※こちらは2017年9月に公開された記事の再掲です。
デキるビジネスマンが筋トレをしているというのはかねてより耳にしていたが、実際、社会に出てみて間違いなくその傾向を感じる。
優秀な経営者が仕事の合間を縫ってジムに通い、フンフン言いながらせっせとベンプレをあげている。余りにもその傾向がある。控えめに言っても、ある。
いや、筋トレと仕事に何の関係があるんだよ、と普通の学生なら思うだろう。私も思っていたが、社会人をやってみてこれらが明確に関係することを確信した。筋肉によって何が得られるのか。まずは「交渉力」だ。
たとえばあなたがメーカーの販売員だとして、あなたの会社の商品を1トンあたり$300以上で売りたいと思っている。しかし取引先は、かたくなに$200でしか買えないと言う。そこでミーティングを設定する。
取引先は、1トンあたり$200以下でしか買わないと心に決めて来ている。死んでも$200以下でしか買わない。出来れば$180で買いたいと主張してくる。それでないと買えない。そして先に会議室に着いた取引先の元に、あなたが入っていく。ムキムキの、あなただ。
ムキムキのあなたが、どのくらいムキムキなのかと言うと、余りに発達した三角筋により会議室のドアに両肩がつかえてしまいスムーズに部屋に入れない程だ。「失礼」。あなたは、そう言って身を屈めて部屋に入って来る。完全な戸愚呂、弟。
怪物を前に目が点になっている取引先。あなたは信じられない程に発達した筋肉を見せびらかしながら悠然とストレッチをし、事務の女の子が持って来たお茶のグラスを秒で木っ端微塵に握り潰してから言う。「1トン当たり、$500で買ってもらえませんかねェ?」。取引先は言うだろう。「アアアアあああ有難き、幸せええぇぇぇぇえええええええっっっtイ!!!!」。
度を超えたムキムキを前にして、取引先のカタい「決意」や強い「意志」などは、何の意味も為さない。筋肉はその存在だけでオスとしての優位を示し、相手を圧倒し、交渉を優位に持っていく力がある。筋肉を用いたハッタリの交渉、筋肉交渉。これは確実に成り立つ。
そして、筋肉の利点はこの「見てくれ」だけに留まらない。筋肉は見せ物としての効果以外にも、ビジネスシーンにおいての実用的な側面も兼ね備えている。恐ろしい程の筋肉。そこから生み出される無限のパワー。
その筋肉をビジネスシーンで躊躇無く解き放ち、筋肉任せに相手を全力でブン殴ると一体何がどうなるか、皆さんはご存知だろうか? ブン殴られた方は、「死ぬほど痛い」のだ。
例えば、あなたが、あるメーカーに勤めるムキムキだとしよう。あなたのムキムキがどのくらいのムキムキかと言うと、恐ろしいほどのムキムキだ。あなたの会社が納品した商品に欠陥が見つかり、売り先の会社からクレームが入っている。そこであなたというムキムキは、先方に呼び出された。
会議室に入って来たのは、取引先のひょろ長いモヤシ系担当者。モヤシは、ここぞとばかりに商品の欠陥に対してクレームを並べてくる。「御社の商品ですがねぇ…ごにょgごにょ」。
そんなごにょごにょと文句を並べてくるモヤシを前にしてあなたというムキムキは何も言わずにゆっくりと立ち上がって悠然と接近し、「フン」と言って力任せに相手をブン殴る。モヤシが2m吹っ飛ぶ。
モヤシは、顔面を殴られた痛みに恐れ戦いて震え上がり、のたうち回って言うだろう。「お、っおおおおお、お御社商品のけけけk欠陥の件ですが、ああああ、ああ、あ、あれは、こ、こここここ、こちらのフォォォルトでええええすっすすすすすす!!!!」
筋肉による圧倒。筋肉による制圧。事実として、これは確実に成り立つ。「フン」と言ってシンプルにブン殴る。ただそれだけで効果覿面、万事解決。これは、ビジネスシーンに限ったことでもなく、就活シーンでもそうだ。
例えば面接の場において。「あなたの長所はなんですか」と聞いてくる面接官に対し、身長230cm、体重190kg、ウエスト80cm、胸囲300cmのあなたは何も答えずに無言で目を瞑っている。
「おい、聞いてるのか。何か答えなさい」と声を荒げる面接官。あなたというムキムキはゆっくりと立ち上がり、悠然と面接官に近付いてから「フン」と言って面接官をブン殴る。
