。
志望意欲が高くインターンシップに参加しているのであれば、事前に企業研究をしておくことが必須だといえます。企業側も、自社や業界に関する基礎的な知識を有していることを前提に接してきます。見当違いな質問をしてしまうと、企業理解が不十分な学生だという悪い印象につながりかねません。
「ホームページで確認したけれど、答えが見つからないこと」や、「企業で働く社員だからこそ分かること」を念入りに下調べして、準備しましょう。
社員のプライベートに関することは聞かない
インターンシップ中、社員に質問するときは、仕事に全く関係のないプライベートな内容を聞くのは控えましょう。
住所や交友関係など、プライベートを深掘りするような質問を不快に感じる方もいます。「住所は、◯◯市のどのあたりですか?」など、個人情報を探るような質問はNGです。
質問するタイミングを見極める
インターンシップで質問する場合は、対応する社員の状況を把握した上で、タイミングを見極めてから行いましょう。社員は、インターン生の教育や指導を行うと同時に、自分の業務も進めています。タイミングによっては、手が離せないケースもあるでしょう。
例えば、クライアントと打ち合わせを行っている際に不用意に質問をしてしまっては、仕事に影響を及ぼす可能性があります。休憩中や仕事の合間で手が空いたときなど、質問する場面を現場の状況から読み取り、適切なタイミングで質問しましょう。
待遇や条件に関する質問ばかりしない
給与や待遇面に関する質問を避ける必要はありませんが、さらに条件の良い職場があれば、そちらを選ぶのか、などと余計な疑念を抱かせるかもしれません。福利厚生や待遇面に関する質問は、印象が悪くならない程度に抑えておくことをおすすめします。
自分の意見を持ってから質問する
インターンシップで質問をするときは、自分の意見を持った上で行いましょう。質問した内容に関して、答えだけを求めてしまうと相手にマイナスな印象を与える可能性があります。
質問する内容に仮説を立て、自分の意見を付け加えて質問します。例えば、「◯◯に関して、私はこのように思っています。御社の考えをお聞かせいただけますか」といった具合です。
質問内容はメモを取る
質問する際は、メモを用意することをおすすめします。社員は質問に対し、可能な範囲で誠意を持って答えようとするためです。
複数の質問を行った場合、丁寧に1つずつ回答してくれることもあるでしょう。また、内容によっては調べた上で答えてくれるケースもあります。メモを取って良いか迷った場合は、事前に「メモを取ってもよろしいでしょうか」と確認しておくとスムーズです。
おわりに
今回は、好印象を与えるインターンシップの質問例と、避けるべき質問やマナーをお伝えしました。インターンシップでの質問は、内容によっては自己PRにもつながります。質問をするときは、適切な内容かどうかを確認してから行いましょう。