大学生活で一番頑張ったことはなんですか? と面接官に質問されたときに、勉強よりもサークルよりも、本当のところ実は、恋愛です!!!と自信満々に答えたくなるぐらい青春を謳歌(おうか)してしまっているリア充な諸君に、今日は耳の痛い話をしよう。
就活期には恋愛の3大クライシスというのが存在する。「私たちは絶対に大丈夫、いつでもラブラブなんだから❤」って言っている奴(やつ)がいたら、その口にゼクシィスペシャル号を押し込みながら、こう叫びたい。「おまえが一番、よく聞いとけ」と。
就活とはその人の本性があぶり出される踏み絵のようなものだ。いつも優しい彼が豹変(ひょうへん)するなんてことがよくある。ES(エントリーシート)作成で寝不足状態が続く中、会社説明会にOB・OG訪問と自由に使える時間はことごとく奪われる。いざ、選考が始まれば、他大学の優秀な人たちと同じ土俵で戦わねばならないのだ。志望度が高い企業から不採用通知が届こうが、ゼミの同期に内定が出ようが、ひたすら日々、自分自身と向き合い続けることになる。とても真っ当な精神状態でいられるはずがない。
そんな混沌(こんとん)を極める就活期において、恋愛クライシスは追い打ちをかけるように発生する。彼氏、もしくは彼女が同じ就活生というパターンの場合、特に起こりがちなので、じっくり読んで最悪のシナリオを回避してもらいたい。
その(1)「彼氏落ち、彼女内定」パターン
これは意外とよくあるパターンだ。受ける業界が被っていると、否が応でも相手と比べてしまうので非常に厄介である。男性はなんだかんだで、女性より優位に立ちたいと思っている生き物だ。自分が落ちた企業から彼女があっさり内定をもらうだなんて、男のプライドが許さない。裏を返せば、自分の方が彼女より優秀だと思っているということだ。嫉妬した彼から突然別れを切り出されないようにするために、就活が本格化する前に未来に起こるであろうことをお互いにシミュレーションをしておくといい。
具体的には、こんな話をしてみてはどうだろう。
「片方だけが企業から内定をもらうことがあるだろうし、たとえ優秀な人であっても、その日のコンディションや面接官との相性で、あっさり落とされてしまうことだって、きっとある。どこの企業に受かろうが落ちようが、それは神のみぞ知る領域だし、恨みっこはなしにしておこう」
もし、相手の選考の進み具合が気になってしまうような人だったら、最終的な結果が出るまでお互いに選考の詳細な進捗(しんちょく)状況は言わない、と決めておくのも一つの手だ。
ただ、この機会によく考えてみよう。彼女の内定を素直に喜べないような器の小さい奴と付き合い続けるのが、本当に幸せなのかと。就活は無事に乗り越えられたとしても、社会人になってもっと心の広いすてきな人に出会ってしまい、あっさり別れるような気がする。
その(2)「面接で知り合った人を好きになってしまった」パターン
これが最も厄介である。特に惚(ほ)れっぽい男性は要注意だ。その逆で、普段女性慣れしていない人が、たまたま面談で一緒になった女性に一目惚れしてしまう……なんていうこともあるだろう。人を好きになる気持ちは誰にも止められない。一時の気の迷いということもあるが、本気で相手が別の人を好きになってしまった場合は、潔く別れよう。
私の場合、就活中に知り合った人たちとは、10年以上たった今でもSNSなどを通して緩くつながっている。お互いの近況をなんとなく知っていたりするし、就職先がバラバラなので、働き方やキャリアプランも全く違っていて、たまに会って話をするととてもよい刺激をもらえる。仕事と違って利害関係がないので、気兼ねなく相談できるのもいい。大学という垣根を越えて、いろいろなタイプの人とたくさん知り合えるという意味では、就活は絶好の機会。恋愛感情などは抜きにして、一生大事にしてもらいたい。思わぬところでそのときに培った人脈が、仕事に生かされたりすることだってある。私もインターンシップ中に知り合った人のご縁で苦労することなく転職できた。人脈は宝だとつくづく思うのだ。
その(3)「内定者飲み会で意気投合」パターン
これは就職後に今カレや今カノと別れて、新しい人に乗り換えられる可能性が最も高いパターンである。職場が同じということは当然、共通項がたくさんあって打ち解けるのが早い。内定者同士が仲のいい会社だと、就職前に交流する機会やイベント事がたくさんあって、一気に二人の距離が縮まる。
私の同僚も職場結婚がとても多かった。忙しい業界だと深夜帰りが続いてプライベートの時間がほとんどないので、一緒に過ごす時間が長い職場の人と恋愛関係に陥りやすいというのも頷(うなず)ける。職場結婚なんて絶対に嫌だと思っている人もいるかもしれないが、意外とメリットが多いと思う。それは、どちらかが忙しくて、相手をケアするだけの精神的余裕がなかったとしても、同じ職場だったら察してあげられる。
もしも恋人が内定先の同期を好きになってしまった場合は、問いただしたりせずにじっくり相手の話に耳を傾けよう。罪悪感が当然あるので、正直に本心を打ち明けてくれない可能性が高いが、泣きわめいたり罵(ののし)ったりせずに、あくまで客観的に相手の話を聞いてみるのだ。一時的な気の迷いなのか、それとも本物の恋なのかを冷静に見極めて、必要であれば、しばらく彼と距離を置くのがいい。それで離れてしまう関係であれば、就職してからいずれ別れる運命だったと諦めよう。
就活期における恋愛クライシスは、知っていればいざという時に慌てたりせず、冷静に対処できることばかり。就活は精神的に大きく成長するため、お互いに成長するスピードが異なると、今までうまくいっていたカップルでも、別れを迎えやすい。それを悲劇と捉えずに前向きに受け止めて、今の自分の身の丈に合ったすてきな人と出会うチャンスが訪れたと考えられるようになれば、きっとこの先もよい出会いに恵まれると思うのだ。
〈本日の処方箋〉
『相手もよろこぶ 私もうれしい オトナ女子の気くばり帳』(サンクチュアリ出版、2017)
相手の状況を察して、さりげない言葉かけや先回りした行動ができると、彼もあなたのことを一生大事にしようと思うはずだ。親しき仲にも礼儀あり。最近、彼に気遣いできているかな、自分の気持ちを押し付けてばかりいないかな……と我が身を振り返ってみるのにとてもよい本だ。イラストがたくさん入っているので、漫画を読むようにパラパラと読める。
サンクチュアリ出版
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※こちらは2018年3月に公開された記事の再掲です。