面接官はこれまでの人生で受けたことのない衝撃を前に軽く4mは吹っ飛び、血を流して倒れ込み、頬を抑えながらこちらを見るが、顎の骨が折れてしまっているために上手く話せない。「vpわlpれplけあおこ」。あなたは言う。「どうですか? 俺の長所は」。内定。
面接以外でも、あらゆる就活シーンにおいて、筋肉から放たれる暴力が火を噴くことは間違いない。そこは課題解決型のグループディスカッション。お題は、「若者の投票率をあげる方法を考えよ」。
メンバーの内、あなた以外の5人は全員、「若者を政治に興味を持たせるべき」ということで一致しているが、ムキムキのあなただけは「シンプルに強制するのみ」と言う。意見が別れてしまった。
5人のうち最も頭のキレるコンサル志望の男子学生が、とうとうとロジックを詰めてくる。コンサル志望だけある。ロジックに次ぐロジック。次々と論拠を示し、ムキムキのあなたを追い詰めてくる。
あなたは自分の論理が矛盾だらけであることに気付く。自分でも話していて何を言っているのか分からなくなってきている。そこで目を閉じ、ゆっくりと無言で立ち上がって服を脱ぎ、悠然と接近して「フン」と言いながらマルタのように太い腕を振り回してコンサル志望をシンプルにブン殴る。
その拳の威力はと言うと4トントラックが時速140kmで突っ込んで来た際のパワーに等しい。コンサル志望はその恐るべし力学的エネルギーを前になす術なく、律儀なまでに力学的法則に従って緩い放物線を描きながら8m近く吹っ飛んだ挙げ句、血を流しながら壁にメリこんで意識を失う。
残りの4人は絶句し、恐怖に怯えながら言うだろう。「セ、選挙率あげるには、きょ、きょ、強制するしかないですよね」「あ、あ、ああ、ぼぼぼ、ぼくもそそそう思ってました」「わわ、わわわたしもははは始めからそそそう思ってました」
あなたは筋肉議論において筋肉勝利を納め、筋肉ガッツポーズをし、グループ筋肉ディスカッションを筋肉リードした筋肉過程が認められて筋肉内定を勝ち取り、筋肉家路を急ぎながら筋肉スマイルを浮かべる。
何が言いたいのか。
つまるところ、本当に切羽詰まった状況では「筋肉」こそが、「暴力」こそが、いや「パンチ力」こそがビジネスシーンにおける最大の価値なのであり、パンチ力の強い人間が最も優れたビジネスマンであるということだ。
どんなロジックも、どんなビジネスアイデアも、どんなストックオプションも、相対する筋骨隆々から放たれる「フン」というパンチから、その物理攻撃からあなたを守ってくれることは絶対にない。全ては「フン」に及ばない。つまり世界一のビジネスマンは誰なのか。マイク・タイソンである。
ビジネスだ、社会だ、未来だ、何だと語ってる奴ら。ぬうぬうと訓示を垂れてる奴ら。ごちゃごちゃウルせぇ。表に出ろ。全員右ストレートでぶっ飛ばす。ワンパン。ワンパンでぶっ殺す。
マイク・タイソン。彼のビジネス力を以てすれば、経団連会長の演説の最中に突然壇上に上がり一瞬でワンパン。世界の未来を語り始めたイーロンマスクの胸ぐらを掴みワンパン。慈善事業に巨額の資金を寄付するザッカーバーグの有難い説法を大人しく聞いていると思いきや突然接近してワンパン。
あらゆる、全ての名だたるビジネスマン達を前にして、臆することなく、無慈悲のワンパン祭り。マイク・タイソン。誰も太刀打ち出来ない、最強のビジネスマン。
そしてワンパンで世界の頂きに立ち、暴力を武器にビジネスマンの頂点に君臨したタイソンにゆっくりと近付き、たった一撃でタイソンをワンパンしてしまう男、その名も「範馬勇次郎」。彼が、
彼こそが最強のビジネスマン。そしてそんなキングオブビジネスマンである範馬勇次郎に対し真正面から悠然と接近し、右腕それのみを武器に、問答無用で範馬勇次郎をワンパンしてしまうビジネスマン。その名も、「ワンパンマン」。
そしてそのワンパンマンすらもアンパンチと呼ばれる右ストレートで星の彼方へと葬り去ってしまう伝説のボクサー、「アンパンマン」。
彼こそ、この星が生んだ最強のビジネスマンなのだ――― え〜っと。
そろそろ自分が何を書いてるのか分からないので、終わりにしたいと思います。なんか良く分からないんですが、すんんんごい疲れました。