こんにちは、ワンキャリ編集部です。どの企業の面接でも必ず聞かれる「志望動機」。「一つ一つの企業について志望動機を練り上げるのって結構な労力がかかるな……」と感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、どんな企業でもあっという間に志望動機・志望理由を作り上げる方法を、面接の予想質問を交えてご紹介します。
全業界対応!志望動機作成の5ポイント
実はどの企業の選考でも答えるべき志望動機のポイントは決まっています。押さえておくべきポイントは以下の5点です。
質問1:将来成し遂げたいことは何か
質問2:1を成し遂げたいと思ったきっかけ
質問3:なぜ、他の業界ではないのか
質問4:なぜ、他の企業ではないのか
質問5:入社したら何をしたいか
以下、総合商社に内定したAさんのエントリーシート(ES)を例に、各ポイントをどう反映すればよいかをご紹介します。
【設問】
あなたが三菱商事で挑戦したいこと、実現したい夢について教えてください。その際、特に興味のある分野や事業があれば、具体的に触れていただいても構いません。(250文字以下)
【回答例】
私が貴社を志望した理由は、ビジネスを通じて社会課題を解決したいと考えるからだ。警察官である父の影響で、大義のために働く姿に憧れを抱いており、大学時代は社会課題を多く抱える発展途上国での留学を通し、援助の現場を視察した。その体験から将来は上記で挙げた私の目標をかなえられる企業で働きたいと考えている。そこで、将来は貴社の掲げる○○という理念に基づき多くの人に利をもたらす仕事を、直接現場に関われる形で成し遂げたいと考えた。貴社は現在○○国にての援助活動に関わる○○というプロジェクトを行っており、私は特にそのプロジェクトに興味を持っている。 ※出典:三菱商事 総合職 2017年卒本選考のESより一部改変
質問1:将来成し遂げたいことは何か
まず、将来自分が何をしたいか考えるところから始めましょう。2~5のポイントはすべて「将来自分が成し遂げたいこと」につながるように書く必要があるため、一番重要といっても過言ではないポイントです。とはいえ、「成し遂げたいことが抽象的過ぎてイメージがわかない……」と思う学生も多いのではないでしょうか。そのような方は、以下の2つの順番で考えると、成し遂げたいことのイメージがわきやすいと思います。
・どんな問題を解決したいか?
・どんな関わり方をしたいか?
まず、自分が志望業界の現状について感じている問題意識、人生経験に基づいた社会の問題点を出発点に「この問題を解決したい」という理想をゴールに設定しましょう。ゴール設定が終わったら、そのゴールの実現にどのように関わりたいかを考えます。この関わり方を考えるときに自分が情熱を注げるゴールが洗練されていきます。例えば、世界平和はほとんどの人にとって望ましい世界かもしれませんが、その世界を実現するために国連で勤務したり、一国の外務大臣になったりしたいと思う人はあまりいないでしょう。このように関わり方を具体的にイメージすると、自分が情熱を注ぎたいゴールが明確になります。
Aさんの場合、「私が貴社を志望した理由は、ビジネスを通じて社会課題を解決したいと考えるからだ。」という文章を通じて、社会課題の解決というゴールに対してビジネスサイドで関わりたいことを明示しています。
質問1に答える上での注意点
質問1の答えをベースに質問2~5の答えを組み立てるので、質問1への回答はある程度の抽象度を持たせるようにしましょう。Aさんの例で、「社会課題」ではなく「貧困」や「環境問題」を解決したいと言ってしまうと、残りの回答はすべて「貧困」や「環境問題」に紐(ひも)づいたものにしなければいけないため、自分の首を絞めることになります。また、「貧困以外に興味はないのか?」と面接官から突っ込まれる可能性もあるため、導入は具体化しすぎないことをオススメします。
面接で応用できる質問例
・「将来の夢は?」
・「10年後自分が何をしていると思う?」
これらの質問に対しては、「どんな世界にしたいか?」、「どんな関わり方をしたいか?」に対する回答を用意しておけば簡単に乗り越えることができます。
質問2:1を成し遂げたいと思ったきっかけ
熟慮の結果、質問1の回答にたどり着いたのかを見極めるために質問2を投げかけます。ここで曖昧な回答をすると、「この学生は本気で将来これを成し遂げたいと思っているのだろうか……」という心証を与えてしまいます。
成し遂げたいことが芽生えるきっかけの具体例は、過去の挫折経験、憧れの人物からの影響などが考えられます。「きっかけ→成し遂げたいこと」のロジックがきちんと成立するように自己分析は念入りに行いましょう。
Aさんの場合、「警察官である父の影響で、大義のために働く姿に憧れを抱いており、大学時代は社会課題を多く抱える発展途上国で留学を通し、援助の現場を視察した。」と回答し、憧れの人物からの影響、影響を踏まえての自発的な行動、質問1への帰結、という流れで論理的に回答しています。
質問2に答える上での注意点
「自発的な行動」という要素を盛り込むことができればなお良いでしょう。特にきっかけが幼少期にある方は、「将来のゴールを設定してから何もしなかったの?」と突っ込まれる可能性も大いにあるので、ゴールに向かって学生時代に行動を起こしているならば、必ず回答で触れるようにしましょう。
面接で応用できる質問例
・「困難を乗り越えた経験はありますか?」
・「尊敬する人物を1人挙げてください」
