今春ドラマ化もされている、東村アキコ先生の話題作「東京タラレバ娘」は、アラサー女3人が過去の選択に後悔しながらも幸せを掴むもがく姿が共感を呼ぶ、大人気漫画である。同時に、今後のライフプランを真剣に考え始める我々20代前半組にとって反面教師にすべき人生の教科書でもある。
作中のキャラクターたちが嘆く「あの時もっとこうしてタラ」「あの時ああ言えてレバ」の「あの時」とはまさに20代前半の我々にとっての「今」なのである。
しかし筆者の周りにはタラレバ娘の予備軍、いや、タラレバ娘よりももっとタチが悪いかもしれない「デモケド娘」がその勢力を広げつつある……
就活辛すぎ結婚したいwww
大学生活後半、就職活動という人生をかける大イベントも半ばに差し掛かると女子たちはみな、呪文のように唱え始める。
「辛い、もう結婚したいwww」
「就職せずに結婚するのもアリだよねwww」
もちろん結婚して専業主婦になることがベスト、だとは思っていない。本音では誰よりも「いい会社」に入って、やりがいのある仕事をする社会人になりたいと思っている。だが就活というストレス地獄にどっぷりはまり、嫌でも将来のことを考えていると現実逃避せずにはいられない。
キラキラ?「社会人」ラベル
不安だった就活を乗り越え、実際に仕事が始まると女子会の話題も変わってくる。
「今度〇〇社の担当になってね」
「超頭良い先輩が引き抜きされる〜って噂で」
「決算の時期は全然家帰れなくなるんだ」
慣れない環境ながらも、毎日新しいことを覚え、「社会人」というステータスを実感するにつれて喜びを感じ始める。しかしこの「社会人」というステータスが20代女子たちを不吉な方向へ導くこともあるのだ。
急に飲み会の付き合いが悪くなったA子
友人A子は、よく集まる女子メンバーの1人。
就職しても相変わらず酔っ払って「扶養されたーーーい」などと嘆きまくる私に「ほらほら飲み過ぎないの〜!」と笑顔で介抱してくれる姉御肌。
彼女は大手コンサルに就職し、アカウンティング担当チームの1人として毎日夜遅くまで仕事をこなしていた。
「結婚ね〜。将来はしたいけど今はないかな。あ、ごめん明日も仕事早いからもう帰るね!」
まさにバリキャリまっしぐらの社会人。
そんなA子は夏が過ぎた頃、急に飲み会の付き合いが悪くなった。
まあ便りがないのは元気な証拠!そう軽く思っていた私のもとに突然A子から驚きの電話が掛かってきた。
浮気にはまっていく
A子:久しぶり! ちょっと相談したいことがあってさ……
私:久しぶり〜! なんだね、男かい?
A子:……うん
私:あらまーー! 彼氏? どんな人?
A子:彼氏ではない……、んだよね。もう半年くらいになるんだけどさ
私:え? ちょっと詳しく
A子は夏頃、小さなミスが続き、上司から
「仕事任せ過ぎたかな、少し減らそうか」
と言われたことがあったという。誰よりも早く仕事を覚えたいと必死だった彼女は人一倍仕事に取り組んだ。しかし上手くいかないことは重なる。
「簡単な仕事なはずなのになんでこんなに時間かかっちゃうんだろう……。」
落ち込んでは「でも他の人も頑張ってるし」と自分を励まし、また仕事に戻る、そんな日々が続いていた。
そこで彼女はストレス発散のためにジムに通い始めた。
そのジムで出会ったのがBさん。
彼は30代でもう6年以上付き合っている彼女がいるが、遠距離でなかなか彼女には会えていない。
「ご飯食べてから帰らない? 美味しいお店見つけたんだ。」
家の近い2人は帰りが一緒になることも多く、自然と2人でいる時間も多くなった。
彼の優しい言葉に甘えてしまう……
「大丈夫だよ。A子が頑張ってるの知ってるよ。」
日々掛けられるやさしい言葉の数々。彼の気持ちが自分に向いていることに気が付かない方が難しかった。浮気をするような人、本気で彼女になろうとも思っていない。だケド……
もう少し一緒にいたい。年上の彼なら思いっきり甘えられる。
「彼女のことちゃんとするからっていうの。デモたぶん嘘だと思う。ケド彼の優しさに負けちゃうんだよね。デモそれで安心する自分がいて。最低だケドさ……」
デモケドデモケド...... A子は自分の非を認めながらも、そこから抜け出せない立派な「デモケド娘」になっていた。
そんな「デモケド娘」にならないために
学生時代なら女友達からそんな話を聞いたら必死に説得して、今すぐ別れるように諭した。
デモ、「男の人に甘えたい」と思う彼女たちの気持ちも痛いほど分かる。筆者も仕事ばかりの日々に嫌気がさして合コンに参加してみたり、なんだか自分に気がありそうな先輩と食事に行ってみたりしたこともある。(飲み過ぎて全くモテなかった……)
上手くいかない日々、仕事の弱音を友達には言いづらい。「デモケド娘」は優しくしてくれて甘えられる存在を求め始めるのだ。
タラレバ娘は「あの時あの人と付き合ってタラ」「もう少し素直になれていレバ」とこれまでの恋愛に怠惰であった自分への言い訳を重ねているといえる。一方、デモケド娘は「デモ、彼がいると仕事頑張れる」「ダメだと分かってるケド、一緒にいたい」とろくでもない結論が見えている恋愛にのめり込んでいく。社会人になり、少し背伸びして頑張っているしわ寄せが出てしまったのかもしれない。
対処法は簡単で、仕事でもプライベートでも「辛い、寂しい」と感じたときにSOSを出せる友人、上司をちゃんと作っておくことなのだ。心に余裕があれば、不倫を選ぶ理由はない、はず。
みなさんもA子のようなデモケド娘にならないようお気を付けくださいませ。