※こちらは2017年3月に掲載された記事の再掲です。
2016年6月に、「就活のせいで自殺するかもしれません」という投稿が話題を集めました。
経団連の人へ
あなたたちが定めた就活のせいで自殺する学生が出るかもしれません。
(中略)
覚えきれないくらい企業を受けて、全部に否定されて、もう頑張るのが怖いです。
でも何もしないのも焦ります。
だから、死んだ方がマシだな、と思ってしまいます。
(中略)
なんでこんなに苦しい就職活動を作ったのですか。
なんでこんなに翻弄されなければならないのですか。
※引用:Hatelabo::AnonymousDiary「就活のせいで自殺するかもしれません」
これを読んで、「他人事とは思えない」と感じた就活生も多いのではないでしょうか。
今日は、どのくらいの就活生が就活を苦しいと思っているのか、その理由と、どうすれば少しでも苦しさから抜け出せるのかを、データを見ながら考えたいと思います。
どのくらいの就活生が就活を苦しいと思っている?
自殺する大学生の5人に1人が就活・進路関係を苦にしている
文部科学省の「平成27年度学校基本調査」によると、大学の学生数は約255万6千人です。
一方、警視庁の「平成27年中における自殺の状況」によると、自殺した大学生は397人で、全体の約0.016%程度になります。
397人の内訳を見ると、「経済・生活問題:31人(うち就職失敗17人)」「学校問題:169人(うち進路の悩み64人)」と、就職・進路関係の悩みで自殺する人は81人で、20%(5人に1人)を占めます。
ある調査では、3人に1人が「就活中に『死にたい』と思ったことがある」と答えた
2013年にNPO法人ライフリンクが行った「就活に関わる意識調査」によると、「就活開始後に、『本気で死にたい・消えたい」などと考えたことがあるか」という質問に対して、全体では21%(※1)の人が「ある」と答えました。
調査時点で就職活動を継続している人に限定すると、32.6%(※2)とさらに数値が上がりました。
(※1)出典:自殺対策支援センターライフリンク「就活に関わる意識調査 P.6」
(※2)出典:自殺対策支援センターライフリンク「就活に関わる意識調査 P.15」
死にたくなるほど、就活を悩んだ理由
続いて就活生が就活について悩む理由を見ていきましょう。
希望する就職先から内定をもらえないのではないか?
※出典:自殺対策支援センターライフリンク「就活に関わる意識調査 P.8」
まず、ライフリンクの「就活に関わる意識調査」によれば、「就職活動を進めるうえで不安はあるか」という質問に対し、「とてもある」(41%)・「ややある」(39%)が、2つ合わせて80%と大半を占め、上位の理由に「希望する就職先から内定がもらえないのでは」「どこからも内定がもらえないのでは」「自分だけ取り残されてしまうのでは」が挙げられました(※3)。
『お祈りメール』『学歴フィルター』『ルール違反』といった企業の対応
「就職活動について不満に思うことがあるか」という質問については、70%の人が「ある」と答え、不満に思うこととして「『お祈りメール』や『サイレントお祈り』(=応募した企業から選考の合否結果の連絡が来ないこと)など企業の不誠実な対応」「『学歴フィルター』による水面下でのふるいわけ」「セミナーと称した面接会の実施など、選考過程における企業のルール違反」などを挙げていました(※4)。
新卒一括採用のシステムそのものに厳しさを感じる
さらに、ライフネット生命が2013年に行った「2013年就職予定者に聞く、『就職活動』に関する調査」でも、「就職活動を振り返ってどのように感じているか」という質問に対して、「厳しく感じている」が63.4%と、「楽に感じている」の9.1%を圧倒的に上回る結果になっています(※5)。
新卒一括採用については、55.1%が「不満を感じている」と答え、不満を感じる点としては「新卒でないと就職が不利になること」(69.0%)・「応募・選考時期が重なること」(49.2%)・「学業を修める(単位修得)前に就活をすること」(44.4%)と、新卒一括採用のシステム自体への本質的な疑問が挙げられていました(※5)。
ライフリンクの調査でも挙がった「サイレントお祈り」についても、7割の学生が「経験がある」と答えています(※6)。
ここまでの調査の結果は、このようにまとめられます。
・大半の人が就活を厳しいものと感じていて、中には死にたくなるほど悩む人もいる(※3)出典:自殺対策支援センターライフリンク「就活に関わる意識調査 P.8」
・限られた就活の期間内に、内定を得ることができるかが不安
・さらに、内定を得られないと就職自体が不利になるという、就活システムが不満
・サイレントお祈りなどの、企業の不誠実な姿勢が不満
(※4)出典:自殺対策支援センターライフリンク「就活に関わる意識調査 P.10」
(※5)出典:ライフネット生命「2013年就職予定者に聞く、『就職活動』に関する調査」
(※6)出典:自殺対策支援センターライフリンク「就活に関わる意識調査 P.10」
少しでもマイペースに就活できるよう、就活生優位な業界や企業を探そう
新卒一括採用というシステムにがんじがらめにされた就活生の最大の悩みは、「ヨーイドンで一斉に走らされ、他人が次々とゴールする中、自分だけがゴールできない焦り」ではないでしょうか。
ネット経由で就活生に入ってくる情報もその一因です。「就活サイト」をはじめとしてネットでは「もう、内定が出ている」「まだ内定を持っていない学生はヤバイ!」などの情報に溢れています。
本当は、自分の一生を左右する問題だから、いろいろ試行錯誤して決めたい。
だけどムダに焦らされるから、興味もない会社をいくつも保険に受けることになり、疲弊ばかりして、なぜ自分が就活をしているのかすら分からなくなっていく。
そんな心理に悩まされるのではないでしょうか。
現在の大学生は、就職氷河期やリーマン・ショック時に就活をした学生に比べれば、はるかに売り手市場といわれていますが、すべての企業で採用人数が増えているわけではありません。
ただし会社の規模別や業界別に見れば、就活生が優位なところが存在します。
会社の規模では、2016年3月卒の大卒求人倍率は、5千人以上の大手企業が0.55倍。一方、300人未満の企業では3.59倍(※7)と、中小企業の方が就活生にとって優位といえます。
また、業界別に見れば以下の表から分かるように建設業や流通業が優位になります。
※出典:リクルートワークス研究所「第33回ワークス大卒求人倍率調査 P.7」
なかなか就職が決まらないで悩んでいる人は、就活生が優位に立てる業界を研究して、その中でも労働環境がよい会社を選び、できるだけマイペースに就活を進めることができるような戦略を立てると、少しは気が楽になるでしょう。
それでも本当に行き詰ってしまった時は、いったん就活をやめて、十分な休みを取った方がいいかもしれません。
自分がやりたい仕事に出合うという本来の目的を離れて、「とにかく期間内に、何でもいいから内定が欲しい」とまで思いつめた結果、不本意な会社に入社するよりも、少し冷静になってみましょう。少し遠回りしたけれど今は何とかやっているような大人を見つけて、話を聞いてもらったりすると参考になるかもしれません。
(※7)出典:朝日新聞 DEGITAL「データで見る就活」
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