面接では「モチベーションの源泉」という切り口から、これらの質問が投げかけられます。独立した一つの質問として回答すると、「小学校時代の恩師に憧れているのに、プログラマーという、人との関わりが少ない仕事を志しているのはなぜ?」など、ゴールときっかけの矛盾を突かれてしまいます。そのため、これらの質問が投げかけられたときは、「目指すゴールのきっかけについて聞かれている」という意識を持ちながら回答するようにしてください。
質問3:なぜ、他の業界ではないのか
質問3、質問4は遠い将来の目標と新卒で入社する会社を、どうリンクさせているかを見極めるために投げかけられます。
Aさんの場合、「その体験から将来は上記で挙げた私の目標をかなえられる企業で働きたいと考えている。」という一文を橋渡しとしています。面接では必ず聞かれる項目なので、字数が許せばESにも盛り込みましょう。
質問3に答える上での注意点
いわゆる「就活の軸」を聞いているともいえる質問3。説明する際には、「目標達成には◯◯と××が必要。他業界では◯◯は満たしているが××は満たしていない。ゆえに両方を満たすのはこの業界だけである。」という流れで書きましょう。
Aさんは、「社会課題を解決できるのは商社の他にも政府系機関があるな。でも、現場に直接出向いて仕事できるのは商社だけ。私は現場で社会問題の解決に携わりたいから政府系機関ではなく商社志望である。」という流れで、志望業界の絞り込みをしたそうです。
「目標達成のために必要な要素が分からない……」という方は、「違いを見つける」方法がオススメです。例えば、A業界は志望しているけどB業界は志望していないという場合、A業界にのみ共通する要素が、あなたの目標達成に必要な要素になるはずです。この方法でも必要な要素がいまいち明確にならない場合は、そもそも質問1で設定した目標が間違っている可能性があります。質問1に立ち返って、本当に自分が成し遂げたいことかを再考する必要があります。
面接で応用できる質問例
・「あなたのやりたいことは他業界でも達成できるのではないですか?」
・「他にはどういった業界を受けていますか。それはなぜですか?」
・「この業界にひかれた理由はなんですか?」
どの質問も「この業界でなければいけない理由」を聞いています。回答を練る際に、「必要な要素は◯◯と××だな……」とリストアップしておけば、どれも容易に回答できる質問です。
質問4:なぜ、他の企業ではないのか
質問3と同様、遠い将来の目標と新卒で入社する会社をどうリンクさせているかを見極める質問です。書き方のポイントはほぼ質問3と同じです。
Aさんの場合、「そこで、将来は貴社の掲げる◯◯という理念に基づき多くの人に利をもたらす仕事を、直接現場に関われる形で成し遂げたいと考えた」と回答することで、その会社でなければならない理由に踏み込んでいます。
質問4に答える上での注意点
「感覚」は曖昧であるものの志望動機の強い源泉となりえます。「業界単位では大きな違いがあるけれども、同じ業界の中では正直どこも一緒……」と感じる方も多いのではないでしょうか。そういった方は「感覚」を志望動機に盛り込むことをオススメします。具体的には社風とのフィット感、出会った社員の魅力などです。ビジネスモデルは同じでも、一社ごとに社風や社員の雰囲気は異なるので、OB・OG訪問などを通じて、「その会社を志望する感覚的理由」を準備すれば、強力な差別化要因となるでしょう。
面接で応用できる質問例
・「なぜ◯◯業界の中でもうちなのか?」
質問4の回答を準備していれば、必ず回答できる質問です。
質問5:入社したら何をしたいか
ここまできたら志望動機の完成まであと一歩です。最後は、将来成し遂げたいことと事業を結び付けることが求められます。この質問では、会社についてきちんと調べてきたか、すなわち志望度を見られているといえます。
Aさんは、「貴社は現在◯◯国にての援助活動に関わる××というプロジェクトを行っており、私は特にそのプロジェクトに興味を持っている」と述べることで、将来成し遂げたいことと会社でできることを結び付けているのはもちろんのこと、××というプロジェクトについても調べてきた、という自己PRもしているのです。
質問5に答える上での注意点
効率的な情報収集を心がけましょう。応募企業のウェブページやIR情報(投資家向け情報提供)すべてに目を通すのは非現実的です。ここまでくれば、どういった情報が必要か分かるはずなので、その情報を中心に探しましょう。例えば、Aさんのように海外での社会貢献を目指す人が国内の発電所事業について調べても求める情報は出てきません。「自分がどういった情報を必要としているのか」「その情報はどこを探せば見つかりそうか」というあたりをつけてからリサーチを行うことで、企業研究のコストを劇的に下げることができます。
面接で応用できる質問例
・「当社の改善点について意見をください」
・「何か興味があるプロジェクトや業種はありますか」
・「多くの部門がある中で、なぜ○○部に応募したのか」
いずれも質問5のために準備したリサーチ内容で回答が可能です。注意点としては、自分の志望領域と無関係であっても、その企業が推しているプロジェクトは頭に入れておくようにしましょう。例えば、三菱商事はペルーで世界屈指の新規大型銅事業に力を入れています(※)。
(※)参考:三菱商事「総合報告書2019 P.78」
おわりに
いかがでしたか。どの業界でも質問される志望動機は、5つの質問に一貫性を持って答えるだけで簡単に作れます。一社一社考えるのは大変かもしれませんが、だからこそ、志望動機をしっかり練って周囲との差別化を図りましょう!
※こちらは2020年4月に公開された記事の再掲です。
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